目次


DB2 pureXML アプリケーションを 1 日で作成する

反復型開発の一手法

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はじめに

XML は、構造化された自己記述形式の表現を使ってデータを交換するための最も一般的な選択肢です。W3C による各種の XML 標準では一連の仕様が記述されており、こうした仕様はビジネスや政府機関、科学分野、その他の業界で広く受け入れられています。XML が生まれた元である SGML は1980年代から使用されているため、XML を扱うことに関しては 20 年を越える歴史と、さまざまなツールがあります。

さまざまな業界が、情報交換を標準化するために XML 標準を利用して業界特有のフォーマットを定義しています。また XML は (例えば XForms や Lotus Forms として) データの表示や操作にもよく使われる表現形式です。XML データベースやハイブリッド・データベース (例えば DB2 pureXML™ など) はネイティブの XML ストレージを提供しています。ネイティブの XML ストレージという意味は、XML をそのまま保管することができ、XML の要素と属性にエンコードされている情報を分割してリレーショナル・テーブルに保管する必要がないということです (この分割操作は「シュレッディング」として知られています)。

XML と XML ベースの業界フォーマットとを利用できると、すべてをカバーする XML アーキテクチャーを利用してアプリケーションを作成することができます。すべてをカバーする XML によるアプリケーションの大きな利点の 1 つは、同じ XML ベースの業界フォーマットやカスタム表現を XML の保管 (図 1 の「Data」レイヤー)、交換 (図 1 の「Information Exchange」レイヤー)、そして表示と操作 (図 1 の「User Interaction」レイヤー) に利用できることです。

図 1. すべてをカバーする XML アーキテクチャー
すべてをカバーする XML アーキテクチャー
すべてをカバーする XML アーキテクチャー

概要

この記事の目標は、特定の業界専用の交換フォーマットにすべてをカバーする XML アーキテクチャーを採用することによって、実際に機能するアプリケーションを素早く作成する方法を説明することです。この記事で説明する作業のベースとして使用する交換フォーマットは、税金の申告用に米国財務省が指定している IRS e-File 1120 フォーマットです (「参考文献」を参照)。すべてをカバーする XML アプリケーションを作成するためのステップは下記のとおりです。

  • IRS e-File 1120 XML 文書をそのまま保管できる DB2 pureXML データベースを作成します。
  • このデータベースを Universal Services を使って公開し、Web サービスによってデータベースにアクセスできるようにします。
  • XFG (XML Forms Generator) を使ってユーザー・インターフェースを作成し、IRS e-File 1120 XML 文書を表示、操作できるようにします。

最後に、すべてをカバーする XML アーキテクチャーを利用するアプリケーションの強化方法として、さらなる技術を追加することでアプリケーションの機能を改善する方法の考え方を説明します。この記事を読み進む前に、下記「要件」セクションに挙げたソフトウェアが適切にインストールされて構成されていることを確認してください。

要件

この先の説明に従って実際に試すためには、下記のソフトウェアが適切にインストールされている必要があります。

  • IBM DB2 Express-C (無料): pureXML 技術を利用して XML データをそのまま保管できるハイブリッド・データベース・システムです。詳しくはこの記事の「参考文献」セクションを参照してください。
  • IBM Data Studio (試用版): 多種多様な機能を提供する開発環境であり、例えばデータベース操作を Web サービスとして公開する機能を持っています。また IBM Data Studio は XFG を実行するために必要な環境でもあります。詳しくはこの記事の「参考文献」セクションを参照してください。
  • XML Forms Generator (無料): XML 文書インスタンスと WSDL (Web service Description Language) ファイルを基に XForns を生成する Eclipse ベースのプラグインです。このプラグインの機能を IBM DB2 pureXML でフルに利用するためには、このプラグインを IBM Data Studio にインストールする必要があります。詳しくはこの記事の「参考文献」セクションを参照してください。

XML を保管するためのデータベース (DB2 pureXML 業種別バンドル) を作成する

DB2 pureXML 業種別バンドルには、専門業界に特化した XML 文書のサンプルや、関連する XML スキーマへのリンク、サンプル・コードなどが含まれており、そうした専門業界のビジネスのデータベース管理者やソフトウェア開発者、アーキテクトなどが DB2 9.x の pureXML フィーチャーを使うための出発点として利用することができます。業種別バンドルは通常、ある 1 つの特定業界用に作成されます (例えばFpML (Financial products Markup Language) フォーマットや IRS e-File 1120 フォーマット用の業種別バンドルなどがあります)。

