IBM Edge Application Manager の概要
このセクションでは、IBM Edge Application Manager (IEAM) について説明します。
IEAM の機能
IBM Edge Application Manager (IEAM) は、管理ハブ・クラスターから OpenShift Container Platform またはその他の Kubernetes ベースのクラスターのリモート・インスタンスへのワークロードのデプロイと管理に役立つ、エッジ・コンピューティング機能を提供します。
アーキテクチャー
エッジ・コンピューティングの目的は、ハイブリッド・クラウド・コンピューティング用に作成された分野を利用して、エッジ・コンピューティング設備のリモート・オペレーションをサポートすることです。 IEAM はその目的のために設計されています。
IEAM の標準的なデプロイメントには、ハブ・クラスター・データ・センターにインストールされている OpenShift Container Platform のインスタンスが含まれています。 ハブ・クラスターは、すべてのリモート・エッジ・クラスターの管理が行われる場所です。
これらのエッジ・クラスターをリモートのオンプレミス・ロケーションにインストールすることで、工場、倉庫、小売店、流通センターなど、重要なビジネス・オペレーションが物理的に実施される場所にアプリケーション・ワークロードをローカルに配置できます。
次の図は、標準的なエッジ・コンピューティング・セットアップのトポロジーの概要を示しています。
概念
エッジ・コンピューティング: 従来のデータ・センターとクラウド・データ・センターの外部で利用可能なコンピュートを活用する分散型コンピューティング・モデル。 エッジ・コンピューティング・モデルでは、関連データが作成される場所、またそのデータ分析に応じて処置が実行される場所の近くにワークロードを配置します。 データとワークロードをエッジ・デバイスに配置すると、待ち時間の短縮、ネットワーク帯域幅の要求の低減、機密情報のプライバシーの向上、ネットワーク障害中の操作の有効化が実現します。
エッジ・デバイス: 意味のある作業を実行でき、データを収集または生成することができる、統合されたコンピュート能力を持つ機器 (工場現場の組み立て機械、ATM、インテリジェント・カメラ、または自動車など)。
エッジ・ゲートウェイ: プロトコル変換、ネットワーク終了、トンネリング、ファイアウォール保護、またはワイヤレス接続などのネットワーク機能を実行するサービスを持つエッジ・クラスター。 エッジ・ゲートウェイは、エッジ・デバイスやエッジ・クラスターと、クラウドや大規模なネットワークとの間の接続点として機能します。
エッジ・ノード: エッジ・コンピューティングが行われるエッジ・デバイス、エッジ・クラスター、またはエッジ・ゲートウェイ。
エッジ・クラスター: エンタープライズ・アプリケーションのワークロードおよび共有サービスを実行する、リモート・オペレーション・ファシリティー内のコンピューター。 エッジ・クラスターは、エッジ・デバイスに接続したり、別のエッジ・クラスターに接続したり、あるいはクラウドまたは大規模なネットワークに接続するためのエッジ・ゲートウェイとして機能したりするように使用できます。
エッジ・サービス: エッジ・クラスター、エッジ・ゲートウェイ、またはエッジ・デバイス上にデプロイするように特別に設計されたサービス。 視覚認識、音響分析、および音声認識はいずれも考えられるエッジ・サービスの例です。
エッジ・ワークロード: エッジ・ノード上で実行されるときに意味のある作業を行うすべてのサービス、マイクロサービス、またはソフトウェア。
パブリック・ネットワーク、プライベート・ネットワーク、およびコンテンツ配信ネットワークは、単純なパイプから、エッジ・ネットワーク・クラウドを形成する、アプリケーション用のより高価値なホスティング環境へと変化しています。 IEAM の典型的なユース・ケースには次のものがあります。
- エッジ・ノードのデプロイメント
- エッジ・ノードの計算演算能力
- エッジ・ノードのサポートおよび最適化
IEAM は、複数のベンダーのクラウド・プラットフォームを、オンプレミスからエッジにわたって、一貫性のあるダッシュボードに統合します。 IEAM は、ワークロードの分散と管理を、エッジ・ネットワークを超えて、エッジ・ゲートウェイやエッジ・デバイスで行えるようにする自然な拡張です。 また、IEAM は、エッジ・コンポーネントのあるエンタープライズ・アプリケーション、プライベート・クラウドおよびハイブリッド・クラウドの環境、およびパブリック・クラウドからのワークロードを把握します。これらの場所では、分散 AI が重要なデータ・ソースに到達するための新しい実行環境を IEAM が提供します。
さらに、IEAM では、ディープ・ラーニング、ビジュアル認識、音声認識、および映像と音響の分析を促進する AI ツールが提供され、あらゆる解像度とほとんどの形式の映像および音声会話サービスおよびディスカバリーに対する推論が可能になります。
IEAM のリスクと解決
IEAM は、固有の機会を実現しますが、課題もあります。 例えば、クラウド・データ・センターの物理境界を大きく超えるため、セキュリティー、アドレス可能度、管理、所有権、およびコンプライアンスの問題が生じる可能性があります。 さらに重要なのは、クラウド・ベースの管理技法におけるスケーリングの問題が増加することです。
エッジ・ネットワークでは、計算ノードの数が 1 桁増加します。 エッジ・ゲートウェイにより、その数はさらに 1 桁増加します。 エッジ・デバイスにより、その数はさらに 3 から 4 桁増加します。 ハイパー・スケールのクラウド・インフラストラクチャーの管理において DevOps (継続的デリバリーおよび継続的デプロイメント) が重要であるように、IEAM が実現する膨大な規模の管理においては、zero-ops (人の介入なしの運用) が重要となります。
エッジ・コンピュート・スペースのデプロイメント、更新、モニター、およびリカバリーは人の介入なしで行うことが重要です。 これらのすべてのアクティビティーおよびプロセスは以下である必要があります。
- 完全に自動化されている
- 作業の割り振りについて独立して決定を行うことができる
- 介入なしで、変化する条件を認識して復旧することができる
これらすべてのアクティビティーは、セキュアであり、トレース可能で、防御できる必要があります。
次の作業
IEAM の使用およびエッジ・サービスの開発について詳しくは、IBM Edge Application Manager (IEAM) ウェルカム・ページにリストされているトピックを参照してください。