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IBM InfoSphere Optim Test Data Management Solution 解説

第 1 回 コンポーネントの構成と機能の概要

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はじめに

新しい機能のデプロイメントやアップグレードを繰り返すエンタープライズ・アプリケーションの開発において、本番環境に即したテスト・データを用意してシステムの検証を行う事は非常に重要です。しかし、本番環境のデータベース内の膨大なデータをそのまま複製しただけでは、効率的なテストを実現できません。また、データベースに含まれる個人情報などは適切に保護されなければなりません。

IBM InfoSphere Optim Test Data Management Solution(以後Optim TDMと略します)はアプリケーション開発において、効果的なテスト・データ管理を実現するソリューションです。データベースのデータを抽出・加工することによって、検証作業の効率向上とコストの低減を図ります。また、プライバシーの保護やコンプライアンスの遵守のために、データの一部を置き換えたり伏せ字にすることができます。

バージョン9.1ではOptim DesignerやOptim ManagerといったGUIコンポーネントを使ってテスト・データ管理を行うことができます。これから数回にわけてこの製品の機能や使用法についてご説明します。第1回の本稿では、Optim TDMのコンポーネントの基本的な構成と、それぞれの役割や機能について解説します。なお、構成や機能についての説明はバージョン9.1 累積フィックスパック#04 (OPTIM-09.01.00-FP04)に基づいています。

機能と構成の概要

Optim TDMでは、データベースのデータを外部ファイルへ保存したり、そのデータの一部を加工して再びデータベースに格納したりすることによってテスト・データの作成・管理を行います。

これらの作業は「データ管理サービス」として定義されます。(以後単に「サービス」と記述します。)

図 1. Optim TDMの構成概要

Optim TDMの構成概要を図1に示します。主要コンポーネントは以下に示す3種類で、それぞれがサービスの開発・管理・実行を担います。

  • Optim Designer:サービスの開発(作成・編集)を行います。
  • Optim Manager:サービスの管理を行います。サービスの管理とは、サービスを実行するための準備、実行要求の発行、および実行状況の監視です。
  • Optim Server:実際にサービスを実行します。すなわち、定義されたサービスの内容にしたがってデータベースや外部ファイルにアクセスしたり、データの変換を行ったりします。

Optim TDMは、これら主要コンポーネントの他、いくつかのシステム管理用のコンポーネントやデータベースで構成されます。これらのコンポーネントは適用業務の規模や目的に応じて、別々の機器に分散して導入することができます。以下の章では、それぞれのコンポーネントについて詳しく説明します。

Optimコンポーネント

Optimディレクトリー

Optimディレクトリーは、システムの管理情報を保存するためのデータベースで、Optim TDMの各コンポーネントはこのデータベースを参照して、サービスに関する処理を行います。

Optimディレクトリーには、以下に示すような、サービスの作成・実行に必要な各種情報が保存されます。

  • データ・ストア別名
  • サービスの定義や実行に関する情報
  • その他、システム環境に関する情報など

「データ・ストア別名」はサービスで使用するデータベースへの接続情報です。

サービスがデータの取り出し元や保存先データベースにアクセスする場合、データベースへの接続情報や認証情報が必要になります。これらの情報をデータ・ストア別名として定義することにより、サービスからはこの名前を参照するだけで必要なデータベースにアクセス可能になります。

Optim Designer

Optim Designer (以後Designerと略します)はサービスを作成・編集するためのコンポーネントで、Eclipse プラグインとそこから呼び出されるツールで構成されます。図2はDesignerの操作画面の例です。

図 2. Optim Designerの画面

Designerでは、サービスやサービスに必要な構成要素(オブジェクト)をウィザードを使って作成します。ウィザードの指示に従って必要な項目を入力していくだけで簡単にオブジェクトを作成することができます。作成されたオブジェクトはディレクトリー・エクスプローラーと呼ばれるGUIに一覧表示されます。ツリー形式で表示されたオブジェクトにアクセスすると、各オブジェクトの種類に応じた専用のエディタ画面が開き、編集作業を行うことができます。

