System z Integrated Information Processor を使用した追加の IPSec 補助機構 (zIIP IP セキュリティー)

System z9® 以降のサーバーでは、System z® Integrated Information Processor (zIIP) で IPSec プロトコル・トラフィックに対する追加の補助機構が使用可能です。Communications Server で zIIP IP セキュリティーを使用可能にするには、GLOBALCONFIG ステートメントで ZIIP IPSECURITY を指定します。 zIIP IP セキュリティーが使用可能である場合、AH および ESP プロトコルを使用するトラフィックを、使用可能な zIIP で処理できます。zIIP が組み込まれた z9® 以降の z/OS® イメージで、zIIP IP セキュリティー機能が使用可能である場合、単に CPACF または暗号コプロセッサーを使用して実現できる以上に、汎用中央処理装置の IPSec 処理負荷を減らすことができます。

zIIP IP セキュリティーが使用可能である場合、一部のワークロード・マネージャー (WLM) 定義の変更が必要な場合があります。使用可能な zIIP プロセッサーで処理可能な IPSec トラフィックは、独立した WLM エンクレーブに割り当てられます。WLM 独立エンクレーブは、WLM サービス・クラスで別々に分類され、管理される実行単位として IPSec ワークロードをカプセル化します。以下の考慮事項を参照してください。

独立エンクレーブにより WLM はエンクレーブ内のすべてのワークロードの優先順位を管理できるので、IPSec トラフィック用のワークロードを分類する必要があります。IPSec ワークロードに使用される独立エンクレーブを分類するには、WLM ISPF パネルを使用して以下の WLM サービス定義を作成してください。

  1. 独立エンクレーブで動作する IPSec トラフィックのワークロードを作成します。

    1 次 WLM ISPF パネルから、オプション 2 Workloads を選択します。

  2. IPSec 独立エンクレーブに対する適切なパフォーマンス目標を含むサービス・クラスを作成します。

    1 次 WLM ISPF パネルで、オプション 4 Service Classes を選択します。このパネルから、新しいサービス・クラスを定義し、あらかじめ定義したワークロードに関連付けます。定義された単一期間に対する BASE GOAL 情報を定義する場合は、目標タイプ Execution velocity を選択してください。これが選択された後、定義しようとするサービス・クラスに速度と重要度を定義します。zIIP または汎用中央処理装置リソースを得るために競争する他のトラフィックを考慮した値を設定します。(SYS1.PARMLIB の IEAOPTxx メンバーで IIPHONORPRIORITY パラメーターを値 YES に設定した場合、汎用中央処理装置が要因になります。)

  3. TCP/IP 用の WLM サブシステム・タイプを作成します。

    サブシステム・タイプ名を TCP として指定する必要があります。WLM ISPF アプリケーションを使用して定義してください。1 次 WLM ISPF パネルで、オプション 6 Classification Rules を選択します。Subsystem Type Selection List for Rules パネルが表示されます。カーソルを Subsystem-Type フィールドに移動し、Enter キーを押します。実行したい操作のタイプを入力するように求められたら、オプション 1 Create を選択します。これは、新しいサブシステム・タイプを作成する必要があるからです。 Create Rules for the Subsystem Type パネルで、サブシステム・タイプ TCP と、この新しいサブシステム・タイプの説明を指定します。

  4. WLM ISPF アプリケーションの Create Rules for the Subsystem Type パネルで、サブシステム・タイプ TCP の分類規則を作成します。
    サブシステム・タイプに対して分類規則を定義します。この規則は、このサブシステム・タイプのサービス・クラスにどのワークロードが関連付けられるかを決定します。 IPSec ワークロードの新しい独立エンクレーブに対して、以下のワークロード修飾子を使用できます。
    • サブシステム・インスタンス (SI) は、TCP/IP スタックのジョブ名に設定されます。
    • トランザクション名は値 TCPENC01 に設定されます。

新しい独立エンクレーブが適切な WLM サービス・クラスで使用されることを確認するには、システム表示/検索機能 (SDSF) ENC コマンドを使用するか、RMF™ Monitor III ENCLAVE レポートを表示します (または、対話式に RMF データを表示する他の方法を使用します)。

ワークロード・マネージャー (WLM) サービス定義 (ワークロード、サービス分類、分類規則、サブシステム・タイプなど) および WLM 全般の詳しい説明については、「System Programmer's Guide to: Workload Manager」(IBM® Redbooks®) および「z/OS MVS 計画: ワークロード管理」を参照してください。SYS1.PARMLIB の IEAOPTxx メンバー内の IIPHONORPRIORITY パラメーターの構成については、「z/OS MVS 初期設定およびチューニング 解説書」を参照してください。SDSF を使用したエンクレーブの表示について詳しくは、「z/OS SDSF オペレーションおよびカスタマイズ」を参照してください。 RMF ワークロード・アクティビティー報告書に関する追加情報については、「z/OS RMF Report Analysis」を参照してください。

zIIP のないシステム・モデル (z990、または zIIP が構成されていない z9 以降のモデル) で zIIP IP セキュリティーを使用可能にして、z/OS イメージで zIIP が使用可能であれば zIIP で実行するのに適格な、既存の IPSec ワークロード (中央処理装置で実行している) の割合を見積もることができます。見積もりの分析を実行するには、GLOBALCONFIG ステートメントで ZIIP IPSECURITY を指定し、SYS1.PARMLIB の IEAOPTxx メンバーで PROJECTCPU=YES を指定します。 IPSec ワークロードを実行すると、zIIP で実行するのに適格なワークロードに関するアカウンティング情報を SMF が提供します。SYS1.PARMLIB の IEAOPTxx メンバー内の PROJECTCPU パラメーターの構成について詳しくは、「z/OS MVS 初期設定およびチューニング 解説書」を参照してください。SMF レコード・タイプ 30 および 7x での zIIP の適格性のアカウンティングについては、「z/OS MVS システム管理機能 (SMF)」を参照してください。zIIP に関連した報告書の更新については、「z/OS RMF Report Analysis」を参照してください。

ガイドライン: