オブジェクト・クラスの概要

LDAP サーバーで定義されるポリシーは、1 つ以上のオブジェクトで構成され、各オブジェクトには、定義済みのオブジェクト・クラスと固有の名前が付いています。オブジェクト名は、LDAP 識別名 (DN) の形式になっています。これは、相対識別名 (RDN) と呼ばれる個々のパーツで 構成されているテキスト・ストリングです。命名の構造では、階層ファイル・システムにおけるディレクトリーと同様の方法で、階層ツリーが定義されます。例えば、以下のオブジェクト・セットについて考えてみます。
Object 1, DN: o=IBM, c=US
Object 2, DN: cn=group_1, o=IBM, c=US
Object 3, DN: cn=group_5, o=IBM, c=US
Object 4, DN: cn=group_1_sub_A, cn=group_1, o=IBM, c=US

このオブジェクト・セットは、オブジェクト 1 をルートとしたツリーとして見ることができます。オブジェクト 2 と 3 はルートの下の分岐で、オブジェクト 4 はオブジェクト 2 の下の分岐です。使用する名前は、それらが定義しているオブジェクトの属性です。例えば、名前が "cn=group_1" で始まるオブジェクト 2 には、group_1 の値を指定した cn 属性が入っています。LDAP の命名について詳しくは、「z/OS IBM Tivoli Directory Server Administration and Use for z/OS」を参照してください。

オブジェクト・クラス名は、各 LDAP オブジェクトのタイプを定義します。 top オブジェクト・クラスは定義済みで、 他のすべてのオブジェクト・クラスのルートです。

オブジェクト・クラスには次の 3 つのタイプがあります。
要約オブジェクト・クラス
ポリシーなどの広い概念の定義や、すべてのサブクラスに適用される基本的な属性の定義に使用します。
構造オブジェクト・クラス
基本構成ブロックで、LDAP サーバー上の実際のオブジェクトとしてインスタンスを生成可能な唯一のタイプのオブジェクト・クラスです。
補助オブジェクト・クラス
異なる構造オブジェクト・クラス間で共用される属性の定義、またはオブジェクトの基本セットの拡張に使用します。
補助クラスの属性は、それらを構造オブジェクトに組み込むことによって、また補助オブジェクト・クラスを構造オブジェクトの objectClass 属性の値の 1 つとして組み込むことによって、構造オブジェクトに付加 されます。

ポリシー・エージェントは、以下のオブジェクト・クラスを認識します。字下げはサブクラスを定義しています。例えば ibm-policyGroup は ibm-policy のサブクラスであり、ibm-policy に定義されたすべての属性を継承しています。

