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情報の観点から考える SOA デザイン、第 3 回

SOA デザインでの InfoSphere Business Glossary の価値および使用

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はじめに

ビジネス・グロッサリーは「データ辞書」とも呼ばれ、イニシアチブに関連する用語やデータの定義を共有するための資産です。ビジネス・グロッサリーは、ビジネス用語を定義し、ひいてはプロジェクト用語を定義します。ビジネス・グロッサリーは的確なものを選び、具体的で分かりやすく定義するよう注意する必要があります。また、可能な限り、企業全体に適用される定義にするべきです。ある用語の用法が部門間で異なる場合は、全ての定義を取り入れて、それぞれ適切なコンテキスト (部門) と関連付ける必要があります。ビジネス・グロッサリーは、正確な用語の定義を全社的に確立していく道のりの第一歩です。

簡単に言うと、ビジネス・グロッサリーは企業内全ての情報の製作者と利用者との間で交わされる契約のようなものです。誰もがすべての用語、特にイニシアチブで使用されるビジネス・データ要素の意味、タイプ、およびコンテキストを判別できるようにするための資産あるいは参照資料となることを目的としています。データ要素に関する正式な定義は、単一システム内でさえも大きく欠けていることがよくあります。同じ用語で解釈が異なると、プロジェクトの実施に失敗するリスクが高くなります。組み込まれたビジネス・ルールのために、データが、元々使用されていたコンテキストから外れて正しくなくなることはよくあります。プログラム内に組み込まれたルールがデータを使用したり、エンティティーにコンテキストを与えるため、さらにデータを参照したりする場合もあります。

この連載の最初の 2 回で、ビジネス・グロッサリーを作成することの重要性については説明したので、この記事では例として InfoSphere Business Glossary を使用し、ビジネスのニーズや目的に最も合ったビジネス・グロッサリーの使用法を紹介します。ここではSOA で使用される用語集をサポートしていますが、InfoSphere Business Glossary はデータ統合など、明確な用語定義を必要とする他のプロジェクトでも使用できます。

動機付けおよび製品の概要

InfoSphere Business Glossary を使用すると、用語の定義を作成、管理して、ビジネスの専門家と IT の専門家との間で用語を共有できるようになります。次の 3 つの製品は、ユーザーのタイプに応じてそれぞれに固有の機能を提供します。それぞれの製品が提供するサービスを以下に示します。各サービスの詳細については、この記事の後のセクションでまとめて説明します。

Business Glossary は、グロッサリーにアクセスし、それを作成、制御、管理する「パワー・ユーザー」を対象としています。

  • ビジネス用語およびカテゴリーの管理 (下記のセクションを参照のこと):
    専用の Web画面から用語を登録、管理、共有できます。用語で企業内情報の定義を示し、カテゴリーで階層化して管理します。
  • スチュワードの管理 (下記のセクションを参照のこと):
    スチュワードとは、情報資産の管理責任をもつ人または組織を指します。スチュワードのプロファイルは外部ソースからインポート可能で、アドミニストレーターは Webインターフェース上でプロファイルを生成、編集できます。また、そのスチュワードが責任者となるビジネス用語またはInfoSphere Information Server が管理するあらゆる成果物との関連を定義できます。
  • カスタマイズおよび拡張 (下記のセクションを参照のこと):
    ビジネス・メタデータへのニーズは企業により異なる傾向にあります。そのためどんな企業にも当てはまるメタデータのモデルは存在しません。アプリケーションのトップ画面がカスタマイズできるのに加え、ビジネスカテゴリとビジネス用語のカスタム属性を用いることで、アプリケーションを拡張できます。
  • コラボレーション (下記のセクションを参照のこと):
    ビジネス・メタデータを文書化するだけでは、十分なコラボレーションとは言えません。メタデータは常にアクティブな状態で、ビジネス部門と開発部門のすべての人がアクセスできなければなりません。Business Glossary のコラボレーション環境があれば、市場や顧客ニーズ、競争関係の変化に応じたビジネスの動きに合わせて、メタデータという重要な情報資産を発展させていくことができます。

