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IBM FileNet P8 機能概説

Part 2 – ビジネス・プロセス管理機能

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BPM機能概要

ビジネス・プロセス管理(Business Process Management, 以下BPM)はビジネスシーンにおいて日々発生するプロセス、例えば文書の承認、顧客からの注文処理といったプロセスを効率よく実行するために導入されます。システムの自動化によりプロセスを正確に速く進めるだけでなく、プロセス実行結果を分析することによって現在のプロセスを見直し、効率を改善することがBPM導入の最終的な目標といえます。FileNet BPM製品は文書などのコンテンツをベースにしたビジネス・プロセスに対し、プロセスの作成・実行・分析までトータルで行うBPMソリューションを実現可能にするための機能を提供しています。

FileNet BPMではビジネス・プロセスを自動化するための一連の流れがワークフローとして定義されます。ワークフローはユーザーやシステムの操作一つ一つをステップとして定義し、これをルートと呼ばれる矢印でつなぐことで作成されます。ワークフローを構成する各ステップでユーザーもしくはシステム・コンテンツやユーザー入力データのチェック、変更、承認といったタスクを行い、一つのステップが完了すると次のステップへ進む、といった流れでワークフローが実行されます。ワークフローを実行するProcess Engine(以下PE)を中心とするFileNet BPMの各製品の構成、他製品との関係は下図のようになっています。

FileNet BPMにはコンテンツの呼び出し/書き出し機能をワークフロー上で容易に定義可能であるという特徴があります。またワークフローの定義によりプロセス実行やルート決定の自動化、外部アプリケーションやWebサービスの呼び出しも行えるため、多様なプロセスの定義を実現することが可能です。またセキュリティー・モデルはFileNet Content Engine(以下CE)と統一されており、CEと同様にLDAPで定義したユーザーやグループをもとにしてステップにアクセス可能なユーザー、プロセスを作成・変更するユーザーを管理します。本稿では一例として 旅行代理店において旅行プラン文書を社内承認するビジネス・プロセスを「レビュー」「承認」「発行」のステップを持つ簡単なワークフローとして定義し、実行、結果の確認を行うユーザーシナリオをPEの基本機能説明と共に紹介します。

BPM基本機能

FileNet BPM機能ではプロセスの定義、実行、管理、分析という一連の流れをすべて実行することが可能です。ここでは下図のサイクルに従ってビジネス・プロセスを実行する流れを、文書承認のビジネス・プロセスを例としてFileNet BPMの機能説明と共に紹介します。

プロセスデザイナによるワークフロー作成

ワークフローはプロセスデザイナ上でGUIを使って定義を行います。下図は文書承認のプロセス定義の一例です。矢印でつながれた各ステップはLDAPで定義されたユーザー、グループまたはシステムに割り当てられています。今回の例では「プロパティ取得」ステップがシステム、それ以外のステップがユーザーに割り振られています。「レビュー」ステップでは割り当てられたユーザー”joe”がOKかNGを選ぶことで、次に進むステップが決まります。承認ステップについても同様です。

このようにワークフローを定義したファイルはCEのコンテンツ・リポジトリーであるオブジェクトストア内に通常のドキュメントなどのオブジェクトと同様に保存できるため、CEのコンテンツと同様のバージョンやセキュリティー管理を行うことができます。ワークフロー定義ファイル専用のバージョン管理システムを用意する必要はありません。ワークフロー定義ファイルはFileNet独自のXML形式(.pep)または業界標準のXML形式(.xpdl: XML-based Process Definition Language)で保存されますので、プロセスデザイナ上のGUIによる変更に加えてテキストとしての編集も可能です。

システムに割り当てられたステップではCEのドキュメント・プロパティの呼び出し・変更、時間経過による自動処理、プロパティのロールバック、他のワークフローや外部アプリケーション・Webサービスの呼び出しなどを行うことができます。したがって、プロセスの自動処理や外部システムとの連携の実装が可能です。今回の例では「プロパティ取得」ステップで以下のようにツアータイトル、出発地、期間、収容人数といったCEのドキュメント・プロパティを呼び出しています(Java APIで定義されているメソッドをGUI上で指定可能です)。

さらに、外部のルールエンジンとの連携機能が提供されており、ビジネス・ルールとして定義されたロジックをワークフローに組み込むことが可能です。ステップごとにルールセットを指定することで、プロセスの流れそのものは変更することなくビジネス・ルールの変更のみでワークフローの修正が可能です。

Process Engineによるワークフロー実行、Workplaceによるタスク遂行

ワークフローが開始されるとPE上でワークフロー情報が新規に作成され、各ステップがワークフロー定義に従って実行されます。ステップがユーザーまたはグループに割り当てられている場合、担当者はWebアプリケーションからステップの情報を参照してタスクを実行します。FileNet Workplaceアプリケーションを使った場合、ステップが割り当てられたユーザーの受信トレイに以下のようにステップのタスクが表示されます。今回のワークフローではユーザー”joe”に「レビュー」ステップが割り当てられていますので、joeとしてログインして受信トレイを開くと以下のようにステップのタスクが表示されます。

