mount - ファイル・システムを論理的にマウントする

形式

mount [–t fstype] [–rv] [–a yes|include,sysname1,... sysnameN |exclude,|no|unmount] [–o fsoptions] [–d destsys] [–s nosecurity|nosetuid] –f fsname pathname[-wn]

mount –q [–d destsys][–v] pathname

ファイル・タグ固有オプション:

mount [–c ccsid,text|notext]

説明

mount シェル・コマンドは、/usr/sbin に置かれており、ファイル・システムをマウントしたり、ファイル・システム全体のすべてのマウントをリストしたりするのに使用します。

規則: mount コマンドを発行するには、マウント権限を持っている必要があります。 「z/OS UNIX System Services 計画z/OS UNIX System Services 計画」のマウント権限に関するセクションを参照してください。

オプション

–a yes|include,sysname1,...,sysnameN|exclude,sysname1,...,sysnameN|no|unmount
-a オプションは、複数のシステムが共用ファイル・システム機能を活用しているシスプレックス環境で、ファイル・システムの AUTOMOVE 属性を指定します。
  • –a yes を使用すると、システムは指定されたファイル・システムの論理所有権を、 必要に応じて自動的に移動できるようになります。これはデフォルトです。
  • –a no は、一部の状況で所有権の移動を禁止します。
  • –a unmount は、一部の状況でファイル・システムをアンマウントします。
  • –a include,sysname1,...,sysnameN は、ファイル・システムの所有権の移動先にできるシステムを優先度順のリストで指定します。include は、i と省略できます。
  • –a exclude,sysname1,...,sysnameN は、ファイル・システムの所有権の移動先にできないシステムを優先度順のリストで指定します。exclude は、e と省略できます。
AUTOMOVE オプションの動作について詳しくは、「z/OS UNIX System Services 計画」を参照してください。
–d destsys
マウントの論理所有者になる、ファイル共用システム環境内のシステムの名前を指定 します。–q を指定した場合、mount –q の出力では、destsys が所有するマウントしか リストされないことに注意してください。
–f fsname
マウントするファイル・システムの名前を指定します。 ファイル・システム名はすべて固有でなければなりません。ファイル・システム 名は、大/小文字が区別されます。ただし、ファイル・システム・タイプが HFS であるか、またはコマンドでタイプが指定されておらず、ファイル・システムが zFS である場合、fsname は大文字に変換されます。ファイル・システム名の最大長は 44 文字で、それを超える文字は切り捨てられます。オプション –q–f は互いに排他的ですが、どちらか一方を指定する必要があります。
-wn
マウントが非同期マウントの完了を待機する 時間の長さを、秒単位で指定します。n を 0 に指定 すると、待機時間は無期限になります。このオプション・フラグは どの形式のマウント・コマンドにも対応し、不適切な場合には 無視されます (待機の必要はありません)。
–o fsoptions
ファイル・システム・タイプに渡すオプション・ストリングを指定します。 例えば、NFS はこれを使用して、リモート・サーバーとそのサーバー上の オブジェクトを識別します。形式および 内容は、論理マウントを実行することになる物理ファイル・システムによって指定されます。小文字 または大文字で指定することができます。ストリングは単一引用符で囲みます。
fsoptions で指定する適切なファイル・システム固有のオプションについては、以下を参照してください。
–q
別のファイル・システムにマウントされた、ファイル・システム のマウント・ポイントのパス名のリスト (そのシステムも含めて) を 出力します。オプション –q–f は互いに排他的ですが、どちらか一方を指定する必要があります。 –v を指定していなければ、マウント・ポイントのパス名だけが 印刷されます。 mount –q の出力は、unmount ユーティリティーが 入力として使用できることに注意してください。を参照してください。

-q-v が指定された場合、 出力は、6 文字モード、ファイル・システム名、およびファイル・システムのマウント・ポイント・パス名で構成されます。 6 文字モードは、表 1で説明するとおりに解釈することができます。