Business Glossary ブラウザーは、主に用語定義や関連スチュワードなどのグロッサリー情報を見る必要があるビジネス・ユーザーを対象としています。

  • 直感的なブラウザー (下記のセクションおよびシナリオを参照のこと):
    Business Glossary は直感的なRead-onlyのブラウザーを採用しているため、トレーニング不要で利用できます。ビジネス・ユーザーは共通管理されている用語とその分類を検索、閲覧できるほか、責任者を見つけて直接フィードバックすることもできます。

Business Glossary Anywhere を使用すると、組織内の誰もが従来の作業環境およびツールにおいてグロッサリー情報を表示できるようになります。

  • デスクトップ検索 (下記のセクションを参照のこと):
    Business Glossary Anywhere を使用すると、ユーザーはどのアプリケーションからでも直接すべての用語を検索できます。ワンクリックでポップアップ・ウィンドウが現れ、その用語のスチュワードなど、ビジネス・グロッサリー内で関連付けられているメタデータについての情報が表示されます。

グロッサリー・オーサリング機能に加え、InfoSphere Business Glossary では InfoSphere Data Architect (IDA) などの別のアプリケーションからデータ (またはメタデータ) をインポートできます。これによりメタデータを手入力する時間および労力が節約できるのはもちろん、ツール間でのビジネス用語の一貫性を保つこともできます。

また、InfoSphere Business Glossary を使用すると、単純で直接的な自然言語によるメタデータの照会を実現できます。コラボレーション機能と組み合わせることで、用語の更新または改訂時に、用語を「サブスクライブ」している人は変更通知を受けることができます。ビジネス・グロッサリーの真の価値は、関連する全てのユーザー (アーキテクト、開発者など) がその用語集に従ったとき、初めて実現できます。

InfoSphere Business Glossary は IBM Industry Models からグロッサリー構造を取り込むことができます。Industry Models がサポートする業界は、銀行業務、保険、金融、通信、ヘルスケア、小売業など多岐に渡ります。InfoSphere Business Glossary に Industry Models の内容を取り込むと、ビジネス用語、レポート要件 (規制レポートなど)、およびビジネス機能のグロッサリー構造が生成されます。
InfoSphere Business Glossary のコラボレーティブなグロッサリーは、InfoSphere Data Architect のモデリング機能や IBM Industry Models の豊富なビジネス情報と併用することで、グロッサリーの課題に対する完全なソリューションを提供し、整合性のある再利用可能なビジネス定義を通じて SOA イニシアチブを推進します。

Business Glossary

図 1 は、InfoSphere Business Glossary のスタート画面です。いくつかのタブがあり、上述のロールごとに使用可能な機能がグループ化されています。
この記事が焦点を当てているのは「グロッサリー」ページです。このページで、概要、ビジネス用語、およびそれらの用語のカスタム属性を管理します。
左側はナビゲーション・ペインで、問題となっているビジネス用語に関連した履歴を参照、検索、管理、および保守できます。

図1. Business Glossary のスタート画面
左側にナビゲーション・ペインがあり、くつかのタブでグループ化されている
左側にナビゲーション・ペインがあり、くつかのタブでグループ化されている

Business Glossary について

Business Glossary は、サーバーにインストールし、ブラウザー・インターフェースを介してアクセスします。このサーバーをサポートするメタデータ・リポジトリーは、用語に関連付けられたメタデータだけでなく、物理モデルやサービス、その他の社内のメタデータ・ソースを取り込みます。ビジネス・グロッサリーには 3 つのロールがあり、ユーザー、作成者、アドミニストレーターのいずれかのロールが割り当てられます。

Business Glossary ユーザー・ロールが割り当てられると、用語や用語を含むカテゴリーなど、メタデータ・リポジトリー内のメタデータ資産を調べることができます。特定のオブジェクトについて考慮事項や情報があれば、グロッサリー・アドミニストレーターに知らせることができます。ユーザーが実行できる作業は以下のとおりです。

  • カテゴリーおよび用語の構造の参照
  • メタデータ・リポジトリー内でのカテゴリー、用語、その他のオブジェクトの検索
  • メタデータ・リポジトリーにあるすべてのオブジェクトの属性および関係の調査
  • アドミニストレーターへのフィードバック送信

