Common Information Model プロバイダーに関する考慮事項

Common Information Model (CIM) は、エンタープライズ全体にわたるデータの記述とアクセスに関するモデルを提供します。CIM は、Distributed Management Task Force (DMTF) と呼ばれる、IBM® も含めた独立ハードウェアおよびソフトウェア・ベンダーのコンソーシアムが開発した標準です。CIM データは、標準化された CIM クラスにより定義されます。クラス定義は、各クラスのプロパティーを定義します。例えば、CIM_EthernetPort (イーサネット・インターフェース) クラスのプロパティーには、インターフェース・タイプ、使用可能状態、および速度などがあります。各プラットフォームでは、それぞれ独自のプラットフォーム固有クラスおよびそのプロパティーを定義することにより、標準化された CIM クラスを拡張することができます。

CIM データ・インスツルメンテーションは、プロバイダーと呼ばれる CIM コンポーネントにより提供されます。このプロバイダーは、CIM クラスのサポート内でシステム上のデータを収集します。クライアントは、Common Information Model Object Manager を使用してこのデータを検索することができます。z/OS® では、この機能は z/OS CIM サーバーにより提供されます。

Communications Server は、表 1 に示す CIM クラス用の CIM プロバイダーを提供します。現在サポートされているのは、IPv4 データのみです。MVS™ イメージ上の 8 つの TCP/IP スタックからのデータをサポートするために、IBMzOS_EthernetPort および IBMzOS_IPProtocolEndpoint クラスに、プラットフォーム固有プロパティーとして TCP/IP スタック名が追加されています。

CIM、z/OS CIM サーバー、Communications Server CIM クラスに対するプロパティー・サポート、およびその他の z/OS CIM プロバイダー・サポートについて詳しくは、「z/OS Common Information Model User's Guide」を参照してください。

表 1. Communications Server CIM プロバイダー
CIM 基本クラス名 z/OS クラス名 説明
CIM_EthernetPort IBMzOS_EthernetPort TCP/IP スタックに対して定義される IPv4 イーサネット・インターフェース
CIM_IPProtocolEndpoint IBMzOS_IPProtocolEndpoint TCP/IP スタックに対して定義される IPv4 IP アドレス
CIM_PortImplementsEndpoint IBMzOS_NetworkPortImplementsIPEndpoint IPv4 イーサネット・インターフェースとそれぞれに関連した IP アドレス
CIM_SystemDevice IBMzOS_CSNetworkPort MVS システムとそれに関連した IPv4 イーサネット・インターフェース

この CIM プロバイダー機能は、/usr/lpp/tcpip/lib ディレクトリーにあります。この CIM プロバイダー・サポートを活動化するため構成は不要です。Communications Server CIM プロバイダーがサポートするデータをクライアントが利用できるようにするには、z/OS CIM サーバーが構成され、活動化されていなければなりません。 z/OS Communications Server CIM クラスは、z/OS CIM サーバーに付属しています。これらのクラスとすべてのプラットフォーム固有プロパティーを定義するファイルも、/usr/lpp/tcpip/mof ディレクトリーにインストールされています。

プロバイダーが CIM データを収集する能力を規制するための、セキュリティー構成に関する考慮事項が幾つかあります。セキュリティー構成についての詳細は、CIM プロバイダー・アクセス制御を参照してください。