IBM Easy Tier
Easy Tier® は、無料で提供されるオプション・フィーチャーです。頻繁にアクセスするデータを必ず高速なストレージに保管することによって、 システムのパフォーマンスを著しく向上できます。その機能には、プロビジョニング容量手動再バランス、 単一 Tier および複数 Tier の両方のプールでの自動パフォーマンス再バランス、ホット・スポット管理、ランクの移植解除、手動ボリューム・マイグレーション、およびシン・プロビジョニング・サポート (ESE ボリュームのみ) があります。Easy Tier は、データ・アクセス要件に基づいて適切なストレージ層を判別したうえで、サブボリューム・レベルまたはサブ LUN レベルで、稼働中に自動的にデータをストレージ・システム上の適切な Tier に移動します。
自動パフォーマンス・モニター・アルゴリズムを使用してストレージ・システム内の適切なドライブ層にデータを動的に移動するには、Easy Tier を使用します。 このフィーチャーを使用して、フラッシュ・ドライブ の効率およびストレージ・システム内のすべての Tier の効率を高めることができます。
Easy Tier のフィーチャーは、DS8900F 内の 3 つのストレージ層の間で使用できます。
Easy Tier フィーチャーは、システム・ヘルス、ストレージ・パフォーマンス、およびストレージ容量の効率的な自動管理に役立ちます。 Easy Tier は、システム構成とワークロードの分析をウォーム・デモーションと一緒に使用して、全体的に効果的なシステム・ヘルスを実現します。 同時に、コールド・デモーションが容量対策として機能する一方、データ・プロモーションと自動再バランスがパフォーマンスの問題に対処します。
Easy Tier データはローカル・ストレージ内、またはピア・サーバー内のストレージに維持され、フェイルオーバー、コールド・スタート、または Easy Tier の再始動時に Easy Tier 構成が使用できるようになります。
Easy Tier アプリケーションを使用すると、論理ボリュームを特定の層に割り当てることもできます。このフィーチャーは、 アクセス頻度が低い特定のデータの可用性を、常に高くしておく必要がある場合に便利です。
- Easy Tier Application for IBM® Z は、アプリケーションからストレージへのデータ配置の管理に関する包括的なポリシー・サポートを提供します。
- Easy Tier アプリケーションではワークロード学習に対する制御が行われます。また、データ・マイグレーションによって、プール・レベルおよびボリューム・レベルの精密な Easy Tier 制御が行われるとともに、ボリュームを Tier に割り当てることができるというボリューム・レベルの Tier 割り当ても行われます。
Easy Tier Heat Map Transfer ユーティリティーは、Easy Tier 1 次ストレージのワークロード学習結果を 2 次ストレージ・サイトに複製し、すべてのストレージ・システム間でパフォーマンス特性を同期します。 データ・リカバリーを行う場合に、ストレージ・システムのパフォーマンスが犠牲になることはありません。
Easy Tier を使用すると、シン・プロビジョニング・ボリュームを管理できます。新規エクステントの初期割り振りがプール内でパフォーマンスが最も高い Tier に設定されている場合、シン・プロビジョニング・ボリュームのサイズが大きくなると、Easy Tier は、それらの新規エクステントに配置されているデータを引き続きパフォーマンスが最も高い Tier に残しておくか、Capacity Tier にデモートするかを自動的に判別します。
追加フィーチャーによって、Easy Tier を手動処理でシン・プロビジョニングに使用することが可能になります。ランクの移植解除は、ESE (エクステント・スペース節約) ボリュームが割り振られているか補助ボリュームを持つランクでサポートされます。
- ドライブ・クラス
- 以下のドライブ・クラスを使用できます。パフォーマンスの高いものから並んでいます。1 つのプールに含められるドライブ・クラスは 3 つまでです。
- Flash Tier 0 ドライブ
- パフォーマンスがもっとも高いドライブ。入出力スループットが高くなり、待ち時間が短くなります。
- Flash Tier 1 ドライブ
- 大容量ドライブの第 1 Tier。
- Flash Tier 2 ドライブ
- The second tier of high capacity drives大容量ドライブの第 2 Tier。
- 3 つの Tier
- 3 つの Tier (それぞれが個別のドライブ・クラスを示します) と効率的なアルゴリズムを使用することで、
