目次


WebSphere LibertyのJava EEローカル開発環境のインストール

アプリケーションのLiberty化の準備

はじめに

IBM WebSphere Application Server Libertyプロファイルは、WebSphere Application Serverの次世代アーキテクチャーです。このプラットフォームに向けたアプリケーションを開発するためには、Libertyが入ったローカル開発環境が必要です。しかしLibertyは編成が自在にできるので、正しくインストールするにはLibertyの働きについての基本的な理解が必要です。

このチュートリアルでは、Java Platform, Enterprise Edition (Java EE)アプリケーションの作成とテストのための、EclipseとLibertyを使ったローカル開発環境のインストールと構成の方法を説明します。この過程を通して、Liberty用のアプリケーションを作成するための、実用的な開発環境の構築を学びます。

このチュートリアルは、EclipseとLibertyを使ったローカル開発環境のインストールについてのシリーズの2回目です。全体は、以下のチュートリアルに分かれています。

  1. Java EE開発者のための WebSphere Liberty入門
  2. WebSphere LibertyのJava EEローカル開発環境のインストール(本稿)
  3. BluemixのためのJava EEローカル開発環境のインストール

今回の内容は、シリーズ1回目のチュートリアルで取り上げた事柄の理解を前提にしています。

なぜLiberty開発環境をインストールするのか?

アプリケーション・サーバーにLibertyを使ったローカルのJava EE開発環境が求められるのには、2つの大きな理由があります。

  • Libertyサーバーは軽量で、すぐにインストールでき、簡単に管理できます。
  • 実稼働のランタイムに、Libertyを使うことが増えています。

シリーズの前回で説明したように、Libertyサーバーは、ローカルのJava EEテスト・サーバーとして、優れた特長を備えています。ディスク使用量やメモリ使用量がとても小さいので、ノートPCでも複数のサーバーを、他のアプリケーションと一緒に無理なく使えます。ローカルで自由に操れるサーバーは、テスト作業を楽にします。Libertyサーバーはインストールと構成も簡単で、更新はサーバーの再始動なしに行えます。アプリケーションのデプロイも、ディレクトリーにアーカイブをドロップするか、Eclipseの中から操作するだけです。Tom Alcottが書いているように、従来からLibertyの主な使い方の1つは、デスクトップ開発環境を用意して、それを使ってJava EEアプリケーションを開発し、そして正式のテストと実稼働のためにWebSphere Application Serverフル・プロファイルにデプロイすることです。

最近は、実稼働もLibertyで行われています。リソースの効率、管理のしやすさ、スケーラビリティーの高さなどから、エンタープライズ・アプリケーションの実稼働ランタイム環境としても、Libertyが使われることが多くなっています。Dockerでは、IBMのLibertyイメージによって、アプリケーション・サーバーを稼働させながらも軽量さを保ったコンテナーを作成できます。クラウド・アプリケーション用では、BluemixのLiberty for Javaインスタント・ランタイムとIBM Libertyイメージが、その名の通りLibertyを使っています。開発と実稼働の食い違いを防ぐためには、できるだけ実稼働に近い開発環境を作ることが求められます。実稼働でLibertyランタイムにデプロイするアプリケーションを作るならば、開発環境でもLibertyを使うのが自然です。Libertyをどこででも使っていれば、アプリケーションはどこにでもデプロイできて、どこでも稼働するものになります。

次に、このローカル開発環境として優れたLibertyをインストールする方法に移ります。

ここでは、大きく2つの段階に分けて、LibertyとEclipseのインストールのやり方を取り上げます。

  1. 開発環境のインストールでは、EclipseとLibertyをインストールして、EclipseからLibertyのアプリケーション・ランタイムに接続するまでの全体の過程を記載します。
  2. 普段のタスクでは、EclipseとLibertyの構成についての通常のタスクのやり方を説明します。EclipseとLibertyのことを知っている方には、これらのやり方はすでに分かっているかもしれません。ここで解説する手順は、まだ勉強中で詳しい説明が必要な方に向けたものです。タスクのいくつかは、インストールの中でもすぐに使います。その他のものは、違ったプログラミング・モデルでアプリケーションを開発するときなど、後からいろいろな目的に合わせて開発環境をカスタマイズするときに使うものです。

