目次


IBM POWER9プロセッサー・システムにおけるNVMeアダプターの仮想化

NVMeアダプターの使用方法、制限事項、ユースケース、などなど

Comments

翻訳: Takeshi Yoshio

このドキュメントは、Virtualization of NVMe adapters on IBM POWER9 processor-based systemsの2018/7/13時点での内容を翻訳したものです。更新の有無や内容の確認のためには、最新の英語バージョンを参照してください。

NVMeアダプターの概要

近年、データは益々貴重になっています。データへのアクセス方法と、どれだけ速くデータにアクセスできるかが重要になっています。これは、毎年指数関数的にデータは増大しているからで、素早いデータへのアクセスを可能にする最新テクノロジーの使用を心がける必要があります。

フラッシュ・ドライブは十分な帯域幅とスピードを提供するので、ソリューションになり得ます。しかし、その性質上、フラッシュ・ドライブは高価です。そのため、スピードを有効活用するために、Non-Volatile Memory Express(NVMe)という技術がソフトウェア業界で生まれました。

フラッシュ・ドライブが高速であることは分かっているので、頻繁にアクセスするデータをキャッシュすることで、顕著なパフォーマンス向上を図ることができます。

初期のIBM® POWER9™ プロセッサー・システムから、IBMはSeagateとの協力で開発したアダプターの提供を始めました。このアダプターには内蔵フラッシュ・ドライブを搭載でき、これをいくつもの目的、例えばキャッシュ、論理区画(LPAR)や仮想I/Oサーバー(VIOS)の起動などに使用することができます。

この記事のスコープ

この記事は、POWER9システム上でNon-Volatile Memory Enterprise (NVMe)の使用方法を説明します。また、ユースケースを用いて、NVMeアダプターを効果的に使用する方法と、そのメリットを紹介します。

システム要件

以下のシステム要件はIBM Integrated Systems Software Testチームが行なったテストに基づいています。テスト構成は以下の通りです:

  • ファームウェア レベル910 あるいはそれ以降
  • VIOS バージョン 2.2.6.0 あるいはそれ以降
  • 初期リリース版のPOWER9システム S914 (9009-41A)
  • 4スロットまでをNVMeとSASアダプターで使用可能なシステム
  • 複数のNVMe M.2 ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)カード
  • ハードウェア管理コンソール(HMC) 910 あるいはそれ以降
  • POWER9システムのC50ポートに接続されたNVMeアダプター

NVMeアダプターの構成方法

多くのお客様が、様々な目的のためにNVMeアダプターを使用しています。このセクションでは、それらのうちから幾つかのユースケースを紹介します。

  • NVMeアダプターをIBM AIX® LPARに割り当て: この方法では、NVMeアダプターはAIX LPARに割り当てられ、フラッシュ・ドライブはNVMeアダプターを経由してAIX LPARに接続されます。
  • NVMeアダプターをVIOSに割り当て: この方法では、NVMeアダプターはVIOSに割り当てられ、フラッシュ・ドライブはNVMeアダプターを経由してVIOSに接続されます。VIOS上のキャッシュ・ディスクを、仮想SCSI(vSCSI)を使用してAIXクライアントに割り当てることができます。
  • NVMeアダプターを用いてAIXと共有ストレージ・プール(SSP)キャッシュを実現: この方法は、NVMeアダプターをキャッシュの目的で使用します。AIXのキャッシュを有効にすることで、AIX LPARのデータをキャッシュすることができます。そして、SSPキャシュを有効にすることで、VIOS上に作成された共有ストレージ・プールをキャッシュできます。

図1はNVMeアダプターの一般的なユースケースです。

図 1. NVMeアダプターの一般的なユースケース

キャッシュを実現する方法を、以下のステップで説明します。

  1. VIOS上にキャッシュ・プールを作るには、以下のコマンドを使用します: ここで、hdisk5はNVMeアダプターを経由して接続されるNVMeディスクです。
    $ cache_mgt pool create ‑d hdisk5
    プールcmpool0がデバイスhdisk5で作成されました
  2. キャッシュ・プール(これはVIOS上に作成されています)上にキャッシュ区画を作成するには、以下のコマンドを使用します:
    $  cache_mgt partition create ‑s 4G ‑P cache_partition0
    区画cache_partition0 がプールcmpool0に作成されました
    
    $  cache_mgt partition create ‑s 4G ‑P cache_partition1
    P区画cache_partition0 が プールcmpool1に作成されました
  3. VIOS上に定義されたvSCSIアダプターにキャシュ区画を割り当てるには、以下のコマンドを使用します:
    $ cache_mgt partition assign ‑P cache_partition0 ‑v vhost0
    P区画cache_partition0 がvSCSIホスト・アダプター vhost0に割り当てられました
    
