IBM Enterprise Records V5.2 概説

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IBM Enterprise Records によるレコード管理

企業で日々蓄積される電子メールやオフィス文書などの電子ファイル、また紙の資料やテープなどの物理資料を適切に管理し、正しいポリシーに従って廃棄することは保管場所の削減による高いコストダウンの効果をもたらします。また会計監査や訴訟などに対してデータを適切に維持・管理することにより、必要なデータを提出できないことによる罰則や敗訴などのリスクを回避することが可能です。また米国ではオフィス文書や電子メールなどの電子ファイル、また紙の資料やテープなどの物理資料などの各種データに対しての管理規定が政府によって定められています。従って各種データを適切に管理するシステムが存在しなければ、データ保持に関する法律と規則の解釈、および準拠が難しくなる可能性があり、結果として厳しい罰金、罰則などのリスクを被る恐れがあります。

IBM Enterprise Records は企業の各種データの適切な管理を可能にする以下の機能を提供します (図 1)。

図 1. IBM Enterprise Records によるレコード管理の概要図

レコードの宣言

IBM Enterprise Records では IBM FileNet P8 や IBM Content Manager といったコンテンツ管理製品に保管済みの電子ファイルや物理資料などの各種データ (コンテンツ) を管理するために、コンテンツと一対一で紐付けられる「レコード」と呼ばれる電子ファイルを作成します。このレコードに対して種類や管理者、廃棄スケジュールなどの必要な属性値を設定し、その設定に逆らってコンテンツが削除されることがないよう、レコードと紐付いているコンテンツに対して制限をかけます。

レコードの参照・検索

宣言されたレコードを Web アプリケーションの管理画面から一覧表示することや属性値やレコードの種類に従って検索することが可能になります。それらの機能によってレコードの管理者が各レコードの状況を参照したり変更したりすることが可能になります。

レコードの廃棄・保留

保管期限が過ぎたレコードを設定に従って自動的に廃棄 (削除) することが可能です。レコードが廃棄されるとそのレコードに紐づいている電子ファイルも自動的に削除されます。また廃棄の前にレビューや承認といったチェックを実施することも可能です。また例外として訴訟などの理由によって一時的に廃棄対象から除外するレコードに対して保留 (廃棄対象から除外) の設定を行うこともできます。

また以上のすべての機能に対して監査可能な操作ログや特定の条件下のレコードに関するレポートを保管し、いつ、誰が、どのように操作を行ったかを記録として残すことが可能です。これらの機能によって IBM Enterprise Records はコンテンツに対する適切なレコード管理機能を提供します。また IBM Enterprise Records はバージョン 5.1 より IBM の各種コンテンツ管理製品に対する共通の Web クライアントである IBM Content Navigator の追加機能として実装されているため、他の電子コンテンツと同様の画面や操作を使用してレコード管理を行うことができます。以下では実際に使用する際の流れに沿って IBM Enterprise Records バージョン 5.2 の各機能と最新の画面を紹介します。

IBM Enterprise Records 機能説明

ファイル・プランの作成

レコード管理を始めるにあたって、まずレコードを格納する場所を作成します。IBM Enterprise Records ではレコードの格納場所をファイル・プランと呼んでいます。ファイル・プランの中にレコードを分類するためのレコード・カテゴリーや、それを更に細かく分類するためのレコード・フォルダーを階層構造で作成することでレコードの格納場所を定義することができます。

図 2 はファイル・プランの一例です。”東日本支社用ファイル・プラン”という名称のファイル・プランの下にレコード・カテゴリーとして"人事関連"、 "契約関連"、”法務関連”というレコード・カテゴリーが作成されています。"契約関連"レコード・カテゴリーの下には"新規"、 "更新"といった契約タイプごとのレコード・カテゴリーが作製され、その下に”00001”, “00002”といった契約番号ごとのレコード・フォルダーが存在します (レコード・カテゴリーの下には子供のレコード・カテゴリーを、レコード・フォルダーの下には子供のレコード・フォルダーを作製可能です)。またこの例ではレコード・フォルダーの下に"00001_2015年1月"、 "00001_2015年2月"というように月単位で区切られたボリュームというレコードの格納場所が作成されています。ボリュームはレコード・フォルダーの下に任意の名前で作成が可能であり、また任意のタイミングで作成することも、週、月、四半期、年といった期間ごとに作成することも可能です。レコード・フォルダー、レコード・カテゴリーおよびボリュームはまとめて「レコード・コンテナー」と呼ばれます。

