デバッグ・プロパティー

ORB トレースを使用可能にする際に使用するプロパティーです。

重要: パフォーマンス低下の原因となる可能性があるため、通常の操作に対してトレースを使用可能にしないでください。 トレースが オフになっても、First Failure Data Capture (FFDC) は依然として機能します。 つまり、深刻なエラーが発生した場合は、そのエラーが報告されるということです。 デバッグ・ファイルが生成されたら、そのファイルで問題を調べてください。 例えば、サーバーが ORB.shutdown() を実行せずに停止したということなどが考えられます。
以下のプロパティーを使用すれば、ORB トレースを使用可能にすることができます。
  • com.ibm.CORBA.Debug:
    表 1. デバッグ・プロパティーの値
    プロパティー値 トレース出力情報
    false [デフォルト] トレースは無効です。 そのため、情報は記録されません。
    true トレースは有効です。 出力には、ORB コード・フロー全体のメッセージとトレースが含まれます。
    注: 値を指定せずにこのプロパティーを使用すると、トレースが有効になります。
  • com.ibm.CORBA.Debug.Component: このプロパティーは、特定のオブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) サブコンポーネントのトレース出力のみを生成します。 次のサブコンポーネントを指定することができます。
    • ディスパッチ
    • MARSHAL
    • トランスポート
    • クラス・ローダー
    • すべて
    これらのサブコンポーネントのうちの複数をトレースする場合、各サブコンポーネントはコンマで区切る必要があります。
    以下は一般的な使用例です。
    java -Dcom.ibm.CORBA.Debug=true -Dcom.ibm.CORBA.Debug.Output=trace.log 
    -Dcom.ibm.CORBA.Debug.Component=DISPATCH
    -Dcom.ibm.CORBA.CommTrace=true <classname>
    注: 提供されている例は、コマンド行に入力される単一行です。
  • com.ibm.CORBA.Debug.Output: このプロパティーは、トレース・ログと呼ばれるファイルにトレースをリダイレクトします。 このプロパティーが指定されていない場合、または空ストリングに設定されている場合、ファイル名はデフォルトで orbtrc.DDMMYYYY.HHmm.SS.txt という形式に設定されます。この D は日、M は月、Y は年、H は時 (24 時間形式)、m は分、S は秒を表します。 アプリケーション (またはアプレット) にファイルへの書き込みに必要な特権がない場合は、トレース・エントリーが stderr に出力されます。
  • com.ibm.CORBA.CommTrace: このプロパティーは、ワイヤー・トレース (通信トレースとも呼ばれる) をオンにします。 GIOP の着信メッセージと発信メッセージはすべてトレース・ログに送信されます。 このプロパティーは、Debug とは別個に設定できます。 情報フローのみを調べる場合、および内部構造のデバッグに関心がない場合は、このプロパティーが便利です。 このプロパティーで使用できるのは、true および false の 2 つの値だけです。 デフォルトは falseです。
  • 以下は一般的な使用例です。
    java -Dcom.ibm.CORBA.Debug=true -Dcom.ibm.CORBA.Debug.Output=trace.log
    -Dcom.ibm.CORBA.Debug.Component=DISPATCH
    -Dcom.ibm.CORBA.CommTrace=true <classname>
注: 提供されている例は、コマンド行に入力される単一行です。
rmic -iiopまたはrmic -idlの場合、以下の診断ツールを使用できます。
  • -J-Djavac.dump.stack=1: このツールは、すべての例外が確実にキャッチされるようにします。
  • -Xtrace: このツールは、解析ステップの進行状況をトレースします。
IBM® SDK を使用する場合は、標準環境変数 IBM_JAVA_OPTIONSを使用して、一時ネーム・サーバー (tnameserv) 用の CommTrace を取得できます。 サーバー SDK またはクライアント SDK への別個のコマンド・セッションでは、以下を使用できます。
export IBM_JAVA_OPTIONS=-Dcom.ibm.CORBA.CommTrace=true -Dcom.ibm.CORBA.Debug=true
または同等のプラットフォーム固有のコマンド。
注: サービス・リフレッシュ 5 フィックスパック 26 の変更点の始まり IBM_JAVA_OPTIONS 環境変数は非推奨になっており、 Eclipse OpenJ9 VM の将来のリリースから削除される予定です。 代わりに OPENJ9_JAVA_OPTIONS 環境変数を使用してください。 サービス・リフレッシュ 5 フィックスパック 26 の変更点の終わり
この環境変数の設定は、開始される各 Java™ プロセスに影響するため、この変数は慎重に使用してください。 あるいは、以下のように -J オプションを使用して、tnameserv ラッパーを介してプロパティーを渡すこともできます。
tnameserv -J-Dcom.ibm.CORBA.Debug=true