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適切な Eclipse ディストリビューションを選択する

Eclipse ベースの製品群が多様な要求に対して多様な機能を提供する

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Eclipse IDE (integrated development environment: 統合開発環境) は拡張可能なプラットフォームであり、このプラットフォームの上に数多くのプラグインや拡張機能が構築されます。このベース・プラットフォームを利用することによって、目的に合った IDE を構築するために必要な、あらゆるものを追加することができます。

ベース・プラットフォーム、そしてプラグインや拡張機能の集合は、OSGi R4 コア・フレームワーク仕様 (「参考文献」を参照) の実装である Equinox OSGi フレームワークの上に構築されます。基本的に Eclipse (プラットフォーム) は、サービスとしての機能を提供するために協調動作するプラグインや拡張機能の集合として、OSGi に記述されている方法で構築されます。Eclipse プラットフォームが非常に高い拡張性を持ち、また多くの言語やフィーチャーをサポートできるのは、このフレームワークのおかげなのです。

Eclipse プラットフォームを使用する場合、必要と思われるほとんどすべてのフィーチャーを 1 つのダウンロードで入手することができます。そのために必要なことは、適切なディストリビューション (ディストロ) を選択し、自分にとって適切なライセンス・モデルあるいは価格モデルを決定し、そしてそのディストロをダウンロードして使用することだけです。提供されるフィーチャーはディストロによって異なり、一部のフィーチャーはベンダーあるいはディストリビューターに固有のものですが、どれもすべて Eclipse という同じプラットフォームの上に構築されています。

Eclipse が既にインストールされており、どのフィーチャーとプラグインがシステムにインストールされているのかを調べたい場合には、Eclipse の About ウィンドウを開きます。図 1 のようなウィンドウ (このウィンドウはディストリビューションやベンダーによって多少異なるかもしれません) の中で、Feature Details (フィーチャーの詳細) をクリックします。すると、フィーチャーとそれらの提供者の一覧が図 2 のように表示されます。

図 1. Eclipse Platform についてのウィンドウ
Eclipse Platform についてのウィンドウ
Eclipse Platform についてのウィンドウ
図 2. フィーチャーの詳細
フィーチャーの詳細
フィーチャーの詳細

インストールされているプラグインの正確なバージョンを表示するためには、Plug-in Details (プラグインの詳細) をクリックします。すると、すべてのプラグインの一覧が、それらのプラグインのベンダーやバージョン、ID を含めて表示されます。

図 3. プラグインの詳細を表示する
プラグインの詳細を表示する
プラグインの詳細を表示する

ディストロとは何か

Eclipse プラットフォームと 1 つ以上のプラグインまたは拡張機能を含むツールの集合は、パッケージ、バンドル、ディストリビューション (ディストロ) など、さまざまな名前で呼ばれます。この記事では、大量のキー入力をせずにすむように、Eclipse をベースとするプロジェクトのディストリビューションをディストロと呼んだりもします。ただしおそらく皆さんは、各ベンダーが自分たちのディストロを今挙げた他のいずれかの呼び方で呼んでいることに気付くでしょう。

Eclipse Downloads のサイトには、Eclipse Europa のディストロが 5 種類置かれています。

  • Eclipse IDE for Java™ Developers
  • Eclipse IDE for Java Enterprise Edition (Java EE) Developers
  • Eclipse IDE for C/C++ Developers
  • Eclipse for Rich Client Platform (RCP)/Plug-in Developers
  • Eclipse Classic

これらのディストロはそれぞれ異なるフィーチャーを持ち、対象者も異なります。単に Java 開発をするだけであれば、C や C++ のフィーチャーを提供するプラグインや拡張機能をすべてダウンロードしたりインストールしたりする必要はありません。

Eclipse のライセンス・モデルでは、ユーザーが Eclipse プラットフォーム上で任意のものを作成し、それを固有のディストリビューションとして再リリースすることが許可されています。(この点に興味がある方は、Eclipse パブリック・ライセンス (Eclipse Public License ) に詳細が説明されています。) 必要であれば、Eclipse プラットフォームをダウンロードし (「参考文献」を参照)、すぐに Eclipse プラットフォーム用のプラグインもダウンロードすることができます。自分が作成したものに満足できたら、それを Eclipse 用のディストロとして再リリースすることができます。さらには、そのディストリビューションを独自ブランドにするために、起動画面 (図 4 は Europa の標準起動画面です) や Welcome ページ (図 5) などを変更することさえできます。Eclipse に関して詳しくは、「参考文献」に挙げたライセンスに関する FAQ を見てください。

図 4. Europa の標準起動画面
Europa の標準起動画面
Europa の標準起動画面
図 5. Welcome ページ
Welcome ページ
Welcome ページ