Business Glossary 作成者ロールが割り当てられると、用語やカテゴリーの作成および編集ができるほか、用語を使用してオブジェクトを分類できます。作成者ロールは、カテゴリーや用語を管理し、オブジェクトの分類法や各オブジェクトのスチュワードを決定するユーザーに割り当てます。このロールは Business Glossary ユーザー・ロールができるすべての作業を実行できるほか、以下のような作業を行えます。

  • 社内で使用する用語を含むカテゴリー階層の作成、編集
  • 用語を使用した、メタデータ・リポジトリーにあるオブジェクトの分類
  • メタデータ・リポジトリーにあるオブジェクトのスチュワードの設定
  • メタデータ・リポジトリーへの用語およびカテゴリーのアップロード
  • カスタム属性の値の指定

Business Glossary アドミニストレーター・ロールが割り当てられたユーザーは、グロッサリーをセットアップ、管理し、他のユーザーが必要な情報を見つけて分析できるようにします。このロールは、作成者ロールとユーザー・ロールに関連したすべての作業を行えます。アドミニストレーターとしては、用語やカテゴリーを作成、編集、削除できるほか、用語やスチュワードをオブジェクトと関連付けることができます。また、メタデータ・リポジトリーを参照してアノテーションを作成したり、他のグロッサリーの作業を実行したりできます。この他に、Business Glossary アドミニストレーターが実行できる作業には以下のようなものがあります。

  • Business Glossary の「概要」ページをカスタマイズ:企業独自のスタート画面を設定することで、カテゴリー階層のナビゲーションを簡単にします
  • アプリケーション・オプションの設定
  • スチュワードの指名(ユーザーおよびグループ)またはそのスチュワード関係の削除
  • カスタム属性の作成、編集、および削除
  • 他の人が作成したアノテーションの編集および削除
  • 他の人が作成した用語およびカテゴリーの削除

用語およびカテゴリーの管理

アドミニストレーターおよび作成者は、カテゴリー、用語、分類したオブジェクトの論理構造を作成します。グロッサリー構築の手順は、新規カテゴリーおよび用語の作成を主とするか、あるいは IBM InfoSphere Information Server のメタデータ・リポジトリーにある既存のカテゴリーや用語を使用するかで異なります。いずれの場合も、望ましい構造をよく計画した上でグロッサリーを構築する必要があります。構造を計画する際は、以下を検討してください。

  • 必要なカテゴリーは?
  • リポジトリーにインポートまたはアップロードできる既存のカテゴリーおよび用語はあるか?
  • トップレベル・カテゴリーはどのカテゴリーにするか? サブカテゴリーは?
  • メタデータ・リポジトリー参照の開始点としてどのカテゴリーを「概要」ページで表示するか?(トップレベル・カテゴリーと同じでなくてもよい。)
  • 必要な用語は?
  • どのカテゴリーにどの用語を入れるか?
  • 他のカテゴリーの用語を参照するカテゴリーは?
  • どの用語がどの用語と関係するか?
  • どの用語がどの用語と同義語であるか?

これらの項目をよく検討したうえでグロッサリー構造を作成すれば、ユーザーにとって分かりやすく、企業の目標をサポートする構造を構築できます。どのオブジェクトをどの用語で分類するかは、事前に決定することもできますが、グロッサリー構造を構築してから決定することもできます。グロッサリー構造を構築する際に既存のカテゴリーおよび用語をリポジトリーにアップロードまたはインポートするのではなく、新規カテゴリーおよび用語を作成する場合は、まずカテゴリーを作成してから用語を作成し、次にカテゴリーと用語を編集してそれらの関係を設定する必要があります。

アドミニストレーターおよび作成者は、用語を使用してメタデータ・リポジトリー内のオブジェクトを分類できます。用語とは、メタデータ・リポジトリー内のオブジェクトを分類し、グループ化するために使用する語または句を指します。例えば、「アフリカでの売上」という用語でメタデータ・リポジトリー内の表や列を分類したり、「ヨーロッパでの売上」という用語を使用して、別の表および列を分類したりすることが考えられます。

