sliplogin コマンド
目的
標準入力の端末回線を、リモート・ホストへのシリアル・ライン・インターネット・プロトコル (SLIP) リンクに変換します。
構文
sliplogin [LoginName]
説明
sliplogin コマンドは、/etc/slip.hosts ファイル 内で、LoginName パラメーターの値と一致 する loginname エントリーを検索します。 一致するエントリーが検索されると、sliplogin は SLIP に該当する回線 (つまり、8 ビットの透過的入出力) を構成し、SLIP 伝送制御手順に変換します。 次に、sliplogin は、 /etc/slip.hosts ファイル内 の loginname エントリーに関連するローカルおよびリモートのインターネット・ プロトコル (IP) アドレス、ネットマスク、およびオプションの引数を指定して、SLIP インターフェースを初期化する適用可能なログイン・シェル・スクリプトを呼び出します。
通常の初期化スクリプト・ファイルは /etc/slip.login です。 ただし、特定のホストに必要な特殊な初期化に合わせるために は、/etc/slip.login.userlogin (こ の userlogin は /etc/slip.hosts の loginname エ ントリーに対応する) という名前のスクリプト・ファイルを作成できます。 sliplogin コマンドは、 /etc/slip.login.userlogin スクリプト・ファイルがあれば、それを /etc/slip.login スクリプト・ファイルの代わりに使用します。
SLIP インターフェースの初期化を解除するために、sliplogin コマンド は /etc/slip.logout スクリプト・ファイルまた は /etc/slip.logout.userlogin スク リプト・ファイルのいずれか存在する方のファイルを使用します。 両方のファイルが存在する場合は、後者のファイルが優先されます。 /etc/slip.logout スクリプト・ファイルに は、/etc/slip.login スクリプト・ファイルと同じ引数が与えられます。 /etc/slip.logout.userlogin スク リプト・ファイルに は、/etc/slip.login.userlogin スク リプト・ファイルと同じ引数が与えられます。 デフォルト形式では、/etc/slip.logout スクリプト・ファイルは指定された SLIP 装置のネットワーク・インターフェースを通る経路指定をすべて削除します。 SLIP インターフェースを切断するときの追加プロセスは、いずれのログアウト・スクリプト・ファイルにも追加できます。
- インターフェースは、リモート接続の終了時、 または sliplogin コマンドの終了時に非アクティブ状態になります。
- SLIP リンクが構成されているリモート・システムにアクセスするには、slattach コマンドを使用します。サンプル・シェル・スクリプト・ファイル /usr/sbin/slipcall を使用して、 リモート・システムの呼び出しに必要なパラメーターを指定して slattach コマンドを呼び出し、リモート・システムから割り当てられる適切な値を使用して、ローカル・インターフェースを構成できます。
- tty デバイス上でユーザーのログイン・シェルとして sliplogin を使用する場合は、この tty をログイン用に使用可能にする必要があります。(これは SLIP サーバー・プロセスとして sliplogin の代わりに slattach を使用した場合の構成とは異なります。)
/etc/slip.hosts ファイル
/etc/slip.hosts ファイルは構成ファイルで、事前構成済みの sliplogin ユーザーの名前と、ユーザーのログイン時にローカルおよびリモート・インターフェースに割り当てられる IP アドレスが入っています。 sliplogin はこのファイル内で、一致する LoginName エントリーを検索します。 このファイルのフォーマットは以下のとおりです。
- コメント (# で始まる行) およびブランク行は無視されます。
- ほかの行は必ず loginname 引数で始め、フィールドにはその名前に対して実行される slip.login ファイルに適した内容を記述しなければなりません。
- 引数は空白で区切り、
通常の sh(1) 引用符規則に従います。ただし、loginname 引数を引用符で囲むことはできません。
一般に、各行の形式は以下のとおりです。
この local_address および remote_address は、SLIP 回線のローカルおよびリモートの終端の IP ホスト名またはアドレスで、netmask は適切な IP ネットマスクです。 これらの引数は、ifconfig コマンドに直接渡されます。 Opt_args は回線の構成に使用するオプションの引数です。loginname local_address remote_address netmask opt_args
- こうして sliplogin
をインストールしたことによって、/etc/slip.hosts ファイルには、