図 1. LDAP スキーマ・オブジェクト・クラスの階層
最上部に root があり、下にサブクラスとブランチが要約、構造、補助のオブジェクト・クラスのタイプで存在する
注: 図 1 の中で太字のイタリック体で示されているクラスは、スキーマ・バージョン 2 用であり、似た名前をもつスキーマ・バージョン 3 クラスとは互いに排他的です。
オブジェクト・クラス名 オブジェクトの目的
Top LDAP 階層ツリーのルートを固定するために用いられる。
ibm-policy すべてのポリシー・オブジェクトのルートとして用いられる。
ibm-policyGroup ポリシー・グループ・オブジェクトを定義する。
ibm-policyRule ポリシー規則オブジェクトを定義する。
ibm-policyRuleConditionAssociation ポリシー規則オブジェクトとポリシー条件との間の関連を定義する。
ibm-policyRuleActionAssociation ポリシー規則オブジェクトとポリシー・アクションとの間の関連を定義する。
ibm-PolicyInstance 再使用可能ポリシー・オブジェクトのインスタンスを定義する。
ibm-PolicyConditionInstance 再使用可能ポリシー条件オブジェクトのインスタンスを定義する。
ibm-PolicyActionInstance 再使用可能ポリシー・アクション・オブジェクトのインスタンスを定義する。
ibm-PolicyElementAuxClass 非ポリシー・オブジェクトにポリシー・オブジェクトとしてタグ を付けるのに使用できる補助クラスを定義する。
ibm-policyCondition ポリシー条件オブジェクトを定義する。(スキーマ・バージョン 2 - マイグレーションのためにサポート)
ibm-policyTimePeriodCondition ポリシー規則がアクティブであると見なされる時間枠を表すための補助クラスを定義する。(スキーマ・バージョン 2 - マイグレーションのためにサポート)
ibm-networkingpolicyCondition ネットワーキング・ポリシー条件を定義するために使用される ibm-PolicyCondition のサブクラスを定義する。(スキーマ・バージョン 2 - マイグレーションのためにサポート)
ibm-policyAction ポリシー・アクション・オブジェクトを定義する。(スキーマ・バージョン 2 - マイグレーションのためにサポート)
ibm-serviceCategories ポリシー・アクションの QoS 属性セットを表すための補助クラスを定義する。(スキーマ・バージョン 2 - マイグレーションのためにサポート)
ibm-policyConditionAuxClass 一般ポリシー条件の補助クラスを定義する。
ibm-policyTimePeriodConditionAuxClass ポリシー規則がアクティブであると見なされる時間枠を表すための補助クラスを定義する。
ibm-networkingPolicyConditionAuxClass ネットワーキング・ポリシー条件を定義するために用いられる補助クラスを定義する。
ibm-routeConditionAuxClass ポリシー規則の QoS ルーティング条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-hostConditionAuxClass ポリシー規則の QoS ホスト (終端) 条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-applicationConditionAuxClass ポリシー規則の QoS アプリケーションおよびトランスポート条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsConditionAuxClass 一般 IDS 条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsAttackConditionAuxClass IDS アタック条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsIPAttackConditionAuxClass IDS IP アタック条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsTrafficRegulationConditionAuxClass IDS トラフィック調整条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsScanConditionAuxClass IDS グローバル・スキャン条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsScanEventConditionAuxClass IDS スキャン・イベント条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsTransportConditionAuxClass IDS トランスポート条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsHostConditionAuxClass IDS ホスト条件を表すための補助クラスを定義する。
ibm-policyActionAuxClass 一般ポリシー・アクションの補助クラスを定義する。
ibm-serviceCategoriesAuxClass ポリシー・アクションの QoS 属性セットを表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsActionAuxClass 一般 IDS アクションを表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsNotificationAuxClass IDS アクションの通知オプションを表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsAttackActionsAuxClass IDS アクションのアタック属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsFloodAttackActionsAuxClass IDS アクションのフラッディング固有のアタック属性を表す補助クラスを定義する。
ibm-idsTrafficRegulationActionAuxClass IDS アクションの一般トラフィック調整属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsTRtcpActionAuxClass IDS アクションのトラフィック調整 TCP 属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsTRudpActionAuxClass IDS アクションのトラフィック調整 UDP 属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsScanActionAuxClass IDS アクションのグローバル・スキャン属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsScanSensitivityActionAuxClass IDS アクションのスキャン感度属性を表すための補助クラスを定義する。
ibm-idsScanExclusionActionAuxClass IDS アクションのスキャン除外リストを定義するための補助クラスを定義する。
ibm-policyRepository 一般再使用可能ポリシー・オブジェクトのリポジトリーを定義する。
ibm-policySubtreesPtrAuxClass ポリシー・エージェントによって検索する、LDAP ディレクトリー・ツリー内のサブツリーを指すポインターを表すための補助クラスを定義する。これによってサブツリー全体を一度に検索でき、状態によっては検索のパフォーマンスが向上する。
ibm-policyGroupContainmentAuxClass ポリシー・グループ・オブジェクトを別のポリシー・グループにバインディングするための補助クラスを定義する。
ibm-policyRuleContainmentAuxClass ポリシー規則オブジェクトを別のポリシー・グループにバインディングするための補助クラスを定義する。
ibm-policyGroupLoadDistributionAuxClass ポリシー・グループのロード分散属性を表すための補助クラスを定義する。ロード分散属性は、この補助クラスが付加されたグループが指すすべてのポリシー規則に適用される。
SetSubnetPrioTosMask アウトバウンド IPv4 パケット Type of Service (ToS) バイトまたは IPv6 パケット Traffic Class 値の、QDIO 装置優先順位および仮想 LAN (VLAN) ユーザー優先順位へのマッピングを定義する。

ポリシー・オブジェクトは、以下の目的を達成するために使用されます。