アカウンティング - SMF レコード

インストール・システムは、以下のような理由でシステム管理機能 (SMF) レコードを使用します。

パフォーマンス管理
パフォーマンス管理には、定義されたサービス・レベルが満たされているかの検証、また満たされていない場合はその原因の識別に関連するタスクが含まれています。
これらのタスクを実行するためには、(サービス・レベルが定義されている) 部門ごとに構成された、送達されたサービスに関する情報の集計が必要になります。これらのレポートは通常、異なるレベルの時間間隔をもつ一連の時間で、時間間隔は数週間、数日から SMF 間隔に一致する時間間隔まで、さまざまです。パフォーマンス管理に関するレポートの例を、以下にいくつか示します。
  • サーバー・ポート番号ごと、時刻ごとの、TCP 接続経過時間 (送信元 IP アドレスまたはネットマスクごとの分類も可能)
  • サーバー・ポート番号ごと、時刻ごとの、TCP 接続回数 (送信元 IP アドレスまたはネットマスクごとの分類も可能)
  • 時刻ごとの、TCP 接続で転送されたインバウンド/アウトバウンド・バイト数 (宛先ポートまたは送信元ポート、宛先 IP アドレス、ネットマスク、または合計など、さまざまな方法での分類も可能)
  • 時刻ごとの、TCP 再送アクティビティー (宛先 IP アドレスまたはネットマスクごとの分類も可能)
  • 時刻ごとの、アウトバウンド TCP 接続回数 (宛先 IP アドレスまたはネットマスクごとの分類も可能)
  • 時刻ごとの、インバウンド/アウトバウンド UDP データグラムの数 (サーバー・ポート番号ごとの分類も可能)
  • 時刻ごとのインバウンドおよびアウトバウンドの、廃棄、エラー・パケット、未知のプロトコル・パケットの数 (インターフェースごとの分類も可能)
キャパシティー・プランニング
キャパシティー・プランニングには、中央演算処理能力、メモリー、チャネル・ベースの入出力サブシステム、ネットワーク接続機構、およびネットワーク帯域幅の、キャパシティー予測に関連するタスクが含まれています。このようなプランニング作業の基礎となるのは、過去の期間 (通常は 1 年から 2 年) におけるキャパシティー使用傾向を分析し、さらに予測のための評価項目 (新規アプリケーションの立ち上げ計画や既存のアプリケーションの使用に関する情報を加えた評価項目) をこの過去からの傾向に加味して、今後 1 年から 2 年で必要となるキャパシティーを予測します。キャパシティー・プランニングに関するレポートの例を、以下にいくつか示します。
  • 予約済みサーバー・ポート番号ごとの 1 日の TCP 接続合計数と、毎日のピーク期間の平均分析および平均からの変動分析。
  • 予約済みサーバー・ポート番号ごとの 1 日の UDP インバウンド/アウトバウンド UDP データグラム合計数と、毎日のピーク期間の平均分析および平均からの変動分析。
  • インターフェース (LINK) ごと、時刻ごとの、インバウンドおよびアウトバウンド転送されたバイト数およびパケット数 (ユニキャスト、ブロードキャスト、マルチキャストへの分類も可能)
  • インターフェースごと、時刻ごとの、キューの長さ
監査
監査には、個々のイベントが実行されたことの識別および証明に関するタスクが含まれます。監査に関するレポートの例を、以下にいくつか示します。
  • 特定の TCP 接続または UDP ソケット、IP アドレス、サーバー/クライアントの識別、所要時間、バイト数、などに関する詳細な情報
  • 特定のクライアントまたはサーバーがかかわっているアクティビティーに関する詳細
  • 個々の Telnet セッションまたは FTP セッションなど、サーバー固有の SMF 記録に基づいた所定のアプリケーション・セッションに関する詳細
  • TCP/IP スタック・プロファイルへの変更およびその変更を要求したユーザーに関する詳細
  • 動的仮想 IP アドレス (DVIPA) およびシスプレックス・ディストリビューター・ターゲットの状況の変更に関する詳細
アカウンティング
アカウンティングには、共用の中央 IS リソースの使用についての個々のユーザーまたは部門への課金計算に関するタスクが含まれます。このような計算への入力はさまざまに異なりますが、多くの場合、CPU サイクルの使用量、データの数量、帯域幅の使用量、およびメモリーの使用量に基づいて計算を行います。TCP/IP に対して、評価項目を追加して定義しても構いません。この評価項目には、使用するサービス・タイプ (FTP、LPD、Web サーバー、など) および TCP 接続関連情報 (接続回数、接続時間、転送バイト数、など) があります。アカウンティングに関するレポートの例を、以下にいくつか示します。
  • 特定のクライアント IP アドレスまたはネットマスクについて、ある送信元からあるサーバーへの接続の総数
  • 特定のクライアント IP アドレスまたはネットマスクについて、ある送信元からあるサーバーへの接続時間の累計
  • 特定のクライアント IP アドレスまたはネットマスクについて、ある送信元との間で転送されたバイト数
  • 特定の手動トンネルまたは動的トンネルによって保護されているデータの量。
  • 例えば、以下のような個々のサーバーに固有の、アプリケーション・レベルのアカウンティング情報
    • Communications Server SMTP (CSSMTP) の場合: メール・メッセージ処理に関する情報
    • FTP の場合: ユーザー ID ごとに検索または保管された転送操作およびバイトの数
    • IKED の場合: IKE トンネルに関する情報
    • TN3270 の場合: セッション数およびセッション・タイプ (TN3270/TN3270E/LINEMODE)

