db2support コマンドを使用した環境情報の収集

Db2® の問題に関する情報を収集する場合、実行する必要がある最も重要な Db2 ユーティリティーは db2supportです。 db2support コマンドは、Db2 とシステムのあらゆる診断情報を自動的に収集します。 さらに、オプションとして、問題の状況について問い合わせる「質問と回答」形式の対話も可能です。

このタスクについて

db2support ユーティリティーを使用すると、 GET DATABASE CONFIGURATION FOR database-name または LIST TABLESPACES SHOW DETAILなどのコマンドを手動で入力する必要がないため、ユーザー・エラーの可能性を回避できます。 さらに、どの特定のコマンドを実行するか、どのファイルを収集するかを指示する必要がないため、データの収集をより短時間で行うことができます。
注: 特定の Db2 インスタンスに対してテキスト検索が構成され、データベースに対して有効になっている場合、対応する診断詳細が収集されます。

プロシージャー

  • コマンド db2support -h を実行して、コマンド・オプションの完全なリストを表示します。
  • 適切な db2support コマンドを使用してデータを収集します。

    エラーなしで必要なすべての情報を収集するためには、SYSADM 権限を持つユーザー (インスタンス所有者など) として db2support ユーティリティーを実行します。 SYSADM 権限を持たずにこのコマンドを実行した場合、QUERY CLIENTLIST ACTIVE DATABASES といったコマンドが実行される結果として、SQL エラー (例えば SQL1092N) が発生するかもしれません。

    db2support コマンドを使用して IBM ソフトウェア・サポートの情報を収集するには、システムで問題が発生している間に db2support コマンドを実行します。 そのようにして、ツールはタイムリーな情報 (オペレーティング・システムのパフォーマンスの詳細など) を収集します。 問題発生時にユーティリティーを実行できない場合でも、First Occurrence Data Capture (FODC) 診断ファイルが自動的に生成されるので、問題が停止した後に db2support コマンドを実行できます。

    FODC パッケージの保管先のディレクトリー・パスが、デフォルトの診断パスではなく、FODCPATH 設定で指定されているパスでもない場合は、db2support コマンドに -fodcpath パラメーターを指定して FODC パスを指示し、db2support.zip ファイルに FODC パッケージを組み込めるようにします。

    以下の基本的な呼び出しは、問題のデバッグに必要なほとんどの情報を収集するために通常十分です。 -fodcpath パラメーターを指定した FODC パッケージへのパスを含める必要がある場合を除きます。

    db2support <output path> -d <database name>
    db2support ツールは、 Db2 pureScale® コンポーネントに固有のほとんどの診断データをデフォルトで収集します。 -purescale-cm-cfs、または -udapl パラメーターを指定した場合、 db2support コマンドは追加の診断データを収集します。これは、スペースを大量に消費するか、収集に時間がかかるものですが、 Db2 pureScale 環境で問題の原因をより迅速に判別するのに役立ちます。
    注: -udapl パラメーターは推奨されません。代わりに -purescale パラメーターを使用することをお勧めします。

    出力は適切に編成されて ZIP アーカイブ db2support.zip に圧縮されるため、任意のシステムに転送して簡単に解凍することができます。

結果

db2support がどのような情報をキャプチャーするかは、コマンドを呼び出す方法、データベース・マネージャーが開始済みかどうか、およびデータベースに接続できるかどうかによって異なります。