シングル SLIP ユーザーに関する複数のエントリーを、別々のアドレスを指定して含めることができるようになります。これによって、同じユーザー名について、sliplogin コマンドで複数の SLIP インターフェースをアクティブにできます。
ユーザー・エントリーを /etc/slip.hosts ファイルから検索するときには、以下の基準を満たすアドレスのみが選択されます。
slip.hosts
エントリーが、ローカル・システム上の別の非 SLIP インター フェースで既に使用中のローカル・アドレスを指定すると、そのエントリーは無視されます。/etc/slip.hosts エントリーで指定したリモート・アドレスが、既にほかの任意のインターフェース上で使用されていると、そのエントリーは無視されます。
/etc/slip.login ファイル
/etc/slip.login また は /etc/slip.login.userlogin ファ イルは、ユーザーのネットワーク・インターフェースの初期化のため に sliplogin コマンドによって呼び出されるセットアップ・スクリプトです。 /etc/slip.login.userlogin ファイルが存在する場合は、このファイルが起動されます。この場合、sliplogin コマンドの LoginName パラメーターの値は、/etc/slip.hosts ファイルの loginname エントリーに対応しています。このファイルにアクセスできない場合は、代わりに /etc/slip.login ファイルが起動されます。 ログイン・スクリプト・ファイルには、以下のパラメーターが入っています。
項目 | 説明 |
---|---|
slipunit | この回線に割り当てられる SLIP インターフェースの装置番号を指定します。 例えば、sl0 の場合は 0 です (sl0 は s、小文字の L、0 です)。 |
speed | 回線の速度を指定します。 |
args | /etc/slip.hosts ファイル・エントリーからの引数を、loginname から始めて順番に指定します。 |
/etc/slip.logout ファイル
/etc/slip.logout また は /etc/slip.logout.userlogin ファイル は、ユーザーのネットワーク・インターフェースの初期化を解除するため に、sliplogin によって呼び出されるセットアップ・スクリプトです。 /etc/slip.logout.userlogin ファイルが存在する場合は、このファイルが起動されます。この場合、sliplogin の LoginName パラメーターの値は、/etc/slip.hosts ファイルの loginname エントリーに対応しています。このファイルにアクセスできなければ、代わりに /etc/slip.logout ファイルが起動されます。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
</dev/ttyx | ユーザーが既に tty デバイスにログインしており、その端末を SLIP 回線として構成したい場合は、このコマンドを ttyx デバイスにリダイレクトします。 |
パラメーター
項目 | 説明 |
---|---|
LoginName | 必要なログイン名を指定します。 デフォルトは現行ログイン名です。 |
例
sliplogin コマンドの通常の使用目的は、エントリーのシェルとして sliplogin を持つ正しい各リモート SLIP サイトごとに /etc/passwd エントリーを作成することです。 例えば、次の例では、
foo:!:2010:1:slip line to foo:/tmp:/usr/sbin/sliplogin
次に、/etc/slip.hosts ファイルにエントリーを追加しなければなりません。 以下の例のようなエントリーが必要です。
foo 1.1.1.1 1.1.1.2 0xffffff00 normal
この場合、loginname = foo、local_address = 1.1.1.1, remote_address = 1.1.1.2、netmask = 0xffffff00、および opt_args = normal です。(オプションの引数 normal は、 起動する SLIP モードを指示します。 )
診断
sliplogin コマンドは、 各種の情報をシステム・ログ・デーモン (syslogd) に記録します。 以下のリストは、重大度レベル別にグループ化されたメッセージを示しています。
メッセージ | 説明 |
---|---|
ioctl (TCGETS): reason | 表示された理由により、ioctl サブルーチンは回線パラメーターを取得できませんでした。 |
ioctl (TCSETS): reason | 表示された理由により、ioctl サブルーチンは回線パラメーターを設定できませんでした。 |
ioctl (TIOCGETD): reason | 表示された理由により、ioctl サブルーチンは現在の tty 伝送制御手順を取得できませんでした。 |
/etc/slip.hosts: reason | 表示された理由により、/etc/slip.hosts ファイルをオープンできませんでした。 |
