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LyX を使用してグラフィカルな方法で LaTeX 文書を作成する

LaTeX のフォーマット設定の面倒を取り除き、任意のプラットフォームで文書を作成しながらプレビューする

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1978年にリリースされた TeX は、Donald Knuth 氏が彼の著作シリーズである『Art of Computer Programming』の組版処理用に作成したマークアップ言語です。TeX は瞬く間に科学および学術分野で広く採用されるようになりましたが、TeX マークアップを直接扱うのは、いくぶん暗号を扱うような作業となりがちです。数年後にコンピューター科学者の Leslie Lamport 氏が作成した LaTeX マクロ言語は、文書タイプとその論理コンポーネント (節、段落、リスト (箇条書き)、図、見出しなど) の識別を単純化して、TeX マークアップを構造化文書の領域へと広げています。

LaTeX のようなマークアップ言語は学術界および科学界でよく使われています。それは、これらのマークアップ言語を使用すると、複数の著者が作成した文書を結合して一貫した構造を持つ 1 つの出版物にするのが簡単だからです。ただしそれには、作成/マークアップ/プレビューというシーケンスを繰り返さなければならないのが一般的です。このシーケンスのプレビュー・ステージで、著者はマークアップを検証して、フォーマット設定された文書がどのように見えるかを確認することができます。通常、LaTeX 文書のマークアップとプレビューはそれぞれ別個の外部アプリケーションを使用して行われます。これは、著者の集中を妨げる (あるいは作業を長引かせる) 可能性のあるプロセスです。

LyX 文書プロセッサーは、20世紀から 21世紀へ変わる頃に登場しました。LyX では、文書の作成とは別のステージでプレビューを行うのではなく、文書を作成しながらフォーマット設定された文書を表示するため、LaTeX で文書を作成および編集する作業が単純化されます。LyX は、構造化文書のグラフィカルな作成を、必須構造がない文書のグラフィカルな作成 (従来の WYSIWYG — What You See Is What You Get) と区別するために、WYSIWYM (What You See Is What You Mean) の概念を導入しています。また、LyX には多くの科学および学術関連の出版物を対象とした、出版物に固有のひな型も用意されています。これらのひな型を利用することで、出版物が提供する LaTeX のマクロやスタイルを使えるようになり、さらにはその出版物への提出時に無効な LaTeX マクロが使われていないことも確実になります。

LyX を包括的に紹介するこの記事では、任意のオペレーティング・システムに LyX をインストールして使用する方法、カスタマイズする方法、そして LyX のひな型を活用する方法を説明します。

使用しているシステムに LyX をインストールする

LyX は、Linux、Windows、Cygwin、Mac OS X、IBM OS/2、および Haiku (BeOS 風のオペレーティング・システム) に対応しており、これらすべてのオペレーティング・システムで実行可能なインストーラーが用意されています。また、ほとんどの Linux ディストリビューションには、インストール可能な LyX のバージョンがそのディストリビューションの中央リポジトリーに用意されているので、別途、該当するディストリビューションのフォーマットのインストール・パッケージをダウンロードしなくても、LyX をインストールすることができます。

プラットフォームに応じたインストーラーをダウンロードした後は、他のあらゆるソフトウェア・パッケージと同じように LyX をインストールしてください。Windows 用の LyX パッケージには、TeX/LaTeX がバンドルされたバージョンである MiKTeX が含まれています。Linux と Mac OS X の LyX インストーラーの場合は、該当するプラットフォームに対応した TeX/LaTeX のバージョンを別途インストールする必要があります (ダウンロードおよび関連情報へのリンクについては、「参考文献」を参照してください)。一部の Linux プラットフォームでは、特定の LaTeX マクロ・パッケージ (例えば、米国数学会 (American Mathematical Society) による出版物が使用する AMS TeX マクロ・パッケージなど) を利用するために、他のパッケージのインストールが必要になることもあります。

