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IBM MobileFirst を Cast Iron と統合してモバイル・アプリをエンタープライズに接続する

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はじめに

IBM MobileFirst Platform Foundation は、アダプター・メカニズムによる統合機能を提供します。MobileFirst のアダプターは、エンタープライズ・サービスにアクセスするために MobileFirst プラットフォーム上のサーバーにデプロイされるコンポーネントです。これらのアダプターは、モバイル・アプリケーションとエンタープライズ・システムとの間のメディエーターまたはゲートウェイとしての役割を果たし、モバイル・アプリケーションからリクエストを受け取って、エンタープライズ・システムから取得したデータをモバイル・アプリケーションに返します。

IBM WebSphere Cast Iron Cloud インテグレーション製品は、クラウドとオンプレミス・アプリケーションとの迅速な統合や、統合コストの削減、SaaS (Software as a Service) およびクラウド・モデルにおけるリソースと生産性の最適化を可能にする製品です。

この記事では、Cast Iron アダプターを利用して、MobileFirst モバイル・アプリケーションと Cast Iron アプリケーションを統合する方法について、例を用いて説明します。

サンプル・シナリオ

この記事では例として、Prestigious Insurance Company という架空の保険会社のビジネス・ケースを検討します。

Prestigious Insurance では、生命保険、自動車保険、医療保険、損害保険などの保険商品を顧客に提供しています。急速な成長をするという会社の計画を実現する手段として、この会社では社内 IT システムの変革を進めているところです。Prestigious Insurance が主な目標としているのは、ビジネスを増やすとともに顧客満足度を向上させることなので、請求受理、請求処理、保険金の支払いに重点を置いた投資を行う考えでいます。

この目標に向けて、Prestigious Insurance では、顧客が自分の請求状況をモバイル端末で確認できるようにするためのモバイル・アプリケーションを開発することにしました。このアプリケーションおよびその関連プロセスのフローは、以下のようになります (図 1 と図 2 を参照)。

  1. 顧客が IBM MobileFirst モバイル・アプリケーションを使用して、状況を確認したい請求の請求 ID とアカウント ID を入力します。モバイル・アプリケーションはこの入力を MobileFirst サーバーに渡します。サーバーは渡された入力を、MobileFirst アダプターを介して Cast Iron アプライアンスに送信します。
  2. ミドルウェア兼オーケストレーターの役割を果たす Cast Iron アプライアンスは、クラウド環境に接続し、顧客のアカウント番号を使用して顧客を検証します。検証が成功すると、続いて請求 ID を検証します。
  3. 請求 ID が有効であれば、Cast Iron アプライアンスは実行依頼された請求のタイプ (例えば、自動車、医療、等々) を照会します。請求のタイプに応じて、Cast Iron は請求を適切なプロセスにルーティングし、該当する保険契約の詳細を取得します。
  4. Cast Iron は、保険契約の有効性、および請求のために提出されたすべての必須文書の妥当性をチェックします。保険契約が有効であり、必要な文書がすべて揃っている場合、Cast Iron はクラウド上の CRM から請求状況を取得します。
  5. プロセスの完了時に、Cast Iron は請求状況に関する情報を顧客のモバイル・アプリケーションに送信します。
図 1. コンテキスト図
コンテキスト図
コンテキスト図

Prestigious Insurance のシステム・アーキテクチャーは、複数のコンポーネントで構成されるサービス指向フレームワークです。これらのコンポーネントがまとまって、Prestigious Insurance のケース管理ソリューションと、このソリューションが通信する多数の外部システムとの間のリアルタイムのメッセージング・インターフェースを実現できるようにします。Cast Iron は、MobileFirst、Web サービス、およびルール・エンジンを対象としたアダプターをサポートしており、オープン・スタンダードに基づく相互運用性および統合機能に対応します。Cast Iron では、サービス指向アーキテクチャー (SOA) とアダプター機能を使用することから、企業の長期戦略と直近のイニシアチブ (貴重なレガシー資産とクラウド・ベースのエンタープライズ・レベルの資産の再利用など) をサポートするサービスを利用することや作成することができます。

