イーサチャネルの構成
イーサチャネルを構成するには、以下の手順を使用します。
- コマンド行に
smitty etherchannelと入力します。 - リストから 「Add an EtherChannel /Link Aggregation (イーサチャネル/リンク集約の追加/リンク集約)」 を選択して、Enter キーを押します。
- イーサチャネルで 1 次イーサネット・アダプターとするものを選択して、Enter キーを押します。 イーサチャネルのバックアップを使用する予定であれば、ここにバックアップに使用する予定のアダプターを選択しないでください。注: 使用可能なネットワーク・アダプター は、すべてのイーサネット・アダプターを表示します。 既に使用されている (インターフェースが定義されている) イーサネット・アダプターを選択すると、エラー・メッセージが出されます。 使用されているインターフェースを使用する場合は、最初に、それを切り離す必要があります。
- 次の説明に従って、フィールドに情報を入力します。
- Parent Adapter (親アダプター): イーサチャネルの親デバイスの情報を示します (イーサチャネルが共用イーサネット・アダプターに属する場合など)。 イーサチャネルが別のアダプター内に含まれていない場合 (デフォルト)、このフィールドには「
NONE」の値が表示されます。 EtherChannel が別のアダプターに含まれている場合、このフィールドには親アダプターの名前 (例えば、ent6) が表示されます。 このフィールドは通知専用であり、変更することはできません。 親アダプター・オプションは、 AIX® 5.3 以降で使用可能です。 - EtherChannel/Link Aggregation Adapters (イーサチャネル/リンク集約のアダプター): イーサチャネル内で使用するすべての 1 次アダプターが表示されています。 前のステップで、これらのアダプターを選択しました。
- Enable Alternate Address (代替アドレスを使用可能にする): このフィールドはオプションです。 これを
yesに設定すると、 EtherChannel で使用する MAC アドレスを指定できます。 このオプションをnoに設定すると、 EtherChannel は最初のアダプターの MAC アドレスを使用します。 - 代替アドレス: 「代替アドレスの有効化 (Enable Alternate Address)」 を
yesに設定した場合は、ここで使用する MAC アドレスを指定します。 指定するアドレスは、0xで始まる 12 桁の 16 進数のアドレスでなければなりません (0x001122334455 など)。 - Enable Gigabit Ethernet Jumbo Frames (ギガビット・イーサネット・ジャンボ・フレームを使用可能にする): このフィールドはオプションです。 これを使用するには、スイッチがジャンボ・フレームをサポートしている必要があります。 これは、標準イーサネット (en) インターフェース (IEEE 802.3 (et) インターフェースではない)
とだけ連動します。 有効にする場合は、これを
yesに設定します。 - Mode (モード): 次のモードから選択できます。
- standard: このモードでは、イーサチャネルはアルゴリズムを使用して、パケットを送信するアダプターを選択します。 このアルゴリズムでは、データ値を取り出し、その値をイーサチャネル内のアダプター数で除算し、(「モジュラス」演算子を使用して) 剰余を使用して、発信リンクを識別します。 「Hash Mode (ハッシュ・モード)」値は、このアルゴリズムに送られるデータ値を判別します (さまざまなハッシュ・モードの説明については、「Hash Mode (ハッシュ・モード)」属性を参照してください)。 例えば、ハッシュ・モードが
standardの場合、パケットの宛先 IP アドレスを使用します。 この宛先 IP が 10.10.10.11 で、イーサチャネルに 2 つのアダプターがある場合、(1/2) = 0 残り 1 となり、2 番目のアダプターが使用されます (アダプターの番号は 0 から始まります)。 アダプターは、SMIT メニューでリストされた順番に番号が付けられます。 これはデフォルトの動作モードです。 - round_robin: このモードでは、イーサチャネルは各アダプターにのパケットを 1 つ与えながら、アダプターを巡回します。 パケットはイーサチャネルに到達した順番と多少異なった順番で送信されるかもしれませんが、その帯域幅を十分に使用します。
default以外のハッシュ・モードでこのモードを選択するのは無効な組み合わせです。 ラウンドロビン・モードを選択する場合は、「ハッシュ・モード」の値をdefaultのままにします。 - netif_backup: ネットワーク・インターフェース・バックアップ・モードを有効にするには、1 次イーサチャネルとバックアップ・イーサチャネルでアダプターを 1 つずつ構成します。 このモードは SMIT からは選択できません。 詳しくは、 ネットワーク・インターフェース・バックアップの構成を参照してください。