LyX での文書の作成と編集

LyX を起動するには、「LyX」メニュー項目をクリックするか、コマンドラインから lyx コマンドを実行します。初めて LyX を起動するときには、LyX のドキュメントと LyX ホーム・ページのさまざまな部分へのリンクが記載された入門ドキュメント (Linux システムの場合、/usr/share/lyx/examples/splash.lyx) が表示されます。以降は LyX を起動するたびに、LyX のロゴとバージョン情報を示す通常のスプラッシュ画面が表示されます。

LyX で標準的な LaTeX 文書を作成および編集する

新規 LaTeX 文書を作成するには、「File (ファイル)」 > 「New (新規)」の順にクリックします。図 1 に、新規に作成された空の文書を示します。

図 1. LyX での新規文書
LyX で新規に作成する (空の) 文書のスクリーン・キャプチャー
LyX で新規に作成する (空の) 文書のスクリーン・キャプチャー

この文書には、テキストを入力することも、構造に関する LaTeX コマンドを追加することもできます。構造に関する LaTeX コマンドを追加するには、以下のようにします。

  1. 左上の「File (ファイル)」メニューの真下にあるフォーマット設定のドロップダウン・メニューをクリックします。

    使用可能な構造単位のリストが表示されます。

  2. 挿入する LaTeX マークアップ要素を選択します。

    選択したマークアップ要素が、文書内の現在のカーソル位置に挿入されます。カーソル位置が変更されて、挿入された要素に関連付けられたフォーマット設定が反映されます。

LaTeX 要素を挿入した後、その要素に関連付けるテキストを入力し、Return (Enter) キーを押して要素へのテキスト入力を終了します。titleauthorsection、および一般的なテキストを対象とした標準的な LaTeX 要素を追加した後のサンプル文書を図 2 に示します。

図 2. LyX で処理中のサンプル文書
LyX アプリケーションで処理中の文書のスクリーン・キャプチャー
LyX アプリケーションで処理中の文書のスクリーン・キャプチャー

「Insert (挿入)」メニューからは、現在の文書または構造に関する要素のコンテキストの中でさまざまな LaTeX 要素を追加することができます。「Insert (挿入)」メニューの項目は、フォーマット設定文字 (改行されない空白、改行、改頁など)、特殊文字、特殊なリスト (目次や表一覧など) といった内容を追加するのに特に役立ちます。

処理中の文書の WYSIWYM バージョンとその文書の LaTeX マークアップの両方を表示するには、「View (表示)」 > 「View Source (ソースを表示)」の順にクリックします。すると、文書ウィンドウが 2 つのセクションに分割されます。上のセクションには文書の WYSIWYG バージョンが表示され、下のセクションには文書の現在のカーソル位置の LaTeX マークアップが表示されます。図 3 に一例を示します。

図 3. LyX で処理中の文書と LaTeX ソース
LyX で処理中の文書と LaTeX のソースを示す画面のスクリーン・キャプチャー
LyX で処理中の文書と LaTeX のソースを示す画面のスクリーン・キャプチャー

LyX 文書で LaTeX ソースを表示するときのデフォルトでは、現在カーソルがある位置の構造に関する LaTeX 要素に対してのみ、LaTeX ソースが表示されます。文書全体の LaTeX ソースを表示する方法は、プラットフォームによって異なります。Linux では、「Complete source (全ソース)」チェック・ボックスを選択します。Windows と Mac OS X では、デフォルトで「Current paragraph (現在の段落)」と表示されているドロップダウン・メニューをクリックし、「Complete source (全ソース)」をクリックします

LyX で出版物に固有の文書を作成する

LyX には、各種の科学および学術関連の出版物を目的とした文書を簡単に作成できるようにするためのひな型が用意されています。これらのひな型のいずれかを使用して新規文書を作成するには、「File (ファイル)」 > 「New from Template (新規(ひな型使用))」の順にクリックします。次に、作成する文書に適したひな型を選択します。表 1 に、LyX で提供されているひな型の一部を記載します。