各セクションは独立しているので、役に立ちそうな項目だけを拾い出して利用できます。

開発環境のインストール

LibertyのJavaアプリケーション開発では、Libertyランタイム環境にEclipse開発ツールを加えたローカル開発環境が役に立ちます。このセクションでは、EclipseとLibertyを使った開発環境のインストールと構成の方法を説明します。

LibertyとEclipseのインストールでは、次のことを行います。

  1. インストール・ディレクトリーの準備
  2. JDKのインストール
  3. Libertyプロファイルのインストール
  4. Eclipseのインストール
  5. WebSphere Developer Toolsのインストール
  6. EclipseでのLibertyサーバーのインストール

それぞれを以下のセクションで説明していきます。

1. インストール・ディレクトリーの準備

まず考えるのは、EclipseとLibertyをどこにインストールするかです。Javaランタイム(JRE、JDK、SDK)は実行可能ファイルで、Eclipse IDEも実行可能ファイルのようにインストールするので、普通はコンピューターにある、アプリケーションやプログラム・ファイルのデフォルト・ディレクトリーに置きます。Eclipseにはワークスペース・ディレクトリーが必要で、Libertyにはインストール・ディレクトリーが必要です。これらをどこにするかを決めておきます。

どこのディレクトリーでも、ほとんどは支障ありません。表1に、適当なディレクトリーの例を挙げています。(インストールするLibertyのバージョンを名前に入れておくと便利です。ここではv8.5.5.6を前提にしてwlpディレクトリーの名前を決めています)

表1. インストール・ディレクトリー構造の例
ディレクトリー目的
/dev開発成果物の全体
/dev/ApplicationServersサーバー製品インストール
/dev/ApplicationServers/wlp-8.5.5.6Libertyプロファイルv8.5.5.6
/dev/EclipseEclipse成果物
/dev/Eclipse/workspaceデフォルトEclipseワークスペース
/dev/gitGitからのプロジェクト

どんなディレクトリー構造にするにしても、ここでは次の2つのディレクトリーが必要です。

  • <Liberty_Root> – Libertyをインストールする場所

    例: /dev/ApplicationServers/wlp-8.5.5.6

  • <Eclipse_Workspace> – Eclipseのワークスペースを作成する場所

    例: /dev/Eclipse/workspace

2. JDKのインストール

Libertyには別にインストールしたJREが必要で、Eclipseには同じくJDKが必要です。JDKにはJREが入っているので、JDKをインストールします。以下のWebページを利用します。

LibertyとEclipseの使うJDKをインストールできたら、次に進みます。

3. Libertyプロファイルのインストール

アプリケーションを手元で稼働させてテストするためには、ローカルのLibertyプロファイルとサーバーが必要です。ここではWebSphere Application Server製品全体のインストールはしません。(WebSphere Application Server製品にはフル・プロファイルとLibertyプロファイルの両方が入っています) Libertyプロファイルだけが入ったLibertyデベロッパー・ビルドをインストールします。ダウンロードは小さく、すぐにインストールできます。

ファイルをダウンロードしたら、再インストールが必要になったときのために、適当な 場所に保管しておきます。

Libertyダウンロードのインストールは、アーカイブを展開するだけです。作成されるwlpディレクトリーを、適当な場所(<Liberty_Root>)に置きます。LibertyのJava EE 7ビルドでは、デフォルトでjavaee-7.0フィーチャーが使用可能になるように、フィーチャー・マネージャーが構成されています。

Libertyの資料は、WebSphere Application Server (分散およびIBM iオペレーティング・システム)バージョン8.5.5のLibertyプロファイルの概要に用意されています。

これでLibertyプロファイルを、<Liberty_Root>/wlpにインストールしたことになります。

4. Eclipseのインストール

LibertyのJavaアプリケーション開発のために、統合開発環境(IDE)を用意します。いくつかのIDEがありますが、好きなものを利用できます。このチュートリアルでは無償のEclipseを使い、Eclipseで稼働するIBMからのJava開発ツールキットを利用します。