Designerでは以下の4種類のサービスを作成することができます。

抽出
抽出サービスは、データベースの特定テーブルのデータを外部ファイルに保存します。複数のテーブル間に関係が設定されている場合、これらのテーブルのデータをひとまとめにして保存できます。また、テーブル内の一部のデータや一定の条件のデータのみを保存することもできます。

挿入
挿入サービスは、外部ファイルに保存されているデータをデータベースに格納します。

ロード
Optim TDMはさまざまなデータベース・ベンダーのデータベースをサポートしています。ロード・サービスは、外部ファイルに保存されているデータをそれぞれのデータベース・ベンダーのロード機能によって、データベースに格納します。データベース本来の機能を使用するので挿入サービスに比べて高速ですが、保存先のデータベースの種類に依存したサービスとなります。

変換
変換サービスは、外部ファイルに保存されているデータの内容を一定の規則にしたがって変換し、再度外部ファイルに保存します。たとえば、ファイル内の顧客名、住所、電話番号などを置き換えたり伏せ字にしたりします。Optim TDMではこのようなデータの変換を総称して「マスク」と呼びます。

このような種類のサービスを組み合わせて使うことによって、本番環境の実際のデータからシステム開発に適したテスト・データを作成します。

Optim Manager

図 3. Optim Managerの画面

Optim Manager(以後Managerと略します)は、Designerで作成されたサービスを管理するめのWebアプリケーションです。ユーザーはWebブラウザからManagerにログインし、サービスの管理や実行要求の発行、監視などのさまざまな操作を行うことができます。図3はManagerの操作画面の例です。 Managerから行える主な機能は以下の通りです。

  • サービスの管理
    Managerではまず、それぞれのサービスについて実行するOptim Serverの指定を行います。指定が完了すると、サービスの状態が「作動可能」になり、実行する準備が整います。
    複数のサービスをまとめて「サービス・セット」と呼ばれるグループを作ることもできます。サービ・セットを使えば一回の実行要求でいくつものサービスを連続して実行させる事ができます。
  • サービスの実行要求の発行
    作動可能なサービスやサービス・セットについては、Optim Serverに対して実行要求を発行します。また、あらかじめ指定した時間に実行されるようにスケジュールを作成して予約することもできます。
  • 実行状況の監視
    実行されたサービスの状況を一覧で確認します。一覧には「実行中」、「終了」、「失敗」などの状態が表示されます。
  • サービスの作成・実行のためのワークフロー管理機能
    Optim TDMには、サービスの作成の依頼から実行までの業務手続きを行うための、ワークフロー管理機能があります。Manager はワークフロー処理用のコンソールとしても使用されます。それぞれの役割をもったユーザーが、各自のIDでManagerにログインして、「要求」、「承認」、「作成」、「実行」といった手続きを順に進めてゆきます。ひとつの手続きが完了するたびに次の担当者に電子メールが送信されます。

Optim Server

Optim ServerはManagerからの要求を受けて実際にサービスを実行します。サービスの実行は、データベースへのアクセスやデータの加工など、最もCPUに負荷のかかる作業なので、Optim Server専用の機器を用いるのが一般的です。また、データベースへ頻繁にアクセスするのでネットワーク的にデータベース・サーバーに近い機器に配置します。複数のOptim Serverを用意すれば、サービス毎に実行先を切り替えて負荷の分散を図ることができます。

Optim Connection Manager

Optim Connection Manager (以後OCMと略します)はWeb サーバー上で稼働するシステム管理用アプリケーションです。OCMはOptimディレクトリーへの接続情報や、Optim Serverの情報の管理を行います。情報は専用のデータベースに保管されており、DesignerやManagerなどの各コンポーネントはOCMを介してこれらの情報を取得します。

