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WebSphere Cast Ironのご紹介

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はじめに

WebSphere Cast Ironは、Cast Iron Systems社が開発した製品です。Cast Iron Systemsは、2001年に設立された米国を拠点とする企業で、業界最先端のクラウド統合ソフトウェア、アプライアンスやサービスのエリアにおいて、1000件以上のプロジェクトで採用されていました。2010年5月にIBMが買収し、日本では2010年12月にIBM WebSphereブランドの製品としてリリースされました。
当記事では、WebSphere Cast Ironの概要と特徴についてご紹介します。

製品の適用エリア

WebSphere Cast Ironは、クラウド・アプリケーションと企業システム(オンプレミス)内のデータをすばやく簡単に連携することのできるソリューションを提供します。図1は、Cast Ironのソリューションの基本的な概念を表しています。図の上側には、現在世の中で提供されている多くのクラウド・アプリケーションが表されており、図の下側には、企業システムに保持されているSAPのようなパッケージ・アプリケーションやDB2、Oracleといったデータベースなどが表されています。Cast Ironは、これらのクラウド・アプリケーションと企業システム(オンプレミス)間でデータの連携をわずか数日間で可能にするソリューションなのです。

図1:Cast Ironの適用エリア
図1:Cast Ironの適用エリア
図1:Cast Ironの適用エリア

企業はクラウド・コンピューティングを導入することにより、コストを削減し、生産性を向上させ、より迅速にビジネスのニーズを満たすことを目的としています。アプリケーションやデータ、およびサーバーなどのITリソースを自社システム内に保持するのではなく、クラウド上にあるアプリケーションを利用することで、構築や運用のコストを削減でき、すぐに利用できる、という点でクラウド導入のメリットがあります。

しかし、クラウド・アプリケーションの利用には、必ず企業システム内とのデータの連携が必要です。そして、クラウドをより戦略的に活用してビジネスを成長させるには、クラウドと企業システム内のデータをリアルタイムに連携することが欠かせなくなってきます。このクラウドと企業システム間のデータの連携の仕組みを手組みで作りこむと膨大なコストと数ヶ月単位での開発期間が必要となります。これがクラウドを利用する企業の大きな課題となってしまっているのです。

Cast Ironは、こういったクラウド・アプリケーションと企業システム内のデータの連携をすばやく簡単に実現し、品質の高い連携ソリューションを提供します。

WebSphere Cast Ironの特徴

柔軟な導入形態

Cast Ironには、3つの導入形態が用意されており、お客様の環境やご要件に合わせて適切なモデルが選択可能です。

図2:3つの導入形態
図2:3つの導入形態
図2:3つの導入形態

図2の一番上のモデルが、Cast Ironの処理に特化したハードウェアで提供されるアプライアンスモデルです。
真ん中のモデルが、仮想化環境で動作するソフトウェアとして提供されているモデルです。
一番下のモデルが、クラウドのサービスとして提供されるモデルです。
これら各モデルの特徴については、後続の章でご説明します。

シンプル

Cast Ironは、通常のソフトウェアのように、OS上に導入して利用するものではなく、すぐに利用できる形で提供されます。したがって、OSやソフトウェアの設計・構築が不要となり、初期設定を行うだけですぐに利用開始することが可能です。
また、オールインワンですべてが最適化された状態で提供されるため、通常ソフトウェアを稼動させる場合に必要なさまざまなパラメーター設定や、チューニング作業といったものが不要です。
また、Webベースの管理画面が提供され、処理フローの起動/停止といった操作や、処理の実行結果・状況のモニターを行ったり、リソース使用状況をモニターしたりといった運用管理を1つのWebの画面上から行うことが可能になっています。

図3:Web Management Console
図3:Web Management Console
図3:Web Management Console

高い開発生産性(コーディングレス)

Cast Ironでのデータ連携の設定は、GUIの開発ツールを用いて、ツールで提供されている部品を組み合わせてコーディングレスで行うことができます。データのマッピングやデータ変換に関しても、GUIの画面上で視覚的に設定できます。
また、Cast Ironは、連携のための雛形をテンプレートとして公開しており、連携のためのロジックを1から作成するのではなく、テンプレートをカスタマイズすることで、より早く連携を実現することができます。

図4:開発ツール(Cast Iron Studio)
図4:開発ツール(Cast Iron Studio)
図4:開発ツール(Cast Iron Studio)

