UNIX03 用に変更されたシェル・コマンド

z/OS® UNIX は UNIX95 に準拠しており、後続の UNIX 規格との競合を避けるために、 フォーマット (オプションの大文字の英字など) を使用してコマンドに拡張が加えられています。SUSv3 (UNIX03 とも呼ばれる) による新しいオプションと変更されたコマンド動作の仕様は、IBM の拡張と競合する結果になりました。

_UNIX03 シェル変数は、z/OS 1.8 で、特定のシェル・コマンドが Single UNIX Specifications version 3 (SUSv3) に従って動作するかどうかを制御する手段として導入されました。 _UNIX03=YES は、 オプションまたは動作が既存の z/OS のインプリメンテーションと競合し、SUSv3 動作が求められる場合にだけ必要です。 z/OS 1.9 で導入された追加のコマンド変更には、_UNIX03 変数によって制御される動作の競合があります。 _UNIX03 が設定されていない場合 (または「NO」に設定された場合)、z/OS 1.9 のコマンドは以前のリリースとの互換性を維持します。

したがって、システム・プログラマーは、以下に示すシステム全体のプロファイル ( またはセットアップ・スクリプト) で _UNIX03 が設定されていないことを確認する必要があります。

SUSv3 に準拠した動作を求めるユーザーは、各自のプロファイル・ファイル内で、または特定のスクリプトやコマンド呼び出しで、必要に応じて _UNIX03=YES を設定することができます。

表 1 に、UNIX03 用に変更されたコマンドをリストします。 (これはシェル・コマンドへの変更の完全なリストではありません。) 詳細については、特定のコマンドの説明を参照してください。

表 1. UNIX シェル・コマンドと _UNIX03
コマンド 導入された z/OS リリース 影響を受けるオプションまたは動作 _UNIX03 =YES _UNIX03 が未設定であるか YES でない場合
awk 1.9

変数割り当て
として扱われる
コマンド行引数に
対する厳格な規則

ループの外部にある break
または continue
ステートメント
の処理

効果なし




エラーを表示して処理を
停止する

効果なし




警告を表示し、
現行パターンまたは関数を
終了し、処理を続行する

bc 1.9

/usr/lib/lib.b
向上した cos() と sin() の
パフォーマンス

効果なし 効果なし
cp 1.8

追加または変更された
オプション:
-H | L | P
-W seqparms

-P は、シンボリック・
リンクの
処理を指定する

-P params
順次データ・セット
parameters

cksum 1.10 出力および診断メッセージ 出力はデフォルトにより次のようにスペースで分離される
cksum bytecount filename

filename オペランドが指定されない場合、パス名およびその先導空白スペースは省略されます。

読み取りエラーが起こった場合、そのファイルのチェックサムは表示されず、 診断メッセージが stderr に送信されます。

出力はデフォルトにより次のようにタブで分離される
cksum   bytecount   filename

file オペランドが指定されない場合、パス名およびその先導タブは省略されます。

読み取りエラーが起こった場合、cksum は使用可能なチェックサムを標準出力に表示することを試行し、 出力行に FSUM6199 [read error] とマーク付けします。

ed 1.9

以下のサブコマンドでの
小規模な変更:
cigGvV
l (小文字の L)、s

c および i サブコマンド:
アドレス 0 を 1 として
受け入れる

gGvV サブコマンド:
変更された行をマーク解除


l (小文字の L) サブコマンドは
$¥$ として書き込む


s サブコマンド:
前の s サブコマンドがない
% はエラーになる

c および i サブコマンド:
アドレス 0 を拒否する

gGvV サブコマンド:
行にマークが付いたままになる


l (小文字の L) サブコマンドは
$ 文字をエスケープしない


s サブコマンド:
前の s サブコマンドがない
% は受け入れられる

file 1.9

追加または変更
されたオプション:
-d -M -i

新しいマジック・ファイルの
フォーマット


-h 存在しないファイル
へのリンクの処理

-m magic がテストされた後に
/etc/magic

マジック・ファイル
(byte、short、
long)
フォーマットは符号付き

-h はデフォルトである



出力の分離文字は
スペースである

-m magic
/etc/magic の代わりにテストされる

マジック・ファイル (byte、short、
long) フォーマットは符号なし

-h はデフォルトではない
(デフォルトは
シンボリック・リンクに従う)

出力の分離文字は
タブ

mailx 1.9

デフォルトのコマンド・
モード・
サブコマンド

Followup
コマンド・モード・
サブコマンド


TZ 環境変数を
尊重する
変数

波形記号 (~) を
escape 変数が未設定の場合に
エスケープ文字として使用する

デフォルトのサブコマンドは
next

Followup
record 変数をオーバーライド
する

デフォルトのサブコマンドは
print

Followup
record 変数をオーバーライド
しない

od 1.9

符号付き 1 バイト
値の出力

効果なし 効果なし
pax 1.8

追加または
変更されたオプション:
-H
-x pax (新規フォーマット)

-o keyword=value
    (新規キーワード)




pax -r によるアクセス
許可ビットの復元
(-p p-p e のどちらも
指定されなかった場合)



-o 複数の
キーワード/値の対は、
コンマで分離する必要がある
(キーワードの前の空白は
許容される)

ファイルは
許可 0666 と共に復元
され
umask で変更される



-o 複数のキーワード/値の
対を
コンマまたはスペースで分離
できる



ファイルは
saved permissions と共に復元され
umask で変更される

sed 1.9

前に ! が付くサブコマンド


w が指定された s
サブコマンド


指定された文字セット内の ¥n
を伴う y サブコマンド

1 つ以上の !
文字が許容される

wfile
ブランクで分離する必要がある


¥n は改行として扱われる

! 文字は 1 つだけ
許容される

wfile は許容されるか、
ブランクで分離してもよい


¥n は次のように扱われる
‘n’

sum 1.10 出力および診断メッセージ 出力はデフォルトにより次のようにスペースで分離される
checksum bytecount filename
filename オペランドが指定されない場合、パス名およびその先導空白スペースは省略されます。

読み取りエラーが起こると、そのファイルのチェックサムは表示されず、 診断メッセージが stderr に送信されます。

出力はデフォルトにより次のようにタブで分離される
checksum   bytecount   filename
file オペランドが指定されない場合、パス名およびその先導タブは省略されます。

読み取りエラーが起こると、sum は使用可能なチェックサムを標準出力に表示することを試行し、 出力行に FSUM6199 [read error] とマーク付けします。

tr 1.9

追加されたオプション:
-C

-c
バイナリー値の集合の
バイナリー順の補集合をとる

-c
文字集合の LC_COLLATE 順の
補集合をとる (新しい -C
動作と同様)

uudecode 1.9

追加されたオプション:
-o outfile

/dev/stdout

効果なし 効果なし
uuencode 1.9

追加されたオプション:
-m

/dev/stdout

効果なし 効果なし