ifconfig コマンド

目的

TCP/IP を使用するネットワークのネットワーク・インターフェース・パラメーターを構成または表示します。

構文

ifconfig interfaceaddressfamilyaddressdestinationaddress  ] ] [  parameters... ] ]

ifconfig interfaceprotocolfamily ] interface protocolfamily

ifconfig -a-l ] [  -d ] [  -u ] [ protocolfamily ]

ifconfig interfacetcp_low_rto rto | -tcp_low_rto ]

説明

ifconfig コマンドは、ネットワーク・インターフェースにアドレスを割り当てたり、現在のネットワーク・インターフェース構成情報を構成または表示するために使用することができます。 システム上にある各インターフェースのネットワーク・アドレスを定義するには、システム始動時に ifconfig コマンドを使用します。また、システム始動後にインターフェースのアドレスや他のオペレーティング・パラメーターを再定義するためにも使用できます。 ネットワーク・インターフェース構成は実行中のシステム上に保持されており、システムを再始動するたびに再設定します。 ifconfig コマンドは、IFF_MULTICAST フラグを解釈し、このフラグが設定されていれば、その値を出力します。

インターフェースはそれぞれの命名方式を必要とすることもある異なるプロトコルによる送信を受信できます。addressfamily パラメーターを指定する必要がありますが、その結果、残りのパラメーターの解釈が変わることがあります。現在サポートされているアドレス・ファミリーは、inet および inet6 です。

DARPA インターネット・ファミリーを示す inet の場合、アドレスはホスト名データベース、すなわち、/etc/hosts ファイルにあるホスト名か、インターネット標準ドット 10 進表記で表された DARPA IP アドレスです。

どのユーザーもネットワーク・インターフェースの状況を照会することができますが、インターフェースの構成を修正できるのは管理権限を持つユーザーだけです。

ifconfig 機能は、オプションのパラメーターを指定しないと、ネットワーク・インターフェースの現行構成を表示します。

プロトコル・ファミリーを指定すると、ifconfig はそのプロトコル・ファミリーに特有な詳細だけを報告します。

スーパーユーザーだけがネットワーク・インターフェースの構成を変更できます。

無償 ARP が、イーサネット、トークンリング、および FDDI インターフェース用にサポートされます。 このサポートは、IP アドレスが割り当てられた場合に、ホストが他のシステムにホスト自身のアドレス (新規アドレス) を通知するために、新規アドレスに対する ARP 要求を送信して、他のシステムが ARP エントリーを直ちに更新できるようにすることを意味します。 これにより、ホストに重複 IP アドレスを検出させることにもなります。 ARP 要求に対する応答を入手した場合、エラーは /var/adm/ras/errlog に記録されます。これは、エラー ID AIXIF_ARP_DUP_ADDR に対して errpt コマンドを使用して (または SMIT インターフェースを使用して) 表示することができます。

ifconfig コマンドは ifconfig.ib コマンドを呼び出します。 ifconfig.ib コマンドは、以下のようなインターフェース情報を表示します。
ib0:flags=e3a0063<UP,BROADCAST,NOTRAILERS,RUNNING,ALLCAST,MULTICAST,GROUPRT>
pmtu 2048 qkey 
0x1e qpn 0x48 lid 0x5c hca iba0 port 1 inet 1.2.3.120 netmask 0xffffff00 broadcast 
1.2.3.255 inet6 
fe80::2:c903:1:1e8d/64 tcp_sendspace 262144 tcp_recvspace 262144 rfc1323 1
インターフェースには、パス MTU (pmtu)、キュー・キー (qkey)、キュー・ペア番号 (qpn)、ローカル ID (lid)、ホスト・チャネル・アダプター (hca)、およびポート番号 (port) が表示されるようになりました。この情報はデバッグ時または診断の実行時に役立ちます。
注: ifconfig コマンドを使用してインターフェースの属性に加えられた変更はすべて、システムのリブート時に失われます。

detach コマンドを ifconfig コマンドと一緒に指定した場合、他のすべてのオプションは無視されます。detach コマンドを指定すると、ipconfig コマンド内の文字化けによるエラーが回避されます。例えば、ifconfig en3 garbage detach コマンドは、正しくないオプションを指定した場合でも正しく実行されます。

