sysdumpdev コマンド
目的
従来型のシステム・ダンプとファームウェア支援システム・ダンプに関連する 情報と設定を表示し、変更します。
構文
sysdumpdev -P { -p device | -s device } [ -q ] [ -i ]
sysdumpdev [ -p device | -s device ] [ -q ]
sysdumpdev [ -d directory | -D directory | -e | -I | [ -k | -K ] | -l | -p device | -q | -s device | -z ]
sysdumpdev [ -i ]
sysdumpdev -L { -v | -S device }
sysdumpdev [ -t { traditional | fw-assisted } ] [ -f {disallow, allow, require }]
説明
sysdumpdev コマンドは、実行中のシステムの 1 次または 2 次のダンプ・デバイス指定を変更します。1 次ダンプ・デバイスおよび 2 次ダンプ・デバイスは、システム構成オブジェクト内で指定されます。新規デバイスの指定は、sysdumpdev コマンドを再度実行するか、システムを再始動するまで有効です。
sysdumpdev コマンドにまったくフラグを使用しないと、SWservAt ODM オブジェクト・クラスに定義されているダンプ・デバイスが使用されます。デフォルトの 1 次ダンプ・デバイスは /dev/hd6 です。デフォルトの 2 次ダンプ・デバイスは /dev/sysdumpnull です。 システムに 4 GB 以上のメモリーがある場合、デフォルト・ダンプ・デバイスは /dev/lg_dumplv であり、/dev/lg_dumplv は専用ダンプ・デバイスです。 AIX V7.1 では、ファームウェア支援ダンプ機能が拡張され、デフォルトのシステム・ダンプ方法として指定されます (プラットフォームでサポートされている場合)。
- ミラーリングされたページング・スペースが、ダンプ・デバイスとして使用される場合があります。
- ディスケット・ドライブは、ダンプ・デバイスとして使用しないでください。
- ページング・デバイスを使用する場合は、1 次ページング・デバイスである hd6 のみを使用してください。 AIX® オペレーティング・システムでは、ルート・ボリューム・グループ (rootvg) での任意のページング・デバイスを 2 次ダンプ・デバイスとして使用することをサポートしています。
- テープや DVD などの取り外し可能デバイスを使用している場合は、ダンプは複数のボリュームにまたがらないことに注意してください。 したがって、ダンプは単一ボリューム上に適合しなければなりません。
- AIX バージョン 6.1 (6100-01 テクノロジー・レベル適用) では、iSCSI ソフトウェア・イニシエーター デバイスをファームウェア支援システム・ダンプのダンプ・デバイスとしてルート・ボリューム・グループ (rootvg) に構成することができます。
- AIX 6.1 ではシン・サーバー用のリモート・ダンプがサポートされています。 NIM クライアント上でダンプ・リソースを、1 次ダンプ・デバイスの構成のみに使用できる iSCSI ディスクとして 見るには、NIM マスター上で相対ダンプ・リソースを定義する必要があります。iSCSI ディスク・デバイスには ファームウェア支援システム・ダンプのみを構成できます。
- AIX バージョン 6.1 (6100-06 テクノロジー・レベル適用) では、カーネル・メモリーのファームウェア支援ダンプを構成できます。
AIX 6.1 以降のバージョンでは、すべてのダンプが圧縮されます。 ダンプ・デバイスからファイルにダンプをコピーするには、savecore コマンドを使用する 必要があります。
- ダンプ・サイズ見積もりの戻し
- 最新ダンプに関する情報の表示
- 新規ダンプの検出
-t フラグは、ダンプのタイプを指定します。 その可能性のある値は、traditional と fw-assisted です。
-f フラグは、全メモリー・システム・ダンプ・モードを指定します。 このモードは、ファームウェア支援システム・ダンプの場合のみ該当します。 このモードでは、ダンプはオペレーティング・システムと関係なく実行されます。 すべての区画メモリーはダンプに保存されます。
rootvg 以外のボリューム・グループでの sysdumpdev の実行
ダンプ論理ボリュームが、永続的なダンプ・デバイスでなく、従来型のシステム・ダンプ専用であれば、 それをルート・ボリューム・グループ以外で使用できます。 例えば、-P フラグが指定されていない場合です。 ただし、ページング・スペースを選択した場合は、ダンプ・デバイスは rootvg 内にないかぎりコピーできません。ダンプ・デバイスのコピーが必要な場合は、ページングが開始されるまでは、rootvg のみがアクティブです。