一般に、SMF レコードは据え置き処理および分析用に作成され、リアルタイム・モニターの目的には使用されません。 TCP/IP 環境では、リアルタイム・モニターは SNMP プロトコルを使用して実装され、SNMP サブエージェントが維持する内部変数に基づいたものになります。 ただし、z/OS® 上では、SMF レコードに書き込まれる情報の多くも、リアルタイム・モニターの観点からすると有用です。 z/OS Communications Server TCP/IP ネットワーク管理インターフェース (NMI) を使用して SMF レコードをリアルタイムで取得することについては、「z/OS Communications Server: IP Programmer's Guide and Reference」を参照してください。

以上のことから分かるように、すべての規律に、入力として明細データが必要になります。規律によっては、その規律のタスクを実行するために、未加工の明細データに一定レベルの集計が実行されます。TCP/IP プロダクトの目的は、すべての規律で必要とされる最も低いレベルの明細データを定義し、生成することです。集計方法の決定および実際の集計は、z/OS (PR)、MVS™ 情報管理システム (MICS)、SAS ベースのツールや、多くの場合はカスタマー作成のプログラムなど、その他のプロダクトによって実行されます。

TCP/IP - によって生成された SMF レコードを、単独のものと考えてはなりません。MVS の他のコンポーネントも、TCP/IP によって生成されるものと同じ目的で SMF レコードを生成します。インストール・システムは、詳細なパフォーマンスまたはキャパシティー・プランニングを行うために、一連のサブシステムからの情報を組み合わせることがあります。例えば、アドレス・スペースごとの CPU リソースおよびメモリー・リソースの使用量に関する情報をもった SMF レコードが、MVS の他のコンポーネントによって生成され、TCP/IP 生成の SMF レコードは、その情報との重複を避ける必要があります。

SMF レコードの書き込みをトリガーするイベント、および SMF レコードに含まれる情報は、意図した目的に合ったものでなければなりません。一定の SMF レコードに複数の目的を置くこともできます。

SMF レコードは TCP/IP プロトコル・スタックの複数のレベルで切り取ることができ、含むことのできる情報のタイプは、その SMF レコードが作成された以下のような場所によって異なります。

z/OS Communications Server 機能によって提供される SMF レコードについて詳しくは、「z/OS Communications Server: IP Programmer's Guide and Reference」を参照してください。