以下のようにして、Eclipse IDE for Java EE Developersをインストールします。

  • Eclipseのダウンロード・ページで最新バージョンを選びます(現時点ではコード・ネームMars)。
  • Eclipse IDE for Java EE Developersパッケージを使います。
  • Eclipse Installerを使うと簡単にインストールできます。またはEclipse/Installationの説明に従って、Eclipseパッケージをダウンロードしてインストールします。

これでJava開発ツールを備えたEclipseがインストールされ、稼働できるようになります。

Eclipseを稼動させる方法は、Eclipse documentation - Current ReleaseのRunning Eclipseに説明があります。

Eclipseをインストールして稼働したら、次に進みます。

5. WebSphere Developer Toolsのインストール

WebSphere Developer Toolsがあると、Eclipseを使ってアプリケーションをWebSphere Application Serverに簡単にデプロイでき、Libertyプロファイルでも使えます。

  • 使用するEclipseのバージョン用のWebSphere Developer Toolsを、ダウンロードしてインストールします。Mars用のバージョンは、WebSphere Developer Tools for Eclipse Marsから入手できます。

WebページにあるWAS Liberty Profile V8.5.5のInstallボタンを使って、ツールのダウンロードとインストールをすることもできます。Webページからボタンをドラッグして、Eclipseのウィンドウにドロップします。

ツールの資料は、IBM WebSphere Developer Tools, Version 8.5に用意されています。

WebSphere Developer ToolsをEclipseにインストールしたら、次に進みます。

6. EclipseでのLibertyサーバーのインストール

ローカルLibertyプロファイルをインストールしたら、次にLibertyサーバーが必要になります。さらにそれをEclipseの中でリンクして、Eclipseから使えるようにすることが必要です。

以下の3つの要素を作成して、Libertyサーバーの準備を整えます(それぞれの名前はLiberty v8.5.5.6を想定しています)。

  • Eclipseの中のランタイム環境 – 名前はwlp-8.5.5.6 で、パスは<Liberty_Root>/wlp
  • Libertyプロファイルの中のサーバー– 名前はdefaultServer
  • Eclipseの中のサーバー– 名前はwlp-8.5.5.6 defaultServer at localhost

操作に慣れてくれば、この全部を新規サーバー・ダイアログだけで行えます。ここでは段階を追った説明を、後のセクションに記載しています。

Libertyサーバーを作成して、Eclipseからアクセスできるようになればインストールは完了です。

準備の完了

ここまで到達したら、LibertyとEclipseがインストールされて互いにつながり、EclipseからLibertyにアプリケーションをデプロイできるようになります。次のセクションでは、Eclipseを使ってLibertyで普段行うタスクを説明していきます。

普段のタスク

ここからのセクションでは、前回のチュートリアルJava EE開発者のためのWebSphere Liberty入門で取り上げた概念を実際に応用して日常に実施する、以下のタスクを説明します。

これらを行うには、Libertyプロファイルをインストールして、それが正しく稼働している必要があります。EclipseをWebSphere Developer Toolsと一緒にローカルにインストールしてあれば、タスクの多くはEclipseのツールを使うこともできます。

ほとんどのタスクは、次の2つの方法で実施できます。

  • コマンド・ライン – ターミナル・ウィンドウでテキスト・コマンドを実行します。
  • Eclipse IDE – Eclipseのメニュー式のGUI画面とウィザードを使います。

どちらの方法を使っても、結果は同じです。GUIとコマンドは、同じLiberty APIを使って実装されています。好みで選んでよく、両方を交互に使っても差し支えありません。

Eclipseを使ったサーバーの作成

Libertyプロファイルをインストールしたら、そのプロファイルの中にサーバーが1つは必要です。後に記載している「コマンド・ラインを使ったサーバーの作成」のタスクでは、Eclipseを使わずにサーバーを作成する方法を説明しています。Eclipseの中で使うサーバーを、コマンド・ラインで作成した場合は、以下の手順のうち残りの部分をたどって、Eclipseをプロファイルとサーバーにリンクすることが必要です。

