NAT トラバース時の IPSec カプセル化 FTP トラフィックに関する考慮事項

FTP は、制御接続とデータ接続の両方を必要とします。 アクティブ・モードの FTP の場合は、クライアントが制御接続を開始し、IP アドレスとポート情報をサーバーに提供してデータ接続を開始します。 クライアントが NAT 背後の場合は、クライアントは自分自身のプライベート IP アドレスを提供します。NAT は、カプセル化されていないパケットに対しては FTP データ内の IP アドレスを更新します。しかし、IPSec カプセル化を使用して FTP 接続が保護されている場合、NAT は FTP データ内の IP アドレスを更新できません。

規則: FTP クライアントが NAT の背後にある場合は、パッシブ・モードの FTP を使用する必要があります。

パッシブ・モードの FTP の場合は、クライアントが制御接続を開始します。ファイル転送が開始される際、クライアントがパッシブ (PASV) コマンドをサーバーに送信します。サーバーは、PASV コマンドに応答して、データ接続を確立するための IP アドレスとポート情報を提供します。これを受けて、クライアントはその IP アドレスとポートへのデータ接続を開始できます。

FTP サーバーが NAT の背後にある場合、PASV 応答で提供される IP アドレスは、そのプライベート・アドレスです。NAT は、カプセル化されていないパケットに対しては FTP データ内の IP アドレスを更新します。しかし、IPSec カプセル化を使用して FTP 接続が保護されている場合、NAT は FTP データ内の IP アドレスを更新できません。

規則: FTP サーバーが NAT の背後にある場合は、拡張パッシブ・モードの FTP を使用する必要があります。

拡張パッシブ・モードの FTP では、FTP データから IP アドレスが除去されます。サーバーはデータ接続用ポートを提供し、クライアントは制御接続に使用したものと同じ IP アドレスに接続します。

z/OS® FTP クライアントおよびサーバーは、EPSV コマンドを使用する拡張パッシブ・モードの FTP をサポートしています。z/OS FTP クライアントを使用しており、アクセスしている FTP サーバーで EPSV コマンドがサポートされていない場合は、z/OS FTP クライアントに対して PASSIVEIGNOREADDR ステートメントを構成し、パッシブ・モードの FTP を使用することができます。パッシブ・モードの FTP は一般的にサポートされています。PASSIVEIGNOREADDR ステートメントは、z/OS FTP クライアントに、PASV 応答内の IP アドレスを無視し、制御接続に使用されるのと同じ IP アドレスに接続するように指示します。

FTP の詳細は、FTP を使用したファイルの転送 を参照してください。サンプル FTP.DATA データ・セット、または LOCSIte サブコマンドについては、「z/OS Communications Server: IP ユーザーズ・ガイドとコマンド」を参照してください。