bpxtrace は、1 つ以上のプロセスのトレースをアクティブ化および非アクティブ化します。このコマンドは、z/OS® UNIX シェルまたは TSO 環境から実行できます。キャプチャーされた シスコール・トレース出力は、SYSOMVS CTRACE オプションのシステム全体の設定、 および bpxtrace コマンド発行時のシステムでの z/OS UNIX アクティビティーの量に 依存します。
ガイドライン: SYSOMVS CTRACE を使用する場合は、常に最小設定を指定してください。そうでないと、bpxtrace を実行してシスコール・データをキャプチャーする場合に、出力量が減少する可能性があります。
制約事項: 単一ユーザーは、任意の時点で bpxtrace を 1 回だけ実行できます。複数のオカレンスを実行すると、割り振りエラー、ダンプ障害、矛盾するプロセス・トレース、またはその他の予期しない動作が生じることがあります。
データ・セット名が、指定したボリュームまたはデフォルト・ボリューム上の 割り振りに対して適格でない場合、bpxtrace コマンドは失敗します。 例えば、これらのデータ・セットおよびオブジェクトの SMS クラスおよび ストレージ・グループを決定する ACS ルーチンは、これらのボリューム上の 割り振りを可能にするために変更が必要な場合があります。
すべてのオプションおよびパラメーターは機能ごとに受け入れられますが、その一部は特定の機能に対して無視されることがあります。その特定の機能に適用できるオプションについては、形式の機能説明を参照してください。
制約事項: このオプションは、サービス担当員のみが 使用することを目的としています。
デバッグ・レベルには以下のいずれかの数値を指定します。
トレース・レコード (シスコール入り口およびシスコール出口レコード) の表示方法を指定します。full、short、および counts の各値は、トレース・レコードを COMP(SYSOMVS) の対応する IPCS フォーマット要求を伴う IPCS CTRACE コマンドによってフォーマット設定された形式で表示します。
PID ASID TCB Local time System call Additional trace data
7 0025 8FF1D8 09:43:04.070651 Call open pgm=/bin/bpxtrace parms: 0000000D /bin/bpxwrtso 00800002
00000000 00000000 00000000 00000000
7 0025 8FF1D8 09:43:04.070668 Exit open rv=00000007 pgm=/bin/bpxtrace
7 0025 8FF1D8 09:43:04.070675 Call read pgm=/bin/bpxtrace parms: 00000007 25D00000 00000000 00001000
00000000 00000000 00000000
7 0025 8FF1D8 09:43:04.091468 Exit read rv=00001000 pgm=/bin/bpxtrace
"System Call" カラムの最初のワードによって、トレース・エントリーが シスコール入り口 (CALL) またはシスコール出口 (EXIT) のどちらに対応するかが識別されます。2 番目のワードは、シスコールを識別します。"CALL" タイプのエントリーでは、 "Additional Trace Data" カラムに示されたパラメーターを、指定したシスコールの 入力および出力パラメーターと一致させる必要があります。シスコールへ入るときに、出力パラメーターには残余データが含まれる場合があることに注意してください。 pgm=field には、bpxtrace の終了後にアクティブな場合にのみ、 トレースされているプロセスに関する情報が表示されます。 "EXIT" タイプのエントリーでは、シスコールから返された戻り値 (RV) が "Additional Trace Data" カラムに表示されます。入力パラメーター・マッピング、および戻り値の意味については、「 z/OS UNIX System Services プログラミング: アセンブラー呼び出し可能サービス 解説書z/OS UNIX System Services プログラミング: アセンブラー呼び出し可能サービス 解説書」を参照してください。
CTRACE COMP(SYSOMVS) FULL OPTIONS((KERNINFO))
次の表示は、bpxtrace -f full からの出力の例を示しています。
FCN...open SYSCALL...BPX1OPN PID...00000007 MODULE...BPXJCPC
SY1 SYSCALL 0F080001 09:43:04.070651 STANDARD SYSCALL ENTRY TRACE
ASID..0025 USERID....MEGA STACK@....26D9D0A8
TCB...008FF1D8 EUID......00000000 PID.......00000007
+0000 00000026 00000000 D1C3E2C5 8C000004 | ........JCSE.... |
+0010 8000000C 00000000 8288B768 FFFFFFFF | ........bh...... |
+0020 00000002 26D9E8B4 00000000 7F6DCBBC | .....RY....."_.. |
+0030 C0000007 0000000D 61828995 618297A7 | {......./bin/bpx |
