GDPR 対応に関する IBM App Connect Professional (ソフトウェア) の考慮事項

組織で一般データ保護規則 (GDPR) に対応するために考慮する必要がある、IBM® App Connect Professional の構成可能な機能と、この製品の使用の様々な側面について説明します。

特記事項:

本資料は、GDPR 作動可能の準備に役立てることを目的としています。本書には、構成可能な IBM Integration Bus の機能に関する情報が記載されているほか、お客様の組織における GDPR 対応の準備に役立つ、考慮すべき製品使用の側面に関する情報も記載されています。 この情報は、多くの方法でお客様が機能を選択し、フィーチャーを構成することができ、かつ多様で膨大な方法にてこの製品を単体で使用、およびこの製品を第三者のアプリケーションやシステムと組み合わせて使用することができるため、網羅的なリストではありません。

お客様自身が欧州連合の一般データ保護規則を含む各種法令を遵守するために必要な措置を講ずるのはお客様の責任です。お客様のビジネスに影響を与える可能性がある関連法および法的要求事項の 確認と解釈、並びにかかる法を遵守するためにお客様がとる必要のある措置に 関して、弁護士の適切な助言を得ることはお客様のみにかかわる責任とさせて いただきます。

ここに記載されている製品、サービス、およびその他の機能は、すべてのお客様の環境に適合するとは限らず、使用可能性が制限されることがあります。 IBM は、法律、会計または監査に関する助言を提供することはしませんし、IBM のサービスまたは製品が、お客様のあらゆる法令遵守の裏付けとなる表明または保証もいたしません。


目次

  1. GDPR
  2. GDPR の製品構成
  3. データのライフサイクル
  4. データ収集
  5. データ・ストレージ
  6. データ・アクセス
  7. データ処理
  8. データ削除
  9. データ・モニタリング
  10. 個人データの使用を制限するための機能

GDPR

欧州連合(EU)により一般データ保護規則 (GDPR) が採択され、2018 年 5 月 25 日より施行されています。

GDPR が重要である理由

GDPR により、個人に関する個人データの処理に関する、より強固なデータ保護規制の枠組みが確立されます。 GDPR は、以下をもたらします。

GDPR についての詳細


GDPR の製品構成

以下の各セクションでは、お客様の組織において GDPR 対応の準備を行うための IBM App Connect Professional の構成に関する考慮事項を紹介します。


データのライフサイクル

IBM App Connect Professional (ACP) は、データがサード・パーティーのアプリケーション間で渡されるときに、そのデータをユーザーがルーティングおよび変換できるようにする汎用統合エンジンです。ACP は、特注アプリケーションに接続するために、多数のプロトコルおよびデータ形式をサポートし、一般的なパッケージ・アプリケーションと通信できる事前作成コンポーネントを提供します。そのため、ACP は多くの形式のデータを扱い、その一部が GDPR の対象となる可能性があります。多くの場合、データは ACP アーキテクチャーをリアルタイムで通過し、ACP はオンライン・エンドポイントへの同期接続を行います。一方で、ACP は、メッセージング・システム (IBM MQ などの従来型オンプレミス・メッセージング・システム)、データベース (リレーショナル・データベースおよび NoSQL データベース)、およびローカルまたはリモートのファイル・システム、E メール・システム、その他の CRM システムおよび ERP システムで保持されるデータなど、永続形式のデータとも対話します。

ACP がデータ交換を行う可能性のあるサード・パーティー製品はいくつかあります。その一部は IBM 所有ですが、その他の多くは他のテクノロジー・サプライヤーから提供されている製品です。GDPR への対応をサポートするサード・パーティー製品を検討している組織の場合は、その製品の資料を参照してください。

ACP ユーザーは、ACP がその内部を通過するデータと対話する方法を、オーケストレーション (データ・フロー) の定義によって制御します。オーケストレーションは一般に、ACP Studio で作業している、「ACP 開発者」の役割を担うユーザーによって構成されます。オーケストレーションは、ACP 開発者によって順番にワイヤリングされる一連の個別のビルディング・ブロック (コネクターと呼ばれます) から構成されます。コネクターはグラフィカルに構成されます。

ACP をフローするデータのタイプ

IIB は汎用統合エンジンであり、ユーザーごとにユース・ケースが異なるため、この質問に対する 1 つの明確な回答はありません。しかし、ACP を使用して以下のカテゴリーに関連するデータと対話する可能性は十分にあります。

