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IMS データベース再編成ツール: IMS Online Reorganization Facility によるオンラインデータベースの再編成

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IMS Database Solution Pack for z/OS V2.1

2013 年 11 月 22 日に IMS Database Solution Pack for z/OS V2.1 がリリースされました。データベースの再編成やイメージコピー、診断等の IMS 全機能データベース及び HALDB の管理運用のためのツールが 1 つにパッケージされており、必要な製品をまとめて簡単に導入できることができます。V2.1 での主な機能変更点は以下の 3 点です。

  • IMS Online Reorganization Facility の追加

    最小限のオンライン停止時間でデータベースを再編成する機能を提供

  • IMS HALDB Toolkit の追加

    全機能データベースから HALDB への移行、HALDB の区分変更等の機能を提供

  • IMS Library Integrity Utility の機能拡張

    Web ブラウザでのデータベース構造の可視化、IMS リソース間の整合性チェック等の機能を追加

本稿ではこのうち IMS Online Reorganization Facility について取り上げて説明します。IMS Database Solution Pack for z/OS の詳細は、参考文献 (1) を参照ください。

IMS Database Solution Pack V2.1 前提ソフトウェア

IMS Database Solution Pack V2.1 が前提とする z/OS のバージョンは以下の通りです。

  • z/OS バージョン 1.12 以上
  • z/OS バージョン 2.1

IMS Database Solution Pack V2.1 が前提とする IMS のバージョンは以下の通りです。

  • IMS バージョン 11、バージョン 12、バージョン 13
  • IMS Database Value Unit Edition バージョン 12、バージョン 13

IMS Database Value Unit Edition バージョン 12 の場合、PTF UK93908 を適用してください。

また、共通インフラストラクチャーとして Tools Base for z/OS バージョン 1.4(5655-V93) が導入されている必要があります。Tools Base for z/OS の詳細は、参考文献 (2) を参照ください。

ORF の基本機能

ORF は、データベースを 1 ジョブステップで再編成することができます。再編成に必要なアンロード、再ロード、イメージコピーなどのユーティリティは ORF によって内部的に起動され、そのために必要なデータセットの多くも ORF が自動的に割り振ることができます。

また、再編成処理中でもオンラインのトランザクションやアプリケーションがデータベースを更新することができます。再編成完了後に短時間だけオンラインが停止されデータベース・データ・セットの名前変更 (テイクオーバー) を実施します。

図 1 は、従来のデータベース再編成と ORF による再編成を比較したものです。従来の再編成プロセスでは、オンラインを停止した後に、アンロード、再ロード、索引作成、イメージコピー作成などのユーティリティを順次実行し、完了後にオンラインを再開なければならないのに対し、ORF による再編成では、ORF の実行のみで再編成プロセス全てが完了し、オンラインの停止時間も再編成処理後の短時間ですむことが分かります。

図 1. 従来のデータベース再編成との比較

図 2 は、ORF を実行する JCL のサンプルです。プログラム名は HRFREORG を指定します。HRFSYSIN という DD にコントロールステートメントを記述することにより、実行を制御します。コントロールステートメントはコマンドとキーワードからなっていて、この例では REORG コマンドでデータベースの再編成を、DBD キーワード (必須) で再編成対象のデータベース定義名を指定しています。それ以外のキーワードは全てオプションで、この例ではログ・データ・セットの動的割り振りに関するオプションなどが指定されています。

図 2. ORF を実行する JCL の例

ORF がサポートするデータベースの種類

ORF を使用して再編成することができるデータベースの種類は以下の通りです。

  • 全機能データベース (HDAM, HIDAM, HISAM, SHISAM)
  • HALDB(PHDAM, PHIDAM, PSINDEX)
  • 副次索引