図 2. プロセス・フロー
プロセス・フロー
プロセス・フロー

Cast Iron と MobileFirst が提供する機能について、いくつか取り上げて説明しましょう。

Cast Iron

クラウド・アプリケーションの人気が高まりつつあるなか、多くの企業では、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、そしてオンプレミス・アプリケーションが混在する世界へと移行しつつあります。このようなアプリケーション・プラットフォームの多様性は、クラウド・ソリューションと、既存のシステムおよびアプリケーションとの統合という課題をもたらします。Cast Iron は、クラウドとオンプレミス・アプリケーションを迅速に統合し、SaaS (Software as a Service) およびクラウド・モデルにおけるリソースと生産性を最適化するための製品です。Cast Iron は、ほぼリアルタイムの統合を可能にする以下の機能を提供します。

  • データ・クレンジングとデータ・マイグレーション、データ同期とデータ接続、各種アプリケーションの統合プロセスをオーケストレーションするためのワークフローと変換処理。
  • マッシュアップ機能。多様なソースから取り込んだ情報を統合し、クラウド・アプリケーションのネイティブ・ユーザー・インターフェースを使ってその情報を表示することができます。Cast Iron は、モバイル・アプリケーションの統合もサポートしています。

Cast Iron は、物理、仮想、または Cast Iron Live の 3 つのフォーム・ファクターで利用できるため、クラウド間の統合、クラウドとオンプレミスの統合、そしてオンプレミス間の統合に対応することができます。それぞれのフォーム・ファクターが、リアルタイムの統合、ほぼリアルタイムの統合、バッチ統合を可能にします。開発については、Eclipse ベースの IDE を使用して PC で行うことができます。

オンプレミス・アプライアンスは、通常、DMZ 内ではなくファイアウォールの背後にあります。開発、テスト、本番のライフサイクルに対応するために、通常はランタイム環境が分離されており、それぞれの環境で独自の統合アプライアンスを使って、その環境に必要なエンドポイントにアクセスするようになっています。

Cast Iron には以下の特長があります。

  • 随時、どこからでもデータやファイルにアクセスすることができます。
  • 運用および実装コストを低く抑えられます。
  • SaaS (Software as a Service) として製品を提供することができます。
  • 開発およびデプロイメントを極めて迅速に行うことができます。テンプレート統合プロジェクトのリポジトリーにより、既存のオーケストレーションを再利用することができます。
  • メッセージをバッチまたはリアルタイムで処理することができます。
  • 標準ベースのインターフェースを公開するカスタム・アプリケーションとのコネクターを作成するための CDK (Connector Development Kit) が用意されています。
  • SSL、HTTPS などの各種セキュリティー機能をサポートしています。

MobileFirst

IBM MobileFirst は、スマートフォンとタブレットのためのオープンで包括的かつ先進的なモバイル・アプリケーション・プラットフォームです。この製品は、Web コンポーネントとネイティブ・コンポーネントを iOS アプリケーションと Android アプリケーションの中でシームレスに混在させることができます。この機能は Windows Phone 8 にも拡張されています。Windows Phone 8 では、ハイブリッド・アプリケーションのアーキテクチャーになっていることから、単一アプリケーション内で MobileFirst API が使用する C# と HTML5 の間で、より簡単にやりとりできるようになっています。全体的に見ると、MobileFirst によって、タイム・ツー・マーケットの短縮や、開発コストの削減、開発の複雑さの緩和、各種のモバイル端末全体でのユーザー・エクスペリエンスの改善、アプリケーションのセキュリティーとガバナンスの強化が可能になります。また、単一のプラットフォームで主要なすべてのモバイル・プラットフォーム用のアプリケーションを作成できるようになります。標準ベースのテクとロジーとツールを利用する IBM MobileFirst には、包括的な開発環境、モバイル用に最適化されたミドルウェア、そして管理およびアナリティクス用の統合コンソールが用意されており、さまざまなセキュリティー・メカニズムのサポートも備わっています。MobileFirst では、コード変換、独自仕様のインタープリター、そしてあまり使われていないスクリプト言語を一切使用せずに、リッチなクロス・プラットフォーム・アプリケーションを作成することができます。しかも、インタラクティブ通知やサイレント通知などといったプッシュ通知の機能拡張が提供されているとともに、新しいセキュリティー機能も追加されています。

この記事では、読者に HTML と JavaScript、JSON と XML、Cast Iron と IBM MobileFirst での開発手法、および REST Web サービスのコーディングについての基礎知識があることを前提とします。

記事の残りでは、このタイプの統合を実現するためのアプリケーション・コンポーネントを作成するステップ全般を説明します。これらのステップは、例として説明することだけを目的としています。