メタデータ・リポジトリーに同じ意味の用語が複数ある場合は、それらを同義語として指定できます。2 つの用語が同義語ではなかったとしても、なんらかの重要な関係がある場合は、関連用語として指定できます。用語のグループの中でどの用語が優先されるか、また、どの用語をどの用語で置き換えることができるかを指定できます。用語の一般的な省略語も指定できます。

用語を作成または編集する際は、用語のプロパティー、関係 (同義語、関連用語、分類されたオブジェクトなど)、用語に適用されるカスタム属性やプロパティーの値を指定できます。アドミニストレーターおよび作成者は、カテゴリーおよび用語のファイルをメタデータ・リポジトリーにアップロードしてから、プロパティーや関係を追加で指定することもできます。
Business Glossary では、ビジネス用語に以下のようなさまざまなプロパティーを追加できます。

  • 名前 -- 用語名はユニークでなければなりません。
  • 親カテゴリー -- 用語を含むカテゴリー。用語の親カテゴリーは1つだけです。
  • 概要(オプション) -- 類似した名前の用語がリストにある場合、カテゴリーを一意に識別するのに役立ちます。テキストは、1、2 行以内にしてください。概要は多くの検索に使用され、オブジェクトのリストに表示されます。
  • 使用法 (オプション) -- 用語の使用法およびその使用法を統制するすべてのビジネス・ルールについての情報。
  • 例 (オプション) -- 用語の使用例または典型的なサンプル値。
  • 状況 -- 組織内での用語の承認状況。
  • 優先される同義語 -- 同義語のグループの中で優先される用語。
  • 省略形 (オプション) -- 用語の一般的な省略形。

同様に、以下のようなさまざまなリレーションシップを用語に指定することができます。

  • スチュワード -- 用語の責任者である個人またはグループ。1 つの用語に対し、スチュワードは1人しか割り当てることはできません。
  • 関連用語 – その用語となんらか関係を持つ用語。
  • 同義語 -- 同じ意味を持つ用語。
  • 分類されるオブジェクト – その用語に分類されるオブジェクト。

スチュワードの管理

スチュワードは、リポジトリー内の 1 つ以上のグロッサリー要素に対し責任を負うユーザーまたはグループです。Business Glossary アドミニストレーターは、メタデータ・リポジトリー内のユーザーまたはグループをスチュワードとして指定し、 定義に対し責任を持たせることができます。(通常はそのユーザーまたはグループが 1 次連絡先である定義の責任者となります。)スチュワードのいるオブジェクトを参照すると、スチュワードへのリンクが表示されます。リンク先は連絡先情報で、スチュワードのメール・アドレスと電話番号が記載されています。

新しいスチュワードを指名したり「スチュワードの管理 (Manage Stewards)」ページでスチュワードを編集したりする際に、複数のオブジェクトに対する責任を割り当てることができます。スチュワードへのオブジェクトの割り当ては、オブジェクトの参照ページか、スチュワードであるユーザーまたはグループの参照ページにある「タスク」のリストから実行できます。また、カテゴリーや用語の作成、編集時に、それらに対する責任をスチュワードに割り当てることができます。

グロッサリーのカスタマイズおよび拡張

標準の用語プロパティーおよび関係に加え、グロッサリー・アドミニストレーターはカテゴリーや用語にカスタム属性を追加定義できます。カスタム属性はしばしばガバナンス基準を適用するために使用され、アーキテクチャー・フレームワークを実現したり、組織の標準となるその他のメタデータを提供したりします。それぞれのカスタム属性には名前、説明、有効値または値セットがあり、いつでも変更できます。

例えば、アドミニストレーターが「データの重要度」というカスタム属性を作成し、「データの重要度を示す 1 から 5 までの数値。重要度は、許可されていない利用者にデータが公開された場合の影響を示す主観的な指標。」と説明をつけたとします。アドミニストレーターは、「データの重要度」属性は用語にのみ適用され、 有効な値として 1 から 5 の数値を入力する際に列挙型の有効な値タイプを選択することを指定できます。これにより、「データの重要度」のカスタム・プロパティーがセットアップされ、グロッサリー作成者が 1 から 5 を選択できるようになります。