以下の手順は、ローカルにインストール済みのLibertyプロファイルを使いながら、Eclipseの中にLibertyサーバーをセットアップする過程の説明です。このすべての設定は、新規サーバー・ダイアログだけを使っても行えます(Getting started with WebSphere Developer Tools for Eclipse and Libertyを参照)。しかしEclipseとLibertyが初めての方は、ここで説明する流れの方が分かりやすいと思います。ここでは成果物の作成過程を、次の段階に分けています。

  1. Libertyプロファイルにリンクする、Eclipseの中のランタイム環境の作成
  2. Libertyプロファイルの中のサーバーの作成
  3. Libertyサーバーにリンクする、Eclipseの中のサーバーの作成

Java IDEには、WebSphere Developer ToolsをインストールしたEclipseを使います。表2は、各手順の説明で使ういくつかの変数をまとめています。値の例は、バージョン8.5.5.6のLibertyプロファイルを想定したものです。

表2. Eclipseでのサーバー作成の変数
変数説明
<Liberty_Path>Libertyプロファイルのインストール・パス。普通は最後のディレクトリー名はwlp.../wlp-8.5.5.6/wlp
<Environment_Name>Eclipseの中のランタイム環境の名前。普通はLibertyプロファイルに合わせた名前wlp-8.5.5.6
<Liberty_Server_Name><Liberty_Path>にインストールされたLibertyプロファイルに作成するサーバーの名前defaultServer
<Eclipse_Server_Name>Eclipseの中のサーバーの名前。普通はLibertyプロファイルのサーバーに合わせた名前にし、ローカルにインストールしたサーバーの末尾は"at localhost"wlp-8.5.5.6 defaultServer at localhost

Eclipseの中のランタイム環境の作成

まず、ローカルにインストールしたLibertyプロファイルにリンクさせる、Eclipseの中のランタイム環境を作成します。EclipseでWebSphere Developer Toolsを使って、以下のようにします。

  1. 「Runtime Explorer」ビューで「New」>「Runtime Environment」と選択します(図1)。
    図1. 新規ランタイム環境
    図1. 新規ランタイム環境
    図1. 新規ランタイム環境
  2. Liberty Profileダイアログで以下のように設定します(図2)。
    • 「Name」<Environment_Name>に設定
    • 「Choose an existing installation」を選択して、「Path」<Liberty_Path>を入力
    • 「Use default JRE」を選択(またはアプリケーションに必要なJREを指定)
    • 「終了」を押す
    図2. ランタイム環境の作成
    図2. ランタイム環境の作成
    図2. ランタイム環境の作成

これで、Eclipseの外でインストールしたLibertyプロファイルに、Eclipseの中のランタイム環境をリンクできました。次の段階は、サーバーを作成して、それにEclipseからリンクさせることです。

Libertyサーバーの作成

次に、Libertyプロファイルの中にサーバーを作成します。もうサーバーが作成してある場合は、Eclipseをサーバーにリンクさせる次の段階に進みます。Eclipseからリンクしたプロファイルにサーバーを作成する必要がある場合は、ここで作成します。

EclipseでWebSphere Developer Toolsを使って、以下のようにプロファイルにサーバーを作成します。

  1. 「Runtime Explorer」ビューで、先に作成したランタイム環境<Environment_Name>を選択します。「New」>「Liberty Profile Server」と選択します(図3)。
    図3. 新規Libertyプロファイル・サーバー
    図3. 新規Libertyプロファイル・サーバー
    図3. 新規Libertyプロファイル・サーバー
  2. New Liberty Profile Serverダイアログで、次のようにします(図4)。
    • 「User directory」<Environment_Name>になっていることを確認
    • 「Server name」<Liberty_Server_Name>に設定
    • 「Template」defaultServerになっていることを確認
    • 「終了」を押す。
    図4. Libertyプロファイル・サーバーの作成
    図4. Libertyプロファイル・サーバーの作成
    図4. Libertyプロファイル・サーバーの作成

これでEclipseを使って、Libertyプロファイルにサーバーを作成できました。次は、このサーバーをEclipseから使えるようにします。

Eclipseの中のサーバーの作成

Eclipseの中にサーバーを作成して、ローカルにインストールしたLibertyサーバーにリンクさせます。EclipseでWebSphere Developer Toolsを使って、以下のようにします。