1 次ダンプ・デバイスは、常に永続的なダンプ・デバイスのルート・ボリューム・グループになければなりません。2 次デバイスはページング・スペースでないかぎり、ルート・ボリューム・グループの外にある場合があります。
フラグ
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| -d directory | システム・ブート時にダンプがコピーされる directory を指定します。ブート時にコピーが失敗した場合は、-d フラグを使用してシステム・ダンプを無視することができます。 |
| -D directory | システム・ブート時にダンプがコピーされる directory を指定します。ブート時にコピーが失敗した場合は、 -D フラグを使用して外部メディアにダンプをコピーすることができます。
注: -d directory または -D directory フラグを使用した場合、以下のエラー条件が検出されます。
|
| -e | 現在実行中のシステムのダンプ・サイズ (バイト単位) を見積もります。 表示されるサイズは、圧縮ダンプの見積もりサイズです。 |
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| -f{ disallow | allow_kernel | require_kernel | allow_full | require_full } | ファームウェア支援システム・ダンプがカーネル・メモリーまたは全メモリーのダンプを
許可、要求、または禁止するかどうかを指定します。
カーネル・メモリー・モードまたは全メモリー・モードでは、ダンプはオペレーティング・システムと関係なく実行されます。
すべてのカーネル関連メモリーは、カーネル・メモリー・システム・ダンプに保存されます。
すべての区画メモリーは、全メモリー・システム・ダンプに保存されます。
-f フラグには、以下の変数があります。
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| -i | sysdumpdev コマンドがシステム機能から呼び出されたことを示します。 このフラグを使用するのは、システム・ユーティリティーだけです。 -i フラグは、有効な値が、自動的な IBM® 機能以外の機能によって変更された場合、要求の変更は行いません。すなわち、-i フラグは前の変更をオーバーライドしません。 |
| -I | 以前の変更の指示をリセットします。 -I フラグを指定すると、 -i フラグでの変更が許可されます。 |
| -k | マシンにキー・モード・スイッチがある場合、ダンプ・キー・シーケンスでダンプを強制するにはまずスイッチをサービス位置に切り替える必要があります。 |
| -K | マシンにキー・モード切り替えがある場合は、リセット・ボタンまたはダンプ・キー・シ
ーケンスは、通常の位置でそのキーを持つダンプを強制するか、またはキー・モード切り
替えを持たないコンピューター上でダンプを強制します。
注: キー・モード・スイッチのないマシンでは、この値を設定しない限りキー・シーケンスでダンプを強制できません。
|
| -l | 1 次および 2 次ダンプ・デバイスの現在の値、コピー・ディレクトリー、および forcecopy 属性をリストします。
-l フラグは、現在のダンプ・タイプも表示します。以下のリストは、表示される可能性のある値を示したものです。
|
| -L | 最新のシステム・ダンプに関する統計情報を表示します。この情報には、最新ダンプの日時、書き込まれたバイト数、および完了状況が含まれます。-L フラグは、ダンプの圧縮サイズと非圧縮サイズの両方を表示します。圧縮後のサイズは、
ダンプ・デバイスに実際に書き込まれたダンプのサイズです。
前のダンプが不揮発性メモリー内に記録されなかった場合は、このフラグが既存のダンプのダンプ・デバイスをスキャンします。
注:
|
| -P | -p または -s フラグで指定されたダンプ・デバイスを永続化します。-P フラグは、-p または -s フラグとの併用のみが可能です。 |
| -p device | 1 次ダンプ・デバイスを指定されたデバイスに一時的に変更します。 デバイスとして、論理ボリューム、書き込み可能 DVD、またはリモート・ダンプ用に NIM で 構成されたテープ・デバイスまたは iSCSI ディスクを指定することができます。 |
| -q | 標準出力へのすべてのメッセージを抑制します。このフラグを -l、-z、または -L フラグと同時に使用すると、-q フラグは無視されます。 |
| -s device | Device は、2 次ダンプ・デバイスを指定されたデバイスに一時的に変更します。 -p フラグで有効なデバイスがここでも有効です。 |