- 8023ad: このオプションにより、自動リンク集約に IEEE 802.3ad Link Aggregation Control Protocol (LACP) が使用可能になります。 この機能について詳しくは、 IEEE 802.3ad リンク集約の構成を参照してください。
- teaming: このモードでは、イーサチャネルには 1 次チャネルが 1 つあり、バックアップ・チャネルはありません。 他のモードと異なり、teaming モードはチャネルがパケットを受信する方法を制御します。 パケットは EtherChannel の標準 (ハッシュ) アルゴリズムを使用して送信されます。 teaming モードがトラフィックを受け取るイーサチャネル内のアダプターを制御するため、スイッチ構成は必要ありません。Note: EtherChannel のチーミングモードと EtherChannel のその他のモード (標準、ラウンドロビン、または 8023ad) を動的に切り替えることはできません。 チーミングモードの EtherChannel を別のモードに切り替えるには、まず EtherChannel を削除し、新しいモード (標準、round_robin、または 8023ad) で新しい EtherChannel を作成する必要があります。
- standard: このモードでは、イーサチャネルはアルゴリズムを使用して、パケットを送信するアダプターを選択します。 このアルゴリズムでは、データ値を取り出し、その値をイーサチャネル内のアダプター数で除算し、(「モジュラス」演算子を使用して) 剰余を使用して、発信リンクを識別します。 「Hash Mode (ハッシュ・モード)」値は、このアルゴリズムに送られるデータ値を判別します (さまざまなハッシュ・モードの説明については、「Hash Mode (ハッシュ・モード)」属性を参照してください)。 例えば、ハッシュ・モードが
- IEEE 802.3ad Interval (IEEE 802.3ad 間隔): 以下の値から選択できます。
- long: これは間隔のデフォルト値です。 この値を選択すると、イーサチャネルは、プロトコルで指定された long 間隔値でパートナーに LACP パケットを要求します。
- short: この値を選択すると、イーサチャネルは、プロトコルで指定された short 間隔値でパートナーに LACP パケットを要求します。注: 間隔値は、 EtherChannel が IEEE 802.3ad モードで動作している場合にのみ使用されます。 それ以外の場合は、この値は無視されます。注: AIX は、パートナーからの長い間隔の要求と短い間隔の要求の両方を受け入れます。
- Hash Mode (ハッシュ・モード): 以下のハッシュ・モードから選択します。これにより、アルゴリズムで発信アダプターを判別するために使用するデータ値が判別されます。
- default (デフォルト): パケットの宛先 IP アドレスを使用して発信アダプターが判別されます。 非 IP のトラフィック (ARP など) の場合、宛先 MAC アドレスの最後のバイトがこの計算に使用されます。 このモードでは、パケットはイーサチャネルに到達した順にイーサチャネルから送信されることが保証されますが、帯域幅をいっぱいには使用していません。
- src_port (ソース・ポート): パケットのソース UDP または TCP ポート値を使用して発信アダプターが判別されます。 パケットが UDP または TCP トラフィックでない場合は、宛先 IP アドレスの最後のバイトが使用されます。 パケットが IP トラフィックでない場合は、宛先 MAC アドレスの最後のバイトが使用されます。
- dst_port (宛先ポート): パケットの宛先 UDP または TCP ポート値を使用して発信アダプターが判別されます。 パケットが UDP または TCP トラフィックでない場合は、宛先 IP の最後のバイトが使用されます。 パケットが IP トラフィックでない場合は、宛先 MAC アドレスの最後のバイトが使用されます。
- src_dst_port (ソースおよび宛先ポート): パケットのソースおよび宛先の両方の UDP または TCP ポート値を使用して発信アダプターが判別されます (特に、ソースおよび宛先ポートが加算されて 2 で除算されてからアルゴリズムに送られる)。 パケットが UDP または TCP トラフィックでない場合は、宛先 IP の最後のバイトが使用されます。 パケットが IP トラフィックでない場合は、宛先 MAC アドレスの最後のバイトが使用されます。 クライアントとサーバーの両方において、ほとんどの状態で、このモードでのパケット配布は良好です。注: モードが
round_robinのdefault以外のハッシュ・モードを選択するのは無効な組み合わせです。