  1. 「サーバー」ビューで、「新規」>「サーバー」と選択します。
  2. 新規サーバー・ダイアログの「新規サーバーの定義」ページで、以下のようにします(図5)。
    • 「サーバーのタイプを選択」IBM > WebSphere Application Server Liberty Profileを選択
    • 「サーバーのホスト名」localhostになっていることを確認
    • 「サーバー・ランタイム環境」<Environment_Name>を選択
    • 「サーバー名」<Eclipse_Server_Name>に設定
    • 「次へ」を押す。
    図5. 新規サーバーの定義
    図5. 新規サーバーの定義
    図5. 新規サーバーの定義
  3. Liberty Profile Serverパネルで、以下のようにします(図6)。
    • 「Liberty profile server」<Liberty_Server_Name>になっていることを確認
    • 「終了」を押す。
    図6. Libertyプロファイル・サーバー
    図6. Libertyプロファイル・サーバー
    図6. Libertyプロファイル・サーバー

ここまでで、<Liberty_Path>にインストールされたLibertyプロファイルに、<Liberty_Server_Name>という名前のサーバーを作成しました。そして、そこへのリンクを<Eclipse_Server_Name>という名前で、Eclipseの中のランタイム環境<Environment_Name>に作成しました。新しいサーバーは、下のパスにインストールされています。

<Liberty_Path>/usr/servers/<Liberty_Server_Name>

Eclipseがサーバーにリンクされたので、Eclipseを使ってサーバーの管理ができ、Eclipseプロジェクトをサーバーにデプロイできます。

コマンド・ラインを使ったサーバーの作成

Libertyプロファイルをインストールしたら、そのプロファイルに1つはサーバーを作成する必要があります。ここでは、Eclipseを使わずにコマンド・ラインからサーバーを作成する方法を説明します。このサーバーをEclipseの中で使えるようにするためのタスクは、「Eclipseの中のサーバーの作成」で説明しています。コマンド・ラインを使って作成したサーバーをEclipseの中で使いたい場合は、そのタスクの手順をたどって、Eclipseをプロファイルとサーバーにリンクすることが必要です。

表3は、ここの説明で使う変数です。値の例は、バージョン8.5.5.6のLibertyプロファイルを想定しています。

表3. サーバー作成の変数
変数説明
<Liberty_Path>Libertyプロファイルのインストール・パス。普通は最後のディレクトリー名はwlp.../wlp-8.5.5.6/wlp
<Liberty_Server_Name><Liberty_Path>にインストールされたLibertyプロファイルに作成するサーバーの名前defaultServer

コマンド・ラインによるプロファイルの中のサーバーの作成には、server createコマンドを使い、サーバー名に<Liberty_Server_Name>を指定します。デフォルトの名前はdefaultServerです。

コマンドは下の形式になります。

<Liberty_Path>/bin/server create <Liberty_Server_Name>

使用例

cd wlp-8.5.5.6
wlp/bin/server create defaultServer

このコマンドによって、<Liberty_Server_Name>という名前のサーバーが、<Liberty_Path>にインストールしてあるLibertyプロファイルに作成されます。新しいサーバーは、次のパスにインストールされます。

<Liberty_Path>/usr/servers/<Liberty_Server_Name>

LibertyプロファイルへのWebアプリケーションのデプロイで説明しているように、このサーバーにそのままアプリケーションをデプロイすることもできます。

アセットのダウンロード

Libertyのインストールが終わると、Libertyプロファイルに追加アセットをインストールできます。Libertyと一緒にEclipseをインストールしてあれば、ツールを使ったアセットのインストールもできます。

IBM WebSphere Liberty Repository: Featuresに挙がっているフィーチャーは、どれでもコマンド・ラインを使ってアセットをダウンロードできます。同じフィーチャー・アセットのリストは、EclipseのGUIでも表示されます。Webページからは、フィーチャーのアセットだけでなく、ダウンロードとインストールの説明も見つけることができます。

