BIND 9 の機能

BIND 9 は BIND 8 と類似していますが、ドメイン・ネーム・システム (DNS) サーバーのパフォーマンスを向上するための機能 (ビューなど)をいくつか提供しています。

単一の IBM i DNS サーバー上におけるビュー

view ステートメントを使用することにより、1 つの DNS インスタンスが照会元 (インターネットやイントラネットなど) ごとに異なる内容で照会に応答できます。

実際のビュー機能の 1 つの適用例として、複数の DNS サーバーを実行しなくても DNS のセットアップを分割できる点が挙げられます。 例えば、1 つの DNS サーバー内で、内部ネットワークからの照会に応答するためのビューを 1 つ定義し、同時に、外部ネットワークからの照会に応答するためのビューをもう 1 つ別に定義することが可能です。

新しいクライアント・コマンド

以下のクライアント・コマンドにより、DNS サーバーの管理機能が向上します。

動的更新ユーティリティー (NSUPDATE)
動的更新ユーティリティー (NSUPDATE) コマンドを使用して、Request for Comments (RFC) 2136 の定義に従って動的 DNS 更新要求を DNS サーバーに送信します。これにより、DNS サーバーの稼動中にリソース・レコードをゾーンに追加したり、ゾーンから除去したりすることができます。 このため、手動でゾーン・ファイルを編集してレコードを更新する必要はありません。 1 つの更新要求に複数のリソース・レコードを追加または除去するための要求を含めることはできますが、NSUPDATE コマンドによって動的に追加または除去されるリソース・レコードは同じゾーン内になければなりません。
注: NSUPDATE コマンドを使用して、または DHCP サーバー経由で動的制御の対象となっているゾーンは、手動で編集しないでください。手動で編集した内容は動的更新の内容と競合する可能性があり、データ喪失の原因となります。
DIG 照会開始 (DIG)
Domain Information Groper (DIG) は、ネーム・サーバー検索 (NSLOOKUP) コマンドより機能が強化された照会ツールです。このツールは DNS サーバーから情報を検索するとき、または DNS サーバーの応答とテストするときに使用できます。 NSLOOKUP コマンドは非推奨となっており、前のバージョンとの互換性確保のみを目的に提供されています。 DIG を使用すると、DNS サーバーを使用できるようにシステムを構成する前に、その DNS サーバーが正しく応答しているか確認できます。 また DIG を使用して、ホスト、ドメイン、およびその他の DNS サーバーに関する DNS 情報を検索することもできます。
Domain Information Groper ツールを開始するには、DIG 照会開始 (STRDIGQRY) コマンドかその別名 DIG を使用します。
HOST 照会開始 (HOST)
HOST 照会開始 (HOST) コマンドは、DNS 検索用に使用します。 このコマンドを使用して、ドメイン名を IP アドレス (IPv4 または IPv6) に変換し、またその逆の変換も行うことができます。

Remote Name Daemon Control (RNDC)

Remote Name Daemon Control (RNDC) コマンドは、システム管理者がネーム・サーバーの動作を制御できるようにする強力なユーティリティーです。 このコマンドは rndc.conf という構成ファイルを読み取って、ネーム・サーバーとの接続方法を決定し、どのアルゴリズムとキーを使用すべきかを判断します。 rndc.conf ファイルが見つからない場合、デフォルトによってインストール時に作成された rndc-key._KID ファイルが使用されます。このファイルはループバック・インターフェースを介して自動的にアクセスを許可します。

IPv6 のサポート

BIND 9 は IPv6 の現在定義されているすべての形式で、名前からアドレスおよびアドレスから名前への検索をサポートします。 順方向検索の場合、BIND 9 は AAAA と A6 の両方のレコードをサポートしますが、A6 レコードは非推奨となっています。 IPv6 逆検索では ip6.arpa ドメインで使用されている従来の「ニブル」フォーマットをサポートし、古い、非推奨の ip6.int ドメインもサポートします。

ジャーナル・ファイル

ジャーナル・ファイルはゾーンの動的更新を保持するために使用します。 このファイルは、クライアントから最初に動的更新を受け取ると自動的に作成され、消去されることはありません。 これはバイナリー・ファイルであり、編集してはなりません。

ジャーナル・ファイルがあると、シャットダウンや異常終了後に再始動されたサーバーはジャーナル・ファイルを再生して、最後のゾーン・ダンプ以降に行われたすべての更新をそのゾーンに取り込みます。 ジャーナル・ファイルは、増分ゾーン転送 (IXFR) 方式で行われた更新の保管用にも使用されます。

IBM® i用 DNS は BIND 9 を使用するように再設計されています。ご使用のシステムで BIND 9 DNS を実行するには、そのシステムが一定のソフトウェア要件を満たしていることが必要です。