インストールとマイグレーションの計画

z/OS® Communications Server のインストールとカスタマイズを行う前に、以下の資料を熟読しておくと参考になります。

また、z/OS Communications Server へのマイグレーションに着手する前に、z/OS UNIX システム・サービスの概念の講座を受講したり、z/OS UNIX システム・サービスを使用するクラスに出席することもお勧めします。 それができないときは、必ず z/OS UNIX システム・サービスの実装担当者と RACF® 管理者の協力のもとに一緒に作業しながら、インストールおよびカスタマイズのプロセスを進めるようにしてください。

z/OS Communications Server の計画とインストールには、MVS™、UNIX、およびネットワーキングを熟知していることが必要です。従来の MVS プログラミングやシステム・プログラミングが知識の背景になっている場合は、z/OS UNIX システム・サービスの用語に、最初は多少戸惑うこともあります。UNIX 環境 の知識があれば、用語は理解できるはずです。

過去には、MVS TCP/IP システム・プログラマーには、MVS または z/OS システムについて、作業経験に基づく知識が必要とされていました。このようなプログラマーは、許可権限については、RACF 管理者や z/OS システム・プログラマーと、基本名とアドレスの割り当てについては IP アドレス管理者と、そして接続定義と問題判別についてはルーター・ネットワークおよびチャネル接続周辺装置の管理者と、それぞれ緊密に協力して作業を行ってきました。

z/OS Communications Server が導入されたことにより、TCP/IP システム・プログラマーには、さらに z/OS UNIX システム・サービスのシステム・プログラマーとの協力関係を築く必要もあります。従来、ホスト中心の TCP/IP で使用できた TSO インターフェースが、 今でもまだシステム・プログラマーが自由に使用できる状態にあり、それで追加の MVS コンソール・コマンドは、 幾つかの TCP/IP 操作を単純化します。しかし、z/OS シェルや ISPF シェルといった、UNIX シェル環境で提供される 別のユーザー・インターフェースは、便利かつ必要なツールであり、TCP/IP システム・プログラマーはこれを使用して作業する必要があります。さらに、z/OS Communications Server が z/OS UNIX システム・サービスと緊密に結合したことによって、TCP/IP システム・プログラマーは、UNIX の規則、コマンド、および階層ファイル・システムの概念について、通り一遍の知識を超える知識が必要となります。システム・プログラマーが他の UNIX 環境に慣れていたとしても、UNIX シェルでの作業は、基本的なことは知っているというだけでは不十分です。

ネイティブ MVS および z/OS UNIX システム・サービスに基づいた、フル TCP/IP スタックの最初のバージョン では、独力で z/OS Communications Server を正常に実装するために必要な技量をすべて持ち合わせている人はほとんどいませんでした。最近では次第に、システム・プログラマーが UNIX システム・サービスと TCP/IP のスキルを習得してきているので、このようなケースは少なくなっています。z/OS Communications Server を実装するときに、z/OS UNIX システム・サービスの実装担当者と協力して作業にあたれば、機能する z/OS Communications Server 環境の確立にとって最も効果的なソリューションが得られることになります。

z/OS Communications Server に マイグレーションする場合は、既存のアプリケーションをすべて移動するための マイグレーション・プロセスを設定し、これが終了したら、「z/OS Communications Server: 新機能の要約」に基づいて、新規機能や拡張機能の使用を考慮します。z/OS Communications Server では、TCP/IP プロトコル・スタックの複数のコピーが同じ MVS イメージで実行できます。ただし、z/OS Communications Server でパフォーマンスが向上しているため、システム・プログラミング・テスト・スタックの作成を考慮している場合を 除いて、実動目的で複数スタック・システムを実装する必要はないと 思われます。