Optim Service Interface

Optim Service Interface (以後OSIと略します)は、Optim TDMの機能を外部のプログラムなどに提供するためのWebアプリケーションです。ユーザーが独自に開発したアプリケーションから、サービスに関する操作や情報の要求をHTTPプロトコルで発行することができます。また、"optimcmd"という名前のコマンドライン・ユーティリティが用意されており、これを使うことによってコマンド・プロンプトやバッチ・ファイルからも同様の要求を発行できます。

テスト・データの作成手順

サンプル・シナリオ

ここでは、Optim TDMによるテスト・データの作成手順について、典型的なシナリオ(図4)を例にとって説明します。

図 4. サンプル・シナリオ

このシナリオでは、本番環境でエンタープライズ・アプリケーションが稼働中です。その業務内容は顧客対応に関するもので、データベースの中には膨大な数の顧客情報が保存されています。このアプリケーションに新しい機能を追加するために、アップグレード版を作成することになりました。開発作業は、本番環境とは隔離された別の環境内でテスト用のデータベースを使って行われます。

新しい機能の開発やテストの際には現行のシステムで使用中のデータを使用するのが効果的です。しかし、本番環境で使っているデータはテスト環境でそのまま扱うには大きすぎて非効率的です。何より、個人情報である顧客データを本番環境の外に持ち出すことはセキュリティー上の問題があります。そこでOptim TDMを使ってテストに適したデータを作成するサービスを用意する事にしました。作成するサービスの要件は以下の通りです。

  1. 抽出:本番環境のデータベースから外部ファイルにデータを取り出す。その際、開発環境で扱いやすいようにレコード数を間引く。
  2. 変換:顧客の個人情報(氏名、住所、生年月日、クレジットカード番号など)を適切なものに置き換える(マスクする)。
  3. 挿入:できあがったデータをテスト環境のデータベースに保存する。

Optim TDMにおける作業

Optim TDMにおいてサービスの開発から実行までの手順は図5のようになります。

図 5. サービスの作成から実行までの手順

サービスの作成作業はDesignerから行います。まず最初に、本番環境と開発環境のデータベースにアクセスするためのデータ・ストア別名を作成します。

次に、抽出サービスを作成します。この際、全体のデータの一部だけを外部ファイルに取り出すように指定します。

外部ファイルに取り出したデータの中には顧客の個人情報が含まれているので、これをマスクする変換サービスを作成します。

最後に変換されたデータを開発環境のデータベースに保存する、挿入サービスを作成します。

サービスの管理と実行

Designerで作成されたサービスはManagerから管理します。サービスの管理者はWebブラウザーを使ってManagerのコンソールにログインします。

Designerで作成されたサービスがリストに表示されるので、それぞれについて実行するOptim Serverの割り当てを行います。次に、三つのサービスが順に実行されるように一つのサービス・セットにまとめます。

できあがったサービス・セットについて直ちに実行要求を発行することもできますが、今回は本番環境のアプリケーションが停止中の深夜に実行されるようにスケジュール機能で予約することにします。

予約された時刻に要求が発行されると、割り当てられたOptim Server上でサービスが実行されます。その状況はManagerのコンソール上で確認できます。

すべてのサービスが正常に終了するとテスト用データベースに模擬顧客データが格納されます。

まとめ

IBM InfoSphere Optim Test Data Management Solutionはデータベースからデータを抽出・加工してテスト・データを作成します。作業はGUIを使用して直感的な操作で行うことができます。これによって効率的なアプリケーション開発と検証作業を可能にします。

本稿では、製品の機能や構成について概観し、その主要なコンポーネントの役割について説明しました。また、サンプル・シナリオを用いてテスト・データ作成の大まかな流れについても紹介しました。

次回からは、サービスの作成と実行について詳細に解説していきます。第二回ではOptim Designerの機能とGUIによるサービスの作成方法について説明します。


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