フラグ

項目 説明
-a オプションとして、インターフェース名の代わりに -a フラグを使用することができます。このフラグを指定して ifconfig コマンドを実行すると、システム内のすべてのインターフェースについての情報が表示されます。
-d -d フラグはダウンしているインターフェースを表示します。 このフラグは、-a フラグまたは -l フラグと一緒にのみ使用できます。
-l このフラグは、システム上の選択可能なインターフェースをすべてリストするために使用することができます (その他の追加情報は表示されません)。このフラグは他のフラグおよびコマンドと併用することはできませんが、-d および -u とは併用できます。
-u -u フラグは稼働しているインターフェースを表示します。 このフラグは、-a フラグまたは -l フラグと一緒にのみ使用できます。
protocolfamily このフラグは、tcpudptcp6udp6icmp、 および icmp6 といったプロトコルを指定します。

パラメーター

項目 説明
address ネットワーク・インターフェースのネットワーク・アドレスを指定します。 inet ファミリーの場合、address パラメーターはホスト名または標準ドット 10 進表記による IP アドレスのいずれかです。
addressfamily 変更したいネットワーク・アドレス・ファミリーを指定します。 現在サポートされているアドレス・ファミリーは、inet および inet6 です。 このパラメーターのデフォルトは、inet アドレス・ファミリーです。
destinationaddress 2 地点間リンクのリモート側の通信相手のアドレスを指定します。
interface 表示または変更したいネットワーク・インターフェース設定値を指定します。 ifconfig コマンドを使用する場合、interface パラメーターによってインターフェースを指定する必要があります。インターフェースの省略形には次のものがあります。
  • 非同期伝送モード (ATM) を表す at
  • 標準イーサネットを表す en (inet)
  • IEEE 802.3 イーサネットを表す et (inet)
  • 汎用経路指定カプセル化のトンネル疑似インターフェースを表す gre (inet)
  • IPv4-over-IPv6 トンネル疑似インターフェースを表す gif (inet)
  • トークンリングを表す tr (inet)
  • X.25 を表す xt (inet)
  • シリアル回線 IP を表す sl (inet)
  • ループバックを表す lo (inet)
  • シリアルを表す op (inet)
  • 仮想 IP アドレスを表す vi (inet)
  • IP over InfiniBand を表す ib (inet)
  • TAP 疑似イーサネットを表す tap

特定のインターフェースを識別するために省略形の後に数字を付けます (例えば、tr0)。

interface がまだロードされていない場合は、ifconfig interface がそのインターフェースをロードし、netstat -in がリストします。interface の状況照会を処理する際に、その照会処理を完了するために、指定したインターフェースがロードされます (まだロードされていない場合)。

パラメーター 次のパラメーター値が使えます。
alias
インターフェースの追加ネットワーク・アドレスを設定します。このパラメーターは、ネットワーク番号を変更するときに、以前のインターフェースあてのパケットを受け取るのに便利です。
 
allcast
ネットワーク上のすべてのリングにブロードキャストを行うようにトークンリング・インターフェースを設定します。
 
-allcast
ローカル・リングのみにブロードキャストを行うようにトークンリング・インターフェースを限定します。
 
anycast
(inet6 のみ) 指定したエニーキャスト・アドレスを追加します。
 
-anycast
(inet6 のみ) 指定したエニーキャスト・アドレスを削除します。
 
arp
ネットワーク・レベルのアドレスとリンク・レベルのアドレス間のマッピング時に、 ifconfig コマンドがアドレス解決プロトコルを使用できるようにします。 arp の値はデフォルトです。
 
-arp
アドレス解決プロトコルを使用不可にします。
 
authority
将来のために予約されています。
 
bridge
将来のために予約されています。
 
-bridge
将来のために予約されています。
 
broadcast Address
(inet のみ) ネットワークへのブロードキャストに使用するアドレスを指定します。デフォルトのブロードキャスト・アドレスは、ホスト部分がすべて 1 です。
 
checksum_offload
送信 TCP チェックサムをアダプターへオフロードすることを示すフラグを有効にします。 このコマンドは、チェックサム計算のオフロードを TCP が使用可能または使用不可にするかを動的に決定するインターフェースごとのカウンターをリセットします。
 