Check of flags for interface xxx failed. Errno is reason. | errno グローバル変数に表示された理由により、考えられるアドレッシングの対立を防ぐため表示されたインターフェースの状況を検査しようとしましたが失敗しました。 |
Access denied for user - no /etc/slip.login[.userlogin] file. | /etc/slip.login スクリプト・ファイルまた は /etc/slip.login.userlogin スクリプト・ファイルを検出できませんでした。 |
Access denied for user - no /etc/slip.hosts entries available. | /etc/slip.hosts ファイル内の loginname エントリーは、 コマンドで指定された LoginName の値と一致しませんでした。 |
Access denied - getlogin returned 0. | sliplogin コマンドを発行したユーザーは、/etc/passwd ファイル内にパスワード・エントリーを持っていません。 |
Logout script failed: exit status xxx from /etc/slip.logout[.userlogin] | /etc/slip.logout また は /etc/slip.logout.userlogin スク リプト・ファイルを実行しようとしましたが、表示された終了状況により失敗しました。 |
No SLIP interface for ttyx. Errno is reason. | errno グローバル変数に表示された理由により、ttyx デバイスで SLIP インターフェースの位置が見つかりませんでした。 ifconfig slx up コマンドを実行するか、SMIT を使用して tty デバイスのネットワーク・インターフェースを追加してみてください。 |
Open /dev/null: reason | 表示された理由により、/dev/null デバイスをオープンできませんでした。 |
/etc/slip.logout file not found | /etc/slip.logout ファイルの位置が見つかりませんでした。 |
sliplogin: cannot add SLIP discipline to ttyx | ttyx デバイスに SLIP インターフェースが存在しません。 ifconfig slx up コマンドを実行するか、SMIT を使用して tty デバイスのネットワーク・インターフェースを追加してみてください。 |
SLIP discipline removal from tty failed. Errno is reason. | errno グローバル変数に表示された理由により、tty デバイスから SLIP 伝送制御手順を除去できませんでした。 |
tcgetattr: reason | 表示された理由により、tty デバイスの現行属性を読み取れませんでした。 |
userlogin login failed: exit status xxx from /etc/slip.login[.userlogin] | /etc/slip.login または /etc/slip.login.userlogin スクリプト・ファイルを実行するシステム・コールが、表示された終了状況により失敗しました。 |
メッセージ | 説明 |
---|---|
Attaching SLIP unit xxx for userlogin on ttyx. | sliplogin コマンドは、/etc/slip.hosts ファイル内で、 コマンドで指定された LoginName の値と一致 する loginname エントリーを検出し、適用可能な /etc/slip.login また は /etc/slip.login.userlogin フ ァイルを起動して、現在は表示されたネットワーク・インターフェースを接続中です。 |
Closed userlogin SLIP unit xxx (signal) | sliplogin コマンドがシグナルに従って終了したので、表示された userlogin 用の表示された SLIP 装置がクローズしました。 |
メッセージ | 説明 |
---|---|
Attaching SLIP unit xxx for userlogin. | 表示された SLIP 装置は表示された userlogin 用に正常に接続されました。 |
ファイル
項目 | 説明 |
---|---|
/etc/slip.hosts | 構成ファイルで、事前構成済みの sliplogin ユーザーの名前と、ユーザーのログイン時にローカルおよびリモート・インターフェースに割り当てられる IP アドレスが入っています。 |
/etc/slip.login また は /etc/slip.login.userlogin | ユーザーのネットワーク・インターフェースを初期化するために sliplogin コマンドによって呼び出されるセットアップ・スクリプト。 |
/etc/slip.logout また は /etc/slip.logout.userlogin | ユーザーのネットワーク・インターフェースの初期化を解除するために sliplogin コマンドによって呼び出されるセットアップ・スクリプト。 |