アセットのインストールを、例を取り上げて見てみます。Libertyを使い始めたユーザーがよく抱く疑問は、Integrated Solutions Console (かつての管理コンソールまたはadminコンソール)はどこにいったのかです。Libertyでは、サーバーのWebユーザー・インターフェースはAdmin Centerという名前で、Libertyのほとんどのフィーチャーと同じようにオプションです。実際に使うことに決めたときにだけ、サーバーにAdmin Centerフィーチャーをロードします。

Admin Centerをはじめ、フィーチャーをサーバーにロードさせるときは、フィーチャー・マネージャーの中でそれを使用可能にします。フィーチャー・マネージャーがフィーチャーをロードする際、サーバーのプロファイルにはアセットをインストールしておかなければなりません。

コマンド・ライン: フィーチャーの直接指定

フィーチャーを使用するときは、まずプロファイルにアセットを用意します。プロファイルにつき1回インストールするだけですが、インストールしてあるか不確かならば、何度も行って構いません。アセットは初回と、変更があったときにだけダウンロードされます。

下のようにして、コマンド・ラインからAdmin Centerアセットのダウンロードとインストールをします。

wlp/bin/installUtility install adminCenter-1.0

指定したフィーチャーがダウンロードされてインストールされます。ここではadminCenter-1.0がその名前です。

コマンド・ライン: サーバー構成の利用

別の方法として、必要なフィーチャーをサーバーに構成してから、そのサーバー構成を使って該当アセットをダウンロードさせることができます。フィーチャーの使用可能化のセクションで、サーバーにフィーチャーを追加する方法を説明しています。例えばAdmin Centerを使用可能にする場合、次の行をフィーチャー・マネージャーの構成に加えます。

<feature>adminCenter-1.0</feature>

ここでは構成するサーバーの名前をdefaultServerとします。このサーバーのserver.xmlファイルを変更して、フィーチャーを使用可能にします。そして下のコマンドを実行すると、defaultServerで使用可能になっているadminCenter-1.0を含めた全部のフィーチャーのアセットが、プロファイルの中に用意されます。

wlp/bin/installUtility install --acceptLicense defaultServer

このようにinstallコマンドを使って、特定のフィーチャーを指定したインストールと、サーバーの構成で指定したフィーチャー全体のインストールができます。

Eclipse GUI

EclipseでWebSphere Developer Toolsを使って、Admin Centerアセットのダウンロードとインストールをするときは、次のようにします。

  1. 「Runtime Explorer」ビューで、アセットをインストールするプロファイルのランタイム環境を選択します。
  2. ランタイム環境を選択したまま、「Install Additional Content」(以前のバージョンでは「Install Add-Ons」)を選びます(図7)。
    図7. 追加コンテンツのインストール
    図7. 追加コンテンツのインストール
    図7. 追加コンテンツのインストール
  3. Install Additional Contentダイアログで、ダウンロードしてインストールするアセットを見つけます。この例では、アセットの名前はAdmin Centerです。「Install」ボタンを押します(図8)。
    図8. 追加コンテンツのインストール
    図8. 追加コンテンツのインストール
    図8. 追加コンテンツのインストール
  4. 「次へ」をクリックしてライセンスに承諾してから、「終了」をクリックすると、アセットのダウンロードとインストールが始まります。

コマンド・ラインを使った場合もEclipse GUIを使った場合も、これでアセットがリポジトリーからダウンロードされて、プロファイルにインストールされます。プロファイルで稼働するすべてのサーバーが、これをロードできるようになります。

フィーチャーの使用可能化

サーバーに何も構成していなければ、サーバーを始動しても、稼働するのはフィーチャーのないカーネルだけです。(カーネルはきわめて高速に始動して、メモリー消費もわずかです) 役に立つサーバーにするためには、フィーチャーのロードが必要です。先に説明したように、使用可能にしてロードさせるフィーチャーは、サーバー構成のフィーチャー・マネージャーのセクションで指定します。

サーバー構成は、ディレクトリーwlp/usr/servers/<server-name>にあるserver.xmlという名前のXMLファイルに入っています。XMLスキーマに<featureManager>エレメントがあり、サーバーがロードできるフィーチャーをこれでリストします。繰り返しになりますが、サーバーがフィーチャーをロードするためには、そのフィーチャーのアセットがプロファイルにインストールされていなければなりません。