-checksum_offload
送信 TCP チェックサムのオフロードを使用不可にします。
 
作成
(TAP のみ) ネットワーク・インターフェースを作成します。tap0 のように特定のインターフェースを作成することも、ifconfig tap create のように、次に使用可能な TAP インターフェースを作成する tap オプションを指定することもできます。
 
-dad
(inet6 のみ) 重複する IPv6 アドレスのアドレス検出を行いません。
 
-debug
ドライバー依存のデバッグ・コードを使用不可にします。
 
delete
指定したネットワーク・アドレスを除去します。このコマンドは、別名を誤って指定したときや、別名が不要になったときに使用します。ns アドレスを誤って設定すると、ネットワーク・アドレスのホスト部分を指定する副次効果があります。 すべての ns アドレスを除去すると、ホスト部分を再指定できます。
 
destroy
(TAP のみ) ネットワーク・インターフェースを破棄します。ifconfig コマンドは、指定したネットワーク・インターフェースをインターフェースのリストから削除します。 さらに、そのインターフェースおよび関連するすべての TAP ネットワーク・デバイスをオブジェクト・データ・マネージャー (ODM) から削除します。
 
device dev_name
(ATM ネットワーク・インターフェースのみ)。このインターフェースが関連しているデバイス名を指定します。 トークンリングやイーサネットとは異なり、ATM の場合は、インターフェースとデバイス間で 1 対 1 の対応はありません。ATM では、個々のデバイスに対して 2 つ以上のインターフェースが対応する場合があります。
 
detach
ネットワーク・インターフェース・リストからインターフェースを除去します。最後のインターフェースが切り離されると、ネットワーク・インターフェース・ドライバー・コードがアンロードされます。 接続されたインターフェースのインターフェース経路を変更するには、そのインターフェースを切り離し、ifconfig を使用して再度追加する必要があります。
 
down
インターフェースに非アクティブ (down) のマークを付けます。このマークを付けると、システムはそのインターフェースを通じてメッセージを転送しようとしなくなります。 可能であれば、ifconfig コマンドはインターフェースも再設定してメッセージを受信できないようにします。 ただし、インターフェースを使う経路が自動的に使用不可にされるわけではありません。
 
eui64
(inet6 のみ) 実際の IPv6 アドレスを、指定されたアドレスの最後の 64 バイトをインターフェース ID で置き換えることにより計算します。
 
first
IPv6 アドレスをインターフェースの最初の場所に置き、それをアンバウンド・ソケットのソースとして選択します。このパラメーターを使用するための構文は、次のとおりです。
ifconfig interface inet6 first address
 
firstalias
alias と同様ですが、アドレスをインターフェース・アドレス・リストの前にセットし、それをアンバウンド・ソケットのソースとして選択します。
 
group ID
インターフェースのグループ ID リストにグループ ID を追加します。このリストは、インターフェースに届いたパケットの転送時の経路を設定するときに使用します。
 
-group ID
インターフェースのグループ ID リストからグループ ID を除去します。このリストは、インターフェースに届いたパケットの転送時の経路を設定するときに使用します。
 
hwloop
ハードウェアのループバックを使用可能にします。 ハードウェアのループバックは、インターフェースが処理するローカルにアドレッシングされたパケットを対応するアダプターで送出することを指定します。
 
-hwloop
ハードウェアのループバックを使用不可にします。 ハードウェアのループバックは、インターフェースが処理するローカルにアドレッシングされたパケットを対応するアダプターで送出しなければならないことを指定します。
 
ipdst
リモート・ネットワーク宛ての ns パケットをカプセル化して、IP パケットを受信できるインターネット・ホストを指定します。明示的な 2 地点間リンクが構築され、指定されたアドレスは宛先の ns アドレスとネットワークであると想定されます。
 
ipv6dst
トンネルを使用して、IPv6 または IPv4 パケットをカプセル化している IPv6 パケットを受け取れる IPv6 ノードを指定するために使用します。 2 地点間トンネル・インターフェースの明示された転送先は、パケットの実際の転送先でない場合があります。トンネルのエンドポイントで、カプセル解除されたパケットは最終的な宛先に転送されます。
 
largesend
1 つの LPAR を使用可能にして、単一パケット内のラージ・データを別の LPAR に送信します。 実アダプターを通して largesend を行うことに似ていますが、この場合は TCP セグメンテーションが行われない点が異なります。 VIOS の SEA が largesend をサポートしている場合は、LPAR によるラージ・データの送信が可能となり、SEA の実アダプターによるセグメント化が行われます。 chdev コマンドを使用して SEA の largesend 属性を使用可能にします。
 
