モニター・インターバルごとに、リゾルバーは直前の 30 秒間または 5 分間で失敗したネーム・サーバーに対する照会のパーセンテージを計算し、このパーセンテージを UNRESPONSIVETHRESHOLD ステートメントで設定したしきい値と比較して、DNS ネーム・サーバーが無応答であるかどうかを判別します。リゾルバーがネーム・サーバーに対して照会を複数回送信し、ネーム・サーバーがこの複数の照会に対して応答しない場合、それぞれの照会は応答に対する固有の失敗と見なされます。UNRESPONSIVETHRESHOLD 値を指定する場合は、設定の有効性に影響を与える次の要因について考慮してください。
- この値に低いパーセンテージを指定すると、過剰な数のオペレーター通知が発生する可能性があります。30 秒または 5 分のモニター・インターバルの間に短いネットワーク中断が発生すると、リゾルバー照会あるいはネーム・サーバーの応答が配信不能となる場合があります。また、しきい値の値が低いと、リゾルバーはオペレーターに対して不必要にアラートを出したり、そのネーム・サーバーの使用を停止する結果となってしまう可能性があります。
- この値に対して大きなパーセンテージを指定すると、実際にはリゾルバー照会の重要の部分がネーム・サーバーによって処理されていないにもかかわらず、ネットワークまたはネーム・サーバーでの永続的な問題が検出されない可能性があります。
- TCPIP.DATA ファイルの RESOLVERTIMEOUT ステートメントの設定もまた、UNRESPONSIVETHRESHOLD 設定に指定する値に影響を与えます。非常に短いタイムアウトの値を設定すると、わずかのネットワーク中断でもネーム・サーバーの応答の遅延が RESOLVERTIMEOUT 値で指定した時間よりも長くなる可能性があります。これらの遅延は、ネーム・サーバーからの無応答と見なされ、このネーム・サーバーに対して不要なメッセージが生成される可能性があります。このような場合、UNRESPONSIVETHRESHOLD 値としてアグレッシブでない (高くない) パーセンテージを設定することは妥当なことです。
- TCPIP.DATA ファイルの RESOLVERUDPRETRIES、SEARCH、および NAMESERVER ステートメントの設定も、ネーム・サーバーでの見かけ上の失敗の数を増加させる原因となります。これらの設定がリゾルバーによって収集される統計に与える影響について詳しくは、DNS ネーム・サーバーのリゾルバー・モニターの例を参照してください。
ガイドライン: あるネーム・サーバーについてエラー率を判別して、最適なしきい値を設定する場合、無応答のネーム・サーバーのオートノミック静止機能をアクティブにする前に、エラー率を判別してください。
最適なしきい値を選択するために使用できる 1 つの戦略は、デフォルト設定値 (25%) から始め、ネットワークの通常の操作中に発生するネットワーク・オペレーター・メッセージがあれば、その数を調べることです。
- ネットワークが無難に動作している場合 (例えば、パフォーマンスの問題やホスト名または IP アドレス解決の遅延が検出されない場合)、リゾルバーによって生成されるネットワーク・オペレーター・アラートの数を調べます。
- ネットワーク・オペレーター・メッセージの数がゼロまたはわずかである場合は、設定をデフォルト値のままにしておくか、あるいはしきい値を少しだけ低くします。
- ネットワーク・オペレーター・メッセージの数が過多の場合は、リゾルバーによって見掛け上多数の否定的な条件が検出されていることが示唆されています。生成されるメッセージの数が使用中のネットワークにとって適切な数になるまで、しきい値の設定を増やしてください。
- ネーム・サーバーが応答可能になっているが、失敗率がしきい値より少しだけ低い場合、ネーム・サーバーはネットワーク内の小さな中断によって再び無応答となる可能性があります。ネットワークが現在のところ満足のいく状態で動作している場合、ネットワークの条件が大きく変化した場合にのみリゾルバーが EZZ9308E メッセージを出すようにしきい値の値を増やすことを検討してください。メッセージ EZZ9309I が出されたときに表示される統計を使用して、しきい値の設定をより最適な値に変更します。
- ネットワークが、リゾルバーの遅延が原因かもしれないパフォーマンスの問題を経験している場合 (例えば、説明のつかないアプリケーションの遅延など)、反応性のしきい値の設定を低くして、ネーム・サーバーの問題がリゾルバーによって検出されているが、無応答としては報告されていないのではないかどうかを判別してください。この低いしきい値によって、リゾルバーが無応答のネーム・サーバーを識別するネットワーク・オペレーター・メッセージを多数生成し、それがネットワーク操作に影響を与えている場合には、正常な操作でこの低い値を使用して、ネーム・サーバーの問題をよりタイムリーに識別できるようにすることを検討してください。
最適なしきい値を選択するために使用できる 2 番目の戦略は、最も低いしきい値の設定 (1%) から始めることです。送信されるリゾルバー照会全体のうち小さな割合の照会に対して、ご使用のネーム・サーバーが応答に失敗した場合、リゾルバーは EZZ9308E メッセージを生成します。5 分のインターバルでは、リゾルバーは EZZ9310I メッセージも生成します。これは、最新の 5 分間隔のスライディング・ウィンドウにおける失敗のパーセンテージを示します。EZZ9310I メッセージを使用して、ネットワークの通常操作中の最も高い失敗率を判別し、しきい値をその割合に設定するか、またはその割合よりも少し上の値に設定します。例えば、EZZ9310I メッセージに表示された最も高い失敗のパーセンテージが 4% の場合、ご使用のネットワークでしきい値を 5% に設定します。この値を設定することで、ご使用のネットワークで通常発生する割合よりも高い失敗率が発生したときのみに、リゾルバーはネーム・サーバーを無応答と見なします。