IRS e-File 1120 フォーマット用の業種別バンドルは、この記事ではデータベースの作成と、そのデータベースにサンプルの XML 文書を書き込むために使われ、すべてをカバーする XML アーキテクチャーの第 1 レイヤーを構成します (図 2)。

図 2. ネイティブの XML 保管機能を提供する第 1 レイヤー
ネイティブの XML 保管機能を提供する第 1 レイヤー
ネイティブの XML 保管機能を提供する第 1 レイヤー

DB2 pureXML データベースの設定方法とデータの書き込み方法については「Data Web Services を使用した pureXML のための Universal Services」(developerWorks、2008年5月) の「サンプル・データベースのセットアップ」セクションを参照してください。業種別バンドルについての大まかな概要が必要な場合には、「Get started with Industry Formats and Services with pureXML」(alphaWorks、2006年12月) を参照してください (「参考文献」セクションを参照)。

データが書き込まれたデータベースは、開発の次のレベルに進むためのベースとなります。次のレベルでは Web サービスを使ってデータベースを公開します。

XML を交換するための Web サービス (Universal Services) を作成する

Universal Services は Data Web Services のメカニズムをベースにしており、データベースにアクセスするための一連の定型操作 (挿入、更新、削除、照会など) を REST リクエストまたは SOAP リクエストによって行うことができます (図 3)。

Universal Services をセットアップするためにはコマンドライン・スクリプトを構成して実行します。スクリプトを実行すると WAR (Web archive) ファイルが作成され、この WAR ファイルを WebSphere® Application Server や Apache Tomcat などのアプリケーション・サーバーにデプロイすることができます。

図 3. Web サービス操作によってデータベースを公開する第 2 レイヤー
Web サービス操作によってデータベースを公開する第 2 レイヤー
Web サービス操作によってデータベースを公開する第 2 レイヤー

Universal Services の構成とインストールに関しては別の関連記事で既に説明されているため、それ以上の説明は省略します。詳細は「Data Web Services を使用した pureXML のための Universal Services」の「Universal Services のインストール」セクションを参照してください。Data Web Services についての詳細情報が必要な場合には本記事の「参考文献」セクションを参照してください。

これで、Web サービスの簡単なリクエストを使ってデータベースにアクセスするための UI (User Interface) を作成する準備が整いました。次のセクションでは UI について説明します。

XML の表示と操作のためのフォーム (XFG) を作成する

このセクションではデータベースの中に保管されたデータの表示と操作のための XForms を作成し、第 3 レイヤー、つまり図 4 の「User Interaction」レイヤーを提供します。

図 4. 情報の表示と操作のための第 3 レイヤー
情報の表示と操作のための第 3 レイヤー
情報の表示と操作のための第 3 レイヤー

この XForms を作成するためには、IBM Data Studio の一部としてインストールされる XFG プラグインを使います。そこで、まず XFG プラグインを簡単に紹介し、その後で XFG プラグインを使って XForms を作成する方法を説明します。

XFG の概要

このセクションでは XFG プラグインの機能の概要を説明します。しかしこの説明の中には、この記事にしか関係しない情報が含まれています。XFG のすべての機能をもっと幅広く詳細に説明した資料が必要な場合には、関連の記事シリーズ「XML Forms Generator と Data Studio との統合」を参照してください (「参考文献」を参照)。

十分に機能する XForms を生成するために、XFG プラグインはさまざまな成果物を生成します。こうした成果物には、使用される Web サービスの WSDL ファイル、サンプルの XML 文書、そしてオプションとして、XML 文書のための XML スキーマなどがあります。