-largesend
仮想イーサネット内の largesend を使用不可にします。 この値がデフォルトです。
 
link [0-2]
インターフェースのリンク・レベルの特別な処理を可能にします。この 3 つのオプションはインターフェースに特有なものです。しかし、実質的には、これらは特別な操作モードを選択するために使用されます。使用法の例は、シリアル回線インターネット・プロトコル (SLIP) 圧縮を使用可能にしたり、あるイーサネット・カード用のコネクター・タイプを選択したりすることです。詳しくは、個別のドライバーのマニュアル・ページを参照してください。
 
-link [0-2]
指定されたインターフェースのリンク・レベルでの特別な処理を使用不可にします。
 
metric Number
インターフェースの経路指定メトリックを、Number 変数で指定した値に設定します。デフォルトは 0 です。経路指定メトリックは、経路指定プロトコル (routed デーモン) によって使用されます。高位のメトリックを指定すると、経路の優先順位が下がります。 メトリックは、 宛先ネットワークまたはホストへの追加ホップとしてカウントされます。
 
monitor
基礎になっているアダプターを使用可能にして、リンク状況変更のインターフェース・レイヤーを通知する。アダプターはリンク状況コールバック通知をサポートしている必要があります。 マルチパス経路指定が使用されている場合、リンクがダウンすると代替経路が選択されます。
 
-monitor
アダプター・リンク状況のモニターを使用不可にします。
 
mtu Value
システムの最大 IP パケット・サイズを指定します。Value 変数には 60 から 65535 までの範囲の数値を指定できますが、これはメディアに応じて異なります。インターフェースの最大伝送単位 (MTU) 値については、「ネットワークおよびコミュニケーションの管理」の『ネットワーク・インターフェースの自動構成』のセクションを参照してください。
 
netmask Mask
ネットワークをサブネットワークに細分化するために予約する必要のあるアドレス数を指定します。このパラメーターは、inet アドレス・ファミリーにのみ使用することができます。

Mask 変数には、ローカル・アドレスのネットワーク部分とサブネット部分の両方が含まれています。ローカル・アドレスはアドレスのホスト・フィールドから取り出されます。マスクは、標準インターネットのドット 10 進表記による 0x で始まるか、/etc/networks ファイルにリストされている名前または別名で始まる単一の 16 進数として指定することができます。

32 ビット・アドレスでは、Mask 変数には、ネットワーク部分またはサブネット部分用に予約されたビット位置に 1 が入っており、ホストを指定するビット位置に 0 が入っています。Mask 変数には、少なくとも標準ネットワーク部分が入っています。サブネット・セグメントは、ネットワーク・セグメントと隣接しています。

IP アドレスを指定せずに netmask パラメーターを使用すると、指定したインターフェースの最初の IP アドレスのネットマスク値は更新されます。

 
pvc
(ATM ネットワーク・インターフェースのみ)。このインターフェースが相手固定接続 (PVC) タイプの仮想接続のみをサポートすることを指定します。
 
pktchain
このインターフェースが、出力パス上でともにチェーニングされた複数のパケットを処理できること示すフラグを使用可能にします。
 
-pktchain
このインターフェースが、出力パス上でともにチェーニングされた複数のパケットを処理できることを示すフラグを使用不可にします。
 
svc_c server_addr
(ATM ネットワーク・インターフェースのみ)。このインターフェースがスイッチド・バーチャル・サーキット (SVC) と PVC の両タイプの仮想接続をサポートすることを指定します。 このパラメーターはさらに、このインターフェースが ARP クライアントであることを指定します。 server_addr は、このクライアントが使用する ARP サーバーの 20 バイトの ATM アドレスのリストです。このアドレスは、xx.xx....xx. の形式で指定します。 最初の項目は 1 次 ARP サーバーと見なされ、残りの項目は 2 次 ARP サーバーと見なされます。この 20 バイト ARP サーバー・アドレスのリストは、コンマで区切る必要があります。
 
