SE関のノーツ/ドミノ徒然草

第32回 R5が目指したもの -ナレッジ・マネジメント技術の導入-

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R5に新しく搭載されたたくさんの機能の中で、ロータスは幾つかの機能をナレッジ・マネジメント(KM)のための技術と位置付けています。ナレッジ・マネジメント(KM)といえば最近、欧米の経営者を中心に極めて注目を集めている新しい経営パラダイムです。では具体的にどのような機能をKMの技術としてロータスは位置付けているのでしょう。主なものにはドメイン検索、コンテンツマップ、ヘッドライン、チームルームなどがあります。

domain
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まずはドメイン検索です。R4.6の頃にサイト検索として拡張されてきた全文検索の機能を、エンジンをIBMのGTRというものに置き換え、ドメイン全体のデータベースを検索できるだけでなく、Webのファイルも検索できるようにして、さらにNotesクライアントからもWebブラウザからも使い勝手をよくしたものです。コンテンツマップは文書ごとにプロパティで分類キーワードを入れて、データベースカタログにそれらを整理して入れられる仕組みで、これによって全文検索では探せない情報を見つけ出させようとするものです。さらにヘッドラインは今までのワークスペースとさよならして、各ユーザーが自分の重要と思えるデータに対してすぐにアクセスできるようなメニューを作れたり、さらに部門や会社単位のメニューとしても開発し利用できるような仕組みです。また、組みこまれた機能ではなくKMアプリケーションの例としてチームルームという、プロジェクトを進めやすくするデータベーステンプレートが用意されています。

ロータスはこれらR5で搭載したKMのテクノロジーを大まかに、『知識を再利用するための"知識の発見(Knowledge Discorvery)"が中心の機能』と説明しています。またこれらがKMへの入り口の第一歩であるということも触れています。その意味では今後R5.xか何かでどんどんとKMに関する機能が強化されていくことでしょう。

このようにいろいろなKMの機能と呼ばれるものがR5には搭載されていますが、それぞれ一つ一つを見ると、今までの機能の延長線上のように思えたり、またどういう理由でKMの機能と呼ばれているのか分かりにくいものもあります。そこでナレッジ・マネジメント(KM)の定義らしきものを探してみましょう。

KMに関してはその概念が広いせいか実にさまざまな定義があるようです。あの世界的な調査会社のガートナーグループはKMの定義を、『集団、企業の意思決定の効率を改善してゆくための戦略、組織構造、手段、アプリケーションそしてテクノロジーのセットである』としています。また日本の著名な企業人や学者などが集まっているKMの研究会である知識経営システム研究会は、『組織の中や社外にある知識を上手に経営管理し新しい価値を創造する力(資産)に変えていく経営理論および手法』としています。いずれもKMが経営の大きな視点から語られている概念であることは間違いなさそうです。また平たく言えば、『組織の中で知識をうまく経営に役立てよう』とするのがすべてKMとも言えるでしょうか。このような観点ではやはり知識の倉庫とも言えるノーツ/ドミノは当然重要な役割を果たしそうです。

notes
notes

知識は組織の中で創造したり、収集/蓄積したり、更新したり、再利用したりされるであろうということを考えれば、当然その蓄積されたものに対して検索能力を高めたり、分類方法を新しくしたり、必要な人がすぐにそれに触れられるように入り口を工夫したりとするR5の試みはKMに役にたつのかもしれません。しかしながら逆に言えば検索エンジンを機能アップするだけで、今までのデータベース上の知識に上の定義のように意思決定の効率があがるほどの効果があるでしょうか。

これに関してはおそらくノーツを長年使っているユーザーであれば当然のことのように、『価値ある情報を収集/蓄積できるように社員の意識を変えていかなければ』とか、『常に価値ある情報となるように更新がかけられるような会社の仕組みとしていかなければ』とか思いつくことでしょう。情報共有という言葉がなかなか一筋縄ではいかなかったという過去のグループウェアでの経験がKMについても言えるでしょう。

まさに現実はそのとおりで、KMに関しても上の定義でもわかるように技術以外の要素の重要性に関していろいろな指摘がされています。例えばKMに関する大御所であるIBMコンサルティンググループのLarry Prusakは『KMを成功させているある有名な企業ではKMの予算の30%をテクノロジーにそして70%をその推進に使っている』と言っています。またロータス自身もKMに関するホワイトペーパー上で『KMの課題に対してテクノロジーのみをその解答としたKMプログラムは失敗に終わっていることが多い』と述べています。その他にも『KM文化の形成がプログラム全体の60%以上の施策となる必要がある』という報告などと、実に技術以外の側面が幾度となく強調されているのがわかります。

teamroom
teamroom

グループウェアの時代から情報共有のためにどんどん機能アップしてきたノーツドミノ。その情報共有の成否がその機能もさることながら主に技術以外のところにあったように、情報共有から一歩経営に近づいたナレッジ・マネジメント(KM)でも全く同じことが言えそうです。しかもその割合はさらに具体的にLarry Prusakやロータス自身がいうように、KMのための施策のおそらく全体の半分以上は会社の組織、仕組み、文化などにかかわってくることはどうやら間違いなさそうです。

情報システムという言葉が世の中に浸透し、ややもするとその言葉が技術だけを意味するように聞こえる今日このごろ。システムと言えば元々は技術だけでないもっと広い意味の言葉だったかと思います。ナレッジ・マネジメント(KM)は実にこの"情報システム"という言葉が"情報技術システム"ではないのだということを再度我々につきつけている踏絵なのかもしれません。ノーツドミノの進化とともに情報システムを作る側の意識も変わらざるを得ない時がもう一度きているようです。


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