1. IBM MobileFirst を使用してモバイル・アプリケーションを開発する

  1. MobileFirst ハイブリッド・アプリケーション・プロジェクトを作成します。それには、「File (ファイル)」 > 「New (新規)」 > 「Other (その他)」 > 「MobileFirst Project (MobileFirst プロジェクト)」の順に選択します (図 3 を参照)。
    図 3. MobileFirst プロジェクトを作成する
    MobileFirst プロジェクトを作成するためのメニュー項目のスクリーンショット
    MobileFirst プロジェクトを作成するためのメニュー項目のスクリーンショット
  2. 「Hybrid Application (ハイブリッド・アプリケーション)」を選択し、新規プロジェクトに「PrestigeProject」という名前を付けます。「Next (次へ)」をクリックします (図 4 を参照)。
    図 4. プロジェクトに名前を付ける
    プロジェクトに名前を付ける画面のスクリーンショット
    プロジェクトに名前を付ける画面のスクリーンショット
  3. アプリケーションには「PrestigeMobApps」という名前を付けて、「Finish (完了)」をクリックします (図 5 を参照)。
    図 5. アプリケーションを構成する
    アプリケーションを構成する画面のスクリーンショット
    アプリケーションを構成する画面のスクリーンショット
  4. 新しい MobileFirst モバイル・アプリケーション・プロジェクトとサンプル・モバイル・アプリケーションが作成されます (図 6 を参照)。
    図 6. Eclipse IDE 内での新規 MobileFirst プロジェクトおよびモバイル・アプリケーション
    Eclipse IDE 内での新規 MobileFirst プロジェクトおよびモバイル・アプリケーション
    Eclipse IDE 内での新規 MobileFirst プロジェクトおよびモバイル・アプリケーション
  5. 次に、モバイル・アプリケーションをバックエンドに接続するための MobileFirst アダプターを新規に作成します。「File (ファイル)」 > 「New (新規)」 > 「Other (その他)」 > 「MobileFirst Adapter (MobileFirst アダプター)」の順に選択します (図 7 を参照)。
    図 7. MobileFirst アダプターを作成する
    MobileFirst アダプターを作成する画面のスクリーンショット
    MobileFirst アダプターを作成する画面のスクリーンショット
  6. アダプターのタイプとして「Cast Iron Adapter (Cast Iron アダプター)」を選択し、アダプター名として「PrestigeCastIronAdapter」という名前を指定したら、「Finish (完了)」をクリックします (図 8 を参照)。
    図 8. Cast Iron アダプターを作成する
    Cast Iron アダプターを作成する画面のスクリーンショット
    Cast Iron アダプターを作成する画面のスクリーンショット
  7. PrestigeCastIronAdapter.xml という名前の新規 XML 構成ファイルが開きます。このファイルで、プロトコルドメインポート番号などのパラメーターを構成する必要があります。このシナリオの場合、ドメインは localhost です (図 9 を参照)。
    図 9. 新規 XML 構成ファイルを編集する
    新規 XML 構成ファイルを編集する画面のスクリーンショット
    新規 XML 構成ファイルを編集する画面のスクリーンショット
  8. PrestigeCastIronAdapter-impl.js ファイル内で、methodAppNamerequestTypePath、および returnedContentType を設定します。
    図 10. アダプター JavaScript ファイルを編集する
    アダプター JavaScript ファイルの編集箇所を示すスクリーンショット
    アダプター JavaScript ファイルの編集箇所を示すスクリーンショット
  9. Cast Iron アダプターに接続するようにアプリケーションを構成するために、main.jsadapterprocedureparameters の値を更新します (図 11 を参照)。
    図 11. Cast Iron アダプターにアプリケーションを接続する
    Cast Iron アダプターにアプリケーションを接続するための設定箇所を示すスクリーンショット
    Cast Iron アダプターにアプリケーションを接続するための設定箇所を示すスクリーンショット
  10. 構成は完了したので、次はアダプターを MobileFirst サーバーにデプロイします。アダプターを右クリックして、「Run As (実行)」 > 「Deploy MobileFirst Adapter (MobileFirst アダプターのデプロイ)」の順に選択します (図 12 を参照)。
    図 12. アダプターをデプロイする
    アダプターをデプロイするために選択するメニュー項目のスクリーンショット
    アダプターをデプロイするために選択するメニュー項目のスクリーンショット
  11. 同じように、アプリケーションをデプロイします。各アプリケーションを右クリックして、「Run As (実行)」 > 「Run on MobileFirst Development Server (MobileFirst 開発サーバーで実行)」の順に選択します。アプリケーションとアダプターの両方が正常にデプロイされたことを確認するには、MobileFirst コンソールをチェックします。図 13 に示されているように、両方ともデプロイされたときにタイムスタンプが付けられています。
    図 13. アプリケーションをデプロイする
    アプリケーションをデプロイした結果が示されている画面のスクリーンショット
    アプリケーションをデプロイした結果が示されている画面のスクリーンショット

