仮想ファイバー・チャネル

N_Port ID Virtualization (NPIV) を使用すると、複数の論理区画が同じ物理ファイバー・チャネル・アダプターを介して独立した物理ストレージにアクセスできるように、管理対象システムを構成できます。

ファイバー・チャネルを使用する標準的なストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) 内の物理ストレージにアクセスするために、物理ストレージが論理装置 (LUN) にマップされ、LUN は物理ファイバー・チャネル・アダプターのポートにマップされます。各物理ファイバー・チャネル・アダプター上の各物理ポートは、1 つの WWPN (ワールドワイド・ポート名) を使って識別されます。

NPIV は、ファイバー・チャネル・ネットワークのための標準テクノロジーで、複数の論理区画を 1 つの物理ファイバー・チャネル・アダプターの 1 つのポートに接続できるようにします。各論理区画は固有の WWPN によって識別されるため、各論理区画を SAN 上の独立した物理ストレージに接続することができます。

管理対象システムで NPIV を使用可能にするには、以下の手順を実行します。
  • クライアント論理区画に対して仮想リソースを提供する Virtual I/O Server 論理区画 (バージョン 2.1 以降) を作成します。
  • 物理ファイバー・チャネル・アダプター (NPIV をサポートする) を、Virtual I/O Server 論理区画に割り当てます。
  • クライアント論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターを、Virtual I/O Server 論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターに接続します。

仮想ファイバー・チャネル・アダプターは仮想アダプターの 1 つで、Virtual I/O Server論理区画を介したストレージ・エリア・ネットワークへのファイバー・チャネル接続をクライアント論理区画に提供します。 Virtual I/O Server論理区画は、Virtual I/O Server論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターと、 管理対象システム上の物理ファイバー・チャネル・アダプターとの間の接続を提供します。

次の図は、NPIV を使用するよう構成された管理対象システムを示しています。

NPIV を使用するよう構成された管理対象システムを示す図
図は、次の接続を示しています。
  • ストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) は、3 つの物理ストレージ装置を、管理対象システム上にある 1 つの物理ファイバー・チャネル・アダプターに接続します。 物理ファイバー・チャネル・アダプターは、Virtual I/O Serverに割り当てられて、NPIV をサポートします。
  • 物理ファイバー・チャネル・アダプターは、Virtual I/O Server 上の 3 つの仮想ファイバー・チャネル・アダプターに接続します。 Virtual I/O Server上の 3 つの仮想ファイバー・チャネル・アダプターはすべて、物理ファイバー・チャネル・アダプター上の同じ物理ポートに接続します。
  • Virtual I/O Server上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターはそれぞれ、クライアント論理区画上の 1 つの仮想ファイバー・チャネル・アダプターに接続されます。 各クライアント論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターはそれぞれ、1 対の固有の WWPN を受け取ります。クライアント論理区画は、1 つの WWPN を使用して、いつでも SAN にログインします。 もう 1 つの WWPN は、クライアント論理区画を別の管理対象システムに移動するときに使用されます。
  • この場合、クライアント論理区画 1 は物理ストレージ 1 にアクセスし、クライアント論理区画 2 は物理ストレージ 2 にアクセスし、クライアント論理区画 3 は物理ストレージ 3 にアクセスします。
IBM® i クライアント区画の場合、NPIV と接続された物理ストレージの LUN は、ストレージ固有のデバイス・ドライバーを必要とし、汎用仮想 SCSI デバイス・ドライバーを使用しません。 Virtual I/O Server は、クライアント論理区画がアクセスできる物理ストレージにアクセスすることができず、エミュレートしません。 Virtual I/O Server は、クライアント論理区画に、管理対象システム上の物理ファイバー・チャネル・アダプターへの接続を提供します。
注: Virtual I/O Server は、クライアント論理区画がアクセスできる物理ストレージにアクセスすることができず、エミュレートしません。
クライアント論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターと、Virtual I/O Server論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターとの間には、常に、1 対 1 の関係が成り立っています。 すなわち、クライアント論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターはそれぞれ、Virtual I/O Server論理区画上の仮想ファイバー・チャネル・アダプターにのみ接続する必要があり、Virtual I/O Server上の仮想ファイバー・チャネルはそれぞれ、クライアント論理区画上の 1 つの仮想ファイバー・チャネル・アダプターにのみ接続する必要があります。
注: 単一のクライアント論理区画の複数の仮想ファイバー・チャネル・アダプターを、複数の仮想サーバー・ファイバー・チャネル・アダプターを介して同じ物理ファイバー・チャネル・アダプターにマッピングすることは、推奨されません。

SAN のツールを使用すると、 クライアント論理区画の仮想ファイバー・チャネル・アダプターに割り当てられている WWPN を含む LUN のゾーンとマスクを行うことができます。 SAN は、物理ポートに割り当てられている WWPN を使用するのと同じ方法で、 クライアント論理区画の仮想ファイバー・チャネル・アダプターに割り当てられている WWPN を使用します。

VFC アダプターを構成するクライアント論理区画では、以下のオペレーティング・システム (OS) レベルがサポートされます。
表 1. VFC アダプターを構成するクライアント論理区画で使用可能な OS レベル
オペレーティング・システム サポートされるバージョン
AIX® バージョン 5.3 Technology Level 9

バージョン 6.1 Technology Level 2 以降

IBM® i バージョン 6.1.1 以降
SUSE Linux Enterprise Server バージョン 10 Service Pack 3 以降

バージョン 11 以降

Red Hat Enterprise Server バージョン 5.4 以降

バージョン 6 以降