    $ cache_mgt partition assign ‑P cache_partition1 ‑v vhost1
    区画cache_partition1がvSCSIホスト・アダプターvhost1に割り当てられました
  4. AIXクライアント上で cfgmgr コマンドを実行して、VIOSのクライアントでキャッシュ・ディスクが使えるようになります。
  5. キャッシュ・ディスクをストレージ・ディスクに割り当てるには、LPAR1上で以下のコマンドを使用します:
    #cache_mgt partition assign ‑P cachedisk0 ‑t hdisk3
    区画cachedisk0 がターゲットのhdisk3に割り当てられます
     
    #cache_mgt partition assign ‑P cachedisk0 ‑t hdisk4
    区画cachedisk0 がターゲットのhdisk4 に割り当てられます

NVMeアダプターのユースケース

このセクションでは、NVMeアダプターの様々なユースケースを紹介します。

  • NVMe上にVIOSブート・イメージを配置: NVMeデバイスにVIOSイメージを導入し、ブートすることができます。
  • VIOSブート・イメージをNVMeデバイスに移動: 既存のブート・イメージをNVMeデバイスに移動するには、論理ボリューム・マネージャ(LVM)ミラーを用います。rootvgにNVMeミラー・コピーを追加し、同期が終わった後で古いコピーを削除します。
  • 論理ボリューム(LV)化された仮想SCSIデバイス: NovaLinkブート・イメージをデバイスに導入できます(LV化されたデバイスを用いて、未使用デプロイメントでNovaLink区画をブートすることができます)。 LV化された(NVMeボリューム・グループ(VG)上に定義された)デバイスを用いて、クライアントLPAR上にREADキャッシュを実現できます。
  • VIOS上にREADキャッシュ・デバイス: VIOS上のローカルREADキャッシュとして、NVMeは最適です。それは、SSPディスク・キャッシュとして使用され、共有ストレージ・プールに存在するデータはNVMeディスク上にキャッシュされます。
  • NVMeをキャッシュとして使用されているSSPでLPM: このケースでは、LPARの移行を行いますが、そのLPARにはSSPテクノロジーによってVIOSから割り当てられたストレージがあります。ストレージはキャッシュ機構に用いられ、NVMeディスクによって実現されています。
  • クライアントにおけるディスク・タイプ非依存化: ボリューム・グループをNVMeとそれ以外のタイプのデバイスで構成し、LVをNVMeとそれ以外のデバイスにまたがって作ります。クライアント側では、このLVは通常のvSCSIディスクとして見えていますが、実際にはNVMeと他のタイプのディスクにまたがっています。
  • VIOS構成情報のバックアップとリストア: VIOSインスタンスのバックアップをNVMeディスク上に作成することができます。その後で、新しくVIOSを作成し、構成情報をリストアすることができます。
  • SSP操作の独立性: NVMeディスクを用いてSSPキャッシュを実現した場合でも、どのようなSSP操作も行えます。例えば、SSPへのディスク追加・削除・置き換え、SSPにティアの作成・変更・削除、そしてSSPでのミラーの作成・削除などです。
  • 古いレベルのVIOSからのアップグレード: VIOSインスタンスを古いレベルから新しいレベルにアップグレードした場合、新しいレベルのVIOSでNVMeデバイスをそのまま使用できます。

制限事項

NVMeアダプターは以下のような制限があります:

  • VIOSでは、NVMeデバイスを物理ボリューム(PV)化されたデバイスとしてマップすることはできません。
  • NVMeディスクはAcrive Memroy Sharing(AMS)デバイスとしては使用できません
  • NVMeデバイスはローカル接続であるため、VIOSはNVMeをSSPディスクとして使用できません。
  • VIOSアダプター属性のルールを使用できません。今日時点では、属性ルールの追加、削除、または更新をすることができません。VIOSルールに対する機能拡張は将来のリリースでの課題です。

まとめ

この記事は、初期POWER9プロセッサー・システムでのNVMeアダプターを構成するための要件の理解に役立ったと思います。また、MVNeアダプターの適切なユースケースと、フラッシュ・ドライブ技術によるパフォーマンス向上の概要を紹介しました。


ダウンロード可能なリソース


関連トピック


コメント

コメントを登録するにはサインインあるいは登録してください。

static.content.url=http://www.ibm.com/developerworks/js/artrating/
SITE_ID=60
Zone=
ArticleID=1065749
ArticleTitle=IBM POWER9プロセッサー・システムにおけるNVMeアダプターの仮想化
publish-date=05102019