システム・パフォーマンスと費用対効果が向上します。
3 つの Tier は、以下の 4 つのドライブ・クラスから選択できます。同じ Tier 内にあるドライブは、単一 Tier のものでなければなりません。
次の表はドライブ・クラスに対して割り当て可能な Tier をリストしたものです。 Tier は以下の値に従ってリストされています。- 0
- ホット・データ Tier。ほとんどのアクティブ・データが含まれています。この Tier は、新しいデータを割り振るためのホーム Tier としても機能する場合があります。
- 1
- 中間データ Tier。他の 1 つまたは両方の Tier と結合することができ、それらの Tier に移動されないデータが含まれます。デフォルトでは、この Tier が新しいデータを割り振るためのホーム Tier です。
- 2
- コールド・データ Tier。もっともアクティブではないデータが含まれています。
表 1. 最も高いパフォーマンス・ドライブ・クラスとして Flash Tier 0 ドライブを持つシステムのドライブ・クラス組み合わせおよび Tier ドライブ・クラス ドライブ・クラスの組み合わせ Flash Tier 0 Flash Tier 0 + Flash Tier 1 Flash Tier 0 + Flash Tier 2 Flash Tier 0 + Flash Tier 1 + Flash Tier 2 Flash Tier 0 0 0 0 0 Flash Tier 1 1 1 Flash Tier 2 1 2 表 2. 最も高いパフォーマンス・ドライブ・クラスとして Flash Tier 1 ドライブを持つシステムのドライブ・クラス組み合わせおよび Tier ドライブ・クラス ドライブ・クラスの組み合わせ Flash Tier 1 Flash Tier 1 + Flash Tier 2 Flash Tier 1 0 0 Flash Tier 2 1 - コールド・デモーション
- パフォーマンスのより高い Tier に保管されているコールド・データ (またはエクステント) が、より適切な Tier にデモートされます。 コールド・デモーションは、Tier 2 と Tier 3 の両方のプールで行われます。 順次帯域幅は、Tier を効率的に使用するために、より低い Tier へ移動します。
- ウォーム・デモーション
- より大きな帯域幅を持つアクティブ・データが次の下位の Tier にデモートします。 ウォーム・デモーションは、 上位の Tier がその帯域幅の容量を超えると常にトリガーされます。 選択されたウォーム・エクステントがデモートされ、上位の Tier が最適なロード量で稼働できるようにします。 ウォーム・デモートは、事前定義されたスケジュールに従って行われるわけではありません。
- ウォーム・プロモーション
- より高い IOPS を持つアクティブ・データが、次の上位の Tier にプロモートします。 ウォーム・プロモーションは、 下位の Tier がその IOPS 容量を超えると常にトリガーされます。選択されたウォーム・エクステントがプロモートされ、 下位の Tier が最適なロード量で稼働できるようにします。ウォーム・プロモートは事前定義されたスケジュールに従って行われるわけではありません。
- 手動によるボリュームまたはプールの再バランス
- ボリュームの再バランスにより、ボリュームの最少数のエクステントを再配置し、エクステント・プールのすべての使用可能ランクでそれらのエクステントを再ストライピングします。
- 自動再バランス
- システム・パフォーマンスとリソース使用量を改善するために、同じ Storage Tier にあるワークロードのバランスを取ります。自動再バランスは、単一 Tier と複数 Tier の両方のプールで行われます。
- ランクの移植解除
- エクステント・マイグレーションを使用して、指定されたランクからプール内の別のランクにエクステントを移動することにより、エクステント (データ) が割り振られているランクをエクステント・プールから割り当て解除できるようにします。
Easy Tier は、Easy Tier ・フィーチャーが活動化されているかどうかに関係なく、パフォーマンス・モニター機能を提供します。 Easy Tier は、モニター・プロセスを使用して自動モードの使用時に移動するデータおよび移動する時期を判別します。 モニターを単独で (Easy Tier ・フィーチャーを使用して、または使用せずに) 使用可能に設定して、自動モードが使用可能に設定された場合に予期できる動作と利点に関する情報を得ることができます。
モニター・プロセスによるデータは、 ご使用のローカル・システムにダウンロードできる要約レポートに含まれています。