enq コマンド

目的

ファイルをキューに入れます。

構文

ファイルに名前を付ける

enq [ - ] [ -B CharacterPair ] [-c ] [ -C ] [ -G ] [ -j ] [ -m Text ] [ -M File ] [ -n ] [ -N Number ] [ -o Option ] [ -P Queue ] [ -r ] [ -R Number ] [ -t "User" ] [ -T Title ] [ -Y ] [ -Z Name ] File

印刷ジョブの優先順位を変更する

enq -a Number -# JobNumber

状況を表示する

enq [ -q | -A ] [ -L ] [-W ] [ -e ] [-# JobNumber ] [ -u Name ] [ -w Seconds ] [ -s]

キューおよびキュー・デーモン状況を変更する

enq [ -d ] [ -D ] [ -G ] [ -K ] [ -L ] [ -q | -A ] [ -U ]

オプションを取り消す

enq [ -X ] [ -xNumber ] [ -PPrinter ]

印刷ジョブを保留、解放、または別のキューに移動する

enq {-h | -p |-Q NewQueue } { -# JobNumber [ -P Queue ] | -u User | -P Queue }

印刷ジョブをキューに入れて保留する

enq -H File ...

説明

enq コマンドは、共用リソース (通常はプリンター・デバイス) に対する要求をキューに入れる汎用ユーティリティーです。 enq コマンドを使用すると、要求をキューに入れたり、取り消したり、要求の優先順序を変更したり、キューやデバイスの状況を表示できます。

enq コマンドは、すべてのフラグが共に機能するわけではないため、5 つの異なった構文図を持っています。 これらのフラグの一部はファイル処理用で、FileName をオプションとして受け取ります。 その他のフラグは、印刷ジョブの優先順位の変更、状況の表示、キューの状況またはキューのデーモンの変更、印刷ジョブの取り消しなどに使用されます。

ファイルを特定のキューに入れる場合、 -P フラグ (-P Queue) を使用します。そのキューに対して複数のデバイスが使用されている場合、キューの名前の後にそのデバイス (:device) を指定して、特定のデバイスを要求することもできます。 デバイスを指定しない場合、ジョブは最初に使用可能となったデバイスに送信されます。 ファイルを指定しない場合、enq コマンドは標準入力をファイルにコピーして、それを印刷キューに入れます。

enq コマンド要求は、その要求に関連するオペレーター・メッセージを持つことができます。この機能は、分散環境や多くのユーザーを持つシステム上で役立ちます。このメッセージは、そのジョブの印刷を始める前に、特別な用紙や違った色の用紙をプリンターに装着するなどの要求情報をプリンターのオペレーターに伝えます。 このメッセージは、 -m フラグと、 -M フラグで指定します。qdaemon コマンドは、enq コマンドの要求を処理します。qdaemon コマンドが要求とその関連メッセージを開始する準備ができると、システムは qdaemon プロセスが実行されるコンピューターのコンソールにメッセージを表示します。 メッセージのテキストにはプロンプトが付いていて、継続するように要求する信号を送る方法、または要求を取り消す方法を、プリンターのオペレーターに伝えます。

enq -A コマンドで生成された表示には、リモート・キューに対する 2 つのエントリーが含まれています。第 1 のエントリーには、クライアントのローカル・キューとローカル・デバイス名、その状況情報が含まれます。 第 2 のエントリーは第 1 のエントリーのすぐ後にあり、クライアントのローカル・キュー名 (再度) の後にリモート・キュー名が表示されます。 リモート・キューに対して実行依頼されたジョブは最初にローカル側に表示され、ジョブがリモート・マシン上で処理されるときにリモート・デバイスに移動します。

状況コマンドがリモート・ホストと交信する際に、コマンドがリモート・マシンからの応答を待つ間、画面が頻繁に停止するように見えます。2 つのマシン間の接続を確立できない場合、コマンドは最終的にタイムアウトになります。

注:
  1. ファイルをキューに入れるには、 そのファイルへの読み取りアクセスを持っていなければなりません。 ファイルをキューから除去するには (-r フラグを参照)、 そのファイルが入っているディレクトリーへの書き込みアクセスも必要です。
  2. enq コマンドが実行された後で印刷される前に、 引き続きファイルを変更する場合は、 -c フラグを指定してください。
  3. ファイルをプリンター上のキューに入れるときには、 フラグはどんな順序で指定してもかまいません。
  4. -d および -G フラグは、 即座に機能します。コマンド・ライン上でこれらの 2 つのフラグの前にある構文エラーが報告されます。コマンド・ライン上でこれらの 2 つのフラグの後にある構文エラーは無視されます。