コラボレーション

Business Glossary は、グロッサリー用語についてのフィードバックをグロッサリー・アドミニストレーターに送信するなど、グロッサリー構造の構築におけるコラボレーションをサポートします。グロッサリー・ユーザーは注釈を用語に追加して、より詳しい情報やその件に関する知識をグロッサリーに提供できます。このようにして追加された注釈は、グロッサリーを参照する人からも見ることができます。

Business Glossary Browser

Business Glossary Browser には、Business Glossary に入力されている情報を検索および参照するための Web ベースのインターフェースが用意されています。ユーザーは、用語、カテゴリー、またはその両方によってグロッサリーを検索でき、またグロッサリーからスチュワードを柔軟かつ簡単な方法で検索できます。Business Glossary Browser は、検索文字列に一致するエントリーのリストを返します。用語およびカテゴリーが、名前、説明、カテゴリー、関連スチュワード、結果のタイプ (用語またはカテゴリー) を含むリストに表示されます。スチュワードの検索結果は、名前と連絡先情報を含むリストに表示されます。

グロッサリー情報を表示する別のオプションとして、下記の図 3 に示されているように、階層に表示されるカテゴリーを通じて参照するという方法があります。画面の左側にあるツリー構造から簡単にナビゲートでき、右側ペインに選択したカテゴリーの詳細が表示されます。

ユーザーは、関心のある用語やカテゴリーを見つけた後、Business Glossary Browser の詳細ページで、用語やカテゴリーの作成または更新日時、スチュワードの名前などの追加情報を確認できます。

グロッサリー定義について質問または問題がある場合は、ツールを使用してそのスチュワードに連絡をとり、フィードバックを送信できます。

Business Glossary Anywhere

上述の Business Glossary インターフェースに加え、ユーザーは Business Glossary Anywhere を使用してグロッサリー定義にアクセスすることもできます。これは単純な読み取り専用インターフェースで、極めて柔軟かつビジネス・ユーザーに分かりやすい形でグロッサリーの内容を参照できます。Business Glossary Anywhere は、テキスト (要件文書、メール、モデルの内容など) のあるどんな場所からでも呼び出すことができます。選択したテキスト上でマウスまたはキーボード・ショートカットを使用して呼び出すと、そのテキストに一致したグロッサリー用語が表示されます。Business Glossary Anywhere は、文書、スライド、モデル、Web ページ、レポートなど、テキスト文字列を選択できる場所であればどこからでも使用でき、エンタープライズ・グロッサリーから適切な用語をリトリーブします。この単純でありながら強力な機能により、組織内のステークホルダーはグロッサリーの内容に非常にアクセスしやすくなり、従来あいまいな用語が使われていたさまざまなコンテキストにおいて、より標準的なビジネス定義の使用が促進されます。

下記のスクリーン・ショットは、「連絡先設定 (contact preference)」というテキストを選択し、その定義を検索した際に表示される Business Glossary Anywhere のポップアップ・ウィンドウを示しています。

図2. Business Glossary Anywhere のポップアップ
Business Glossary Anywhere のポップアップ・ウィンドウ
Business Glossary Anywhere のポップアップ・ウィンドウ

InfoSphere Business Glossary と併せた IBM Industry Models の使用

InfoSphere Business Glossary のグロッサリー・オーサリングおよび管理機能と IDA のモデリング機能に加え、IBM Industry Models は、事前定義された多数のグロッサリーのカテゴリーおよび用語を提供し、組織内のグロッサリー開発を促進します。Industry Models のグロッサリー内容は、3 つの異なるモデル・ディメンション、つまり、ビジネス用語、ビジネス機能、およびレポート要件に基づいています。

Industry Models のビジネス用語の内容は、特定の業界に関係するデータ・エンティティーを記述したビジネス定義を構造化された階層で表示します。例えば、会計の構造、口座間の関係、金融機関の口座のプロパティーなどを記述した定義を様式化したものが一通り含まれています。

図3. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス用語
図3. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス用語
図3. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス用語

