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第4回 テスト技術者の資格試験(JSTQB)

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はじめに – ソフトウェアテストの資格 ISTQBとは -

前回は、開発の様々な局面で用いるテストのためのオープンソースのツールの中でも、実際に国内で活用されているものを、テストのプロセスに応じて幾つか紹介しました。

第4回は「テスト技術者の資格試験(JSTQB)」というタイトルで、ソフトウェアテスト(以下テストと記します)を冠した国際的な資格であるISTQBの概要説明を通してテストに必要なスキルについて解説していきます。

ISTQBとは、International Software Testing Qualifications Boardの略称で、2002年に設立されたテストの資格認定を国際的に展開している任意団体です。 ISTQBの活動は、日本はもちろんのことアメリカ、イギリス、フランス、インド、韓国、中国など現在30カ国以上の国(地域を含む)で展開されています。 ISTQBではソフトウェアやシステムに対するテストのプロフェッショナルの資格認定を行うべく、資格認定のためのシラバスや用語集の開発、資格認定スキームのとりまとめ、認定試験問題の集積、資格認定のアクレディテーションガイドラインの整備などを行っています。 現在認定している資格としては、エントリレベル *1 に相当するFoundation Levelがあります。

その上のミドルレベルに相当するAdvanced Levelについては試行している国はありますが、ISTQBとしてはシラバスを公開したばかりの段階です。さらに上級にあたるExpert Levelについても検討が始まっています。 日本では、ISTQB傘下の団体としてJSTQB *2 がテスト技術の資格認定試験を行っています。JSTQBではFoundation Level試験を2006年から開始し、2007年11月現在(本原稿執筆段階)では、既に1,000名を超える方が資格認定を得ました。 これまで国内ではテストに関わる資格認定試験がなかったこともあり、その潜在ニーズは非常に高いものがあったようで、受験者は回を重ねるごとに増しています。

*1 経済産業省の外郭団体である情報処理推進機構が推進しているITSS(ITスキル標準)やETSS(組込みスキル標準)でいうエントリレベル、ミドルレベル、ハイレベルをイメージしてください。

ITSS V2.0 1部 概要編 『図15. レベルと評価の概念』を引用
ITSS V2.0 1部 概要編 『図15. レベルと評価の概念』を引用
ITSS V2.0 1部 概要編 『図15. レベルと評価の概念』を引用

ITSSではエントリレベルを『プロフェッショナルとしてのスキルの専門分野が確立するにはいたっておらず、当該職種の上位レベルの指導の下で、業務上における課題の発見と解決をするレベル。担当業務における業務遂行に責任を持つ。

  • レベル2:要求された作業について、その一部を独力でできる
  • レベル1:要求された作業について、指導を受けて遂行することができる

スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められる。』と定義しています。

*2 日本ソフトウェアテスト資格認定委員会:Japan Software Testing Qualifications Board の略で、NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)の事業として運営されています。 現在Foudation Levelは全世界で40,000名を超える有資格者がいます。 なお、ISTQBに加盟している各国の団体ではこの資格について相互認証を行っています。つまり、JSTQBが運営するテスト技術者の資格は海外でも通じるものなのです。

ISTQBの資格認定レベル ~Foundation Levelとは

ISTQBによる資格認定の構成は以下の図のようになります。

図: ISTQBの資格構成イメージ(参考文献[2]より引用)
図: ISTQBの資格構成イメージ(参考文献[2]より引用)
図: ISTQBの資格構成イメージ(参考文献[2]より引用)

このようにFoundation Levelではテストに関する基本的な(ベースとなる)知識を持つかどうかに重点が置かれています。テストに対する経験やドメイン知識も併せた広範囲な知識はAdvance以上で問われます。このようにAdvanceやExpertともなるとテストの専門性を問う内容となりますが、Foundationはソフトウェア開発に携わるエンプラ、組み込みのドメインを問わずすべてのエンジニアが対象となる資格です。

Foundation Levelの内容

Foundation Levelのシラバスの構成は次の通りです。
1章 テストの基礎
2章 ソフトウェアライフサイクルを通じてのテスト
3章 静的技法
4章 テスト設計技法
5章 テストのマネジメント
6章 テスト支援ツール
例えば、1章のテストの基礎を見ると、次の様な内容で構成しています。
1.1 テストの必要性
1.1.1 ソフトウェアシステムの状況
1.1.2 ソフトウェアの欠陥の原因
1.1.3 ソフトウェアの開発、保守、運用におけるテストの役割
1.1.4 テストと品質
1.1.5 テストの十分性
1.2 テストとは何か?
1.3 テストの一般原則
1.4 基本的なテストプロセス
1.4.1 テスト計画作業とコントロール
1.4.2 テストの分析と設計
1.4.3 テストの作成と実行
1.4.4 終了基準の検証とレポート
1.4.5 終了作業
1.5 テストの心理学

このように単にテストの手法、技法だけではなく、実際にテストを回すためにライフサイクルの知識やマネジメントの知識、テストツールの知識など、実践で必要となる知識も求められます。 また、実際にプログラムを動かすテストだけでなく、レビューや静的解析といった静的技法の知識もバランスのよいテストを行う上で不可欠となります。

このシラバスや、用語集の英語版はISTQBのサイト、日本語版はJSTQBのサイトからダウンロードできますので、詳細についてはそちらを参照してください。 尚、Foundation Levelの学習材料はシラバスや用語集の他にも、筆者も執筆メンバーとして携わった書籍(参考文献[4])などがありますのでご活用ください。

Foundation Level取得認定試験の概要

認定試験の問題は選択式で出題され全40問あります。8月に実施された試験までは、選択問題の回答を回答用紙に書き入れる形式で実施されました。試験時間は60分で、問題の出題範囲はシラバスに準じています。 問題の難易度はK1,K2,K3に分かれており、それぞれ次の通りです。(説明は参考文献[4]からの引用です)

K1:記憶、認識、想起
『K1レベルは、セクションに記されている用語や内容を実際に作成や実行できるところまでは求めていませんが、どのようなものかを理解し、認識できる必要があります。』
K2:理解、説明、根拠の提示、比較、分類、まとめ
『K2レベルは、セクションに記されている用語や内容を理解して、比較・分類などの分析を行い、必要に応じてレビューや説明を実施する能力が必要です。』
K3:適用
『K3レベルは、セクションに記されている用語や内容を実際のテストのアクションに適用できる能力が必要です。』

シラバスでは章やトピックごとに記述されているレベルがどれに該当するかが書かれています。 現在この試験実施そのものは、試験運営パートナーである財団法人 日本科学技術連盟が行っています。 次回試験実施は2008年2月9日(土)になる予定で、実施場所などの詳細は上記サイトで公表されます。

おわりに

今回はISTQBの概要を解説しましたが、本記事を通して少しでも多くの方にテストの資格に対する興味を持っていただけたなら幸いです。 最後に、ISTQBに関わらず資格は、取得すること自体を目的とするのではなく、そのために勉強したり、これまでの自分の知識を整理したりする、その過程こそが大事であることを言及しておきます。 学習の過程で知りえたISTQBの用語やシラバスで定義されたプロセスなどの知識を、ぜひ自分自身の開発での実践に生かし、組織の内外で共有していただくことを願ってやみません。


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