サーバーのフィーチャー・マネージャーのリストに入ったフィーチャーの追加と削除は、XMLファイルを編集して行います。テキスト・エディターを使うほか、Eclipseのツールを使っても行えます。

コマンド・ライン

コマンド・ラインからは、普段使っているテキスト・エディターかXMLエディターを使ってserver.xmlファイルを開き、Eclipseから「ソース」のエディターを使うときと同じようにして(後述)、ファイルを編集します。

Eclipse GUI

Eclipseでは、以下のようにしてサーバーの構成ファイルを選択し、それを開いて編集します。

  1. 「サーバー」ビューで、構成するサーバーを選択します。
  2. サーバーを展開して、関連付けられたプロジェクトと一緒にサーバー構成ファイルを表示させます。Server Configuration [server.xml]を選択して、エディターで開きます(図9)。
    図9. サーバー構成エディターの開始
    Open the server configuration editor
    Open the server configuration editor

サーバー構成エディターには、「Design」と「ソース」の2つのビューがあります。どちらを使ってもサーバー構成を編集できます。

XMLの内容を表示して編集する場合は、次のようにします。

  1. ソース」ビューを選択します(図10)。フィーチャー・マネージャーの構成は、下の ようなかたちになっています。
    <featureManager>
    <feature>javaee-7.0</feature>
    </featureManager>
    図10. サーバー構成エディター:「ソース」
    図10. サーバー構成エディター:「ソース」
    図10. サーバー構成エディター:「ソース」
  2. 下の行を書き加えて、Admin Centerをフィーチャー・マネージャーのフィーチャーのリストに追加します。
    <feature>adminCenter-1.0</feature>

    行を加えると、フィーチャー・マネージャーの構成全体は、下のようになります。

    <featureManager>
    <feature>javaee-7.0</feature>
    <feature>adminCenter-1.0</feature>
    </featureManager>

    この2行で、javaee-7.0adminCenter-1.0のフィーチャーがロードされます。

サーバー構成デザイナーを使う場合は、以下のようにしてフィーチャー・マネージャーの構成を編集できます。

  1. 「Design」ビューを選択します。「Configuration Structure」でフィーチャー・マネージャーを選択します。図11に示すように、「フィーチャー・マネージャー」ビューでコンポーネントのリストが次のように表示されます。
    表4.「フィーチャー・マネージャー」のリスト
    フィーチャー名前
    javaee-7.0Java EE Full Platform 7.0
    図11. サーバー構成エディター:「Design」
    図11. サーバー構成エディター:「Design」
    図11. サーバー構成エディター:「Design」
  2. 「Add」を押します。
  3. プロファイルにインストール済みのフィーチャーで、まだフィーチャー・マネージャーのリストに挙がっていないものが、Add Featuresダイアログに表示されます(図12)。下のフィーチャーを選択して、「OK」を押して追加します。
    表5.「フィーチャー」リストの追加
    フィーチャー名前
    adminCenter-1.0Admin Center 1.0
    図12. Add Featuresダイアログ
    図12. Add Featuresダイアログ
    図12. Add Featuresダイアログ

    これで「フィーチャー・マネージャー」ビューのリストには、下記のコンポーネントが表示されます(図13)。

    表6.「フィーチャー・マネージャー」のリスト
    フィーチャー名前
    javaee-7.0Java EE Full Platform 7.0
    adminCenter-1.0Admin Center 1.0
    図13.「フィーチャー・マネージャー」ビュー
    図13.「フィーチャー・マネージャー」ビュー
    図13.「フィーチャー・マネージャー」ビュー

開発者ツールを使用したLibertyプロファイル構成の編集で、サーバー構成エディターの使い方が詳しく説明されています。

Admin Centerをフィーチャー・マネージャーのフィーチャーのリストに追加したので、このフィーチャーが使用可能になり、サーバーでロードできるようになります。ブラウザーでAdmin Centerを開くときは、URLはデフォルトでhttps://localhost:9443/adminCenter/です。