ただし、ルートキーが圧縮された HIDAM データベースや、外部論理関係のあるデータベースはサポートされていません。

ORF による再編成の仕組み

図 3 は、ORF による再編成の概要を図示したものです。図の左上の IMSA・IMSB がそれぞれ IMS のオンラインサブシステムを表していて、その下に水色で表されたデータベースや索引のデータ・セットを共有しています。図の下半分は ORF による再編成処理を表していて、処理は左から右の順に進んでいます。ORF のジョブが実行されると、まずデータベース・データ・セットのコピー (緑色) を作成します (①)。これをシャドー・データ・セットと呼びます。ORF はこのシャドー・データ・セットに対してアンロード (②)、再ロード (③)、索引作成 (④)、イメージコピー作成 (⑤) などの再編成処理を行うことにより、オンライン状態のままでの再編成処理を実現しています。

図 3. ORF による再編成の概要

再編成処理が完了したらオンラインを短時間だけ停止して、水色の本来のデータ・セットと緑色のシャドー・データ・セットを入れ替えます。これをテイクオーバーと呼びますが、再編成処理中にオンラインでデータベースが更新されていた場合、両者の内容に違いができてしまいます。この違いを埋めるための仕組みが、各 IMS サブシステムにセットアップされた ORF のキャプチャです。

図 4.は、ORF のキャプチャの働きを示したものです。再編成処理中に行われたオンラインでのデータベース更新は、各 IMS サブシステム内の ORF のキャプチャによって記録され、XCF メッセージとして全て ORF の再編成ジョブに送信されます。ORF のジョブは、XCF メッセージとして受信した更新の記録を蓄えて、再編成処理が完了した後にシャドー・データ・セットに対して適用します。この仕組みにより、シャドー・データ・セットが本来のデータベース・データ・セットと同等のものに更新され、テイクオーバーが可能になります。

図 4. ORF のキャプチャの働き

ORF のオプション機能

次に、ORF のオプション機能のうちの代表的なものを説明します。

BMP の一時停止機能

ORF が再編成中のデータベースを BMP がアクセスしている場合、ORF のジョブはデータベースを停止することができないため、再編成処理が終わった後もテイクオーバーに進めず、BMP が終了するのを待機します。実行時間の長い BMP があった場合、ORF のジョブがタイムアウトしてしまい、再編成を中止することがあります。

このような場合、ORF が提供している BMP 一時停止機能を使用することで、ORF のジョブが必要に応じて BMP を一時停止させることが可能になり、ORF はこの間に再編成を完了することができるようになります。実行中だった BMP は、次のチェックポイント呼び出しで一時停止され、データベースが再開された後に再開されます。

データベース定義 (DBD) の変更機能

ORF で再編成を行う際に、データベース定義 (DBD) を変更することができます (全機能データベースのみ)。以下の定義変更がサポートされています。

  • ランダマイザー・パラメータ
  • データセット定義の変更 (FRSPC, SIZE, BLOCK, RECORD)
  • フィールド長の拡張
  • セグメント末尾へのフィールドの追加

IMS のオンラインにロードされているデータベース定義ブロック (DMB) を新しい定義に置き換えることができるため、ACBLIB メンバーのオンライン変更が不要なことが特徴です。

テイクオーバーのスケジューリング機能

ORF の再編成によるオンライン停止期間を、特定の時間帯にスケジュールすることができます。

以下のようなパラメータの設定が可能です。

  • 開始時間: 指定された時間以前にはテイクオーバーを実行しない
  • 終了時間: 指定された時間以降はテイクオーバーを実行しない
  • 終了時のアクション: 指定された終了時間を過ぎた場合にどうするかを指定

終了時のアクションには、以下の 3 種類が設定可能です。

  • WTOR メッセージを出力してオペレータに確認 (WTOR)
  • 翌日の開始時間を待ってテイクオーバーを実行 (NEXTDAY)
  • テイクオーバーを実行せずにジョブを終了 (ABEND)

指定された開始時間よりも前にテイクオーバーの準備が整った場合、アイドリングモードで時間まで待機し、時間が来たらテイクオーバーを開始します。また、アイドリング中であれば、MVS の MODIFY コマンドを使用することにより、いつでもテイクオーバーを開始させることができます。

まとめ

IMS Database Solution Pack for z/OS V2.1 で新たに加わった IMS Online Reorganization Facility の機能とその仕組みについて説明しました。ORF を使用することにより、オンラインのトランザクションやアプリケーションへの影響を最小に抑えて IMS の全機能データベースや HALDB を再編成することができます。


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