表 1. 文書のひな型として LyX で提供されていて、よく使用されているもの
ひな型のファイル用途
aa.lyx「Astronomy & Astrophysics」ジャーナル (天文学および天体物理学に関するジャーナル) の記事
ACM-siggraph.lyxACM (Association for Computing Machinery: 米国計算機学会) SIGGRAPH (Special Interest Group on Computer Graphics and Interactive Techniques: コンピューター・グラフィックスおよびインタラクティブ技術分科会) のジャーナルの記事
ACM-sigplan.lyxACM SIGPLAN (Special Interest Group on Programming Languages: プログラミング言語分科会) のジャーナルの記事
agutex.lyxAGU (American Geophysical Union: 米国地球物理学連合) のジャーナルの記事
ectaart.lyx「Econometrica」ジャーナル (経済学に関するジャーナル) の記事
elsarticle.lyxElsevier 社から出版されるジャーナルの記事
IEEEtran.lyxIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers: 米国電気電子学会) のジャーナルの記事
svjour3.lyx, svmono_book.lyx, svmult_author.lyx, svmult_editor.lyx, and svmult_appendix.lyxSpringer 社から出版される書籍および記事
  • svjour3.lyx: ジャーナルの記事用
  • svmono_book.lyx: 1 人の著者による書籍用
  • svmult_author.lyx、svmult_editor.lyx、svmult_appendix.lyx: それぞれ複数の著者による書籍の著者紹介、編集者紹介、付録用
関連する kluwer.lyx は Kluwer Academic Publishers 社の出版物に使用されていたひな型です。Kluwer Academic Publishers 社は、Springer-Verlag 社と合併して Springer 社となりました。

LyX で提供されているひな型の多くは、出版物に固有の TeX パッケージおよび LaTeX パッケージに依存します。これらのパッケージは、手作業でシステムにインストールする必要があります。LyX と LaTeX の両方のインストール済み環境のカスタマイズが必要となるひな型の使用例については、記事の後のほうのセクション「LyX のひな型に前提条件を追加する」を参照してください。

LyX で既存の LaTeX 文書を編集する

すでに LaTeX 文書を扱っている場合、LyX の使いやすさを有効に利用するには、既存の文書を LyX に読み込んでください。それには、「File (ファイル)」 > 「Import (読み出し)」 > 「LaTeX (plain)」の順にクリックします。すると LyX には標準的な参照ウィンドウが表示されるので、LyX で扱う既存の文書までナビゲートして選択することができます。

LyX で LaTeX 文書を保存する

LyX では、「File (ファイル)」 > 「Save (保存)」の順にクリックして文書を保存すると、パフォーマンスを最大にするために TeX/LaTeX に似たカスタム・フォーマットで保存され、外部フォーマッターを呼び出さなくても迅速な処理ができるようにします。このようにして保存されたファイルには、「.lyx」というファイル拡張子が付けられます。

LyX で扱っている文書から標準的な LaTeX ファイルを生成するには、「File (ファイル)」 > 「Export (書き出し)」 > 「LaTeX (plain)」の順にクリックします。このコマンドによって表示される標準的な参照ウィンドウで、書き出される LaTeX ファイルの保存先とする場所にナビゲートすることができます。標準的な LaTeX 文書をエクスポートした後、その文書を LyX の外部で編集した場合には、LaTeX ファイルに対して行われた変更を LyX が認識できるように、文書を再度 LyX に読み込む必要があります (「File (ファイル)」 > 「Import (読み出し)」 > 「LaTeX (plain)」)。

LyX での文書の印刷と出版

しばらく文書をいじった後、その文書を確認するには LyX が提供している WYSIWYM プレビューでは不十分な場合もあります。フォーマット設定された最終的な文書が正確にはどのようにレンダリングされるのかを確認するには、「View (表示)」 > 「PDF」の順にクリックします。これにより (または「View/Update (表示/更新)」ツールバーの「View PDF (PDF を表示)」アイコンのクリックにより)、文書の PDF 版が生成され、システムの PDF 文書のデフォルト・ビューアーにその PDF が表示されます。図 4 に、Evince (GNOME ベースの Linux システムにおける、デフォルト PDF プレビューアー) に表示された図 3 のサンプル文書を示します。