フラグ

ファイル処理オプション

enq コマンドにファイル名のリストを提供すると、提供したファイルがすべてキューに入れられ、デフォルト・デバイスまたは指定したデバイス上でファイルの処理が行われます。

項目 説明
- enq コマンドをフィルターとして機能させます。ファイルを指定しないと、enq コマンドは自動的に標準入力を読み込みます。 ただし、ファイルを指定する場合、ダッシュ (-) を使用して、enq コマンドに標準入力を読み取らせるよう強制することができます。 ダッシュ (-) は、実際はフラグではなく、特別なタイプのファイル名です。 したがって、そのコマンド・ライン上で他のフラグをすべて指定した後に指定する必要があります。
-B CharacterPair 次のような CharacterPair の値に従って、バースト・ページの印刷を制御します (n は「never (なし)」、a は「always (必須)」、g は「group (グループ)」を示します。先頭の文字はヘッダー、2 番目の文字はトレーラーを表します)。
HT
説明
nn
ヘッダーなし、トレーラーなし。
na
ヘッダーなし、各ファイルにトレーラーあり。
ng
ヘッダーなし、ジョブの最後にトレーラーあり。
an
各ファイルにヘッダーあり、トレーラーなし。
aa
ジョブの各ファイルにヘッダーとトレーラーあり。
ag
各ファイルにヘッダー、ジョブの後にトレーラーあり。
gn
ジョブの最初にヘッダー、トレーラーなし。
ga
ジョブの最初にヘッダー、各ファイルの後にトレーラーあり。
gg
ジョブの最初にヘッダー、ジョブの最後にトレーラーあり。

/etc/qconfig ファイルの中のヘッダーとトレーラーのスタンザは、バースト・ページのデフォルトの処理を定義します。

注: リモート印刷環境のデフォルトでは、ヘッダー・ページが印刷され、トレーラー・ページは印刷されません。
-c ファイルをコピーします。ディスク・スペースを節約するために、enq コマンドはファイル名を記憶しますが、実際にはファイル自体をコピーしません。 現行コピーが印刷されるのを待つ間に、ファイルの変更を継続したい場合には、-c フラグを使用します。
-C エラー・メッセージとジョブの完了通知に、write コマンドでなく、mail コマンドを使用するよう指定します。(このフラグを使うとプリンターからのフィードバックがより良く行われるので、PostScript アプリケーションを書くときに便利です)。 エラー・メッセージとジョブ完了メッセージ (どちらも piobe コマンドで生成) は、プリンターから読み取ったデータと一緒にメールで返送されます。

-C フラグはローカル印刷ジョブにのみ適用されます。リモート・プリンターに送信されたジョブが完了したときに通知が必要な場合は、-n フラグを使用してメール・メッセージを受信します。

注: qdaemon とプリンター・バックエンドからはどうしてもリダイレクトできないメッセージがいくつかあります。それらのメッセージはシステム・エラーであり、/dev/console ファイルに直接送られます。
-j メッセージ Job number is: nnn を、 標準出力に表示するよう指定します。この場合、 nnn は割り当てられたジョブ番号です。そのメッセージは、ジョブがローカル印刷キューに渡された場合に表示されます。
-m Text enq コマンド要求と一緒にオペレーター・メッセージを渡します。 指定したテキストにはメッセージが入ります。
-M File enq コマンド要求と一緒にオペレーター・メッセージを渡します。 指定したファイルにはメッセージのテキストが入ります。
-n ジョブの終了を通知します。 -t フラグを同時に指定すると、 enq コマンドによって、 要求の宛先も通知されます (-t フラグのセクションを参照)。
-N Number Number が示す部数だけファイルを印刷します。通常、ファイルは 1 回だけ印刷されます。
-o Option バックエンド固有のフラグがバックエンドに渡されるよう指定します。したがって、各キューには、enq コマンド・ラインに組み込まれる可能性があってもこのセクションで説明されていないフラグが存在します。これらのフラグのリストについては、piobe コマンドのセクションを参照してください。
-P Queue ジョブが送信されるキューを指定します。 キュー上の特定のデバイスは、-P Queue:Device と入力して指定できます。
-r ファイルの印刷が正常に行われた後に、そのファイルを除去します。
-R Number 現行ジョブの優先順位を Number に設定します。 このフラグは、ジョブの実行を要求するときに使用されます。 ジョブの実行を要求した後に優先順位を変更する場合は、 -a フラグを使用してください。数が大きいほど、優先順位も高くなります。デフォルトの優先順位は 15 です。 大部分のユーザーの場合、最大優先順位は 20 で、root ユーザー権限を持つユーザーの場合は 30 です。
-t "User" 送達のために出力に User というラベルを付けます。 通常、送達のために、出力には enq コマンド要求を発行したユーザーのラベルが付けられます。User の値は、正規のユーザー ID の要件を満たす単一のワードであることが必要です。
-T Title -q フラグを指定していると、 ヘッダー・ページにタイトルを付け、そのタイトルを表示します。通常、ジョブのタイトルはファイル名となります。 enq コマンドが標準入力から読み込みを行う場合は、ジョブ・タイトルは STDIN.# で、#enq コマンドのプロセス ID です。
-Y enq コマンドに対して、このフラグ以降のコマンド・ラインをすべて無視するように伝えます。 このフラグは、キュー (/etc/qconfig ファイル内にある場合) が有効であるかどうかを調べるときに役に立ちます。 例えば、ライン・プリンター lp4 が有効なキューの場合、 enq -P lp4 -Y と入力すると終了値 0 が戻され、 有効でなければ 0 以外の値が戻されます。このフラグは、qdaemon コマンドで /etc/qconfig ファイルを再度要約するよう強制するときにも役に立ちます。
-Z Name リモート印刷ジョブの発信元を指定します。