| -S device | 特定のダンプ・デバイスをスキャンして、有効な圧縮ダンプがあるか調べます。ダンプは、パラレル・ダンプ・サポート付きの AIX リリースから行う必要があります。 このフラグを使用できるのは、-L フラグと一緒に場合に限ります。 |
| -t{ traditional | fw-assisted } | 実行するダンプのタイプを指定します。
-t フラグには、以下の変数があります。
ファームウェア支援システム・ダンプ・タイプが構成時に許可されていない場合、またはダンプ要求時に強制実行されない場合は、従来型のシステム・ダンプが実行されます。またスクラッチ域が予約されるのは初期化時のみであるため、従来型システム・ダンプからファームウェア支援システム・ダンプへの構成変更は、システムがリブートされるまで有効になりません。 |
| -v | ダンプ状況が 0 以外の場合、このオプションは使用可能なダンプ・デバッグ情報を表示します。 デバッグ・データが使用可能な場合は、サービス機能によりダンプ障害の診断に使用されます。 このフラグは、必ず -L フラグと共に使用してください。 |
| -z | 新規のシステム・ダンプが存在するかを判別します。存在すれば、ダンプのサイズ (バイト単位) とそのダンプ・デバイスの名前を含む文字列が標準出力に書き出されます。新規のシステム・ダンプが存在しなければ、何も出力されません。sysdumpdev -z コマンドが既存のシステム・ダンプ上で実行された後は、そのダンプは最新とは見なされなくなります。 |
フラグを指定しないで sysdumpdev コマンドを使用すると、デフォルト・ダンプ・デバイスが使用されます。
セキュリティー
アクセス制御: root ユーザーだけがこのコマンドを実行できます。
エラー・コード
| ダンプ状況 | 説明 | LED 値 |
|---|---|---|
| 0 | ダンプは正常に完了しました。 | 0C0 |
| -1 | ダンプ・デバイスが定義されていません。 | 0C8 |
| -2 | ダンプ・デバイスが小さすぎます。 | 0C4 |
| -3 | ダンプがクラッシュしたか、開始されていません。 | 0C5 |
| -4 | 入出力エラー | 0C1 |
例
- 現行のダンプ・デバイス設定を表示するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -lこのコマンドが表示するダンプのタイプについて詳しくは、『フラグ』セクションにある -l フラグの説明を参照してください。
- 論理ボリューム hd7 を 1 次ダンプ・デバイスとして指定するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -p /dev/hd7
- 磁気テープ・デバイス rmt0 を 2 次ダンプ・デバイスとして指定するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -s /dev/rmt0
- 前のダンプ呼び出しからの情報を表示するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -L
- 1 次ダンプ・デバイスのデータベース・オブジェクトを永続的に /dev/newdisk1 に変更するには、以下のコマンドを入力します。
- 新規システム・ダンプが存在するかどうかを判別するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -z最近システム・ダンプが行われた場合は、以下の出力に似た出力が表示されます。
4537344 /dev/hd7 - ダンプ・デバイスが /dev/hd6 の場合、システム・クラッシュ後のダンプのコピー先のディレクトリーを指定するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -d /tmp/dumpこのコマンドは、システム・クラッシュ後にダンプを /dev/hd6 から /tmp/dump にコピーしようとします。コピー中にエラーが発生した場合、システムはブートを継続し、ダンプは失われます。
- ダンプ・デバイスが /dev/hd6 の場合、システム・クラッシュ後のダンプのコピー先のディレクトリーを指定するには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -D /tmp/dumpこのコマンドは、システム・クラッシュ後にダンプを /dev/hd6 から /tmp/dump ディレクトリーにダンプをコピーしようとします。コピーが失敗した場合は、メニューが出されます。このメニューを使用して他の外部メディアに手動でダンプをコピーすることができます。
- ダンプ・デバイスでダンプのスキャンを行うには、以下のコマンドを入力します。
sysdumpdev -L -S /dev/hd6