site6
IPv6 サイト番号をセットします (デフォルトは 0)。このコマンドは、複数サイト・ノード上のサイトのローカル・アドレスでのみ使用してください。
 
svc_s
(ATM ネットワーク・インターフェースのみ)。このインターフェースが SVC と PVC の両タイプの仮想接続をサポートすることを指定します。 また、パラメーターは、インターフェースが論理 IP サブネットワーク (LIS) の ARP サーバーであることを指定します。
 
security
将来のために予約されています。
 
snap
将来のために予約されています。
 
-snap
将来のために予約されています。
 
tcp_low_rto
ギガビット・イーサネットおよび 10 ギガビット・イーサネットのような待ち時間の少ない高速ネットワークにおける TCP 接続に対しては、短い再送信タイムアウト (RTO) を使用可能にします。ネットワークでパケットの欠落が発生する場合には、各 TCP 接続は RTO として rto 値を使用します。 rto 値は 0 - 3000 ms の範囲です。このランタイム・オプションは if_isno フラグ・フィールドに設定されなければなりません。 このフラグを有効にするには、use_isno オプションも設定する必要があります。
 
tcp_nocksum
インターフェースに接続されているサブネットのローカル・トラフィックについての TCP データのチェックサム検査を実行できないようにします。 TCP、UDP、IP の各プロトコル・ヘッダーのチェックサム検査は継続されます。 また、このインターフェースを介してリモート・ネットワークから読み取られた TCP データやリモート・ネットワークへ書き込まれた TCP データのチェックサム検査も継続されます。
 
-tcp_nocksum
インターフェースに接続されているサブネットのローカル・トラフィックについての TCP データのチェックサム検査を実行できるようにします。この値がデフォルトです。
 
thread
(inet のみ) インターフェースの専用カーネル・スレッドを構成します。 このパラメーターは、複数の CPU を持つ SMP システムでのみ使用できます。このパラメーターを設定すると入力パケットは、デバイス・ドライバーと入力 demuxer による処理の後、カーネル・スレッドに対するキューに入れられます。 入力パケットは、割り込みレベルで直接処理されるのではなく、IP および TCP または UDP の中でスレッドによって処理されることになります。 このパラメーターを設定することにより、アダプターが高速にもかかわらず割り込み処理中に CPU が 1 個しか使用されないことがボトルネックとなっていた場合に、 他の CPU がカーネル・スレッドを実行している間に入力パケットを処理することが可能になって、スループットが改善されることがあります。 ワークロードによっては、このパラメーターは、スレッド・スケジューリング・ロードにより、パケット当たりロードを増加させ、その結果、CPU 使用率が上昇し、スループットがことによると低下する場合があります。
 
-thread
(inet のみ) thread パラメーターによって構成されているカーネル・スレッド・サポートを使用不可にします。
 
tunnel
トラステッド通信のための専用トンネルを構成します。トンネルは、他のパケット・ヘッダーのペイロードとしてデータ・パケットを送信するために、2 つのトラステッド・ノードの間の仮想リンクを確立します。トンネルは次のいずれかのタイプになります。
汎用経路指定カプセル化 (GRE) トンネル
トンネル端点のソースおよび宛先 IPv4 アドレスを引数として予期します。後には tunnel パラメーター値が続きます。トンネルは 2 つの端点の間に作成されます。
IPv4 over IPv6 トンネル (GIF トンネル)
トンネルのソース IPv6 アドレスを予期します。このアドレスの後には、コンマで区切られた、宛先 IPv4 アドレスと宛先 IPv6 アドレスが続きます。1 対多のトンネルの場合、各ターゲットはコンマで区切られます。
 
transfer tointerface
アドレスとその関連の静的ルートを interface から tointerface に転送します。 IPv6 の場合、このコマンドは ifconfig コマンドを使用して追加されたアドレスでのみ機能します。