図 4. 処理中の LyX 文書の PDF プレビュー
Linux 上に表示された、処理中の LyX 文書の PDF プレビューのスクリーン・キャプチャー
Linux 上に表示された、処理中の LyX 文書の PDF プレビューのスクリーン・キャプチャー

LyX 文書の PDF プレビューは、LyX 自体に表示される WYSIWYM プレビューとは少し異なって見えます。この違いを確かめるには、図 3図 4 を見比べてください。PDF プレビュー (およびその他の印刷可能な出力フォーマット) では、カスタム LaTeX マクロで処理が行われるテキスト部分 (例えば、図 4 の「LyX」という単語など) については、この部分に対して指定されたカスタム・フォーマット設定が適用されています。

LyX 文書を印刷するには、ご使用のプラットフォームのデフォルト PDF プレビュー・アプリケーションを使用するのが最も簡単な方法となります。デフォルトのプレビュー・アプリケーションであれば、システムの標準「Print (印刷)」ダイアログを利用できるからです。ターゲット・プリンターは、LyX のデフォルト・コマンド (「File (ファイル)」 > 「Print (印刷)」) で指定することができます。ただし、Windows と Mac OS X 上でのプリンター名には空白文字が含まれることがあるため、これらのプラットフォームでこのコマンドを使用するのは難しい場合があります。名前に空白文字が含まれるプリンターに対するジョブをキューに入れると、Linux/UNIX の lp および lpr コマンドが使用するリソースよりも複雑なシステム固有のリソースが使用されます。

図 4 に示されているプレビューには、その文書の PDF 版が生成された日付が表示されています。日付は、LaTeX 記事の標準タイトル・ページに含まれる項目です。この後のセクション「LyX の中でカスタム LaTeX コマンドを追加する」を読むとわかりますが、カスタム LaTeX コードを文書に追加することで、日付などのデフォルト項目を抑止または変更することができます。

LyX 文書をプレビューすると、PDF のテンポラリー・ファイルが作成されますが、このファイルは見つけにくく、使用するのも簡単ではありません。処理中の LyX 文書と同じディレクトリーにプレビュー用 PDF を作成するには、「File (ファイル)」 > 「Export (書き出し)」 > 「PDF」の順にクリックします。Linux の場合、LyX から PDF を書き出すコマンドとしては、以下の 2 つも用意されています。

  • PDF (pdflatex): もう一方のコマンドよりもシンプルかつ高速なコマンドであり、LaTeX が生成する標準 .dvi ファイルから PDF ファイルを生成します。
  • PDF (ps2pdf): 以下の処理を行います。
    1. .dvi ファイルを生成します。
    2. .dvi ファイルから Adobe PostScript ファイルを生成します。
    3. PostScript ファイルから PDF ファイルを生成します。

LyX のカスタマイズ

LaTeX と同じく、LyX もカスタマイズすることができます。このセクションでは、実行すると望ましい、または実行する必要があるかもしれない、一般的なタイプのカスタマイズの例を説明します。

LyX の中でカスタム LaTeX コマンドを追加する

一部の LaTeX 要素は、自動的に他の要素を文書に追加します。その一例は、LaTeX の title 要素です。この要素は、タイトルおよびその他の関連要素 (author 要素など) の下に現在の日付を自動的に挿入します。しかし LyX 文書の中 (これらの要素は表示されません) や、文書の LaTeX プレビュー・ペインの中では、これらの自動的に挿入される要素を直接、編集または削除することはできません。そのため、このような要素を編集または削除するのではなく、自動的に要素を挿入するコマンドのデフォルトの動作を変更する必要があります。それには、現在の LaTeX 文書に LyX が追加する標準的な LaTeX プリアンブルに対して、適切な LaTeX コマンドを追加する必要があります。