2. Android シミュレーターを準備する

Android ネイティブ・モバイル・アプリケーションをビルドするには、その前に、Android SDK と ADT プラグインをインストールする必要があります。これらのインストールが完了した後、Android 端末のシミュレーターを作成し、ネイティブ・コードのコンパイル時に問題が発生することがないように ADT マネージャーでアップデートの有無を調べます。

  1. android-sdks フォルダー内にある Android SDK Manager を開き、Android SDK ツール、ビルド・ツール、および Android プラットフォームの最新アップデートがインストールされていることを確認します (図 14 を参照)。
    図 14. SDK Manager
    SDK Manager のスクリーンショット
    SDK Manager のスクリーンショット
  2. 今度は、android-sdks フォルダー内にある AVD (Android Virtual Device) Manager を開き、新しい仮想端末シミュレーターを作成するために「New (新規)」を選択します。AVD の名前を入力し、端末 (Device) の種類を選択します。最後に Eclipse を再起動して変更を保存します (図 15 を参照)。
    図 15. AVD Manager
    AVD Manager のスクリーンショット
    AVD Manager のスクリーンショット

3. Android 環境を追加する

開発は 1 つ以上の環境で行われます。パッケージ化されて複数の環境でビルドされるモバイル Web アプリケーションは、common という名前のフォルダー内にあります。このフォルダーは、すべてのアプリケーション環境で共有される HTML5、JavaScript、CSS3、画像を格納するフォルダーです。この例では Eclipse と ADT を使用しているので、このフォルダーに Android 環境を追加します。

  1. 「New (新規)」をクリックして、「MobileFirst Environment (MobileFirst 環境)」を選択します (図 16 を参照)。
    図 16. 開発環境を作成する
    開発環境を作成するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
    開発環境を作成するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
  2. 「Android phones and tablets (Android フォンおよびタブレット)」にチェック・マークを付けてから、「Finish (完了)」をクリックします。「Project Explorer (プロジェクト・エクスプローラー)」パネルを見ると、MobileFirst プロジェクトに新しい Android 環境が追加されているはずです (図 17 および図 18 を参照)。
    図 17. アプリケーション・フォルダーを作成する
    アプリケーション・フォルダーを作成する画面のスクリーンショット
    アプリケーション・フォルダーを作成する画面のスクリーンショット
    図 18. 環境を確認する
    新しい Android 環境を確認できる「Project Explorer (プロジェクト・エクスプローラー)」パネルのスクリーンショット
    新しい Android 環境を確認できる「Project Explorer (プロジェクト・エクスプローラー)」パネルのスクリーンショット
  3. シミュレーターを実行するために、プロジェクトを右クリックして、「Run As (実行)」 > 「Android Application (Android アプリケーション)」の順に選択します (図 19 を参照)。
    図 19. シミュレーターを実行する
    シミュレーターを実行するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
    シミュレーターを実行するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
  4. アプリケーションをモバイル・シミュレーターでテストするには、プロジェクトを右クリックして、「Run As (実行)」 > 「Preview (プレビュー)」の順に選択します (図 20 を参照)。
    図 20. シミュレーターでアプリケーションをテストする
    アプリケーションをテストするシミュレーター画面のスクリーンショット
    アプリケーションをテストするシミュレーター画面のスクリーンショット