すべての状況において、db2support ユーティリティーは以下の情報を収集します。
  • db2diag ログ・ファイル
  • すべてのトラップ・ファイル
  • ロック・リスト・ファイル
  • ダンプ・ファイル
  • さまざまなシステム関連ファイル
  • さまざまなシステム・コマンドからの出力
  • db2cli.ini
  • db2dsdriver.cfg
さらに、状況に応じて、db2support ユーティリティーは以下の情報も収集することがあります。
  • アクティブ・ログ・ファイル
  • バッファー・プールと表スペース (SQLSPCS.1SQLSPCS.2) の制御ファイル (-d オプションを使用した場合)
  • db2dump ディレクトリーの内容
  • より詳しいシステム情報 (-s オプションを使用した場合)
  • データベース構成の設定値 (-d オプションを使用した場合)
  • データベース・マネージャーの構成設定ファイル
  • First Occurrence Data Capture (FODC) 情報 (-fodc オプションと -fodcpath オプションを使用した場合)
  • ログ・ファイルのヘッダー・ファイル (-d オプションを使用した場合)
  • リカバリー履歴ファイル (-d オプションを使用した場合)
  • SYSIBM.SYSTABLES システム・カタログ表、SYSIBM.SYSINDEXES システム・カタログ表、および SYSIBM.SYSDATAPARTITIONS システム・カタログ表のフォーマット済みデータ (-d オプションを指定されており、データベースが活動化されておらず、かつ db2support コマンドがオプティマイザー・モードではない場合)
  • オプティマイザー・モードでのワークロード・マネージャー (WLM) 関連情報 (-wlm オプションを使用した場合)
  • 指定されたシステム・ユーザー情報 (-su オプションを使用した場合)
  • 指定されたシステム・グループ情報 (-sg オプションを使用した場合)
  • テキスト検索サーバー (db2tss) の構成とロギング情報、およびカタログ・ビューの内容 (SYSIBMTS スキーマの下)
db2support ユーティリティーは、 Db2 pureScale 環境で以下の情報を収集します。
  • Db2 pureScale コンポーネント (クラスター・マネージャー、クラスター・ファイル・システム、 RDMA など) の診断データ
  • クラスター・マネージャーの追加の診断データ (-cm オプションを使用)
  • クラスター・ファイル・システムの追加の診断データ (-cfs オプションを使用)
  • uDAPL の追加の診断データ (-udapl オプションを使用)
    注: -udapl パラメーターは推奨されません。
  • 追加の Db2 診断データ (-purescale オプションを使用)
HTML 形式のレポート db2support.html には、常に以下の情報が含まれます。
  • 問題記録 (PMR) 番号 (-n を指定した場合)
  • オペレーティング・システムおよびレベル (例えば、 AIX® 5.1)
  • Db2 リリース情報
  • 32 ビット環境かそれとも 64 ビット環境かの標識
  • Db2 インストール・パス情報
  • db2nodes.cfgの内容
  • プロセッサーの数、ディスクの数、メモリー容量
  • インスタンスにあるデータベースのリスト
  • レジストリー情報と環境 (PATH および LIBPATH を含む)
  • UNIX の場合、現行ファイル・システムおよび i ノードのディスク・フリー・スペース
  • Java™ SDK レベル
  • Java JCC バージョン
  • Java JCC 構成
  • データベース・マネージャー構成
  • sqllib ディレクトリーの ls -lR 出力 (または Windows の同等の出力)
  • LIST NODE DIRECTORY コマンドの結果
  • LIST ADMIN NODE DIRECTORY コマンドの結果
  • LIST DCS DIRECTORY コマンドの結果
  • LIST DCS APPLICATIONS EXTENDED コマンドの結果
  • db2prereqcheck コマンドの結果
  • すべてのインストール済みソフトウェアのリスト
  • Db2 ライセンス情報
  • Db2 準拠レポート
  • 監査構成情報
  • CLI 構成情報
  • 問題判別の設定値
  • db2trc コマンドの状況
  • ログ・ディレクトリーのリスト表示
Db2 データベース・マネージャーが開始されている場合、 db2support.html ファイルには以下の追加情報が含まれます。
  • クライアント接続状態
  • データベース構成とデータベース・マネージャー構成 (データベース構成を含めるには -d オプションが必要です)
  • アプリケーション・スナップショット
  • メモリー・プールの情報 (サイズと使用量)。 -d オプションを使用すると、詳細なデータが収集されます。
  • LIST ACTIVE DATABASES コマンドの結果
  • LIST DCS APPLICATIONS コマンドの結果
データベースへの接続が正常に確立されたとき、db2support.html ファイルに次の情報が含まれます。
  • ユーザー表の数
  • データベース・データのおおよそのサイズ
  • データベース・スナップショット
  • アプリケーション・スナップショット
  • バッファー・プール情報
  • LIST APPLICATIONS コマンドの結果
  • LIST COMMAND OPTIONS コマンドの結果
  • LIST DATABASE DIRECTORY コマンドの結果
  • LIST INDOUBT TRANSACTIONS コマンドの結果
  • LIST DATABASE PARTITION GROUPS コマンドの結果
  • LIST DBPARTITIONNUMS コマンドの結果
  • LIST ODBC DATA SOURCES コマンドの結果
  • LIST PACKAGES/TABLES コマンドの結果
  • LIST TABLESPACE CONTAINERS コマンドの結果
  • LIST TABLESPACES コマンドの結果
  • LIST DRDA IN DOUBT TRANSACTIONS コマンドの結果
  • Db2 ワークロード・マネージャー情報
  • データベース・リカバリー履歴ファイルのリスト
  • オプティマイザーのデータベース構成
  • データベース構成
  • ノード・グループ情報
  • ストレージ・グループ情報
  • ストリング ID の数
  • 表のリスト

