ポリシー・ベースのルーティングでは、TCP/IP スタックは、宛先 IP アドレス以外の基準も考慮に入れてルーティングを決定することができます。追加の基準には、ジョブ名、ソース・ポート、宛先ポート、プロトコル・タイプ (TCP または UDP)、ソース IP アドレス、NetAccess セキュリティー・ゾーン、マルチレベル・セキュア環境セキュリティー・ラベルがあります。次のようなシナリオ例で、ポリシー・ベース・ルーティングが便利です。
- バッチ・トラフィックには高帯域幅リンクを使用し、対話式トラフィックには待ち時間の少ないリンクを使用したいものとします。その場合、Telnet トラフィックは待ち時間の少ないリンクを介して経路指定され、FTP トラフィックは高帯域幅リンクを介して経路指定されるようにポリシーを定義できます。
- セキュリティー・ラベルとゾーンでタグ付けされるトラフィックが、適切なアウトバウンド・インターフェースを介してセキュア・ネットワークに経路指定されることを確実にするポリシーを定義できます。
- Enterprise Extender トラフィックで使用されるリンクを制御して、そのトラフィックが他の IP トラフィック・ロードによる影響を受けないようにすることができます。
制約事項: - ポリシー・ベース・ルーティングは、TCP/IP スタックで発生する TCP および UDP トラフィックのみに適用されます。ポリシー・ベース・ルーティングを使用している場合でも、以下のタイプのトラフィックは、常にメイン経路テーブルを使用してルーティングされます。
- TCP および UDP 以外のプロトコルを使用するトラフィック
- TCP/IP スタックが使用するトラフィック
- Ping コマンドおよび Traceroute コマンドのためのトラフィック
- 共通 INET (CINET) を使用して複数の z/OS® Communications Server TCP/IP スタックを並行して実行する場合、CINET は、それらの TCP/IP スタックで使用されるポリシー・ベース経路テーブルを認識しません。CINET が認識するのは、各 TCP/IP スタックのメイン経路テーブル内の経路のみです。次の条件の 1 つ以上があてはまる場合を除いて、CINET 環境でポリシー・ベース・ルーティングを使用しないでください。
- すべてのアプリケーションが、特定の TCP/IP スタックとのアフィニティーを確立する。
- 各 TCP/IP スタック経路テーブル内の経路宛先が、デフォルト経路を含めて、他の TCP/IP スタックの経路宛先と相互に排他的である。