4. Cast Iron を使用してオーケストレーションを開発する

  1. Cast Iron IDE で、「File (ファイル)」 > 「New (新規)」 > 「New Project (新規プロジェクト)」の順に選択し、プロジェクトに「PrestigeInsurance」という名前を付けて、「OK」をクリックします (図 21 を参照)。すると、図 22 のようなパネルが表示されます。
    図 21. 新規 Cast Iron プロジェクトを作成する
    新規 Cast Iron プロジェクトを作成する画面のスクリーンショット
    新規 Cast Iron プロジェクトを作成する画面のスクリーンショット
    図 22. オーケストレーションを作成する
    オーケストレーションを作成する画面のスクリーンショット
    オーケストレーションを作成する画面のスクリーンショット
  2. 次に、フローのエンドポイントを定義する必要があります。Cast Iron には、FTP、JDE、JMS、SAP、Salesforce.com など、エンドポイントの選択肢が複数用意されています。この例でのエンドポイントは、HTTP と MQ です。まず、HTTP エンドポイントを選択します (図 23 を参照)。
    図 23. HTTP エンドポイントを定義する
    HTTP エンドポイントを定義するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
  3. HTTP エンドポイントは、使用するポートを指定して構成する必要があります。この例では、ポート 80 を指定します。ユーザー名などの認証の詳細も構成することができますが、これらの詳細はオプションです (図 24 を参照)。
    図 24. エンドポイントを構成する
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
  4. MQ エンドポイントについては、「Host Name (ホスト名)」「Port (ポート)」「Queue Manager (キュー・マネージャー)」「Channel Name (チャネル名)」 などの値を指定する必要があります (図 25 および図 26 を参照)。
    図 25. MQ エンドポイントを定義する
    MQ エンドポイントを定義するために選択するメニュー項目のスクリーンショット
    図 26. エンドポイントを構成する
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
  5. 両方のエンドポイントが完成したら、次はオーケストレーションを作成する必要があります。このシナリオでは、HTTP の Receive Request ノードと Send Response ノード、MQ の Get Message ノードと Put Message ノードの他、クラウドから REST Web サービスを呼び出す HTTP の Get Request ノードを使用します。まずは、HTTP の Receive Request ノードを追加しましょう。このノードは、「Activity (アクティビティー)」パレットから取得することができます (図 27 を参照)。
    図 27. オーケストレーションにノードを追加する
    オーケストレーションにノードを追加する画面のスクリーンショット
    オーケストレーションにノードを追加する画面のスクリーンショット
  6. フローに HTTP の Receive Request ノードをドラッグ・アンド・ドロップします。このノードの目的は、MobileFirst サーバーからメッセージを取得することです。リクエストには請求 ID とアカウント ID を格納して、これらの ID の有効性をフローで確認します (図 28 を参照)。
    図 28. エンドポイントを指定する
    エンドポイントを指定する画面のスクリーンショット
    エンドポイントを指定する画面のスクリーンショット
  7. このノードを構成するには、前に「Pick Endpoint (エンドポイントの選出)」パネルで作成した HTTP エンドポイントを指定します (図 28 を参照)。「Configure (構成)」パネルで、「URL」「Method (メソッド)」のタイプなどを指定します (図 29 を参照)。また、どのようにメッセージを変数に格納するかを指定する「Map Outputs (出力のマップ)」も構成する必要があります (図 30 を参照)。
    図 29. エンドポイントを構成する
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    図 30. 出力のマップを構成する
    出力のマップを構成する画面のスクリーンショット
    出力のマップを構成する画面のスクリーンショット
  8. 続いて MQ の Put Message ノードおよび Get Message ノードをフローに組み込みます。キュー名の入力や、ペイロードのタイプの指定、MQ エンドポイントの選択、等々を行います。Put Message ノードの目的は、請求 ID とアカウント ID が含まれるメッセージを渡して、それらの有効性を検証できるようにすることです。フローのこのステージでは、この検証がバックエンド・システムのプロセスによって行われます。バックエンド・システムのプロセスでは、アカウント ID を使用して顧客を検証します。アカウント ID の検証が成功すると、次に請求 ID が検証されます。請求 ID が有効であれば、実行依頼された請求のタイプが照会されます。請求タイプに応じて保険契約の詳細を取得するために、請求は該当するプロセスにルーティングされます。すべてのチェックで問題がなければ、保険契約番号、保険契約者の名前、保険契約の状況、等々が返されます。これらのメッセージは、MQ の Get Message ノードを介して Cast Iron が受信します (図 31 から図 33 を参照)。
    図 31. メッセージ・フロー
    メッセージ・フローを作成する画面のスクリーンショット
