route コマンド

目的

経路指定テーブルを手動で操作します。

構文

route -f ] [  -n ] [  -q ] [ -C  ] [ -v Command Family ] [ [  -net -host Destination [ -prefixlen  n] [ -netmask Address ] ] Gateway ] [  Arguments ] [- i] [-@ WparName]

説明

route コマンドを使用すると、ネットワーク経路指定テーブルに手動で入力を行うことができます。route コマンドは、 Destination 変数のネットワーク・アドレスを解釈して、ホストへの経路とネットワークへの経路を区別します。このネットワーク・アドレスは、シンボル名か数値アドレスのいずれかで指定できます。route コマンドは、 /etc/hosts ファイルまたはネットワーク・ネーム・サーバーを使用して、すべてのシンボル名をアドレスに変えます。

特定のホストへの経路は、宛先に関連付けられた IP アドレスを解釈することでネットワークへの経路と区別されます。オプションのキーワード -net-host を指定すると、宛先は強制的にそれぞれネットワークまたはホストとして解釈されます。宛先のローカル・アドレスに INADDR_ANY が入っているか、または宛先がネットワークのシンボル名の場合は、ネットワークへの経路が想定されます。 それ以外の場合は、ホストへの経路が想定されます。

例えば、128.32-host 128.0.0.32 と解釈され、128.32.130-host 128.32.0.130 と解釈され、-net 128.32128.32.0.0 と解釈され、-net 128.32.130128.32.130.0 と解釈されます。

経路がゲートウェイを通じてではなくインターフェースによる場合、-interface 引数を指定しなければなりません。指定したゲートウェイは共通ネットワークのホストのアドレスであり、送信に使用されるインターフェースを示します。

-netmask 引数はアドレス・パラメーターの前に指定してください (このパラメーターがネットワーク・マスクとして解釈されます)。このオプションが Destination パラメーターの後に指定されていることを確認して、 -inet ケースで生成された暗黙のネットワーク・マスクをオーバーライドすることができます。

宛先またはゲートウェイに指定されたすべてのシンボル名は最初に、gethostbyname サブルーチンによってホスト名として調べられます。これに失敗すると、 getnetbyname サブルーチンは、 ネットワーク名として解釈されます。

注: 経路指定には、経路指定ソケットと新規メッセージ・タイプ RTM_ADD、RTM_DELETE、および RTM_CHANGE が使用されます。このため、経路指定テーブルを修正できるのは root ユーザーだけです。

flush または -f コマンドを指定すると、経路指定はすべてのゲートウェイ・エントリーの経路指定テーブルを「フラッシュ」、すなわちクリアします。アドレス・ファミリーを記述したオプションのキーワードを指定して、指定のアドレス・ファミリーに宛先のある経路だけをフラッシュすることができます。

netstat -r コマンドは、経路指定テーブルに入っている現在のルーティング情報を表示します。

注: 経路指定テーブルを作成または削除するためには、同じセットのコマンド (route コマンド、smitty コマンド、および chdev コマンド) を使用する必要があります。 smitty コマンドまたは chdev コマンドで経路指定テーブルを作成し、そのテーブルを route コマンドで削除しても、経路指定項目が Object Data Manager (ODM) から削除されることはありません。 システムが再始動すると、同じ経路指定項目を再び表示できるようにするために、経路指定テーブルが ODM からビルドされます。