例えば、\date{} コマンドをプリアンブルに追加すると、日付の表示を抑止することができます。あるいは、\date{CUSTOM DATE} コマンドをプリアンブルに追加して、日付を特定の値に設定することもできます。

現在の文書に対する LyX の LaTeX プリアンブルに、カスタム・コマンドを追加する方法は以下のとおりです。

  1. 「Document (文書)」 > 「Settings (設定)」の順にクリックし、「Document Settings (文書の設定)」ウィンドウを表示します。
  2. ナビゲーション・バーで「LaTeX Preamble (LaTeXプリアンブル)」をクリックし、右側のテキスト域に、プリアンブルに追加する LaTeX コマンドを入力します。
  3. 図 5 に、プリアンブルに追加する空の \date{} LaTeX コマンドを示します。
    図 5. 文書のプリアンブルへの LaTeX コマンドの追加
    文書のプリアンブルに LaTeX コマンドを追加する方法を示す画面のスクリーン・キャプチャー
    文書のプリアンブルに LaTeX コマンドを追加する方法を示す画面のスクリーン・キャプチャー
  4. 随時「Apply (適用)」をクリックして、プリアンブルに対する変更内容を保存します。または、「OK」をクリックすることで、変更内容を保存して「Document Settings (文書の設定)」ウィンドウを閉じます。

図 6 に示すのは、図 4 に示されているのと同じ文書の PDF プレビューですが、この文書の LaTeX プリアンブルには \date{} LaTeX コマンドが追加されているため、日付が削除されています。

図 6. 日付が表示されていない LyX 文書の PDF プレビュー
日付が表示されていない LyX 文書の PDF プレビューの画像
日付が表示されていない LyX 文書の PDF プレビューの画像

文書のプリアンブル設定は、個々の文書に関連付けられます。したがって、同じタイプのすべての新規文書にプリアンブル設定が適用されるわけではありません。

LyX のひな型に前提条件を追加する

表 1 に、さまざまな出版物の記事を作成できるように LyX に用意されているひな型の数々が記載されています。これらのひな型を使用した文書の多くは、カスタム TeX マクロやカスタム LaTeX マクロに依存するため、関連する出版元から該当するマクロを入手する必要があります。場合によっては、特定のひな型の記事をプレビューするときにLyX が使用できるように、そのひな型に応じたカスタム・レイアウト・ファイルを作成しなければならないこともあります。

例えば、ACM-siggraph.lyx をひな型に使用して新規文書を作成しようとすると、LyX がエラー・メッセージを表示します。このメッセージは、ACM-siggraph 文書タイプに対応するレイアウト・ファイルがないため、現在の構成では LyX はこのタイプの文書をプレビューできないことを通知するものです。「OK」をクリックしてエラー・メッセージのウィンドウを閉じると、LyX は図 7 に示されているような LyX 文書を表示します。

図 7. LaTeX 定義が欠落した状態でひな型使用した場合
LaTeX 定義が欠落した状態でひな型から作成された文書を示す画像
LaTeX 定義が欠落した状態でひな型から作成された文書を示す画像

図 7 の文書には、黄色で強調表示された各種の通知メッセージが含まれています。これらのメッセージは、LyX では「インセット」と呼ばれます。最初のインセットに、欠落している ACM-siggraph LaTeX スタイルのインストール方法を説明している LyX Web サイトのページへのリンが示されます。以下に、そのページの説明を要約します。

  1. ACM SIGGRAPH LaTeX スタイルが含まれている acmsiggraph.zip をダウンロードします。
  2. アーカイブ・ファイルの中身を、LaTeX インストール済み環境の適切な場所に解凍します。
  3. TeX Live TeX/LaTeX 実装を使用する Linux システムの場合、解凍先とする場所は /usr/share/texmf/tex/latex です (ACM-siggraph.lyx というひな型に関する情報および Windows、Mac OS X の場合のスタイルのインストール先が記載されている LyX wiki ページへのリンクについては、「参考文献」を参照してください)。
  4. このひな型に必要な LaTeX マクロをインストールしたら、root ユーザーとして texhash コマンドを実行します。このコマンドにより、TeX Live ディストリビューションが文書固有のスタイルを見つけるために使用するファイルが生成されます。
  5. このひな型に関連付けられた文書をプレビューするときに LyX で使用するレイアウト・ファイル (/usr/share/lyx/layouts/acmsiggraph.layout) を作成します。このファイルに、以下の内容を追加します。