- Backup Adapter (バックアップ・アダプター): イーサチャネルのバックアップ・アダプターを指定します。 1 次イーサチャネル・アダプターが失われたことが原因でフェイルオーバー・イベントが発生した後、1 次イーサチャネル・アダプターが復旧するまではこのバックアップ・アダプターが使用されます。
- Internet Address to Ping (ping するインターネット・アドレス): このフィールドはオプションで、「ネットワーク・インターフェース・バックアップ」モードで実行している場合、またはイーサチャネルとバックアップ・リストにそれぞれ 1 つ以上のアダプターがある場合にのみ有効です。 イーサチャネルは、指定された IP アドレスまたはホスト名を ping します。 イーサチャネルが IP アドレスに対して、「再試行回数」フィールドで指定された回数を、「再試行タイムアウト」フィールドで指定された時間内に ping できない場合、イーサチャネルはバックアップ・リスト内の他のアダプターに切り替えます。 このフィールドをリセットして、このオプションに対して以前に入力した値が削除されるようにするには、「ping するインターネット・アドレス:」オプションの値を 0 で入力します。注: マルチパス・ルーティング環境での ping のモニターはサポートされていません。 ただし、回避策として、 EtherChannel ごとに別個のアドレスを使用して ping し、宛先 IP の正しい EtherChannel ・インターフェース名を持つ特定のホスト経路をルーティング・テーブルに追加してください。
- Number of Retries (再試行回数): 試行する ping の最大回数を入力します。この回数 ping が失敗すると、イーサチャネルは次のアダプターに切り替えます。 デフォルトは 3 回です。 このフィールドはオプションで、「Internet Address to Ping (ping するインターネット・アドレス)」を設定した場合にのみ有効です。
- Retry Timeout (再試行タイムアウト (秒)): イーサチャネルが、「Internet Address to Ping (ping するインターネット・アドレス)」に指定した IP アドレス に ping するインターバルを秒数で入力します。 デフォルトは 1 秒です。 このフィールドはオプションで、「Internet Address to Ping (ping するインターネット・アドレス)」を設定した場合にのみ有効です。
- MAC swap (MAC スワップ): 「MAC スワップ」フィールドを有効にしたい場合は「はい」を選択します。 「MAC スワップ」フィールドはネットワーク・インターフェース・バックアップ・モードのイーサチャンネル (1 次アダプターおよびバックアップ・アダプター 1 つずつで構成されている) でのみ有効にできます。 mac_swap を有効にすると、バックアップ・アダプターは自身の MAC アドレスを保持でき、フェイルオーバーが発生した場合はこの MAC アドレスが 1 次アダプターとスワップされ、1 次アダプターの MAC アドレスがバックアップ・アダプターとスワップされます。 mac_swap オプションのデフォルト値は no です。 このデフォルト値は、バックアップ・アダプターに割り当てられる 1 次アダプターの MAC アドレスに適用されます。 仮想ネットワーク・インターフェース・コントローラー (vNIC) およびシングル・ルート I/O 仮想化 (SR-IOV) のイーサチャネル・セットアップなどの特定のネットワーク構成では、フェイルオーバー後に MAC スワップ オペレーションが非アクティブの 1 次アダプターに重複パケットを送信する可能性があります。 mac_swap オプションを有効にすると、この状態が回避できます。 1 次アダプターおよびバックアップ・アダプターが 1 つずつ構成されていない場合は、イーサチャネルを構成する際に mac_swap オプションを有効にすることはできません。
- Parent Adapter (親アダプター): イーサチャネルの親デバイスの情報を示します (イーサチャネルが共用イーサネット・アダプターに属する場合など)。 イーサチャネルが別のアダプター内に含まれていない場合 (デフォルト)、このフィールドには「
- 必要なフィールドを変更したあと、Enter キーを押してイーサチャネルを作成します。
- コマンド・ラインに
smitty chinetと入力して、新しく作成した EtherChannel ・デバイスに IP を構成します。 - リストから新規イーサチャネル・インターフェースを選択します。
- すべての必要なフィールドに値を入れて、Enter キーを押します。
EtherChannel が設定された後に実行できる追加のタスクについては、Listing EtherChannels or Link Aggregations を参照してください。