ネーム・サーバー
フラットなネーム・スペースでは、すべての名前がネットワーク上の各ホストの /etc/hosts ファイル内に保持されていなければなりません。 ネットワークの規模が非常に大きい場合に、各マシンのリソースに大きな負担となる可能性があります。 階層ネットワークでは、ネーム・サーバー として指定された特定のホストが、その他のホストのために名前を IP アドレスに解決します。
この方法には、フラットなネーム・スペースを上回る 2 つの利点があります。つまり、ネットワーク上にある個々のホストのリソースがネーム・レゾリューションのために占有されることがなく、システム管理者はネットワーク上にある個々のマシンのネーム・レゾリューション・ファイルを保持する必要がなくなります。 1 つのネーム・サーバーによって管理されるネーム・セットは、そのネーム・サーバーの権限ゾーン と呼ばれます。
不要なネットワークのアクティビティーをさらに減らすため、すべてのネーム・サーバーは、名前からアドレスへのマッピングをキャッシュ (一定の期間だけ格納) します。 クライアントがサーバーに名前の解決を依頼した場合、サーバーは最初にキャッシュを検査して、その名前が最近解決されたかどうかを調べます。 ドメイン名とホスト・ネームは変化するので、個々の項目はレコードの TTL で指定された時間だけキャッシュ内に止まります。 このため、権限を持つユーザーは、ネーム・レゾリューションが正確である期間を指定できます。
どのような自律システム内にも、複数のネーム・サーバーを入れることができます。 通常、ネーム・サーバーは階層状に編成され、ネットワーク編成に対応しています。 「インターネットのドメイン構造」という図では、各ドメインに、そのドメイン内にあるすべてのサブドメインについて責任を負うネーム・サーバーがあると考えられます。 個々のサブドメイン・ネーム・サーバーは、他のサブドメインのネーム・サーバーと通信するだけでなく、ドメインにあるネーム・サーバー (親 ネーム・サーバーと呼ばれます) とも通信します。

例えば、「インターネットのドメイン構造」の図では、Austin、Hopkins、Charlotte はすべて、Century ドメインのサブドメインです。 ネットワークの設計がこのツリー階層に従っていれば、Austin ネーム・サーバーは Charlotte および Hopkins の各ネーム・サーバーと通信するほか、親の Century ネーム・サーバーとも通信します。 Austin ネーム・サーバーは、そのサブドメインに対する責任を負うネーム・サーバーとも通信します。
ネーム・サーバーには、次のように複数のタイプがあります。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| マスター・ネーム・サーバー | ファイルまたはディスクからデータをロードし、また、ドメイン内にある他のサーバーに権限を委任できます。 |
| スレーブ・ネーム・サーバー | システムの始動時に、マスター・ネーム・サーバーから与えられた権限ゾーンに関する情報を受信し、その後、定期的にその情報の更新をマスター・サーバーに要求します。 スレーブ・ネーム・サーバー上の権限開始 (SOA) リソース・レコードに入っているリフレッシュ値が満了するか、マスター・ネーム・サーバーから通知メッセージを受信した場合に、マスター・ネーム・サーバー上にあるデータベースのシリアル番号が、スレーブ・ネーム・サーバー上の現行データベースのシリアル番号より大きければ、スレーブはマスター・ネーム・サーバーのデータベースを再ロードします。 マスター・サーバーから新しいゾーンを強制的に転送する必要が生じた場合には、既存のスレーブ・データベースを除去して、スレーブ・ネーム・サーバー上で named デーモンをリフレッシュするだけです。 |
| スタブ・ネーム・サーバー | データベース複製のメソッドはスレーブ・ネーム・サーバーのメソッドと似ていますが、スタブ・ネーム・サーバーはデータベース全体ではなくマスター・データベースのネーム・サーバー・レコードのみを複製します。 |
| ヒント・サーバー | 他のネーム・サーバーに対する以前の照会から作成したヒントにのみ基づくネーム・サーバーを示します。 ヒント・ネーム・サーバーのキャッシュ内に名前からアドレスへのマッピングがない場合、ヒント・ネーム・サーバーは、必要な情報を提供する権限を備えた他のサーバーに問い合わせることによって照会に応答します。 |
| フォワーダーまたはクライアント・サーバー | ローカルでは対応できない照会を、転送サーバーの固定リストへ転送します。 転送専用サーバー (情報を入手して他のクライアントへ渡すが、実際にはサーバーでないフォワーダー) は、ルート・ドメインや他のドメインのマスター・ネーム・サーバーとは対話しません。 転送サーバーへの照会は、再帰的です。 転送サーバーは 1 つだけの場合も複数存在する場合もあり、リストの最後に至るまで順に試行されます。 一般的に、クライアントとフォワーダーの構成は、特定のインストール先の一部のサーバーだけが残りのインターネット・サーバーと対話するようにしたい場合、または特定の数のネーム・サーバー上に大きなキャッシュを作成したい場合に使用します。 |
| リモート・サーバー | リモート・サーバー・ローカル・ホスト上でネーム・サーバー・プロセスが実行されていなくても、ネーム・サーバーを使用するすべてのネットワーク・プログラムを実行します。 すべての照会は、ネットワーク上にある別のマシン上で実行されているネーム・サーバーによって処理されます。 |
1 つのネーム・サーバー・ホストが、異なる権限ゾーンで異なる機能を果たす場合もあります。 例えば、1 つのネーム・サーバー・ホストが、あるゾーンのホスト・ネーム・サーバーになり、別のゾーンのスレーブ・ネーム・サーバーになることもできます。