    #\DeclareLaTeXClass[acmsiggraph]{ACM SigGraph}
    Input article.layout

    このレイアウト定義では、LaTeX 記事の既存のレイアウト定義を使用します。

  6. LyX 構成を更新するために、「Tools (ツール)」 > 「Reconfigure (再初期設定)」の順に選択します。このコマンドの実行が終了したら、LyX を終了してから再起動して、新しい構成データが使用されるようにします。

以上の変更を行えば、ACM-siggraph.lyx をひな型に使用して文書を作成するときに、最初に表示されたエラー・メッセージは表示されなくなります。

まとめ

LyX は、学術および科学に関連する出版物の一般的なマークアップ言語である LaTeX を使用した文書のための、そして至るところにいる Linux ファンのための、強力な無料のグラフィカル・エディターです。この記事は、LyX を使い始めるための確かな基礎となりますが、あくまでも LyX の機能を表面的にかじっただけです。LyX では高度で複雑な LaTeX 機能を利用することができるため、「Web 検索を何度も重ねた上に、LaTeX のドキュメントを詳しく調べ、結果として関連する LaTeX のおまじないを手作業で入力する」といった作業が必要なくなります。LaTeX 文書を作成するために使用するシステムには、LyX をインストールする価値があります。


ダウンロード可能なリソース


関連トピック

  • LyX: LyX の情報およびドキュメントが揃った、LyX の中心となるサイトにアクセスしてください。
  • Donald Knuth (ドナルド・クヌース) 氏と Leslie Lamport (レスリー・ランポート) 氏: TeX の作成者と LaTeX の作成者について詳細を学んでください。
  • LaTeX: TeX マークアップ言語の LaTeX マクロ・パッケージおよび文書作成システムに関する情報を調べるには、LaTeX プロジェクトの Web サイトにアクセスしてください。
  • TeX Users Group: TUG (TeX Users Group) は、TeX マークアップ言語、そして LaTeX などのマクロ・パッケージのファンのための素晴らしい組織です。このグループのメンバー専用「TUGboat」の出版物には、常に興味深い内容が記載されています。TUG の TeX Resources on the Web ページには、他の TeX 関連サイトへの有益なリンクも記載されています。
  • LyX for Linux: この LyX wiki ページは、各種 Linux ディストリビューションでの LyX (および対応する LaTeX のバージョン) のインストールおよび使用方法に関するディストリビューション固有の詳細情報へリンクしています。
  • LyX のひな型 AcmSiggraph: Windows および Mac OS X プラットフォームで ACM 固有のスタイルをインストールする場所については、LyX wiki のこのページを参照してください。
  • developerWorks の Open source テクニカル・トピックスには、オープソース・ツールに関する情報や、オープンソース技術の使用方法に関する情報が豊富に揃っています。
  • LyX: ご使用のプラットフォームに対応する LyX バージョンをダウンロードしてください。
  • MiKTeX:Windows 用の TeX/LaTeX がバンドルされたバージョンをダウンロードしてください。
  • TeX Live: Linux システムに推奨される TeX と LaTeX の実装である TeX Live の情報およびダウンロードを調べてください。TeX Live は、ご使用の Linux ディストリビューションの中央リポジトリーから入手することができます。
  • MacTeX: Mac OS X に推奨される TeX と LaTeX の実装である MacTeX の情報およびダウンロードを調べてください。

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Zone=Open source, Linux
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ArticleTitle=LyX を使用してグラフィカルな方法で LaTeX 文書を作成する
publish-date=09122013