CodeGear の JBuilder 2008 Turbo

Borland Software Corp. の CodeGear は Eclipse Europa をベースとする JBuilder 2008 Turbo を提供しています。JBuilder 2008 Turbo には Mac OS X 用と Microsoft® Windows® 用、そして Linux® 用があります。JBuilder 2008 Turbo はCodeGear が提供する JBuilder 2008 製品群の完全版のコミュニティー・エディションです。ダウンロードするためには登録が必要であり、またこのダウンロードは非常にサイズが大きくなっています (私がダウンロードした Mac 用の JBuilder 2008 Turbo は 1.1 GB でした)。JBuilder 2008 Turbo には、EJB (Enterprise JavaBean) 要素のビジュアル・モデリングに使われるフィーチャーや、チーム開発を合理化するためのツールなど、数多くのフィーチャーが含まれています。

主な機能

JBuilder 2008 Turbo には多くのオープンソース・プロジェクトがインストールされています。また、JBuilder をインストールする際にはいくつかの異なるサーバーをインストールできるようになっています。

図 6. インストールの際にサーバーを追加する
インストールの際にサーバーを追加する
インストールの際にサーバーを追加する

JBuilder 2008 Turbo には次のようなフィーチャーが含まれています。

  • CodeGear の Application Factory
  • Instantiations Inc. の Swing Designer
  • CodeGear の EJB 用ツール
  • Eclipse.org の Mylyn
  • Spring IDE 開発者によって作成された Spring IDE

JBuilder 2008 Turbo によって実現できること

JBuilder 2008 Turbo を利用すると、次のような技術を使った開発を即座に行うことができます。

  • EJB 開発
  • Swing によるユーザー・インターフェース (UI)
  • Tapestry による Web プロジェクト
  • JSF (JavaServer Faces) プロジェクト
  • Web サービス
  • Subversion の利用
  • AspectJ

さらに、JBuilder 2008 Turbo には次のプラグインがインストールされています。

  • Maven2 との統合のための m2eclipse
  • 静的コード解析のための FindBugs
  • Java コードの解析のための PMD

nexB の EasyEclipse

nexB の EasyEclipse はオープンでフリーのディストリビューションであり、いくつかのバージョンのディストリビューションが提供されています。また各ディストリビューションは Mac OS X と Linux、そして Windows をサポートしています。EasyEclipse のディストリビューションには次のような種類があります。

  • EasyEclipse Expert Java
  • EasyEclipse Desktop Java
  • EasyEclipse Server Java
  • EasyEclipse Mobile Java
  • EasyEclipse for Plugins and RCP Apps

動的な言語もサポートされており、例えば EasyEclipse for LAMP、EasyEclipse for PHP、EasyEclipse for Ruby and Rails、EasyEclipse for Python などがあります。そして、C/C++ 開発用に EasyEclipse for C/C++ をダウンロードすることもできます。

EasyEclipse のディストロには、ベースとしての Eclipse プラットフォームと、開発を支援するために一般的に使われる便利なプロジェクトがいくつか含まれています。EasyEclipse Desktop Java ディストロにはベースとしての Eclipse プラットフォームと、表 1 に示すようなプロジェクトが含まれています。

表 1. nexB の EasyEclipse に含まれる他のプロジェクト
プロジェクト名実現される機能
AnyEdit Tools便利なコンテキスト・メニュー項目、例えば Open file under cursor (カーソルの下でファイルを開く) など。
Eclipse UtilsEclipse を閉じる際にカーソルの場所をエディターに保存します。
Eclipse Visual Editorビジュアル・エディターを使って SWT、Swing、AWT を編集することができます。
EclipseNSISJava アプリケーション用のネイティブ・インストーラーを作成することができます。
SubclipseSubversion のソース・リポジトリーにアクセスすることができます。

主な特徴

EasyEclipse の主な特徴は、容易にダウンロードしてインストールできるいくつかのプラグインが既にバンドルされており、EasyEclipse のディストロで確実に動作することがテストずみであることです。EasyEclipse には特定のオペレーティング・システム用に作成されたインストーラーが付属しています。例えば、Mac 用のダウンロードには PKG インストーラーが含まれています (図 7)。Windows 用のダウンロードには Windows スタイルのインストーラーが含まれています。Eclipse の多くのディストロが (Eclipse.org のディストロを含めて) 単純な ZIP ファイルであることは便利ですが、インストールとアンインストールを扱うためのインストール機能がオペレーティング・システムに組み込まれている方が、より一層便利です。

図 7. Mac 用の PKG インストーラー
Mac 用の PKG インストーラー
Mac 用の PKG インストーラー

EasyEclipse をインストールした後、EasyEclipse を起動すると今までとは起動画面が少し異なることに気付くはずです (図 8)。EasyEclipse によってインストールされるフィーチャーには、Subclipse (Subversion リポジトリーに接続するためのプラグイン) や Utils プラグイン、AnyEdit プラグイン、そして構文色分け用のプラグインがあります。

図 8. EasyEclipse の起動画面
EasyEclipse の起動画面
EasyEclipse の起動画面

EasyEclipse によって実現できること

ダウンロードする EasyEclipse のディストロによっては、次のような技術を使った開発を即座に行うことができるようになります。

  • EJB 技術
  • Swing、AWT、または SWT による UI
  • PHP
  • Ruby
  • Subversion の利用

例えば、私は EasyEclipse の Desktop Java ディストロをダウンロードすることで、SWT のビジュアル・シェル・クラスを素早く作成することができました。

