SE関のノーツ/ドミノ徒然草

第12回 カリスマからビジネスへ -Lotusphere98雑感-

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ノーツに係わっている者にとって、このLotusphereの魅力はディズニーランドという場所(?)だからではありません。ノーツの開発を実際に行なっている開発者、つまりLotus社の子会社のIris Associates社の開発者のほとんどがこのLotusphereに参加し、自らデモや説明をし、今彼らが考えていること、さらに今作っているものを包み隠さず説明してくれること、これが1つの大きな目玉なのです。

日頃まず直接会うことも、話すこともできないIrisの開発者が目の前で自分の作ったノーツの機能を説明し、デモしていく様はものすごいリアリティーです。説明の途中では実に正直に『この新しい機能どう思う?』とか、『この部分は作るのに苦労したんだ』とか言いながら進行します。観客もアメリカ人が多いせいか(?)実にノリがよく、新しい機能が紹介されるたびにその機能への賛美ともいえる拍手やさらには奇声をあげてその説明に応えています。最後に質問コーナーでは何百人もの聴衆を相手に『あと必要な機能は何だと思う?』とか、逆に聴衆から、『こんな機能がどうしても欲しい』とか言ったやりとりが盛んにされています。今回は今年の後半に出てくる予定のノーツのリリース5(R5)の今まさに作っている途中の製品について、『ここまで作った』、『これからこんな機能を作っていきます』というような解説が多くのセッションでされていて、たいへんな盛り上がりでした。

実は私のLotusphereへの参加は3回目になります。最初に参加したのはリリース4(R4)の発表があった3年前でした。このときも今年のR5のように、R4はこんな風に作ったとか、こんな機能をつけたという説明が盛んにされていました。そのときの熱狂と言ったら今年のそれを遥かに上回るものでした。R4クライアントの3ペインの画面、ナビゲーター画面、LotusScriptの開発環境と、どの説明の時でも割れんばかりの拍手、掛け声、口笛と、最後には6000人の聴衆の半数近くが立ちあがって拍手をするという熱狂ぶりでした。今回のR5もR4の革新性に比べて引けを全くとらないリリースアップです。ノーツの売上げも昨年1年間で1000万本を売り、累積で2000万本にもなりました。あのR4の時のような熱狂はどこに行ったのでしょうか。何に変わったのでしょうか。

思うに今年はカリスマ性のある主役がいません。3年前を思い起こしてみれば、あのノーツの父であるRay Ozzie、ノーツのLotusを育てたJim Manzi、2人とも壇上に登るだけで拍手が鳴り止みませんでした。IBMが買収後Jim ManziがLotusから去り、そして去年新しい分野の開発をやると言ってRay OzzieがIrisを去りました。まさにノーツにとってのカリスマなる2人が今年は完全にいないのです。

そして代わりにLotusの社長はJeff Papows、Iris Associatesの社長はSteve Beckhardtと、なんとなくまじめな2人。さらにLotusを買収したIBMの会長であるLou Gerstnerがスーツ姿でスクリーンに登場。まさにカリスマ的な匂いはビジネス的な匂いにかわりました。思い起こせば昨年のLotusphereでも既にその傾向はありました。

昨年はLou Gerstnerがたった1人スーツ姿で現われ、『製品の品質を上げ、サポート体制を強化します』と明快な口調で語りました。聴衆はまさにそれが望んでいるものだと言わんばかりに、おそらく一番の大きな拍手を彼に送っていました。そして今年はビデオでの出演ではあったものの『顧客満足度向上をLotusのマネージメントに徹底する』と宣言していました。

また一番始めの全体セッションではLotusのJeff PapowsがノーツをベースとしてKnowledge Managementに関するツール群の基盤を解説していました。Knowledge Managementといえばまさに欧米などのビジネスシーンで話題になりはじめている企業競争力を高める新しいパラダイムです。まさにビジネスそのものの話題です。

ビジネスの匂いはIrisにも見られるようになりました。Iris自らが"メインテナンスリリースの実状とこれから"などというセッションを開いて結構な人が集まっていたり、またNotes.netというIris独自の顧客向けのWebページの今後の計画について解説があったりしました。

IBMがLotusを買収したときは、Lotusはだめになるとか色々な噂が立ちました。しかしどうやら顧客はIBMから影響された(?)Lotusのビジネスへの姿勢と顧客の必要とする製品やサービスを提供する姿勢を受け入れたようです。その数字としての裏付けが2000万本の累積シート数と18000社のビジネスパートナーとも言えるでしょう。

ただそんな中でもLotusはIBMに飲み込まれず独自の文化を守ることは徹底しているようです。『LotusがIBMを買収してから...』などというジョークも真顔で言いのけたりもしています。実際IBMの影はそう言った顧客の望むビジネス的なこと以外は、Irisの開発者がIBMの研究者と一緒にやっていると言うくらいであまり目立ったものではありません。

もちろんビジネス的な匂いが強くなったと言っても決して技術的な側面が薄れているわけではありません。R5の発表は実にインパクトの大きいものでした。HTMLをネィティブでノーツ文書上に取り込んだり、Webページを開発するために新しい概念を開発環境に大幅に取り入れたり。ノーツの持っているかなりの機能部分をすべてインターネットの規格に合わせて行くということを基本に、グループウェアからインターネットでも使える統合ソフトとして大幅な技術的革新がされているR5。言い換えれば先駆けていたものが世の中の大きな流れに合わせてそれを飲み込んでいく様子、そんな様子が実に印象的でした。この辺の詳細はLotusのホームページ、Irisのホームページ、そして一般の記事にまかせることとしましょう。

カリスマ的なものから生まれたノーツが、成熟し拡大するにしたがってビジネス的な色彩を帯びていく。それは本当の意味でノーツが社会に浸透する過程の中では必要不可欠なものとも言えるかもしれません。すさまじい熱狂から落ち着きのある賛美へと、Lotusphereはそんなノーツを取り囲む環境変化のまさに投影、そして象徴とも言えるものではないかと思えてきました。


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publish-date=01152006