前バージョンの IBM HTTP Server からのマイグレーション

このセクションでは、以前のバージョンの IBM® HTTP Serverからのアップグレードについて説明します。

このタスクの概要

IBM HTTP Server は、最新バージョンを別のディレクトリーにインストールすると、以前のバージョンと共存できます。 また、旧バージョンの IBM HTTP Server をアップグレードすることもできます。これを行うには、旧バージョンの IBM HTTP Server があるディレクトリーに最新バージョンをインストールします。 新しい IBM HTTP Server バージョンの同じシステム上で同じインストール・パスを使用すると、 WebSphere® Application Server Web サーバー定義の妥当性は保持されますが、Windows サーバーの場合は例外です。Windows サーバーの場合は、サーバー定義でサービス名を新しいバージョンで使用するサービス名に変更する必要があります。

以前のメジャー・リリースより前の IBM HTTP Server からマイグレーションする場合は、 IBM HTTP Server の暫定バージョンの製品資料を参照し、マイグレーション情報を確認してください。 追加の手順を完了する必要が生じる場合もあります。

現在のインストール・パスを保持し、以前のリリースの httpd.conf ファイルから開始する代替手順については、 IBM HTTP Server 8.5 構成の 9.0 へのマイグレーションを参照してください。

手順

  1. 前のインストール済み環境から IBM HTTP Server をアップグレードします。

    IBM HTTP Server を前のバージョンからアップグレードする場合は、以下のステップを実行して、前のバージョンと同じディレクトリー・ロケーションに新しいバージョンをインストールします。 新しいバージョンを別のディレクトリーにインストールする場合は、ステップ 1 から 4 を実行する必要はありません。 残りのステップを完了する必要があるかどうかは、現行構成を IBM HTTP Serverの前のバージョンの構成とどの程度類似しているかによって異なります。

    1. IBM HTTP Server および IBM HTTP Server 管理サーバーを停止します。
    2. 既存のインストール・ディレクトリーを新しいロケーションにコピーします。

      このアクションによって、構成、鍵、およびコンテンツが保存されます。

      以下のコマンドを実行して、前のインストール済み環境をコピーします。

      [Linux][AIX][HP-UX][Solaris]
      cp -rp current_install_directory new_directory_name 
      [Windows]
      xcopy current_install_directory new_directory_name /s /e /k /i 
    3. 以前のバージョンの IBM HTTP Server をアンインストールします。
    4. 前のインストール・ディレクトリーを削除します。

      アンインストールを実行しても一部のファイル (例えば、変更されたファイルと追加されたファイル、フィックスパック・ファイル、アンインストール・ファイルなど) は残るので、アンインストール・プロセスを完了するには、前のインストール・ディレクトリーを手動で削除する必要があります。 アンインストールで問題が発生した場合は、続行する前に、 http_server_install/logs/uninstall ディレクトリーにあるアンインストール・ログ・ファイルを確認し、バックアップを作成してください。

      インストール・ディレクトリーを削除するには、以下のコマンドを実行します。

      [Linux][AIX][HP-UX][Solaris]
      rm -r  current_install_directory  
      [Windows]
      rd /s current_install_directory
    5. IBM HTTP Server をインストールする。

      既存のバージョンをアップグレードする場合は、前のインストール済み環境が存在したディレクトリーにインストールします。

      新しいバージョンを既存のバージョンと併存させる場合は、 新しいバージョンを別のディレクトリーにインストールします。

    6. プラグイン構成ツール (pct ツール) を実行して、Web サーバー・プラグインを構成します。 pct ツールの実行に関する情報については、「pct ツールを使用した Web サーバー・プラグインの構成」トピックを参照してください。
  2. 前のバージョンの IBM HTTP Server、および IBM HTTP Server 管理サーバーに対して行ったカスタム構成を復元します。 構成ファイルをマイグレーションするための代替手順については、 前のリリースからの IBM HTTP Server 構成ファイルのマイグレーションを参照してください。
    • 前のカスタマイズの内容を特定します。