図 5. XFG プラグインが使用するランタイム成果物
XFG プラグインが使用するランタイム成果物
XFG プラグインが使用するランタイム成果物

XForms を生成するために、XFG プラグインはまず、ある特定の Web サービスで利用可能なすべての Web サービス操作を記述した WSDL ファイルを分析します (図 5 の (1) を参照)。利用可能な Web サービス操作のうちの 1 つをユーザーが選択すると、XFG プラグインは、その操作に関するさまざまな入力パラメーターを分析します。これは、各入力パラメーターに対してフォームの中に適切な入力フィールドを生成する必要があるためです。入力フィールドは、整数型や文字型などのデータ型の場合は単純ですが、XML 型の入力パラメーターの場合はもっと複雑になります。XML データ型の入力フィールドは、サンプルの XML 文書 (図 5 の (2)) と、場合によってはその XML 文書を定義する XML スキーマ (図 5 の (3)) をベースに生成されます。そこで、XFG プラグインは一連のサンプル XML 文書のインスタンスをデータベースから自動的に取得します (図 5 の (2))。ユーザーは、取得されたサンプル XML 文書の中から XForms を生成するためのベースとなる 1 つのサンプル XML 文書を選択します。その XML 文書を定義している XML スキーマが DB2 の XSR (XML Schema Repository) の中にあって参照されている場合、XML スキーマの情報を XForms の生成に利用することができます。

上記の説明は複雑なプロセスのように聞こえるかもしれませんが、実は以下に説明するように単純な作業にすぎません。先に進む前に、XFG プラグインに必要なすべての成果物を含んだワークスペースがあることを確認します。これについて次のセクションで説明します。

Data Studio でワークスペースを作成し、準備する

上で説明したように、XFG プラグインが XForms を生成するために必要とする成果物の 1 つが、使用される Web サービスを記述する WSDL ファイルです。つまり具体的に言うと、Universal Services を記述した WSDL を含むワークスペースを用意する必要があるということです。そのためには、通常、新規または既存のワークスペースに Universal Services をインポートします。Universal Services は特定のサンプル・データベース用に事前に構成されているため、この記事のシナリオで使用するデータベースの詳細に合うように Universal Services を調整する必要があります。Universal Services を用意する上では、以下の説明に従ってプロジェクトをインポートしてから調整することも、あるいは事前に構成されたプロジェクトを特に何も調整せずにインポートすることもできるので、以下の説明を読み進める前にご注意ください。推奨の方法は後者です。

選択肢 1: Universal Services に最初から用意されている Data Development Project をインポートする

Universal Services に最初から用意されている Data Development Project をインポートして調整するためには、「Universal Services for pureXML using Data Web Services」(developerWorks、2008年5月) の「Modify the Universal Services」セクションを参照してください。

選択肢 2 (推奨の方法): 事前に構成された Universal Services Data Development Project をインポートする

正しいデータベース接続の詳細、テーブル名、データベース・スキーマの名前を使って事前に構成された Data Development Project を使用する場合、まずはこの記事の「ダウンロード」セクションにあるアーカイブ・ファイル、universal_services_data_studio_project_irs1120.zip をダウンロードします。アーカイブ・ファイルをインポートするためには、「Universal Services for pureXML using Data Web Services」の「Import Universal Services Data Development Project」セクションを参照してください。このアーカイブ・ファイルをインポートすれば、あとは何も調整が必要ないことに注目してください。

XFG を使う

このセクションでは、IRS e-File 1120 メッセージ・フォーマット用の XML フォームを XFG を利用して生成する方法を説明します。XForms を生成するためには、この前のステップでインポートした Universal Services Data Development Project を含むワークスペースを使って Data Studio を起動する必要があります。Data Studio で XFG を使うと、ウィザードが XForms の生成プロセスをガイドしてくれます。ウィザードを使って行うすべてのステップの詳細を以下で説明します。

ステップ 1: XForms の生成プロセスをガイドするウィザードを起動するためには、Universal Services を記述する WSDL ファイルまで Data Studio の Data Project Explorer の中でナビゲートし、その WSDL ファイルを右クリックします。するとサブメニューが表示されるので、サブメニューから Generate XHTML/XForm を選択してウィザードを起動します (図 6)。

図 6. ウィザードを起動する
ウィザードを起動する
ウィザードを起動する

ステップ 2: 先ほど説明したように、XFG プラグインはサンプル XML 文書と WSDL ファイルを使って XForms を作成します。データベースからサンプル XML 文書を取得するために、XFG プラグインはユーザーのクレデンシャルを使ってデータベースにアクセスします。従って、有効なユーザー名とパスワードを提供する必要があります (図 7)。また、XFG プラグインによって実際にデータベースからサンプルを取得するためには、「Retrieve PureXML instance from Database (データベースから PureXML インスタンスを取得)」というオプションにチェックを入れる必要があります。Next をクリックして続けます。