    メッセージ・フローを作成する画面のスクリーンショット
    図 32. MQ の Put Message
    MQ の Put Message を設定する画面のスクリーンショット
    MQ の Put Message を設定する画面のスクリーンショット
    図 33. MQ の Get Message
    MQ の Get Message を設定する画面のスクリーンショット
    MQ の Get Message を設定する画面のスクリーンショット
  9. すべての請求情報が検証されて、保険契約が有効であり、必要な文書がすべて提出されている場合、Cast Iron はクラウド CRM システムの REST Web サービスを呼び出します。Cast Iron は、請求状況を取得するために、レガシー・システムから受信したメッセージを送信します。請求状況は、「Initiated (開始済み)」、「Not Initiated (開始前)」、「On Hold (保留中)」、「Rejected (却下)」、「Completed (完了)」のいずれかです。次は、新規 HTTP エンドポイントを作成する必要があります (図 34 を参照)。
    図 34. 新規エンドポイントを作成する
    新規エンドポイントを作成する画面のスクリーンショット
    新規エンドポイントを作成する画面のスクリーンショット
  10. REST Web サービスの URL だけでなく、リクエスト・メッセージやリプライ・メッセージのタイプも指定します (図 35 および図 36 を参照)。
    図 35. エンドポイントを構成する
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    エンドポイントを構成する画面のスクリーンショット
    図 36. オーケストレーションに追加する
    オーケストレーションに追加する画面のスクリーンショット
    オーケストレーションに追加する画面のスクリーンショット
  11. エンドポイント、ノード、等々の構成が完了すると、最終的なフローは図 37 のようになります。このフローは、論理的に以下の 3 つの部分に分かれています。
    • フローが Cast Iron アダプターを介して MobileFirst サーバーからの入力を受信します。この部分は、HTTP の Receive Request ノードで処理されます。
    • レガシー・プロセスにより、アカウント ID と請求 ID の検証が行われます。このプロセスでは、顧客をそのアカウント情報によって検証します。検証が成功すると、次に請求 ID を検証します。請求 ID が有効な場合は、請求のタイプがチェックされます。
    • 請求のタイプに応じて、該当するプロセスに請求がルーティングされます。そのプロセスでは、保険契約の詳細と、請求に必要な文書がすべて提出されているかどうかがチェックされます。すべてのチェックで問題がなければ、保険契約番号、保険契約者の名前、保険契約の状況、等々がメッセージに格納されて返されます。これらのメッセージは、MQ の Get Message ノードを介して Cast Iron が受信します。
    Cast Iron は返されたメッセージを受信すると、クラウド CRM REST Web サービスを呼び出して請求状況を取得します。請求状況を受信した後、保険契約番号、保険契約者の名前、請求 ID および請求状況をひとまとめにし、その情報を MobileFirst サーバーに送信します。すると MobileFirst サーバーはそのデータをモバイル・アプリケーションに送信します (図 37 を参照)。
    図 37. 最終的なフロー
    最終的なフローのスクリーンショット
    最終的なフローのスクリーンショット
  12. 最後に、アプリケーションをテストするために、請求 ID とアカウント ID を入力してから「Submit (送信)」をクリックします (図 38 を参照)。
    図 38. アプリケーションをテストする
    アプリケーションをテストする画面のスクリーンショット
    アプリケーションをテストする画面のスクリーンショット
  13. アプリケーションからのメッセージが MobileFirst サーバーに送信されると、Cast Iron アダプターによって Cast Iron のフローが呼び出されます。Cast Iron はメッセージを受信すると、クラウド内で実行されている REST Web サービスを呼び出します。そして Cast Iron が MobileFirst サーバーへのリプライを作成し、アプリケーションがメッセージを受信します (図 39 を参照)。
    図 39. 最終的なアプリケーション・メッセージ
    最終的なアプリケーション・メッセージのスクリーンショット
    最終的なアプリケーション・メッセージのスクリーンショット

まとめ

この記事では、IBM MobileFirst Platform Foundation を使用して作成されたサンプル・モバイル・アプリケーションと IBM Cast アダプターの例を紹介し、この 2 つを統合する方法を説明しました。この例では、HTTP エンドポイントおよび MQ エンドポイント、HTTP の Receive Request ノードおよび Send Responseノード、MQ の Put Message ノードおよび Get Message ノードを使用して MQ メッセージにアクセスし、HTTP の Get Request ノードを使用してクラウドから REST Web サービスを呼び出す、単純な Cast Iron オーケストレーションを使用しました。


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ArticleTitle=IBM MobileFirst を Cast Iron と統合してモバイル・アプリをエンタープライズに接続する
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