+0040 A699A3A2 96000000 00800002 00000000 | wrtso........... |
+0050 00000000 00000000 0BBD0000 00000000 | ................ |
+0060 00000000 00000000 00000000 00000000 | ................ |
+0070 00000000 00000000 00000000 00000000 | ................ |
+0080 00000000 00000000 00000000 | ............ |
FCN...open SYSCALL...BPX1OPN PID...00000007 MODULE...BPXJCPC
SY1 SYSCALL 0F080002 09:43:04.070668 STANDARD SYSCALL EXIT TRACE
ASID..0025 USERID....MEGA STACK@....26D9D0A8
TCB...008FF1D8 EUID......00000000 PID.......00000007
+0000 00000026 00000000 D1C3E2C5 8C008000 | ........JCSE.... |
+0010 8000000A 00000000 00000007 00000002 | ................ |
+0020 00000001 | .... |
FCN...read SYSCALL...BPX1RED PID...00000007 MODULE...BPXJCPC
SY1 SYSCALL 0F080001 09:43:04.070675 STANDARD SYSCALL ENTRY TRACE
ASID..0025 USERID....MEGA STACK@....26D9D0A8
TCB...008FF1D8 EUID......00000000 PID.......00000007
+0000 0000002B 00000000 D1C3E2C5 8C000004 | ........JCSE.... |
+0010 8000000C 00000000 82885438 00000000 | ........bh...... |
+0020 00000000 618297A7 00000000 7F6DCBBC | ..../bpx...."_.. |
+0030 40000007 00000007 25D00000 00000000 | ........}...... |
+0040 00001000 00000007 00000000 0BBD0000 | ................ |
FCN...read SYSCALL...BPX1RED PID...00000007 MODULE...BPXJCPC
SY1 SYSCALL 0F080002 09:43:04.091468 STANDARD SYSCALL EXIT TRACE
ASID..0025 USERID....MEGA STACK@....26D9D0A8
TCB...008FF1D8 EUID......00000000 PID.......00000007
+0000 0000002B 00000000 D1C3E2C5 8C008000 | ........JCSE.... |
+0010 8000000A 00000000 00001000 26D9D0BA | .............R}. |
+0020 00000000 | .... |
CTRACE COMP(SYSOMVS) SHORT
short フォーマット・オプションを指定した場合の SYSOMVS トレース・レコードの例については、「z/OS MVS 診断: ツールと保守援助プログラム」を参照してください。
CTRACE COMP(SYSOMVS) OPTIONS((SCCOUNTS))
sccounts フォーマット・オプションを指定した場合の SYSOMVS トレース・レコードの例については、「z/OS MVS 診断: ツールと保守援助プログラム」を参照してください。
指定されたファイルが存在している場合は、その内容が置き換えられます。リダイレクトが使用される場合、その結果はリダイレクト演算子に応じて決まります。
有効な UID 0 のユーザーに対してはすべての UID のトレース・レコードが表示されますが、 有効 UID 0 以外のユーザーに対しては一致する UID のトレース・レコードのみが表示されます。 これらのトレース・レコードの最初の 40 (10 進数) バイトは、「z/OS UNIX System Services プログラミング: アセンブラー呼び出し可能サービス 解説書」に記載されている BPXYTHLI マクロの ThliSecErrCT セクションによってマップされます。 レコードの最初の 40 バイトを超える部分は、IBM® サービスによって使用されます。
-S オプションによって使用されるトレース機能は、システムまたは 指定したプロセスに対するトレースの事前のアクティベーションを必要としません。 -S オプションで使用されるトレース機能は常にアクティブであり、 アクティブ化や非アクティブ化を行う必要がありません。
bpxtrace -c -o trace.output df
BPXTRACE トレースの開始後にユーザーの有効な UID が変更された場合、 BPXTRACE 出力から CTRACE レコードが欠落していることがあります。 DUMP 処理の制限により、ダンプ時のユーザーの EUID と一致する CTRACE レコードのみがキャプチャーされ、表示可能になります。