VIPA の移動 (TCP/IP 障害の場合)

VIPA は、物理インターフェースの障害時には、IP データの再ルーティングを中断なく行えるようにしますが、スタックや関連 z/OS® の終了 (計画停止も含まれる) では、終了したスタック上のアプリケーションへの接続や UDP セッションが中断します。TCP 接続または UDP セッションの障害は、クライアントからは見えますが、障害の期間は、どれだけの時間、クライアント・アプリケーションが該当のサーバー・アプリケーションに再接続できなかったかで判断されます。大規模な企業では、 1 つのアプリケーションの複数のインスタンスが異なる z/OS イメージ上に存在していることがよくあるため、VIPA アドレスがそのアプリケーションをサポートする 別のスタックに移動できれば、クライアントは再接続でき、認識される障害は終了します。

特定の物理装置に関連付けられた IP アドレスは、所有するスタックが 再始動するまでは使用できません。ただし、VIPA は、どの特定の物理インターフェースにも関連付けられていません。スタックの終了が検出され、 適切なアプリケーションが既に別のスタックでアクティブな場合、 VIPA を移動することができます。終了したスタック上の接続は中断しますが、 元の VIPA を使用して、バックアップ・スタック上で接続を再び確立することができます。

静的 VIPA のバックアップ・スタックへの移動は、バックアップ上で VARY TCPIP,,OBEYFILE コマンドを使用して行います。 コマンドで指定されたデータ・セットには、DEVICE、LINK、HOME の適切なセット、 およびオプションで IPv4 静的 VIPA の BSDROUTINGPARMS ステートメントまたは IPv6 静的 VIPA の INTERFACE ステートメントが含まれている必要があります。 OMPROUTE をルーティング・デーモンとして使用する場合は、 OMPROUTE 構成ファイルに該当のインターフェース・ステートメントが必要です。 VIPA を定義するステートメントを含む TCP/IP 構成ファイルを あらかじめ作成しておけば、自動化により転送を行うことができます。このプロシージャーは、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」に説明されています。一方、DVIPA の移動は、別のスタックに定義されている特定の DVIPA のバックアップをとるスタックを構成することで実現できます。この場合、定義しているスタックに障害が起こると、DVIPA はオペレーターの介入や余分な自動化を必要とせずに、移動されます。 詳しくは、動的 VIPA テークオーバーの計画を参照してください。移動する VIPA のタイプに関係なく、 該当のサーバー・アプリケーションを持つバックアップ・スタックに 確実に VIPA が移動されるようにするのは、システム・プログラマーまたはオペレーターの責任です。

障害のない場合は、VIPA は他の IP アドレスとまったく同じであり、VIPA のルーティングは、物理リンクに関連付けられている IP アドレスの場合と同じです。