製品ラインアップ

それではCast Ironの3つの製品モデルと特徴をご紹介します。

WebSphere DataPower Cast Iron Appliance XH40

このモデルは、ハードウェアで提供されるアプライアンスモデルです。ハードウェアを設置して電源投入しネットワーク設定等の初期設定を行うだけですぐに利用開始することができます。
このモデルはCast Ironの処理に特化した専用のハードウェアとして提供されます。
また、このアプライアンスモデルの一番の特徴が、Cast Iron自身が冗長構成の機能をもっていることです。Cast Ironは2台でActive-Standbyの冗長構成をとることが可能となっており、Active側に障害が発生した場合には、Standby側にTakeoverして処理を引き継ぐことが可能です。
このモデルは、高負荷で冗長構成が必要なクリティカルなシステムでの利用に適しています。

WebSphere Cast Iron Hypervisor Edition

このモデルは、仮想化環境で動作するソフトウェアとして提供されているモデルです。
既存のVMWare ESXサーバー上で実行できるCast Ironの実行イメージが提供されます。イメージを起動し、初期設定を行うだけですぐに使用開始することができます。
このモデルは、お客様の環境にあったハードウェアを選定でき、1台のサーバー上で複数の実行環境を起動させるようなことも可能です。
このモデルは、既存のハードウェアを有効活用したい場合や使用するハードウェアに制限があるような場合に適しています。

WebSphere Cast Iron Live

このモデルは、Cast Ironのクラウドとして提供されるモデルです。
IBMがCast Ironを運用し、SaaSのアプリケーションとして提供するものです。自社内でハードウェアを保持する必要がなく、構築や運用といったものも必要ありません。
このモデルは、自社内でハードウェアを保持したくない場合や暫定的にデータ連携を実現したい場合などに適しています。

開発プロセス

それではCast Ironの基本的な開発プロセスについてご紹介します。ここではDB2のテーブルからSalesforce.comへデータを連携するフローを作成する例を交えながらご紹介します。

(1) プロジェクトの作成

WebSphere Cast Iron Studio画面から新規プロジェクトを作成します。[ファイル]-[新規プロジェクト]を選択します。

任意のプロジェクト名を入力し、[OK]をクリックします。

処理フローを表すオーケストレーションが自動的に作成されます。

(2) エンドポイントの作成

接続先のエンドポイントを作成します。ここでは、DB2からSalesforce.comへ連携するフローを作成するので、DB2とSalesforce.comのエンドポイントを作成します。

まずDB2のエンドポイントを作成します。Studio画面右側のToolboxのプロジェクトタブからEndpointsを右クリックし、[エンドポイントの作成]-[データベース]と選択します。

エンドポイントの設定画面で、接続情報を入力します。

[接続のテスト]をクリックすると接続のテストが行われます。[エンドポイントに正常に接続しました。]と表示されれば接続のテストは成功です。

同様にして、Salesforce.comのエンドポイントを作成します。
Studio画面右側のToolboxのプロジェクトタブからEndpointsを右クリックし、[エンドポイントの作成]-[Salesforce.com]と選択します。

エンドポイントの設定画面で、接続情報を入力します。

DB2の場合と同様に接続のテストを実行します。

(3) オーケストレーション(処理フロー)の設定

処理フローに該当するオーケストレーションを設定していきます。まず、DB2から挿入されたデータを取得する[挿入対象行の取得]アクティビティーを[スターター・アクティビティーの追加]エリアへドラッグ&ドロップします。

[チェックリスト]項目の[エンドポイントの選出]で作成したDB2のエンドポイントを指定し、[表の選出]で連携対象とする表を選択します。

[出力のマップ]では、連携する項目をそのままコピーします。

次に、Salesforce.comへデータを反映する[オブジェクトのUpsert]アクティビティーを、オーケストレーションへドラッグ&ドロップで追加します。

[チェックリスト]項目の[エンドポイントの選出]で作成したSalesforce.comのエンドポイントを指定し、[構成]でSalesforce.comのオブジェクト・タイプを選択します。

入力のマップで連携するデータ項目のマッピングを行います。

以上でオーケストレーションの設定は完了です。

(4) テストおよび実行環境への公開

オーケストレーションが完成したら、Studio上のテストツールを使ってテストを行うことが可能です。また、テストが完了したら、このStudio上から、[プロジェクトの公開]を行い、実行環境へデプロイを行います。

以上が、Cast Ironの開発プロセスの概要となります。

まとめ

この記事では、Cast Ironの概要と特徴、および開発プロセスの概要についてご紹介しました。クラウド・アプリケーションと企業システム(オンプレミス)内のデータをすばやく簡単に連携することのできるCast Ironの概要についてご理解いただけたのではないかと思います。


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ArticleTitle=WebSphere Cast Ironのご紹介
publish-date=07142011