ifconfig interface addressfamily address transfer tointerface

注: インターフェース間で IP アドレスを転送するときに、宛先インターフェースが、その IP アドレスが属している仮想 LAN (VLAN) の一部ではない場合、宛先インターフェースが構成されているアダプターにその VLAN を追加する必要があります。
 
up
インターフェースにアクティブ (up) のマークを付けます。パラメーターは、インターフェースの最初のアドレスを設定するときに自動的に使用されます。このパラメーターは、ifconfig down コマンドを発行した後でインターフェースを使用可能にするときにも使用できます。
 
vipa_iflist
この vipa パラメーターを出力パケットでソース・アドレスとして使用する インターフェースのリストにインターフェースを追加します。
 
-vipa_iflist
この vipa を出力パケットでソース・アドレスとして使用するように 構成されているインターフェースのリストからインターフェースを除去します。
 
scope addrscope zone zoneid
addrscope によって指定されたアドレス有効範囲における zoneid によって指定されたトポロジー・ゾーン内に、インターフェースを移動します。IPv6 ゾーンは RFC 4007 で定義します。このパラメーターは inet6 にのみ適用可能です。
rto 再送信タイムアウトをミリ秒で指定します。 この値の範囲は 0 - 3000 です。

要件: ifconfig コマンドを使用して rto の値を設定する前に、no コマンドの timer_wheel_tick の値を設定する必要があります。指定する rto の値は、設定されている timer_wheel_tick の値に等しいかまたはそれを 10 倍にした数値でなければなりません。

一般に Interface Specific Network Options (ISNO) と呼ばれる以下のネットワーク・オプションは、インターフェースごとに構成することができます。

rfc1323 [0 | 1]
RFC 1323、TCP Extensions for High Performance によって指定されたとおり、TCP 拡張を使用可能または使用不可にします。 値 1 は、このインターフェースを使用するすべての TCP 接続が RFC 拡張のネゴシエーションを試みることを指定します。 値 0 は、このインターフェースを使用するすべての接続の rfc1323 を使用不可にします。SOCKETS アプリケーションは、setsockopt サブルーチンにより、この ISNO および個々の TCP 接続上のグローバルな動作を指定変更することができます。
-rfc1323
このネットワークの rfc1323 に対する ISNO の使用を除去します。 SOCKETS アプリケーションは、setsockopt サブルーチンを使用して、個々の TCP 接続上のグローバルな動作を指定変更することができます。
tcp_mssdflt Number
リモート・ネットワークとの通信に使用する、デフォルトの最大セグメント・サイズを設定します。 このインターフェース上で通信する場合は、ソケットは、デフォルトの最大セグメント・サイズの値として Number を使用します。
-tcp_mssdflt
tcp_mssdflt オプションに対する ISNO の使用を除去します。 /usr/sbin/no を通じて操作されるグローバルな値が、その代わりに使用されます。
tcp_recvspace Size
データを受信するインターフェース・ソケット用のデフォルトのソケット・バッファー・サイズを指定します。 このバッファー・サイズは、TCP が使用するウィンドウ・サイズに影響します。(詳しくは、no コマンドを参照してください。)
-tcp_recvspace
tcp_recvspace オプションに対する ISNO の使用を除去します。 その代わりにグローバルな値が使用されます。
tcp_sendspace Size
データを送信するインターフェース・ソケット用のデフォルトのソケット・バッファー・サイズを指定します。 このバッファー・サイズは、TCP が使用するウィンドウ・サイズに影響します。(詳しくは、no コマンドを参照してください。)
-tcp_sendspace
tcp_sendspace オプションに対する ISNO の使用を除去します。 その代わりにグローバルな値が使用されます。
tcp_nodelay [0 | 1]
このインターフェース上で TCP を使用するソケットが、データの送信時に Nagle アルゴリズムに従うかどうかを指定します。デフォルトでは、TCP は Nagle アルゴリズムに従います。
-tcp_nodelay
tcp_nodelay オプションに対する ISNO の使用を除去します。
ヒント: ifconfig コマンドを使用して設定するパラメーターは、次回のシステム再始動時に失われます。パラメーターを永続的に変更するには、各インターフェースごとに chdev コマンドを使用してオブジェクト・データ・マネージャー (ODM) データベースを変更してください。 lsattr -E -l [interface] コマンドを使用してインターフェース属性を表示し、chdev -l [interface] -a [attribute=value] コマンドを使用して属性を変更します。例:
   lsattr -E -l en0
   chdev -l en0 -a tcp_sendspace=65536