表 1. mount -q および -v オプションの出力
フラグ 説明
1


R

読み取り/書き込み
読み取り専用

2


S

SETUID がサポートされる
SETUID がサポートされない

3


E

ファイル・システムは
エクスポートされない
ファイル・システムは DFS に
よってエクスポートされる

4


U

セキュリティー検査が強制される
セキュリティー検査が強制されない

5


A
U

Noautomove
Automove
Unmount

6


C

システムまたはシスプレックス対応
クライアントを所有する

–r
読み取り専用でファイル・システムをマウントすることを指定します。
–s nosecurity|nosetuid
ファイル・システムが保護されないことを指定します。 setuid、setgid、APF およびプログラム制御属性は、nosetuid を使用した場合には無視されます。 加えて許可検査も使用不可にするには、nosecurity を使用します。 オプションの引数には、一番短い固有の省略形を使用することができ ます。
注: ファイル・システムが NOSECURITY オプションを使用可能にしてマウントされると、どの UID が要求を出しても、作成されるすべての新規ファイルまたはディレクトリーには UID 0 の所有者が割り当てられます。
–t fstype
ファイル・システム・タイプを識別します。 fstype は大文字小文字混合で入力できますが、大文字として扱わ れます。このオプションを指定しない場合、デフォルトは –t HFS です。
–v
冗長な出力。入手可能な場合には、出力に補足情報が含められます。–vmount コマンドに指定したときに、マウントが失敗した場合には、マウント障害が起こったファイル・システムの名前が障害情報に含められます。

pathname マウント・ポイントのパス名を指定します。

ファイル・タグ固有オプション

–c ccsid,text|notext
マウントされたファイル・システムでタグ付けされていないファイルに対して 暗黙的に設定するファイル・タグを指定します。
ccsid
コード化文字セット ID が、タグ付けされていないファイルに対して暗黙的に 設定されることを指定します。ccsid は、0 から 65535 の 10 進数を指定します。 テキストが指定されている場合、その値は 0 から 65535 の間にある必要があります。それ以外の場合、有効な値としてこの値はチェックせず、関連コード・ページはインストール済みであるものとしては チェックされません。

ファイル・タグの詳細は、「z/OS UNIX System Services 計画」を参照してください。

text
タグ付けされていない各ファイルは、変換可能な純粋のテキスト・データを含むものとして マークされることを暗黙的に指定します。
notext
ファイル・システム中のタグ付けされていないすべてのファイルは、ファイルの読み取り および書き込み中に自動変換しないことを指定します。

  1. mount –q の出力は、unmount の入力に使用できます。例えば、以下のとおりです。
    mount -q /ict/hfsfir
    は、次のように入力として使用できます。
    unmount $(mount -q /ict/hfsdir)
  2. 120 秒の同期インターバルで HFS ファイル・システム を /u/wjs にマウントするには、次のコマンドを出 します。
    mount -f omvs.hfs.user.wjs -o 'SYNC(120)' /u/wjs
  3. /u の下にあるすべてのマウント・ポイントのパス名のリストを表示するには、以下のようにします。
    mount -q /u

使用上の注意

  1. ファイル共用システムを活用するシステムは、OMVS 結合データ・セットに対して入 出力を行うようになります。CDS に対するこうした入出力操作があるため、それぞれのマウント要求では余分のシステム・オーバーヘッドが必要になり ます。ファイル共用システムに加わっているシステムで多数のマウントが必要な場合に は、リカバリー時間に対するこれの影響を考慮する必要があります。
  2. 自動マウントされたファイル・システムには、–a unmount を指定できません。
  3. ファイル・システム名は、ファイル・システム・タイプが 指定されていない場合 (-t オプション) は大文字として扱われます。