フラグ

項目 説明
-f 経路指定テーブルの中のネットワーク・インターフェースに関連していないエントリー項目をすべて除去します。
-i ワークロード区画 (WPAR) に対してワークロード区画固有の経路指定を使用可能にします。デフォルトで、WPAR からの出力ネットワーク・トラフィックは、グローバル環境から送信されているかのように経路指定されます。
  • 同じグローバル・システムでホストされているアドレス間のトラフィックは、ループバック・インターフェースを通じて送信されます。
  • グローバル・システム内で構成された、デフォルトの経路を含む経路指定テーブル・エントリーは、ワークロード区画のトラフィックを伝送するために使用されます。
-i フラグを指定して、WPAR 固有の経路指定を使用可能にすると、WPAR は出力トラフィック用に独自の経路指定テーブルを作成して使用します。経路指定エントリーは、ブロードキャスト、ループバック、およびサブネット経路に合わせて、WPAR のネットワーク・アドレスのそれぞれについて自動的に作成されます。
-n フラッシュまたは他のアクションの結果を詳細モードで報告するときに、記号ではなく数値でホスト名とネットワーク名を表示します。
-q 抑止モードを指定し、すべての出力を抑制します。
-C 経路の追加と削除のためのルーティング・メッセージ全体にわたって、ioctl 呼び出しのための優先を指定します。
-v 詳細モードを指定し、追加の詳細を印刷します。
-net Destination パラメーターをネットワークとして解釈することを示します。
-netmask 宛先アドレスへのネットワーク・マスクを指定します。このオプションが Destination パラメーターの後に指定されていることを確認してください。
-host Destination パラメーターをホストとして解釈することを示します。
-prefixlen n 宛先接頭部の長さ (ネットマスク内のビット数) を指定します。
-@ WparName WPAR に関連付けられているネットワーク統計情報 (すなわち @WparName フラグ)を表示します。@WparName フラグを指定しないと、すべての WPAR のネットワーク統計情報が表示されます。

デフォルトの経路は、ホスト (ネットワーク上の単一のコンピューター) です。-net パラメーターまたは -host パラメーターを指定せずにアドレスのネットワーク部分を指定すると、ネットワークへの経路であると想定されます。アドレスのホスト部分は 0 です。