認識できないフィーチャー

フィーチャーを使用可能にしたときに、Eclipseが下のような“feature not recognized”警告を出すことがあります。

表7. 認識できないフィーチャー
記述リソースパス
The feature 'wasJmsClient-1.1' is not recognizedserver.xml/wlp-8.5.5.6/servers/defaultServer

警告はサーバー構成エディターに現れ、図14のように「問題」ビューにも表示されます。

図14. 認識できないフィーチャーの警告
図14. 認識できないフィーチャーの警告
図14. 認識できないフィーチャーの警告

この警告は、指定したフィーチャーのアセットが、プロファイルの中にないことを意味します。プロファイルの中にアセットがなければ、サーバーはフィーチャーをロードできません。「アセットのダウンロード」で説明しているように、フィーチャーのアセットをサーバーのプロファイルにダウンロードすると解決します。

サーバーのパッケージ化

前に説明したように、サーバーのパッケージ化とは、アプリケーションとそのサーバー構成をほかのコンピューターにインストールするために、小さくまとめたアーカイブを作成することです。パッケージ化はコマンド・ラインを使っても、EclipseでWebSphere Developer Toolsを使っても行えます。サーバーをパッケージ化するときは、アーカイブをできるだけ小さくするために、前もってフィーチャー・マネージャーの使用可能フィーチャーのリストから、不必要なものを取り除いておきます。

コマンド・ライン

コマンド・ラインからdefaultServerという名前のサーバーをパッケージ化する場合、サーバーを停止してから、下のコマンドを実行します。

wlp/bin/server package defaultServer --include=usr

パッケージ化されたサーバーのファイルが作成されます。

wlp/usr/servers/defaultServer/defaultServer.zip

コマンドのusrの指定は、ファイルにサーバー構成を入れて、サーバー・バイナリーは含めないことを意味します。

Eclipse GUI

EclipseでWebSphere Developer Toolsを使う場合は、以下のようにしてサーバーをパッケージ化できます。

  1. 「サーバー」ビューで、パッケージ化するサーバーを選択します。
  2. サーバーのツリー・ビューを展開して、サーバーに関連付けられたプロジェクトを表示します。これらのアプリケーションが、サーバーと一緒にパッケージ化されるので、不要なものがあれば取り除きます。
  3. サーバーが稼働中ならば停止します。
  4. サーバーを選択したまま、「Utilities」>「Package Server…」と選びます(図15)。
    図15.「Package Server」メニュー項目
    図15.「Package Server」メニュー項目
    図15.「Package Server」メニュー項目
  5. Package Serverダイアログで、以下のようにします(図16)。
    • 作成するアーカイブ・ファイルを指定
    • サーバーをどの範囲まで含めるかを選択。ここではNo runtime (usr)
    • 「終了」をクリックする。
    図16. Package serverダイアログ
    図16. Package serverダイアログ
    図16. Package serverダイアログ

コマンド・ラインとEclipse GUIのどちらを使った場合も、以上でアプリケーションをサーバー構成と一緒にパッケージ化したアーカイブ・ファイルができ上がります。

まとめ

このチュートリアルでは、EclipseとLibertyを使った、Javaアプリケーションのローカル開発環境をセットアップする方法を説明しました。EclipseとLibertyを構成する、普段のタスクのやり方についても説明しました。これらのことで、Libertyアプリケーションを開発し、展開する準備が整うはずです。

シリーズの次の記事では、BluemixのためのJava EEローカル開発環境のインストールに進みます

謝辞

今回の記事の執筆にあたってご協力を頂いた、以下のIBM関係者各位に感謝いたします。David Currie、Ross Pavitt、Rick Osowski、Pam Geiger、Budi Darmawan、Heather Nelson、Dave Thiessen

参考文献

WASdev – WebSphere Application Server Developersコミュニティー

WebSphere Application Server (分散およびIBM iオペレーティング・システム)バージョン8.5.5の資料


ダウンロード可能なリソース

static.content.url=http://www.ibm.com/developerworks/js/artrating/
SITE_ID=60
Zone=WebSphere
ArticleID=1035719
ArticleTitle=WebSphere LibertyのJava EEローカル開発環境のインストール
publish-date=09162016