将来に向けてオープンソースに尽くす

オープンソースの未来に投資する

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オープンソースにおいて、IBM は最もその価値を知られていない存在です。オープンソース・コミュニティー内部のコントリビューターたちはオープンソースへの移行において IBM が果たしている役割を理解していますが、最近 IBM が Red Hat を買収するまでは、コミュニティー外部の人々が IBM をオープンソースと結び付けて考えることはほとんどありませんでした。

けれども実際のところ、IBM は当初からオープンソースによる開かれた世界を推進してきました。今では数々の大企業が「オープンソース戦略」を策定していますが、IBM はどの大企業よりも前から、自社で開発したコードの提供、オープン・ライセンスの確立、コニュニティー内でのオープン・ガバナンスの促進などの活動を活発に進めるとともに、オープンソースを企業にとって安全な (そして有用な!) テクノロジーとして確立する支援に力を入れています。

IBM はどのような経緯でオープンソースを支援するようになったのでしょうか?そしてオープンソースの未来に対する IBM の構想とは、どういうものなのでしょうか?この記事では、こうしたトピックについて探ります。

オープンソースの素晴らしさが認められるようになる前

IBM は最古のオープンソース推進派として、Linux、Apache、Eclipse などの影響力の大きいコミュニティーをサポートし、オープン・ライセンス、オープン・ガバナンス、オープン・スタンダードを促進しています。注目すべき最初のオープンソース・ソフトウェアとの関わりは、IBM が Linux と協力してソフトウェアのオープン・ライセンスを確立したときに遡ります (そうです、Red Hat Enterprise Linux のベースとなった、あの Linux です)。1990 年代の後半、IBM は特許誓約 (10 億米ドル) と技術的資源で Linux を支援し、2000 年の Linux Foundation 発足に貢献しました (出典については、このリンク先のページを参照)。

1999 年には、Apache Foundation の設立を支援し、Apache Web Server プロジェクトをサポートするために数千行のコードと専用リソースを提供しました (出典については、このリンク先のページを参照)。また、IBM は 2001 年に Eclipse プロジェクトを整備した後、新しいオープンソース・プロジェクトの作成をサポートするために、2004 年の Eclipse Foundation の設立を主導しました。IBM は Eclipse プロジェクトの基盤を作るにあたり、大量のコードを提供し、専任の開発者たちを配属し、ライセンスを作成する際の法的支援を行いました。

このように、オープンソースの有望さを初期の段階から認識した IBM は、オープン・ガバナンスとオープン・スタンダードをサポートする基盤が作られるよう、何千行ものコード、大量の人手、多額の資金を寄与してきました。上記をはじめとする 1,000 を超えるプロジェクトとコミュニティーへの IBM の幅広い参加があって、オープンソースを採用する基調が企業の間に広まったのです。

オープンソースが普及している今

Linux Foundation、Apache Foundation、そして Eclipse Foundation が順調に成長する中、IBM はオープンソースへの投資を増やし、その範囲を広げていきました。

過去 10 年にわたって IBM が注力しているのは、最新のオープンソース・プロジェクトおよびコミュニティーの発展と、オープン・ガバナンスの下での成果物の共有です。GitHub 上の独立したプロジェクトには数々の素晴らしいものがありますが、作成者がプロジェクトを保守しなくなったとしたら危険をもたらす可能性があります。このことから、IBM では企業と個人のコントリビューターをオープンソース・ファウンデーションやオープンソース組織に集結させて、プロジェクトをサポートおよび強化することを目標としています。この目標を実現するために、活気のあるコニュニティー環境でより多くのユーザーが貢献できるよう、明確に定義されたコントリビューション・プロセスとオープン・ガバナンスの確立に努めています。

この 5 年の間、IBM は著名な数百以上のプロジェクトとコミュニティーのために尽力してきました。Cloud Foundry、Docker、Cloud Native Computing Foundation (CNCF)、Hyperledger、Kubernetes, TensorFlow、Node はそのほんの一部です。実際のところ、IBM の社員は、コードを提供する、作業グループまたはファンデーション自体を主導する、一般的ガイダンスを提供するといった何らかの形で、毎月約 400 件にのぼる異なるプロジェクトに貢献しています。

最近のコントリビューションの例をいくつか挙げてみます。

IBM 社員たちはこれらのプロジェクトとコミュニティー内で、関係者全員にテクノロジーを行き渡らせるオープン・ソフトウェアを作成しようと目指しています。コミュニティーのコードをフォークして独自ブランドのソフトウェアを作成するのではなく、IBM はオープン・コミュニティー内で優れたコードを作成し、そのオープンでアクセスしやすいコードを IBM の製品に統合するという方法を取っています。IBM が追加するフィックスや新機能は IBM のバージョンを保守する形ではなく、必ずコミュニティーに還元する形にしています。IBM の製品で基礎となるオープン・コードの変更が必要となった場合は、コミュニティー内で作業して必要な API または SPI を作成します。さらに、これらの拡張ポイントが悪用されてロックインの原因にならないことも確実しています。

IBM がプロジェクトに関与する際に焦点を合わせるのは、企業にとって最も重要な側面、つまり相互運用性、移植性、セキュリティー、スケーラビリティー、アクセシビリティーです。このことから、クライアントにとって重要な特性を確保できるプログラムを形作れるよう、コミュニティーに投資して支援しています。IBM はオープン・ガバナンスを重要視しています。それは、オープン・ガバナンスにより、企業のオファリングとソリューションの基盤となるプロジェクトの長期的な成功と実現可能性が保証されるためです。

企業とオープンソースの未来への構想

現在 IBM が把握しているトレンドは、開発組織という形態を取るという方法で組織自体がオープンソースになりつつあるというものです。組織がコードの開発方法を変えて、オープンソースの原則と手法を開発プロセスに取り込めば、より有効で、より革新的かつセキュアなテクノロジーが作成されることになります。

この開放性により、さまざまなコミュニティーにわたるさまざまなチームが集結することにもなります。例えば、Node.js コミュニティーと JavaScript コミュニティーはより優れた、より緊密に連携したスケーラブルなプロジェクトを作成できるよう、コミュニティー間で基盤を連携させています。

IBM はこれからも、オープンソースを自社の製品とテクノロジーに取り込む方法、開かれたやり方でチームを先導する方法、クライアントと透明性をもってやり取りする方法の模範を示し、このオープンソースへの移行を指導していくつもりです。

オープンソースの盛り上がりの一端となること、そしてリーダーシップおよびオープン・ガバナンスとオープン・スタンダードへの取り組みを通してこのトレンドを引き続き推進していくことに、IBM は大きな期待を抱いています。


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Zone=Open source, Cloud computing
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ArticleTitle=将来に向けてオープンソースに尽くす
publish-date=06202019