Industry Models のビジネス機能の内容はビジネス自体を構造的に分解したもので、口座管理、チャネル調整、または関係のモニタリングなど、重複しないビジネスの領域を定義しています。

図4. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス機能
図4. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス機能
図4. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: ビジネス機能
図5. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: レポート要件
図5. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: レポート要件
図5. Industry Model の内容を表示している Business Glossary Browser: レポート要件

グロッサリー開発に IBM Industry Models を使用すると、多数の (約10,000 程度) のビジネス定義が組織のグロッサリー開発に取り入れられます。しかし、より重要なのは、これらの定義が単一の様式化されたソースを基にしており、重複がなく整合性があるということです。これにより、カテゴリーおよび用語のベースを非常に迅速に導入し、その後組織内で注釈を付け、カスタマイズできます。グロッサリー定義は、その配下にある論理データ・モデル(例: データウェアハウス・モデル) や UML モデル (例: サービス・モデル) とも整合性を保ち、あらかじめマッピングしておくことができるため、一連のグロッサリー定義および構造化分析、デザイン・モデルを相互に関連付けることで、ビジネスにソリューション仕様へのエントリー・ポイント与えます。SOA における情報のあり方を考えるとき、これは特に重要です。データ定義に整合性があること、再利用可能であることは、データ定義がその基盤とどのように関連しているか理解することと併せて、プロジェクトの成否を左右します。

構築および使用シナリオ

このセクションでは、金融機関におけるビジネス・グロッサリーの構築および使用の例を示します。IBM Industry Models は、InfoSphere Data Architect の拡張機能に定義されており、IDA のもつグロッサリー内容をどのように InfoSphere Business Glossary にインポートできるかを確認できます。また別の方法としては、グロッサリー内容を直接 InfoSphere Business Glossary に入力するやり方があります。グロッサリー作成方法の次は、InfoSphere Business Glossary の中身をカスタマイズする方法、グロッサリーを参照し、ビジネス用語に注釈を追加する方法を学習します。

IDA からのグロッサリーのインポート (オプション)

IDA 内で、グロッサリー・モデル (.ndm) を定義します。例えば、グロッサリー・モデルは IBM Industry Models から取得できます。グロッサリーを含む IDA のプロジェクトを選択して、「エクスポート」から「グロッサリー・モデルを Metadata Server にエクスポート (Export a Glossary Model to the Metadata Server)」を選択します。するとIDA メタブローカーが呼び出され、下記に示すように IDA モデルの内容を InfoSphere Business Glossary にロードします。

図6. IDA から Metadata Server (および Business Glossary) へのエクスポート
図6. IDA から Metadata Server (および Business Glossary) へのエクスポート
図6. IDA から Metadata Server (および Business Glossary) へのエクスポート

グロッサリーのカスタマイズ

InfoSphere Business Glossary にビジネス用語が追加されると、グロッサリーは生きた文書として時間とともにカスタマイズ、拡張が加えられていきます。グロッサリーをカスタマイズする手順は、もし前のステップでインポートする内容がなかった場合、新規グロッサリーを定義する手順とほぼ同じです。この例では、個人のお客様の連絡先設定を定義するためにグロッサリーをカスタマイズすることとします。連絡先設定には、お客様が希望する連絡方法 (連絡先となる住所、相手、時間帯など)を定義します。
グロッサリーにこの要件を取り込むには、グロッサリー階層内に新規カテゴリー「連絡先設定 (Contact Preference)」を定義します。場所はカテゴリー階層内で選択できますが、この例では「個人」という既存カテゴリーの下に挿入します。

図7. グロッサリーのカスタマイズ
図7. グロッサリーのカスタマイズ
図7. グロッサリーのカスタマイズ

このカテゴリー内で、データ要件の詳細を示す一連の用語を定義します。お客様によっては、言語、連絡をとりやすい方法、希望時間、連絡を受ける人、住所情報など、連絡方法についてさまざまなプロパティーを指定する可能性があるでしょう。用語のビジネス定義は、十分に詳細で明確であることが重要です。それぞれのデータ要件は、個別のビジネス用語として入力し、用語「連絡先設定 (Contact Preference)」と関連させる必要があります。