印刷ジョブ優先順位オプション

項目 説明
-a Number 指定したジョブの優先順位を Number に変更します。 このフラグを指定して enq コマンドを入力する前に、ジョブが出力用に実行依頼されている必要があります。優先順位の詳細については、 -R フラグのセクションを参照してください。 ジョブ番号を指定する場合は、 -# フラグを使用してください。このフラグは、ローカル印刷ジョブに対してのみ有効です。
-#JobNumber enq -q コマンド、 または enq -a コマンドで使用されるジョブ番号を指定し、状況の出力に指定されているジョブだけを表示します。
注:
  1. デフォルトの宛先プリンターを指定変更するには、 -P Queue を指定します。
  2. ジョブ 1、2、3 がプリンター・キューにあり、ジョブ 1 が実行中であるにもかかわらずジョブ 3 の状況を要求することを指定した場合、ジョブ 3 だけでなくジョブ 1 の状況情報も出力されます。
  3. 存在しないジョブ番号を指定した場合、エラー・メッセージの代わりに、現在キューにある現行ジョブ番号が表示されます。

状況表示オプション

項目 説明
-A すべてのキューの状況を提供します。そのフラグの機能は、 qconfig ファイルのキューごとに、 enq -q コマンドを一度実行するのと同じです。
-e qdaemon コマンドが制御していないキューからの状況情報を除外します。 この種のキューの状況は、フォーマットが異なる場合があります。-e フラグは他のフラグと任意に組み合わせて使用することができます。
-L 詳しい状況を指定します。このフラグは、-A-q、または -W のフラグと一緒に使用できます。 -L フラグ と -W フラグが同時に使用されると、 印刷ジョブの詳しい状況がセミコロンで区切られた形式で表示されます。 1 つの印刷ジョブの中で出力される複数のファイルを表示するには、-L フラグを使用します。
-q デフォルトのキューの状況を表示します。LPDEST および PRINTER 環境変数は、デフォルトのプリンターの名前を制御します。 LPDEST 環境変数に値が入っていると、その値が常に最初に使用されます。 LPDEST 変数に値が入っていない場合、enq コマンドは PRINTER 環境変数を使用します。 PRINTER 環境変数に値が入っていない場合は、enq コマンドはシステム・デフォルトを使用します。
注:
  1. 特定のキューの状況を表示するには、 -P Queue フラグを、 -q フラグと一緒に使用してください。
  2. 宛先コマンド・ラインのオプションはすべて、LPDESTPRINTER の両方の環境変数を指定変更します。
-s ファイルをリストせずに印刷キューの状況を入手します。
-u Name 印刷ジョブ状況のユーザー名を指定します。
-w Seconds キュー状況の継続出力を指定し、指定した Seconds ごとに、キューが空になるまで、画面を更新します (lpq コマンドを参照)。キューが空になると、処理は停止します。 このフラグは必ず、-q フラグ、 -A フラグ、 または -L フラグのいずれかと一緒に使用します。
-W 幅の広い状況フォーマットをより長いキュー名、デバイス名、およびジョブ番号で指定します。 このフラグ は、-A-q、または -L のフラグと一緒に使用できます。-L-W の フラグが同時に使用されると、 印刷ジョブの詳しい状況がセミコロンで区切られた形式で表示されます。

