統合サーバーの IBM i 記憶域管理

統合サーバーは、IBM® i によって管理される仮想記憶域 (仮想ディスク) を使用します。

ここに記載されている IBM i 記憶域管理の概念に関する簡単な概要は、 x86 ベースのサーバーの記憶域管理に精通している管理者を対象としています。 デフラグなどの一部の技法は、統合サーバー環境では不要です。

統合サーバー オペレーティング・システムが実行されている場合、 IBM i ディスク容量の一部が使用されます。 このため、 統合サーバー 記憶域の管理には、 IBM i コンポーネント および 統合サーバー オペレーティング・システム・コンポーネントの両方があります。 IBM i コンポーネントは、記憶域のチャンクを作成して、統合サーバー にリンクするために使用します。 統合サーバー を使用すると、 スタンドアロン・サーバーで発生する一般的なディスク管理タスク (ディスク・ドライバー、アドレッシング、構成、 および保護) の多くが取り除かれます。

統合サーバー でのディスクのフォーマット設定および区分化などのディスク記憶域の管理作業は、 スタンドアロン・サーバーで行う場合とまったく同じ方法で実行できます。

IBM i とディスク・ドライブ

ディスク記憶域が 統合サーバーに割り振られる方法を理解する上で重要なことは、 IBM i 記憶域管理がどのように機能するかを理解することです。 IBM i の記憶域管理の中核を成すのは、単一レベル記憶域というテクノロジーです。単一レベル記憶域は、IBM i の卓越したディスク入出力パフォーマンスを提供するだけでなく、必要な管理作業量を大幅に減らす画期的な記憶域管理アーキテクチャーです。IBM i ディスク・ドライブを直接管理しません。このオペレーティング・システムでは、あるレベルのソフトウェア (ライセンス内部コード) がディスク・ドライブを隠し、それらのディスク・ドライブ上のオブジェクトの記憶域を管理します。 仮想アドレス領域が既存のディスク記憶域にマップされ、ディスク・ドライブ ID、シリンダー、およびセクターの代わりにオブジェクトのアドレス指定に使用されます。 必要なオブジェクトは、ディスク上のこのアドレス領域から、メイン・メモリーのアドレス領域に複写 (ページイン) されます。

単一レベル記憶域の主なフィーチャーは次のとおりです。

IBM i がディスク・データを管理するため、統合サーバー上では、 肥大化するデータベースの区分化、ディスクのデフラグ、 またはディスクのストライピングについて心配する必要はありません。 統合サーバーは、 デバイス・ドライバーを使用して IBM i のディスク・ドライブを共用します。 これらのデバイス・ドライバーは、IBM i 記憶域管理サブシステムとの間でディスク・データを送受信します。 ハード・ディスクの処理は IBM i 記憶域管理が行い、 統合サーバーのディスク・ドライブのイメージを複数のハード・ディスク・ドライブに分けて分散させたり、 RAID とファイルのミラーリング (構成されている場合) を適用したりします。 ディスク・デフラグ・ソフトウェアは、 ハード・ディスク・イメージの論理ファイル断片化を管理します。 IBM i 記憶域管理がこれらの作業を扱うため、 統合サーバー上でデフラグ・プログラムを実行するのが役立つのは、 主に「重要なファイル・システム構造」のデフラグが可能な場合です。

記憶域プール (ASP)

IBM i では、いくつかの物理ハード・ディスクが、ディスク・プール (または、 補助記憶域プール (ASP)) と呼ばれる 1 つの記憶域にまとめてプールされます。 ファイル・システムがスペースを使い尽くした場合、 記憶域プールに新規ハード・ディスクを追加することができます。 そうすれば、新しい記憶域がすぐに使用可能になります。 どのシステムにも、システム記憶域プールという記憶域プールが少なくとも 1 つあります。 システム記憶域プールは常に ASP 1 になります。 2 から 255 までの番号の追加ユーザー記憶域プールを構成できます。 記憶域プールを使用すると、 異なるディスク・グループにまたがって IBM i データを分散させることができます。 また、この概念を使用すると、重要度の低いアプリケーションやデータを、より旧式で処理速度が遅いディスク・ドライブに移動することもできます。 独立 ASP (33~255) のサポートは、IBM Navigator for i を使って実現します。 Information Center と IBM Navigator for i ではどちらも、ASP は記憶域プールまたはディスク・プールという名称になっています。

ディスクの保護

IBM i のディスクは、 以下の方法で保護できます。

保護のレベルをさらに強化するには、ミラーリングされたディスクを 2 つの異なるディスク・コントローラーに接続することができます。 どちらかのコントローラーとそのディスク・セットで障害が発生した場合は、もう一方のコントローラーでシステムを機能させることができます。 もっと大きな Power サーバー・モデルでは、複数のバスにコントローラーを接続することができます。ミラーリングされた対を形成する 2 つのディスク・コントローラーを 2 つの異なるバスにつなぐと、さらに可用性を高めることができます。

IBM i 上の記憶域プールは、さまざまな保護レベルを持つように、また保護がまったく行われないように定義することができます。こうすると、それぞれの使用に関する重要度に応じた保護を定義された記憶域プールにアプリケーションとデータを入れることができます。 IBM i のディスク保護および可用性オプションについて詳しくは、 システムの回復トピック・コレクションを参照してください。