図 7. データベースにアクセスするための情報を構成する
データベースにアクセスするための情報を構成する
データベースにアクセスするための情報を構成する

ステップ 3: XFG が WSDL ファイルを分析し、利用可能なすべての操作を認識すると、ウィザードを使ってそうした操作の 1 つを選択することができます。XForms はデータベースに新しい情報を挿入するために使われるので、「insertXML()」という操作を選択します (図 8)。Next をクリックして続けます。

図 8. Web サービスに対する操作を選択する
Web サービスに対する操作を選択する
Web サービスに対する操作を選択する

ステップ 4: この前のステップで選択された操作には XML 型の入力パラメーターが 1 つ含まれているため、ウィザードを使うことによって、適当な入力フィールドと入力コントロールを作成するためのベースとなるサンプル XML 文書を選択することができます。サンプル XML 文書を取得するためには、「Reference Instance (基準となるインスタンス)」列の中にあるボタンをクリックします (図 9)。

図 9. 基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する

すると別のウィンドウが開き、データベースから取得された一連のサンプル XML 文書が表示されます。その中から 1 つのサンプル XML 文書を選択する必要があります (図 10)。OK をクリックして続けます。

図 10. 基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する

前のステップで選択されたサンプル XML 文書は XForms の入力フィールドと入力コントロールを生成するためのベースとして使われます (図 11)。Next をクリックして続けます。

図 11. 基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する
基準となるサンプル XML 文書を選択する

ステップ 5: XFG プラグインは、生成された XForms を保管するための適当なファイル名と場所を必要とします。そこで、デフォルトの設定を変更せずにそのままにする (図 12) か、あるいはカスタマイズしたファイル名と場所を選択します。Next をクリックして続けます。

図 12. XForms 用のファイル名と場所を選択する
XForms 用のファイル名と場所を選択する
XForms 用のファイル名と場所を選択する

ステップ 6: 完全に機能する XForms を生成するために、XFG プラグインでは、使用される Web サービスのエンドポイントを指定することができます。現在のシナリオでのエンドポイントは Universal Services の SOAP エンドポイントです (http://localhost:8080/UniversalServices/services/UniversalServices)。カスタムのエンドポイントを指定するためには、Use default submit target (デフォルトの送信ターゲットを使用) のチェックを外し、「Use this submit target (この送信ターゲットを使用)」という入力フィールドに Universal Services の SOAP エンドポイントを入力します (図 13)。

図 13. 使用する送信ターゲットを指定する
使用する送信ターゲットを指定する
使用する送信ターゲットを指定する

ステップ 7: XFG プラグインが使用する、もう 1 つの成果物が、XML 文書のインスタンスと関連付けられた XML スキーマです。XML 文書のインスタンスの構造を記述する XML スキーマを使うと、必須とオプション両方の要素と属性を定義することができるため、生成された入力フィールドを (必須とオプション両方の) すべての要素と属性に使うのか、あるいは必須の要素と属性のみに使うのかをウィザードを使って選択することができます。どの設定も変更せずに Next をクリックし、次に進みます (図 14)。

図 14. 生成する要素と属性のタイプを選択する
生成する要素と属性のタイプを選択する
生成する要素と属性のタイプを選択する

ステップ 8: また XFG プラグインを使うと、XForms を生成するためのベースとして使用する XML スキーマとサンプル XML 文書を保管することもできます。そこで、その XML 文書のファイル名と場所を選択し (図 15)、また XML スキーマのファイル名と場所も選択します (図 16)。それぞれのステップで Next をクリックして次に進みます。

図 15. サンプル XML 文書のファイル名と場所を選択する
サンプル XML 文書のファイル名と場所を選択する
サンプル XML 文書のファイル名と場所を選択する
図 16. XML スキーマのファイル名と場所を選択する
XML スキーマのファイル名と場所を選択する
XML スキーマのファイル名と場所を選択する

ウィザードのさまざまなページで選択された設定に従って、XForms が生成されています (図 17)。

図 17. 生成が完了した XForms
生成が完了した XForms
生成が完了した XForms

アプリケーションを実行する

3 つの主なタスクをすべて完了したら、生成された XForms の実際を見てみます。XForms を適切に表示するためには Mozilla Firefox が必要です。また、Mozilla Firefox には Mozilla XForms プラグインをインストールしておく必要があります。Mozilla XForms プラグインのすべてのバージョンが Mozilla Firefox の各バージョンと互換性があるわけではない点に注意してください。現在のシナリオで使用しているソフトウェアは、Mozilla Firefox のバージョン 2.0.0.18 と Mozilla XForms プラグインのバージョン 0.8.6ff2 です。生成された XForms を表示すると図 18 のようになるはずです。