図 2. ファイル・プランの一例

レコードの宣言

保管済みのコンテンツを管理するためにレコードを宣言し、ファイル・プランのいずれかのレコード・コンテナーに格納します。レコードやレコードが属するレコード・コンテナーに対して属性値 (プロパティー) としてコンテンツの保存期間やアクセス権限、廃棄方法などの情報を設定することが可能です。IBM Enterprise Records はその値に従ってコンテンツのレコード管理を実施します。またテンプレートを使用して事前に定義された設定値からレコードを作成することも可能です。レコードの宣言は画面上から手動で行うこともできますし (図 3)、ある条件を満たしたコンテンツに対して自動的に宣言することもできます。

図 3. レコードの宣言画面

レコードの参照

宣言されたレコードは管理画面から参照可能です。参照ビューには選択したファイル・プランの下のレコード・コンテナーとレコードのリスト、およびプロパティーが表示されます (図 4)。ユーザーはレコードを選択してプロパティーを確認したり、またレコードに対してコピー、移動、お気に入りの追加などの操作を行ったりすることができます。お気に入りのビューには、参照ビューなどからお気に入りに追加されたレコード・コンテナーやレコードがリストされ、そこで参照ビューと同じ操作を行うことも可能です。

図 4. レコードの参照画面

レコードの検索

レコード・コンテナーやレコードに対してプロパティーによる検索や全文検索が可能です (図 5)。ユーザーは複数のプロパティーに対して検索条件を定義でき、また「すべてが一致」か「いずれか一致」のオプションを選択することもできます。設定された検索条件を保存して再利用することも可能です。 検索結果のレコード・コンテナーやレコードに対して参照ビューと同様にコピーや移動の操作を行ったり、宣言の解除などのレコード特有の操作を直接行ったりすることができます。

図 5. レコードの検索画面

レコードの廃棄

保管期限が過ぎたレコード・コンテナーは廃棄スケジュールの設定に従って廃棄されることになります (図 6)。レコード・コンテナーが廃棄されるとレコード・コンテナー内のレコード、およびそのレコードと紐づいている電子ファイルが自動的に削除されます。また物理資料に紐づいたレコードが廃棄された場合は物理資料を実際に手作業で廃棄するよう画面上で担当者に指示を出すことができます。廃棄スケジュールは手動でレコードを選択して開始することも可能ですし、バッチ処理によって保管期限が過ぎたレコードに対して自動的に廃棄の処理を開始させることも可能です。廃棄の処理の中ではレビューや承認、また廃棄前にレコードを別のファイル・システムやテープ上などにエクスポート (書き出し) する場合はエクスポート先などの設定が可能です。

図 6. レコードの廃棄スケジュール設定画面

レコードの保留

訴訟や会計監査などによりレコードを保持する義務が発生した場合、企業は一時的に廃棄スケジュールを停止してレコードが廃棄されないようにする必要があります。 レコード・コンテナーやレコードに対して保留 (廃棄対象から除外) の設定を行うことにより、レコードの廃棄処理が実施されるのを防ぐことができます (図 7)。例えば特定の契約について訴訟が発生した場合、その契約に関するすべてのレコードについて保留の設定を行うことで、訴訟が終わる前に廃棄スケジュールによってレコードが廃棄されるのを防ぐことができます。

図 7. レコードの保留設定画面

タスクによるレコード処理

レコードの廃棄処理や保留処理を自動的に実施する場合、その処理をタスクとして管理することが可能です (図 8)。またタスクを使用してレポートと呼ばれるレコードの管理記録を出力することもできます。これらのタスクは手動で開始することもできますし、スケジュールに従って開始することもできます。タスクの一覧画面ではタスクを作成したり、タスクの状態 (スケジュール済み、実行中、および完了) や実行結果のログを参照したりすることが可能です。

図 8. レコード処理用のタスク一覧画面

ワークフローによるレコード処理

廃棄や保留の処理においてユーザーによるレビューや承認等の処理を実施する場合は IBM FileNet P8 のワークフロー機能を使用します。IBM Enterprise Records の画面では図 9 のようなレコード処理用のワークフローがいくつか事前に定義されており、ワークフローに従ってユーザーによるレビューや承認等の処理を実施することが可能です。またこれらのワークフローをカスタマイズしたり新規に作成したりすることもできます。ワークフローが実行された際、各ユーザーは自分の役割に従って廃棄対象のレコードをレビューする、廃棄や保留を承認する、といった各ステップを実施することで、廃棄や保留の処理を進めることができます。

図 9. レコード廃棄のワークフロー

まとめ

IBM Enterprise Records は各種コンテンツのレコード管理機能を提供することで、企業で蓄積されているコンテンツを適切に管理して正しいタイミングで廃棄するシステムの早期構築を実現し、企業のコストダウンや各種リスクの低減を支援しています。


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