db2support.html ファイルが db2support パッケージの最上位に含まれており、db2support コマンドによって収集される診断データを素早く検索できます。 この HTML ファイルには、db2support.html ファイルで収集されたデータのリンクが含まれます。リンクの参照先となる対応するフラット・ファイルは、db2support パッケージのサブディレクトリーにあります。 db2support.map という名前の、マップ・ファイルのプレーン・テキスト・バージョンのファイルも、db2support パッケージに含まれています。

db2support.zip ファイルの内容の例

-unzip パラメーターを指定した db2support コマンドを使用すると、 db2support.zip ファイルの内容をローカルに抽出できます。オプションで、内容の抽出先のディレクトリー・パスを指定できます。 -unzip オプションを使用して、追加のソフトウェアを必要とせずに、アーカイブされた診断データの内容を抽出することもできます。 実際の内容を抽出せず、db2support.zip ファイルに組み込まれているファイルを確認するだけの場合は、代わりに -unzip list パラメーターと db2support コマンドを併用できます。

db2support.zip ファイルの内容の例の場合、以下のコマンドが実行されました。
db2support . -d sample -c -f -st "select * from staff"
db2support.zip ファイルが解凍される際、以下のファイルとディレクトリーが収集されました。
  • DB2CONFIG/ -構成情報 (例えば、データベース、データベース・マネージャー、BP、CLI、および Java Developer Kit など)
  • DB2DUMP/ - db2diag ログ・ファイルのここ 3 日間の内容
  • DB2MISC/ - sqllib ディレクトリーのリスト
  • DB2SNAP/ - Db2 コマンド (例えば、db2setLIST TABLESLIST INDOUBT TRANSACTIONS、および LIST APPLICATIONS) の出力
  • PURESCALE/- Db2 pureScale コンポーネント (クラスター・マネージャー、クラスター・ファイル・システム、 RDMA など) の診断情報
  • db2supp_opt.zip - オプティマイザー問題の診断情報
  • db2supp_system.zip - オペレーティング・システム情報
  • db2support.html - HTML フォーマットでリストされた db2support.zip ファイルの各サブディレクトリーで収集されたフラット・ファイルへのマップ、および HTML セクションにフォーマットされた診断情報
  • db2support.log - db2support 収集の診断ログ情報
  • db2support_options.in - db2support 収集を開始するために使用されるコマンド行のオプション
  • db2support.map - プレーン・テキスト・フォーマットでリストされた db2support.zip ファイルの各サブディレクトリーで収集されたフラット・ファイルへのマップ
  • DB2TSS/ -テキスト検索サーバーの構成とロギング情報および SYSIBMTS カタログ・ビューの内容
オプティマイザーに関する情報は、db2supp_opt.zip ファイル内にあります。 このファイルの解凍は、以下のディレクトリーにあります。
  • OPTIMIZER/ - オプティマイザー問題の診断情報
  • OPTIMIZER/optimizer.log - ファイルにすべてのアクティビティーのログが含まれます。 db2support でメッセージ (DBT7116E など) が出される場合は、このログ・ファイルに詳細情報が含まれていることがあります。
  • OPTIMIZER/CATALOGS - 以下のサブディレクトリー内の LOB を含むすべてのカタログ (カタログ表内の LOB 列が空でない場合のみ生成される)
    • FUNCTIONS
    • INDEXES
    • NODEGROUPS
    • ROUTINES
    • SEQUENCES
    • TABLES
    • VIEWS
  • OPTIMIZER/DB2DUMP - db2serv 出力 (serv.* および serv2.* 出力ファイル)
システム情報は、db2supp_system.zip ファイル内にあります。 このファイルの解凍は、以下のファイルおよびディレクトリーにあります。
  • DB2CONFIG/ - db2cli.ini (~/sqllib/cfg のファイル)
  • DB2MISC/ - DB2SYSTM ファイル (バイナリー) など
  • OSCONFIG/ - さまざまなオペレーティング・システム情報ファイル (例えば、netstatservicesvfsulimit、および hosts)
  • OSSNAP/ - オペレーティング・システム・スナップショット (例えば、iostatnetstatuptimevmstat、および ps_elf)
  • SQLDBDIR/ - 重要なバッファー・プール・メタファイル (~/sqllib/sqldbdir)
  • SQLGWDIR/ - DCS ディレクトリー (~/sqllib/sqlgwdir のファイル)
  • SQLNODIR/ - Node ディレクトリー (~/sqllib/sqlnodir のファイル)
  • SPMLOG/ - ~/sqllib/spmlog のファイル
  • report.log - すべての収集アクティビティーのログ