キューおよびキュー・デーモン状況の変更オプション

項目 説明
-d /etc/qconfig ファイルで、 digest コマンドを実行します。要約 (digest) が完了すると、/etc/qconfig ファイルに加えられたすべての変更は、/etc/qconfig.bin ファイルに反映されます。 このオプションを実行するには、root ユーザー権限を持っていなければなりません。

enq コマンドでは、すべてのユーザーが使用できる前述のフラグの他に、root ユーザー権限を持つユーザーによって入力される次のフラグを使用できます。 root ユーザー権限とは、その人が root であるか、または printq グループに属していることを意味します。

注: 以下のフラグは、ローカル印刷ジョブでのみ使用できます。
項目 説明
-D 即時停止。キューに関連しているデバイスの電源をオフにします。qdaemon プロセスは、デバイスにジョブを送信しなくなります。 enq -q コマンドを入力すると、 「DOWN」という状況が表示されます。デバイスで実行中のジョブは終了されます。
-G 安全に停止。現在実行中のジョブが終了した後に、qdaemon プロセスを終了します。 このフラグを使用する方法は、qdaemon プロセスを簡単に終了させる唯一の方法です。 kill コマンドを使用すると、キューにあるジョブがハングするなどの問題が発生することがあります。

qdaemon プロセスを srcmstr の制御下で実行している場合 (デフォルト構成)、 enq -G は、qdaemon が自動的に再始動するのを防ぎません。 デフォルトの構成を変更し、qdaemon プロセスの自動再始動を防ぐ chssys コマンドを使用する必要があります。次のコマンド

chssys -s qdaemon -O

enq -G コマンドの前に実行すれば、 qdaemon コマンドが自動的に再始動されるのを防ぐことができます。

次のコマンド

startsrc -s qdaemon

は、qdaemon プロセスを手動で再始動します。

-K 現在のジョブすべてが抹消されることを除いて、 -D フラグと同じ機能を実行します。抹消されたジョブはキューにそのまま残り、デバイスの電源が入れられたときに再度実行されます。
-L 詳しい状況を指定します。このフラグは、-A-q、または -W のフラグと一緒に使用できます。 1 つの印刷ジョブの中で出力される複数のファイルを表示するには、-L フラグを使用します。
-U キューに関連するデバイスを立ち上げます。qdaemon プロセスは、キューに再度ジョブを送信し、enq -q コマンドを入力すると、キューの状況が ready として表示されます。
注: 1 つのキューが複数のデバイスを共用する場合、 -D フラグ、 -K フラグ、 および -U フラグを使用するときには、 キューだけでなくデバイスも指定する必要があります。例えば、-P lp:lpd と入力すると、そのキューに他のデバイスがない場合にだけ、同じデバイスを表します。

取り消しオプション

項目 説明
-X ジョブの印刷を取り消します。ユーザーが root ユーザー権限を持っていれば、指定したキュー上のすべてのジョブが削除されます。このフラグは、ローカル印刷ジョブに対してのみ有効です。
-xNumber Number で指定した番号のジョブの印刷を取り消します。
-P Printer すべてのジョブまたは特定のジョブのジョブ番号を取り消したいプリンター を指定します。
注意: root ユーザー権限を持っているユーザーがキューを指定しないと、すべてのキューのすべてのジョブが削除されます。

印刷ジョブの保留および解放オプション

項目 説明
-#JobNumber 保留または解放する印刷ジョブの番号を指定します。
-h 指定した印刷ジョブを保留します。
-H File パラメーターで指定したファイルをキューに入れて保留します。
-p 指定した印刷ジョブを解放します。
-P Queue 保留または解放する印刷キューを指定します。
-u User 印刷ジョブを保留または解放するユーザーを指定します。

印刷ジョブの移動オプション

項目 説明
-#JobNumber 移動する印刷ジョブの番号を指定します。
-P Queue 移動する印刷キューを指定します。Queue 変数の値は、キュー名、またはキュー: デバイス名のフォーマットで指定できます。
-Q NewQueue 印刷ジョブの移動先となるターゲット・キューを指定します。NewQueue 変数の値は、キュー名、またはキュー:デバイス名の形式で指定できます。
-u User 移動する印刷ジョブのユーザーを指定します。