図 9. EasyEclipse でビジュアル SWT クラスを作成する
EasyEclipse でビジュアル SWT クラスを作成する
EasyEclipse でビジュアル SWT クラスを作成する

IBM の Europa バンドル

EasyEclipse と同様、IBM® も (登録を必要としない) まったく手間のかからない Eclipse バンドルのダウンロードを提供しています。IBM のページにある、これらのディストロへのリンクから、Windows 用に作成されたバージョンをダウンロードすることができます。

主なフィーチャー

IBM developerWorks のページには 4 つのディストロ (Europa Java EE、テスト用、モデリング用、そしてエンタープライズ用) が用意されています。エンタープライズ用ディストロには他のすべてのディストロが含まれているので、これをダウンロードすれば時間を節約することができます。

ちょっと見ると、IBM のバンドルによるディストロは Eclipse の Web サイトにあるものと同じように見えます。例えば、Eclipse.org のサイトにある Eclipse Java EE のディストロと IBM のバンドル提供サイトにある Eclipse Java EE のディストロとは同じもののように見えます。両者はダウンロード・ファイルのサイズが大幅に異なりますが、一目見ただけでフィーチャーを見つけ出すのは少しばかり面倒です。

IBM の Europa バンドルによって実現できること

IBM の Europa バンドルをダウンロードすると、次のような技術を使った開発を即座に行うことができます。

  • EJB 技術
  • IBM の WebSphere® 製品群との統合

Innoopract

Innoopract の Yoxos On Demand Eclipse ダウンロード・サービスを利用すると、まったく独自のディストロのビルドやダウンロードを独特の方法で行うことができます。図 10 のような Web ベースの UI を使って必要なフィーチャーを選択します。フィーチャーを選択したら、そのプロファイルを保存するか、あるいはダウンロードを開始することができます。

図 10. Yoxos On Demand Eclipse ダウンロード・サービスを利用する
Yoxos On Demand Eclipse ダウンロード・サービスを利用する
Yoxos On Demand Eclipse ダウンロード・サービスを利用する

Innoopract のフィーチャー

Eclipse の Innoopract ディストリビューションではフィーチャーを列挙することは困難です。なぜならユーザーが必要に応じてフィーチャーを追加することになっているからです。独自のダウンロードをアラカルト方式でビルドすることができ、また仕様を保存して後で使用できるという Innoopract ディストリビューションの機能は、それ自体が強力なフィーチャーです。「参考文献」に挙げた Yoxos On Demand Eclipse ダウンロード・サービスへのリンクをクリックすると、利用可能なプラグインすべての一覧を見ることができます。

Innoopract によって実現できること

Innoopract を利用すると独自の Eclipse ディストロをビルドすることができるため、カスタムのディストロとダウンロードには、ほとんどどんなものでも追加することができます。

まとめ

実現したい内容に応じて、Eclipse プラットフォーム上に構築される商用あるいは無料のディストロがあるはずです。C/C++ 開発から Ruby、PHP、Groovy、Java、そして Web 開発に至るまで、Eclipse 上に構築された IDE を皆さんの作業に活用できるのです。


ダウンロード可能なリソース


関連トピック

  • Getting Started with OSGi: Introducing Declarative Services」は、Eclipse のプラットフォームとプラグイン・フレームワークで使用されている仕様の 1 つである OSGi を紹介しています。
  • ウィキペディアで Equinox OSGi の項目を読み、この技術について学んでください。
  • Eclipse.org で Eclipse について学んでください。
  • Eclipse のディストロのライセンスに関して詳しく知るためには、Eclipse Public License FAQ を調べてみてください。
  • EasyEclipse について学んでください。
  • JBuilder 2008 Turbo に含まれているフィーチャーについて読んでください。
  • Innoopract の Yoxos On Demand について学んでください。
  • Eclipse の推奨読み物リスト」を調べてみてください。
  • Eclipse が初めての人は、developerWorks の記事「Eclipse Platform 入門」を読んでください。Eclipse の起源やアーキテクチャー、またプラグインを使って Eclipse を拡張する方法などを学ぶことができます。
  • IBM developerWorks の Eclipse project resources を利用して Eclipse のスキルを磨いてください。
  • developerWorks の Open source ゾーンをご覧ください。オープンソース技術を使った開発や、IBM 製品でオープンソース技術を使用するためのハウ・ツー情報やツール、プロジェクトの更新情報など、豊富な情報が用意されています。
  • IBM のバンドルによる Europa のダウンロードを入手してください。
  • IBM alphaWorks に用意された最新の Eclipse technology downloads を調べてください。
  • Eclipse Foundation から Eclipse Platform やその他のプロジェクトをダウンロードしてください。
  • IBM 製品の評価版をダウンロードし、DB2® や Lotus®、Rational®、Tivoli®、WebSphere® などのアプリケーション開発ツールやミドルウェア製品を試してみてください。
  • 皆さんの次期オープンソース開発プロジェクトを IBM trial software を使って革新してください。ダウンロード、あるいは DVD で入手することができます。

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ArticleTitle=適切な Eclipse ディストリビューションを選択する
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