タスクを開くと以下のようにステップの値、添付されたコンテンツが表示され、ワークフローの定義に従ってコンテンツやプロパティの確認・変更を行えます。内容を確認し、定義された応答を選択することでステップのタスク実行が完了し、ワークフローの定義に従って次のステップが呼び出されます。以下の例では”joe”がツアー文書のレビュー、変更を行い、応答として”OK”を選択してステップを完了すると次のステップ「承認」に進み、ユーザー”ana”の受信トレイに同様にステップのタスクが表示されます。

プロセスアドミニストレータ、プロセストラッカによるプロセス実行状況の確認

実行中のワークフローはプロセスアドミニストレータ上で管理可能です。さまざまな条件を指定してワークフローを検索、またプロパティの変更が可能です。検索結果は以下のようにテーブル形式で表示されますが、これら実行中のワークフローの情報はPEのリポジトリーDBに保存されています。プロセス管理コンソールでは実行中ワークフローの参照以外にステップの担当者再割り当てやワークフローの強制終了、エラー情報の参照といった管理業務を行うこともできます。

各ワークフローのより詳細な実行結果を確認するにはプロセストラッカを使用します。ワークフローのステップがいつ、誰によって実行され、現在どのような値を持っているか、ワークフロー単位での確認が可能です。今回の例では下図のように現在ステップが「承認」で、ユーザー”ana”にタスクが割り当てられていることがわかります。

プロセスシミュレータ、プロセスアナライザによるプロセスのシミュレーション、分析

ログとしてPEのリポジトリーDBに保存されているプロセスの実行結果をプロセスシミュレータによって分析することが可能です。過去にどのようにプロセスが実行されたかを分析し、何回各ステップが実行されたか、どこがボトルネックになっているか、どの程度の時間でワークフローが終了しているかといったオペレーション分析、トレンド分析、コスト分析などを行うことができるようになります。この分析結果に基づきワークフローを変更することでプロセス実行状況の改善が可能です。

また、プロセスアナライザはPEのログによって保管されている実行結果をMicrosoft SQL Server Analysis Servicesを使ってOLAPキューブとして多次元的に集計し、いろいろな切り口で分析することが可能です。これによってプロセス実行状況を判別することができるようになります。このようにFileNet BPM機能を使うことでプロセス作成、実行、分析という一連の流れに従った効率的なビジネス・プロセス管理ソリューションの導入が可能です。

eFormによるBPM機能

前項で紹介したようにドキュメントを添付ファイルとしてプロセスを実行する場合と異なり、複雑な形式のフォーム、例えば表や図入りのフォームを使ってビジネス・プロセスを実行する場合に、FileNet eForms(以下eForm)という機能を用いると複雑なレイアウトに対応することが可能です。eFormはHTMLベースの電子フォームを提供する製品で、タスクを実行するユーザーに対してユーザビリティーの高いインターフェースを提供可能にします。以下ではeFormを使ってフォームを定義し、実行するための機能を紹介します。

eForm デザイナによるフォーム作成

フォーム開発ツールであるeFormデザイナで画面を作成することにより、表・写真などの図・ロゴ・ボタン・チェックボックスなどを自由に配置することができます。タブによって複数画面を作成し、一つのフォームとして定義することも可能です。また、JavaScriptによるカスタマイズで値の自動入力、チェック、検索による値呼び出しなどを行うこともできます。eFormはXMLで定義されており、ワークフロー定義と同様にCEのオブジェクトストアでドキュメントの一種として管理されます。下図はeFormデザイナで作成したフォームの一例です。

Workplaceによるフォームワークフロー実行

eFormのために作成したワークフローを開始し、Workplaceでステップを開くと、以下のようにeFormがブラウザー上で表示されます。ユーザーは権限に従って値を確認・変更し、ステップを完了することで通常のワークフローと同様にタスク実行を行います。またeFormの特徴としてPDFへの出力が可能なため、ユーザーは作成中のフォームをPDFとしてエクスポートし、ローカルにコピーを保管することができます。

まとめ

本稿で紹介したFileNet BPM機能は、コンテンツをベースにしたビジネス・プロセスを実現するための非常に強い武器となります。コーディングを行わずにGUI上でワークフロー定義などさまざまな操作が可能であること、またコーディングによるカスタマイズに柔軟に対応できることが特徴です。また本稿の画像が示すようにユーザーインターフェースが豊富に用意されていますので、開発から実行、分析までのすべての機能で高いユーザビリティーを提供しています。これらの機能によってBPMを実現するシステムを最小限のコストで効率的に導入し、ユーザーが簡単に使用すること、および分析によるプロセスの改善を可能にしています。

次回はPart3としてFileNetの3つの主要機能の最後、コンプライアンス機能に関する説明を行います。


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publish-date=12142007