セキュリティー

監査イベント:

イベント 情報
ENQUE_admin キュー名、デバイス名、ジョブ名、ユーザー名
RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. ファイル memo をデフォルトのプリンター上で印刷するには、 次のように入力します。
    enq memo
  2. ファイル prog.c をページ番号付きで印刷するには、 次のように入力します。
    pr prog.c | enq
    pr コマンドは、各ページの先頭に見出しを付けます。この見出しには、ファイルが最後に変更された日付、ファイル名、およびページ番号が表示されます。 それから enq コマンドがファイルを印刷します。
  3. 標準入力から読み込んで、ページ番号付きでファイルを印刷するには、 次のように入力します。
    pr x | enq  -P bill  -n  -r fn1 - fn3
    特別なファイル名であるダッシュ (-) は、enq コマンドに標準入力から読み込むように伝えます。 通常、コマンド・ラインにファイル名がある場合、enq コマンドは標準入力から読み込みを行いません。また、これは印刷する順序も示しています。 pr コマンドは、x ファイルのページ番号を付けたバージョンを作成し、そのファイルを enq コマンドに渡します。enq コマンドは、/var/spool/qdaemon ファイル内に、出力が入った一時ファイルを作成します。

    enq コマンドは、4 つのファイルを持つジョブを作成し、キュー bill に実行依頼します。 fn1 ファイルを 2 回印刷します。 次に、enq コマンドは pr コマンドの出力を、どのようなものでも印刷します。最後に、ファイル fn3 を印刷します。4 つのファイルは、バースト・ページ用に、1 つのジョブとして扱われます。 ジョブが完了すると、通知が送信されます (-n フラグ)。-r フラグが指定されているので、fn1fn3 ファイルはジョブの完了時に除去されます。ダッシュ (-) ファイルによって作成された一時ファイルは、常に削除されます。

    pr コマンドは、各ページの先頭に見出しを付けます。この見出しには、ファイルが最後に変更された日付、ファイル名、およびページ番号が表示されます。 それから enq コマンドがファイルを印刷します。

  4. ファイル report を、 次に使用可能なプリンター (fred キューに設定しているプリンター) に出力するには、 次のように入力します。
    
    enq -P fred report
  5. プレフィックス sam で始まる複数のファイルを、次に使用可能なプリンター (fred キュー用に構成されているプリンター) に出力するには、次のように入力します。
    enq -P fred sam*
    プレフィックス sam で始まるすべてのファイルが、1 つの印刷ジョブに含まれます。-T フラグで他の値を指定していない限り、通常の状況コマンドでは、印刷ジョブのタイトル (この場合、キューの最初のファイルの名前) だけが表示されます。 印刷ジョブの中のすべてのファイルの名前を表示するには、詳細状況コマンド enq-A-L を使用します。
  6. ファイルが印刷されるのを待っているかどうかについて、 印刷キューを調べるには、次のように入力します。
    enq  -q
    このコマンドは、ユーザーのデフォルト・キュー状況を表示します。 ファイルがまだ印刷されていない場合は、キュー状況のリストに表示されます。 システム・デフォルトのキューは、/etc/qconfig[.bin] ファイルの最初のキューとして定義されます。 ユーザーは、PRINTER 環境変数を設定しエクスポートして、デフォルトを指定変更できます。
  7. デフォルトでないキュー lp0 の状況を表示するには、 次のように入力します。
    enq  -q  -P lp0
  8. キューの詳細状況を表示するには、次のように入力します。
    enq  -L
  9. すべてのキューについて状況を表示するには、次のように入力します。
    enq  -A
  10. すべてのキューについて詳細状況を表示するには、次のように入力します。
    enq  -A  -L
  11. デフォルトのキューの状況を幅広いフォーマットで表示するには、次のように入力します。
    enq  -W
  12. すべてのキューの幅広い状況を表示するには、次のように入力します。

    enq  -W  -A
  13. ジョブ (ジョブは 1 つ以上のファイルを指す) の印刷を停止するには、 次のように入力します。

    enq  -x 413
    このコマンドは、ジョブの印刷の要求を取り消します。番号は、enq -q コマンドを入力して得たリストに登録されているものです。ジョブが印刷中である場合、プリンターは即座に停止します。ジョブがまだ印刷されていない場合、印刷されないようキューから除去されます。ジョブがキューにない場合、enq コマンドは次の出力のようなメッセージを表示します。
    no such request from you -- perhaps it's done?
  14. プリンターをキュー・システムから切り離すには、次のように入力します。