IBM とのオンラインによる連絡のために使用される個人データ

ACP のお客様は、主に以下のようなさまざまな方法を使用して、ACP について IBM に連絡するために、オンラインでコメント/フィードバック/要求を送信することができます。

通常は、お客様の名前と E メール・アドレスを使用するだけで、連絡の用件に関する個別の返信を送信できます。個人データの使用は、『IBM オンラインでのプライバシー・ステートメント』に準拠しています。


データ収集

ACP を使用して、個人データを収集できます。ACP の使用および GDPR の要求を満たす必要性を評価する場合、ACP を通過する個人データのタイプを考慮する必要があります。次のような側面を考慮してください。


データ・ストレージ

データが通常の操作の一部として ACP オーケストレーションを通過する際、ACP が義務的に直接そのデータをステートフル・メディアに保持することはありません。ただし、ACP のユーザーは、「persistence=enabled」または「logging level=all」を構成することができます。それにより、ログ内の一部の機密データを保持したり、データベースに保持したりすることができます。そのため、ACP はデータを直接ステートフルなストアで保持することはありませんが、関連して、ACP ユーザーには、ログまたはデータベースに書き込まれる Data at Rest (保存されたデータ) を保護することを検討することをお勧めします。

Data at Rest (保存されたデータ) を暗号化しないことによるリスクを軽減するために、お客様には、いずれのケースにおいても、ロギング・レベルを INFO または FINEST で使用可能にすることはお勧めしません。CRITICAL にのみ設定する必要があります。

App Connect Professionalのオーケストレーションを設計する際、オーケストレーション・ジョブを停止させる障害が発生した場合に、未完了のデータ変数の保管を許可しないように、お客様はパーシスタンス設定を DISABLED に設定できます。ただし、パーシスタンスを無効にすると、オーケストレーションの再始動時に元のジョブは完了しません。また、一部のユース・ケースでは、いくつかのアクティビティーでパーシスタンスが必要になります。

詳しくは、以下を参照してください。


データ・アクセス

ACP 所有のデータは、以下の一連の定義済み製品インターフェースからアクセスできます。リモート接続によってアクセスするように設計されているものと、ローカル接続によってアクセスするように設計されているものがあります。

Web 管理コンソール (WMC) は、統合アプライアンスによってホストされるブラウザー・ベースのアプリケーションです。

WMC では Web ブラウザーを使用して、統合アプライアンスのハードウェア、オーケストレーション、およびネットワーク状況を構成および監視できます。システム管理者は WMC を次のモニター・タスク用に使用できます。

WMC に加えて、コマンド・ライン・インターフェース (CLI) を使用して多くの管理タスクおよびモニター・タスクを実行することもできます。 CLI について詳しくは、コマンド・ライン・インターフェースのリファレンスを参照してください。

詳しくは、以下を参照してください。

認証:

Web 管理コンソール (WMC) は、Web ベースの管理ツールで、以下を実行できます。

複数の WMC から同じ統合アプライアンスにアクセスできます。 ただし、各 WMC は一度に 1 つの統合アプライアンスのモニターおよび管理のみを行うことができます。 WMC で実行できるタスクは、ログインに使用するユーザー・アカウントによって異なります。 WMC には組み込みグループがあります。それらのグループを使用して、統合アプライアンスへのアクセスをさらに制御できます。 あるいは、ユーザーおよびグループの認証および許可を管理するための LDAP サーバーを指定できます。

ロール・マッピング:

すべてのユーザーに割り当てることができる各種役割については、『許可』セクションを参照してください。

許可:

ACP では、テナントおよび環境ごとに使用可能なさまざまな許可レベルがあります。ACP の各ユーザーには、各環境に必要な許可のレベルのみを割り当てる必要があります。

以下のリストに、各組み込みグループに付与される許可を定義します。

このグループのユーザーは、テナント内のすべての環境を表示でき、また各テナント環境内の環境管理者のすべての許可を備えています。

環境管理者は、任意の環境パブリッシャーが公開するプロジェクトのプロジェクト構成を作成およびデプロイしたり、環境内の任意のプロジェクト構成のオーケストレーション・ジョブ詳細を表示したりすることもできます。環境管理者グループ特権を備えたユーザーは、同じ環境のパブリッシャーが個別プロジェクト構成に設定した許可を編集できます。