図8. グロッサリーのカスタマイズ:用語の関連付け
図8. グロッサリーのカスタマイズ:用語の関連付け
図8. グロッサリーのカスタマイズ:用語の関連付け

結果として、グロッサリー構造には図9のように、 連絡先設定に関連する用語を含むカテゴリーと、その要件の特徴ごとに定義された用語が含まれます。また、関連付けられた用語は、このビジネス概念に関連する用語を参照するようになりますが、このカテゴリー内には含まれません (例: 個人の住所情報)。

図9. 結果のグロッサリー構造
図9. 結果のグロッサリー構造
図9. 結果のグロッサリー構造

各用語が持つ一連のプロパティーは、設定が可能です。この例では、それぞれの用語の「状況」の値を「候補」から「決定」に変えます。同様に、カスタム属性あらかじめ用意しておけば、それも用語ごとに設定できます。

図10. 状況の変更
図10. 状況の変更
図10. 状況の変更

次に、用語ごとにスチュワードを割り当てる必要があります。スチュワードは、用語の定義のオーナーであり、その保守に責任があります。

図11. スチュワードの割り当て
図11. スチュワードの割り当て
図11. スチュワードの割り当て

最後に、グロッサリー用語をMetadata Server 内の物理成果物にリンクします。グロッサリーに示されているビジネス概念と、用語を技術的な成果物として具現化したもの(複数の場合あり)との関係を定義します。具体的に言うと、データ・モデル、ETL フロー、ビジネス・インテリジェンス構造など、他の成果物からの技術成果物を記述するために用語は使用できます。

グロッサリーの参照

InfoSphere Business Glossary では、グロッサリーの内容や、その内容とメタデータ・サーバーに格納されている他の成果物との関係を参照するのにさまざまな方法があります。このセクションでは、例の中で追加した内容にアクセスするいくつかの方法をサンプルとして示します。

ユーザーは、グロッサリー構造を参照して、IBM InfoSphere Information Server のメタデータ・リポジトリーにあるカテゴリー、用語、およびオブジェクトを探索できます。ユーザーは、「概要」ページ (図 12) からグロッサリーの閲覧を開始します。このページには、グロッサリー・アドミニストレーターの指定したトップレベル・カテゴリーが、メタデータ・リポジトリー内のナビゲージョンのために最も重要なカテゴリーとして表示されます。ユーザーは、オブジェクトを検索し、検索結果からオブジェクトを選択することもできます。

オブジェクトを選択すると、オブジェクトの参照ページが「グロッサリーの参照 (Browse Glossary)」タブに表示され、オブジェクトの名前、クラス、スチュワードシップ、およびその他の重要なプロパティーがリストされます。オブジェクト属性および関係を調べて、グロッサリー・アドミニストレーターにフィードバックを送信できます。

図12. グロッサリーの参照
図12. グロッサリーの参照
図12. グロッサリーの参照

下記のスクリーン・ショットに示されているように、Business Glossary で単純検索または拡張検索を実行することもできます。単純な検索から詳細な検索まで、ユーザーが利用できる検索方法が多数あります。

図13. Business Glossary の検索結果
図13. Business Glossary の検索結果
図13. Business Glossary の検索結果

注釈の追加

グロッサリー・ユーザーは、コラボレーションに基づいてビジネス用語を定義できます。グロッサリーで定義された用語のさまざまな特徴に対し、注釈を追加できます。既存の用語にも新しい注釈やコメントを追加グロッサリー擁護により詳細な情報を提供できます。

図14. Business Glossary でのアノテーション
図14. Business Glossary でのアノテーション
図14. Business Glossary でのアノテーション

まとめ

この記事では、InfoSphere Business Glossaryを従来の情報アーキテクチャーの中だけでなくSOA の中でも使用する方法およびその理由を説明しました。InfoSphere Business Glossary を使用する利点は、技術ユーザーとビジネス・ユーザー共通の語彙を共通の環境に作成し、有益なグロッサリーの内容を共同で作成および保守できるということです。これにより、プロジェクトの早い段階で、重要な用語に対する合意を正式、かつシステムでサポートされた形で確実に結ぶことができます。


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