    enq  -P lp0:dlp0  -D
    このコマンドを入力すると、 lp0 のキューを処理中のプリンターに対する、 enq コマンド要求の送信が停止されます。 ファイルが印刷中の場合は、終了するまで印刷されます。enq コマンドを実行するには、qadm コマンドが実行できなければなりません。
    注: 指定されたキューを処理するプリンターは、/etc/qconfig[.bin] ファイルに記述されているデバイス・スタンザ名によって指定されます。
  15. デフォルトのプリンターで、 piobe コマンドのバックエンドを使って、 ページ番号付きでファイルを印刷するには、次のように入力します。
    enq  -o -p filename
    -p フラグは、enq コマンドに無視されます。-o フラグは次の項目 (引用符で囲むこともできます) を、変更されていないバックエンドに渡すように enq コマンドに伝えます。そのため、enq コマンドは -p フラグを qdaemon プロセスに引き渡し、次に piobe プロセスがバックエンドの piobe にそれを渡します。-p フラグは、文書にページ番号を付けた後で、piobe/usr/bin/pr フィルターを実行させて、データをデバイスに渡します。 複数のオプションを、1 つの -o フラグが前に付いている引用符で囲んで指定できます。 また、複数のオプションを、引用符を使用せずに各オプションの前に -o フラグを付けて指定することもできます。
  16. 次のような情報を持つ qconfig ファイルを仮定し、
    qname:
                   device = fred
    fred:
                   file = /tmp/hello
                   backend = /usr/bin/sh /usr/bin/diff
    さらに次のようなコマンドを指定します。
    rm /tmp/hello
    touch /tmp/hello
    pr /etc/hosts|enq  -P qname:fred - /etc/hosts
    qdaemon プロセスは、2 つの引数を持つ /usr/bin/diff プログラムを実行します。1 つは一時ファイル名で、もう 1 つは /etc/hosts ファイルです。この 2 つのファイルの唯一の違いは、一方のファイルが pr コマンドで実行されたものである点です。 /tmp/hello ファイルには、2 つのファイル間の違いが入っています。qdaemon プロセスは、/tmp/hello ファイルが存在しない場合にはそれを作成しません。
  17. 次のコマンド
    enq  -m'i want pink paper for this job' /etc/passwd
    は、印刷ジョブが始まる直前に、指定したオペレーター・メッセージをオペレーターのコンソールに送信します。オペレーターは、そのジョブを継続するか取り消すかを、このメッセージに応答する必要があります。
    enq  -M pink /etc/passwd
    このコマンドも同じことを実行しますが、メッセージは pink というファイルに入っています。
  18. キュー fred にあるすべてのジョブを取り消すには、 次のように入力します。

    enq  -X  -P fred
    このコマンドを入力したユーザーが root ユーザー権限を持っている場合は、 すべてのジョブがキュー fred から削除されます。ユーザーが root ユーザー権限を持っていない場合は、そのユーザーのジョブだけがそのキューから削除されます。
  19. ファイル名 MyFile のファイルをキューに入れ、 MyFile のジョブ番号を jdf ファイルに戻すには、 次のように入力します。
    enq  -j MyFile
  20. 印刷ジョブ番号 310 を保留にするには、 次のように入力します。

    enq  -h  -#310
    印刷ジョブ番号 310 に対する保留を解放するには、 次のように入力します。
    enq  -p -#310
  21. キュー lp0 に入っているすべての印刷ジョブを保留するには、 次のように入力します。

    enq  -h  -P lp0
    lp0 キューを解放するには、次のように入力します。
    enq  -p -P lp0
  22. fred によって作成されたすべての印刷ジョブを保留するには、次のように入力します。
    enq  -h  -u fred
    fred によって作成された印刷ジョブを解放するには、 次のように入力します。

    enq  -p -u fred
  23. ジョブ番号 318 を、 キュー lp0 に移動するには、次のように入力します。
    enq  -Q lp0  -#318
    印刷ジョブの移動を制御するフラグは、印刷ファイルを保留するフラグと同様に機能します。 保留フラグと変数は、上記の例に示してあります。

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/qdaemon キューイング・デーモン。
/etc/qconfig キュー構成ファイル。
/var/spool/lpd/qdir/* キュー要求。
/var/spool/lpd/stat/* デバイスの状況に関する情報。
/var/spool/qdaemon/* エンキューされたファイルの一時コピー
/etc/qconfig.bin /etc/qconfig ファイルの要約バイナリー・バージョン。