図 18. 入力データが入力されて Mozilla Firefox で表示された XForms
入力データが入力されて Mozilla Firefox で表示された XForms
入力データが入力されて Mozilla Firefox で表示された XForms

この先を続けるために、入力可能な入力フィールドに情報を入力します。「P1」と「P2」と表示された 2 つの特別な入力フィールドは、XForms の生成に使われた Web サービス操作の 2 つの入力パラメーターです。「P1」という入力パラメーターは整数データ型であり、もう一方の「P2」という入力パラメーターは文字型です。このシナリオの XForms を説明するために入力されたサンプル・データでは、パラメーター「P1」が数字の「24」、パラメーター「P2」が「data entered through XForms」(XForms を使って入力したデータ) というテキストです。この「P1」と「P2」という 2 つの入力フィールドの後にいくつかの入力フィールドがありますが、これらは XForms の生成に使われたサンプル XML 文書の属性と要素をベースに作成されたものです。どの入力フィールドにもサンプル・データを入力することができます。

必要なデータを入力した後、フォームの一番したまでスクロールすると、Submit ボタンがあります (図 19)。

図 19. XForms の送信機能を呼び出すための Submit ボタン
XForms の送信機能を呼び出すための Submit ボタン
XForms の送信機能を呼び出すための Submit ボタン

Submit をクリックして XForms の送信機能を呼び出し、Universal Services を使って DB2 pureXML データベースにデータを挿入します。すると Web サービスのレスポンス・メッセージが表示され (図 20)、データベースへの挿入が成功したことがわかります。

図 20. Web サービスからのレスポンス
Web サービスからのレスポンス
Web サービスからのレスポンス

新しいレコードがデータベースに挿入されたことを確認するために、この場合にも、Universal Services の一部として含まれているテスト・ページを使用することができます。このテスト・ページにアクセスするための詳しい情報が必要な場合は、「Universal Services for pureXML using Data Web Services」の「Test the Universal Services」セクションを参照してください。Universal Services にアクセスするための URL は通常、http://localhost:8080/UniversalServices/wsdl です。ホスト名とポートは使用するローカル・システムの構成によって変わる可能性があることに注意してください。

テスト・ページで getXMLDocumentByKey という操作までナビゲートし、新たに作成されたレコードの ID (例えば、XForms の入力フィールド「P1」に入力された数字「24」など) を入力し、Invoke をクリックしてこの Web サービス操作を呼び出します。

すると、先ほど XForms に入力したデータが表示されます (図 21)。

図 21. 先ほど XForms に入力した情報
先ほど XForms に入力した情報
先ほど XForms に入力した情報

アプリケーションを強化する

この記事では、すべてをカバーする XML アーキテクチャーを利用してアプリケーションを容易かつ単純に、そして迅速に作成できることを説明しました。ユーザー・インターフェースと Universal Services はフィードバックに応じて調整することができます。また、さらに機能を追加してさまざまにアプリケーションを拡張することもできます。

考えられる拡張の 1 つとして、XForms に入力されたデータを検証することができます。現状で XFG プラグインが生成する XForms に含まれる簡単な検証ルールのベースとなっているのは、使用される Web サービス操作の入力パラメーターのメタデータと、XForms を生成するベースとして使用される XML スキーマです。その一方で XML コンテンツを検証するための別の技術として Schematron があり、これを XForms と組み合わせて使用することができます。Schematron による検証ルールを XForms に組み込む方法は「XForms文書にSchematron制約を自動適用する」(developerWorks、2006年6月) という記事の中に、その例が説明されています。