パラメーター

項目 説明
引数 下記から 1 つまたは複数の引数を指定します。引数の変数として n を指定する場合は、変数 n の値は正の整数です。
-active_dgd
経路上のアクティブ・デッド・ゲートウェイ検出を使用可能にします。
-cloning
新しい経路のクローンを複製します。
-genmask
TSEL の長さを抽出します。これはクローン経路を生成するときに使用されます。
-interface
インターフェースの経路指定エントリーを操作します。
-rtt n
往復時間を指定します。
-rttvar n
往復時間の差異を指定します。
-sendpipe n
送信ウィンドウのサイズを指定します。
-recvpipe n
受信ウィンドウのサイズを指定します。
-allowgroup gid
経路の使用を許可されるグループ ID を指定します。グループ ID は、使用を許可されたグループのリストに追加されるか、または使用を許可されないグループのリストから削除されます。
-denygroup gid
経路の使用を許可されないグループ ID を指定します。 グループ ID は、使用を許可されないグループのリストに追加されるか、または使用を許可されたグループのリストから削除されます。
-stopsearch
経路指定テーブルの検索で経路が一致した場合には検索を停止しますが、 グループ経路指定の制限により、この経路を使用することはできません。
-mtu n
この経路の最大伝送単位を指定します。インターフェースの最大伝送単位を超えない範囲で TCP アプリケーションのインターフェース最大伝送単位をオーバーライドします。このフラグは、UDP を使用したアプリケーションの最大伝送単位には影響ありません。
-hopcount n
経路のゲートウェイの最大数を指定します。
-policy n
Multipath Routing に使用されるポリシーを指定します。 n は 1 から 5 までの数値で、ここでこれらの数値は次のような意味になります。
  1. 重み付けラウンドロビン
  2. ランダム
  3. 重み付けランダム
  4. 最低使用状況
  5. ハッシュ・ベース
ポリシーが明示的に設定されておらず、マルチパス経路指定が使用される場合、mpr_policy と 呼ばれるグローバルな no コマンド・オプションによって、 使用されるポリシーが決まります。デフォルト・ポリシーは重み付けラウンドロビンで、重みがすべて 1 である場合には ラウンドロビンと同じように動作します。デフォルト・ポリシーが重み付けラウンドロビンであっても、 ポリシーが設定されていない場合は、ネットワーク・オプション mpr_policy が 優先されます。 これに対して、ポリシーが明示的に WRR (重み付けラウンドロビン) に設定されている場合は、この設定は mpr_policy 設定を オーバーライドします。これらのポリシーの詳細については、no コマンドを参照してください。
-weight n
Multipath Routing 機能で重み付けポリシーとして使用される 経路の重みを指定します。
-expire n
経路指定プロトコルが使用する満了メトリックを指定します。
-ssthresh n
アウトバウンド・ゲートウェイ・バッファーの制限を指定します。
-lock
メトリック修飾子を個別にロックできるメタ修飾子を指定します。-lock メタ修飾子は、ロックする各修飾子の前に指定してください。
-lockrest
後続のメトリックをすべてロックできるメタ修飾子を指定します。
-if ifname
この経路と関連付けるインターフェース (en0, tr0 ...) を指定します。 こうすることにより、この経路が選択されたときに、 このインターフェースを使ってパケットが送信されるようになります。
-xresolve
使用時にメッセージを出力します (外部ルックアップの場合)。
-iface
宛先が直接到達可能であることを示します。
-static
手動で追加した経路を指定します。
-nostatic
カーネルまたはデーモンが追加した仮の経路を指定します。
-reject
一致した場合、未到達の ICMP を出力します。
-blackhole
更新中にパケットを通知なしで廃棄します。
-proto1
プロトコルを特定の経路指定フラグ番号 1 に設定します。
-proto2
プロトコルを特定の経路指定フラグ番号 2 に設定します。
コマンド 次の 6 つの選択肢の 1 つを指定します。
add
経路を追加します。
flush or -f
すべての経路を除去します。
delete
特定の経路を削除します。
change
経路のアスペクト (経路のゲートウェイなど) を変更します。
monitor
ルーティング情報ベースの変更、経路指定ロックアップ・ミス、または問題のありそうなネットワーク区画化を報告します。
get
宛先の経路指定を検索し、表示します。
set
経路のポリシーおよび重み属性を設定します。
Family アドレス・ファミリーを指定します。-inet アドレス・ファミリーがデフォルトです。 -inet6 ファミリーは、すべての後続アドレスが inet6 ファミリーに入っていることを指定します。
Destination 経路の宛先となるホストまたはネットワークを指定します。Destination パラメーターは、 シンボル名または数値アドレスで指定できます。
Gateway パケットのアドレス先のゲートウェイを指定します。Gateway パラメーターは、シンボル名または数値アドレスで指定できます。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX® ユーザーへの注意: このコマンドは特権操作を実行できます。特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権について詳しくは、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. あるネットワーク上のコンピューターが別のネットワーク上のコンピューターに メッセージを送信できるように経路を設定するには、次のように入力します。
    route add 192.100.201.7 192.100.13.7
    192.100.201.7 アドレスは、受信コンピューター (Destination パラメーター) のアドレスです。192.100.13.7 アドレスは、経路指定コンピューター (Gateway パラメーター) のアドレスです。
  2. 経路を確立して特定のネットワーク上のユーザーにメッセージを送信できるようにするには、 次のように入力します。
    route add -net 192.100.201.0 192.100.13.7
    192.100.201.0 アドレスは受信ネットワークのアドレス (Destination パラメーター) です。192.100.13.7 アドレスは経路指定ネットワークのアドレス (Gateway パラメーター) です。
  3. デフォルトのゲートウェイを確立するには、次のように入力します。
    route add 0 192.100.13.7
    Destination パラメーターに値 0 またはデフォルトのキーワードを指定すると、前もって定義されておらず、ネットワークに直接接続していない宛先に送信されるパケットはすべてデフォルトのゲートウェイを経由することになります。192.100.13.7 アドレスは、デフォルトとして選択されたゲートウェイのアドレスです。
  4. ホスト・ゲートウェイ・テーブルをクリアするには、次のように入力します。
    route -f
  5. 重みとポリシー情報を指定して経路を追加するには、 次のように入力します。
    route add  192.158.2.2 192.158.2.5 -weight 5 -policy 4
  6. 既に存在している経路の重みとポリシー属性を設定するには、 次のように入力します。
    route set 192.158.2.2 192.158.2.5 -weight 3 -policy