      以前のバージョンの IBM HTTP Server で提供されていた httpd.conf 構成ファイルを構成ファイルの開始点として使用した場合は、各構成ファイルの内容を、以前の IBM HTTP Server インストール済み環境が含まれているディレクトリー内の対応する .default ファイルと比較します。 例えば、httpd.conf ファイルの内容を httpd.conf.default ファイルと比較する場合には、最初のインストール以降に httpd.conf ファイルに対して行われたカスタマイズをすべて確認してください。 その後、他の構成ファイルについても同様の比較を実行します。

      以前のバージョンの IBM HTTP Server で提供されていた httpd.conf 構成ファイルを構成ファイルの開始点として使用しなかった場合は、以前の設定を判別するために、さらに手動で分析を行う必要があります。 このシナリオでは、新しい IBM HTTP Serverで提供されている httpd.conf.default ファイルの設定を、前の IBM HTTP Server バージョンで提供されている httpd.conf.default ファイルの設定と比較することができます。 この比較によって、2 つの httpd.conf.default ファイルにおける構成の相違点を識別することが可能になります。 その後、この情報を使用して、現在の IBM HTTP Serverで動作するようにカスタマイズした構成ファイルを変更できます。

      bin/envars ファイルを、前の IBM HTTP Server インストール済み環境が含まれているディレクトリー内の bin/envars-std ファイルと比較します。 これにより、このファイルがカスタマイズされている場合は、それを識別できます。

    • このカスタマイズを、新しくインストールされた IBM HTTP Server の構成ファイル、および envars ファイルにマージします。

      以前のバージョンの IBM HTTP Serverに対して行った構成のカスタマイズを確認した後、現在の IBM HTTP Serverの構成ファイルに対しても同じ変更を行います (該当する場合)。

  3. HTML コンテンツを復元します。
    Web ページのコンテンツが、すでに IBM HTTP Server のインストール・ディレクトリー下に格納されている場合は、それらのコンテンツ・ファイルを、IBM HTTP Server の旧バージョンが含まれているディレクトリーから新しいバージョンのインストール・ディレクトリーにコピーします。
  4. 以前の IBM HTTP Server のインストール・ディレクトリ内にある可能性のあるSSL KeyFiles, を、新しいインストール・ディレクトリにコピーします。
  5. 共存する IBM HTTP Server に対するポートの割り当てを変更します。

    IBM HTTP Server の前のバージョンはそのまま保持し、新しいディレクトリーに IBM HTTP Server をインストールした場合、デフォルトでは、管理サーバーと Web サーバーは、前のバージョンの管理サーバーと Web サーバーが使用していたのと同じポートを使用します。 両方のバージョンの IBM HTTP Server を同時に実行すると、 どちらかのサーバー・バージョンのポート番号を変更しない限り、ポートの競合が発生します。

    どちらかの IBM HTTP Server のポート番号を変更するには、 変更する IBM HTTP Server のサーバー構成ファイルを編集します。 これらのファイルは、 http_server_install/conf ディレクトリーにあります。

  6. Apache プラグイン・モジュールをアップグレードします。

    IBM HTTP Server 9.0 で使用されるすべての Apache モジュールは、 Apache 2.4 API 用にビルドする必要があります。そうしないと、ロードに失敗します。

    • WebSphere Application Server は、 Apache 2.4 および IBM HTTP Server用の新しいプラグインを提供します。
    • サード・パーティー・ベンダーのモジュールを使用する場合には、Apache 2.4 API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) で動作するモジュールのバージョンをそのベンダーに問い合わせてください。
    • 社内で開発したモジュールを使用する場合は、Apache 2.4 をサポートするようにそのモジュールを再ビルドする必要があります。 また、そのモジュールには変更が必要になる場合もあります。
  7. IBM HTTP Server サービス名を更新します。
    以下の条件が該当する場合は、 WebSphere Application Server Web サーバー定義内の IBM HTTP Server サービス名を更新します。
    • Windows サーバーを使用している
    • 以前のバージョンが置かれていたディレクトリーと同じディレクトリーに IBM HTTP Server をインストールした
    • その前のインストール済み環境の Web サーバー定義を使用している

    Windows サーバー・システム上の IBM HTTP Server の場合、「サービス」を使用して新しい IBM HTTP Server サービスに使用される名前を判別してから、このサービス名を使用するように Web サーバー定義を更新します。