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. シリアル・ライン IP インターフェースの状況を照会するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig  sl1
    この例では、照会対象のインターフェースは sl1 です。コマンドの結果は、以下の結果のようなものです。
    sl1:  flags=51<UP,POINTOPOINT,RUNNING>
                inet  192.9.201.3  -->  192.9.354.7  netmask  ffffff00
  2. ローカル・ループバック・インターフェースを構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig  lo0  inet  127.0.0.1  up
  3. ローカル・トークンリング・インターフェースに down のマークを付けるには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig  tr0  inet  down
    この例では、マークされるインターフェースは token0 です。

    注: ネットワーク・インターフェースの構成を修正できるのは、root ユーザー権限を持つユーザーだけです。

  4. en5 上のすべての接続で rfc1323 をオフにするには (グローバル値が 1 と想定)、次のコマンドを入力します。
    ifconfig en0 rfc1323 0
  5. vipa を使用するインターフェースのリストを構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig vi0 vipa_iflist en0,en1,tr0
  6. vipa を使用するように構成されているインターフェースを除去するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig vi0 -vipa_iflist en1,tr0
  7. どのインターフェースが vipa (例えば、ここでは vi0) を使用するように構成されているかを知るには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig vi0
  8. リンク状況モニターを使用可能にするには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig en0 monitor
    アダプター ent0 のリンク状況が down に変化すると、アダプターはインターフェース・レイヤーに通知して、それによりインターフェースが down にマークされます。
  9. 2 つのノードのインターフェース間の汎用経路指定カプセル化 (GRE) トンネルを構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig gre0 tunnel 9.3.149.70 9.3.149.121
    これにより、ローカル・インターフェース 9.3.149.70 とリモート・インターフェース 9.3.149.121 との間の GRE トンネルが作成されます。トンネルのローカル・エンドは gre0 で識別されます。
  10. IP アドレスを、新しく作成されたインターフェースと関連付けるには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig gre0 10.10.10.1
  11. GRE トンネルに NAT を構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig gre0 nat toaddr 127.0.0.1 fromport 80 toport 8080 
    この例では、GRE パケットのオリジナルの宛先ポートは 80 であり、そしてコマンドが宛先ポートを 8080 へ、そして宛先アドレスを 127.0.0.1 へ変更しています。
  12. 1 対多端点 (1 対多トンネル) 間で GIF トンネルを構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig gif0 10.10.10.1 netmask 255.255.255.0 tunnel  2000::4612:6995:6c4a:fa6e 
    10.10.10.10,2000::4612:6995:6c4a:fa6a 10.10.10.11,2000::4612:6995:6c4a:
    fa6b 15.15.15.1,2000::4612:6995:6c4a:f777
    このコマンドはソース (2000::4612:6995:6c4a:fa6e ) と次の 3 つのターゲットとの間に 1 対多トンネルを作成します。
    • 2000::4612:6995:6c4a:fa6a
    • 2000::4612:6995:6c4a:fa6b
    • 2000::4612:6995:6c4a:f777
    またこのコマンドは、GIF インターフェースに 10.10.10.1 IP アドレスを構成します。
  13. 2 つの端点の間に 1 対 1 の GIF トンネルを構成するには、次のコマンドを入力します。
    ifconfig gif0 10.10.10.1 netmask 255.255.255.0 tunnel  2000::4612:6995:6c4a:fa6e 
    10.10.10.10,2000::4612:6995:6c4a:fa66
    このコマンドはソース (2000::4612:6995:6c4a:fa6e) とターゲット (2000::4612:6995:6c4a:fa66) の間に GIF トンネルを作成します。
  14. またこのコマンドは、GIF インターフェースに 10.10.10.1 IP アドレスを構成します。

ファイル

項目 説明
/etc/host ホスト名データベースが入っています。
/etc/networks ネットワーク名が入っています。