環境管理者グループのメンバーが 環境パブリッシャー・グループ特権および環境ユーザー・グループ特権を持つ場合でも、ユーザーを明示的に追加しない限り、 環境管理者グループのメンバーは同じ環境に属する他のグループに表示されません。

ユーザーを明示的に追加しない限り、 環境パブリッシャー・グループのメンバーは環境ユーザー・グループに表示されません。

マルチ環境テナントでは、このグループのユーザーには、自分がメンバーである環境の環境タブしか表示されません。例えば、テナントに「開発」環境、「ステージング」環境、および「実稼働」環境があるものとします。テナント管理者または「開発」環境の管理者がユーザーを User [開発] グループに追加したとします。ユーザーがテナントにログインすると、テナントには他に 2 つの環境があるのにもかかわらず、ユーザーには「開発」環境しか表示されません。

詳しくは、以下を参照してください。

ロギング管理アクティビティー:

管理アクティビティーはシステム・ログに記録されます。


データ処理

IBM App Connect Professional (ACP) のユーザーは、ACP ランタイムにデプロイされるオーケストレーションの定義および構成によって、ACP が個人データを処理する方法を制御できます。メッセージ・フローは、入力データがスターター・アクティビティーを介して ACP に到着すると処理を開始し、ACP 終了アクティビティーまたは要求ノードからデータが送信されると完了します。多数のプロトコルがサポートされており、その中には、ACP との間で受け渡される際にデータを暗号化するためのプロビジョンも含まれます。暗号化は、読み取り可能な形式からエンコード・バージョンにデータを変換する手段となります。別のプログラムは、復号鍵にアクセスできる場合のみ、このデータをデコードできます。

暗号化:

App Connect Professional 管理者は、必要に応じてデータを暗号化するために、サポートされる暗号化アクティビティーのいずれかを使用する権限を持ちます。管理者は、暗号鍵を所有します。

詳しくは、以下を参照してください。

Data at Rest (保存されたデータ) を暗号化しないことによるリスクを軽減するために、お客様には、いずれのケースにおいても、ロギング・レベルを INFO または FINEST で使用可能にすることはお勧めしません。CRITICAL にのみ設定する必要があります。

詳しくは、以下を参照してください。


データ削除

App Connect Professional において、デフォルトでは、アプライアンスは、アプライアンスで以下のいずれかの条件が発生した場合に、 経過日数が 30 日を超えているオーケストレーション・モニター・ログをパージします。

WMC を使用すると、以下を決定するアプライアンスのジョブ・ログ・パージ・パラメーターを構成できます。

すべてのビジネス・データはジョブ・ログに格納され、管理者はログをパージするアクセス権限を有します。https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/en/SS3LC4_7.5.3/com.ibm.wci.appliance.doc/Working_with_Logs/purgingJobLogs.html


データ・モニタリング

App Connect Professional は、システム・ログ、ジョブ・ログ、オーケストレーション・ログなど、システムへのアクセスおよびシステムに適用される変更をモニターするための十分なツールを管理者に提供します。各種ロギング・レベルの使用法について詳しくは、 『ロギング』を参照してください。いずれのインスタンスについても、管理者がビジネス・データをログに記録したくない場合は、ロギング・レベルを「INFO/ALL」ではなく「Fatal」に設定する必要があります。

App Connect Professional は、失敗した実行をデバッグするために、ジョブ・ログでデータ・モニターを使用可能にする機能を提供します。お客様がジョブ・ログ内のビジネス・データを使用可能にしたくない場合は、ロギング・レベルに「FATAL」を指定する必要があります。

詳しくは、以下を参照してください。


個人データの使用を制限するための機能

App Connect Professional は、エンド・ユーザーの要求に従ってジョブ・ログに保管されている特定の情報を削除するために、スケジュール、トリガー条件などの特定の基準に基づいてログをパージするためのアクセス権限を管理者に提供します。 https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/en/SS3LC4_7.5.3/com.ibm.wci.appliance.doc/Working_with_Logs/purgingJobLogs.html

本書に要約されている機能を使用すると、App Connect Professional によって、エンド・ユーザーが自分の個人データの使用を制限できるようになります。GDPR の下で、ユーザーは、アクセス、変更、および処理制限の権利を持っています。 以下を制御するために、この資料の他のセクションを参照してください。