もう 1 つの選択肢として、もっと複雑なアプリケーションに最も適切と思われる方法ですが、構造とコンテンツの検証を別の機器 (例えば IBM WebSphere DataPower SOA アプライアンスなど) に移してしまう方法があります。IBM WebSphere DataPower SOA アプライアンスは XML を処理するハードウェアであり、XML スキーマの検証や Schematron の検証など、いくつかの機能を提供します。シナリオの例としては、XForms に入力されたデータを IBM WebSphere DataPower SOA アプライアンスに送信し、検証が成功した場合には Universal Services にそのデータを転送して最終的にデータベースの中にデータを挿入します。検証が成功しなかった場合には、そのデータを拒否します。IBM WebSphere DataPower SOA アプライアンスを Universal Services と組み合わせて使用する実際の方法を調べるには、「WebSphere DataPower and DB2 pureXML, Part 1」(developerWorks、2008年5月) と「WebSphere DataPower and DB2 pureXML, Part 2」(developerWorks、2008年6月) を参照してください。

まとめ

この記事では、すべてをカバーする XML アーキテクチャーを利用することによって、ごく簡単な作業のみで完全機能のアプリケーションを作成できることを説明しました。この記事で説明したように、そうしたアプリケーションを作成するためには 3 つの基本的なステップがあり、どのステップも既に入手可能な成果物によってサポートされています。

アプリケーション・アーキテクチャーのすべてのレベルに XML を利用してアプリケーションを作成することによる大きなメリットの 1 つは、データを 1 つのフォーマットから別のフォーマットに変換する必要がないことです。実際、同じ情報フォーマットを情報の保管、交換、そして表示と操作に使用することができます。

すべてをカバーする XML アーキテクチャーをフルに活用したプロジェクトを始めるために、この記事が役立つことを祈っています。


ダウンロード可能なリソース


関連トピック

  • Industry Formats and Services with pureXML のページから多種多様なサンプルを無料でダウンロードすることができます。それぞれのサンプルでは XML ベースの業界フォーマットと pureXML の操作方法が説明されています。またこれらのサンプルでは、XML Schema の登録方法、XML インスタンス文書の検証方法、XQuery または SQL/XML を使用した XML データのクエリー方法なども説明されています。
  • W3C のXForms のページには、XForms の正式な仕様へのリンクや XForms を表示するためのさまざまなオプションへのリンクがあります。
  • W3C のサイトでは、XHTML、CSS (Cascading Style Sheets)、XML、XML Events、XPath など、XForms に関連した標準を見ることができます。
  • United States Department of the Treasury (米国財務省) の Internal Revenue Service (訳注: 日本の国税庁に相当) のページでは、IRS (Internal Revenue Service) や、さまざまな納税申告様式、それらの様式の電子版 (e-File フォームと呼ばれます) などの情報を入手することができます。
  • DB2 9 の pureXML 用の Web サービスを生成する」(developerWorks、2007年6月) を読み、DB2 9 pureXML データベースとの間でデータを読み書きできる Web サービスを作成してください。
  • Data Web Services: Build Web Services the new way to access IBM database servers」(developerWorks、2007年12月) を読み、Data Web Service を作成してカスタマイズしてください。この記事では Data Web Services のアーキテクチャーの概要を含めて Data Web Services の理論的背景を説明しています。またセキュリティーなど、Data Web Services のさまざまな側面についても説明しています。
  • Schematron は XML 文書の中に見られるパターンを表現するための言語であるため、XML 文書のコンテンツ検証に使用することができます。
  • IBM WebShpere DataPower SOA アプライアンス製品群の概要をご覧ください。
  • Data Web Services の開発に使用できる開発環境、IBM Data Studio を無料でダウンロードすることができます。
  • DB2 Express-C をダウンロードしてください。DB2 Express-C は DB2 の無料バージョンであり、pureXML 技術など、他のデータ・サーバーと同じコア機能が組み込まれています。DB2 Express-C の開発、デプロイ、配布は無料です。
  • alphaWorks から入手できる Eclipse ベースのツール、XML Forms Generator を利用して、標準に準拠した実際に動作するフォームをマウスのクリックで作成してください。
  • Mozilla XForms プラグインを利用して、標準に準拠したフォームを Mozilla Firefox で表示してください。
  • XForms を描画する Internet Explorer 用のプラグイン、FormsPlayer を入手してください。
  • Visual XForms Designer のホームページを訪れてください。インストール方法の説明、前提条件、フォーラムなどへのリンクがあります。
  • Compound XML Document Toolkit のホームページを訪れ、SVG (Scalable Vector Graphics)、MathML、VoiceXML、SMIL (Synchronized Multimedia Integration Language) など、XForms 以外の XML マークアップのオープン・スタンダードについて調べてみてください。

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