ファイル・システムのリカバリーとマウント

ファイル共用システム環境でファイル・システムをリカバリーするには、-a yes|no|unmount や そのファイル・システムが読み取り専用か読み取り/書き込みのどちらでマウントされているかなどのファイル・システム指定を考慮に入れる必要があります。

一般に、所有権を持ったシステムに障害が発生すると、–a yes でマウントした ファイル・システムの所有権を、他のシステムでそのファイルが使用可能なシステムに 移動します。ただし、ファイル・システムが 読み取り/書き込みでマウントされている場合、所有権を持ったシステムに障害が発生すると、そのファイル・システム内のファイルに対するファイル・システムのすべての操作は失敗します。 この理由は、ファイル・システムの所有権を持ったシステムに障害が発生すると、データ保全性が失われるからです。ファイル・システムのリカバリー時に、すべてのファイルを クローズ (BPX1CLO) して再オープン (BPX1OPN) する必要があります。 (BPX1CLO と BPX1OPN 呼び出し可能サービスについては、「z/OS UNIX System Services プログラミング: アセンブラー呼び出し可能サービス 解説書

読み取り専用でマウントされたファイル・システムでは、ファイル・システムの所有権を持った システムの障害発生時に実行中だった特定の入出力操作を再度サブミットする必要があります。 実行中でなかった場合は、ファイル・システムは使用可能です。

一部の状況では、たとえファイル・システムが –a yes オプションでマウントされていても、そのファイル・システムの所有権は即時に別システムに移動するとは限りません。例えば この状況は、別システムからそのファイル・システムがあるボリュームへの物理入出力パスが 利用不能な場合に発生することがあります。この結果、そのファイル・システムは「unowned」となります (そのシステムはこの状態が 発生すると、BPXF213E メッセージを発行します)。 このことは、ファイル・システムが読み取り/書き込み、もしくは読み取り専用でマウントされている場合でも同じです。ファイル・システムは依然としてファイル・システム階層に存在します。これによって、別システムが所有するすべての従属ファイル・システムは使用可能なままです。

ただし、所有者のないファイル・システムのファイル操作は、新規所有者が確立されない限り、すべて失敗します。ファイル共用システム・サポートは、シスプレックス内のすべてのシステム上で –a yes でマウントされたファイル共用システムのリカバリーを試行し続けます。後続のリカバリー試行が成功した場合、ファイル・システムは 非所有状態からアクティブ状態に遷移します。

所有されていないファイル・システムにあるファイルを使用するアプリケーションは、そのファイル・システムがリカバリーされた後で、そのファイルをクローズ (BPX1CLO) して 再オープン (BPX1OPN) する必要があります。

–a no オプションでマウントしたファイル・システムは、そのファイル・システム所有者が シスプレックスから離れた時点で非所有状態となります。このファイル・システムは、元の所有システムが再始動するか非所有状態のファイル・システムが アンマウントされるまでは、非所有状態のままです。そのファイル・システムはまだファイル・システム階層に存在しているので、そのファイル・システムのマウント・ポイントはそのまま使用されます。

未所有のファイル・システムは、所有者がいないマウント済みファイル・システムです。 このファイル・システムは依然としてファイル・システム階層に存在します。このようにして、非所有のファイル・システムをリカバリーしアンマウントすることができます。

「非移動」PFS に関連するファイル・システムは、非活動のシステム・リカバリー中に アンマウントされます。例えば、TFS は「非移動」PFS であるので、所有権を持ったシステムがシスプレックスを離れるときに、TFS 上にマウントされている すべてのファイル・システムと同様に、アンマウントされます。

使用上の注意でも説明したとおり、自動マウントされたファイル・システム には、–a unmount を指定することはできません。ただし、このファイル・システムは、シスプレックス内の他のシステムがそれを 参照していない場合には、(その所有者が非活動システムである) 自動マウントしたファイル・システムの 非活動システム・リカバリー処理中にアンマウントされます。

終了値

0
正常終了

関連情報

chmount, unmount