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IBM DB2 Universal Databaseをアプリケーションに透過的にインストールする

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はじめに

標準のDB2® Universal DatabaseTMセットアップ・ユーティリティーと違って、DB2応答ファイルによるインストールでは、ユーザー入力なしでDB2をインストールすることができます。これは、DB2の大規模展開を実行するのにも、DB2インストール・プロセスを透過的にインストール・プロシージャー内に組み込むのにも役に立ちます。応答ファイルによるインストールは、DB2が組み込みデータベースのニーズに対応した完全なソリューションとされる理由の1つです。

DB2応答ファイルによるインストールは、既存のインストール・プログラムに組み込み可能なバックグラウンド・インストール・プロセスであり、このプロセスはエンド・ユーザーから見ることができます。このインストールは、ユーザーが作成した応答ファイルを使って、DB2セットアップ・ユーティリティーにより実行されます。応答ファイルとは、セットアップおよび構成情報の入ったASCIIテキスト・ファイルです。このファイルは、DB2ユーティリティーから、または手動で編集して作成できます。

この記事では、Microsoft® Windows®、Linux、およびUNIX®プラットフォーム上でのDB2応答ファイルによるインストール・プロセス全体について説明します。特に、応答ファイルの作成、応答ファイルによるインストール、インストール・ログについて詳細に説明します。また、DB2インストール・プロセスを自分のアプリケーション・インストール・プログラムに組み込むときの留意事項についても説明します。

応答ファイルを作成する

応答ファイルによるインストール・プロセスの最初のステップは、応答ファイルの作成です。対話式セットアップ・ユーティリティーを使ってDB2をインストールする場合は、インストール開始前に、インストールのオプションを選択するよう求められるので、必要な構成情報を入力します。応答ファイルは、単にこうしたインストールのオプションと構成情報をファイルに格納しているだけです。この情報は組み込み用にあらかじめ準備しておきます。

応答ファイルを作成するには3通りの方法があります。

応答ファイルは、ASCIIテキスト・ファイルです。リスト1は、応答ファイルのサンプルの一部です。

リスト1. 応答ファイルのサンプルの一部
PROD=WORKGROUP_SERVER_EDITION
LIC_AGREEMENT=ACCEPT
FILE=C:\SQLLIB\
INSTALL_TYPE=CUSTOM

COMP=DEVELOPMENT_CENTER
...
COMP=CONTROL_CENTER
COMP=CLIENT_TOOLS
COMP=COMMAND_CENTER
...
COMP=TCPIP_DB2_CLIENT_SUPPORT
COMP=TCPIP_DB2_LISTENER_SUPPORT

LANG=EN
DAS_CONTACT_LIST=LOCAL

INSTANCE=DB2
DB2.NAME=DB2
DEFAULT_INSTANCE=DB2
DB2.SVCENAME=db2c_DB2
DB2.DB2COMM=TCPIP
DB2.PORT_NUMBER=50000
DB2.FEDERATED=YES
...

完全な応答ファイルのサンプルは、DB2インストールCDの次の場所に収録されています。

  • LinuxとUNIXプラットフォームについては、<cd-rom>/db2/<platform>/samples。<cd-rom>は、DB2インストール可能イメージの場所です。
  • Microsoft Windowsプラットフォームについては、x:\db2\windows\samples。x:は、CD-ROMドライブです。

応答ファイルの名前は、db2<edition_abbreviation>.rspです。たとえば、DB2 Workgroup Server Edition用であれば、db2wse.rspです。一般的に使用されるいくつかのエディションの略語を次に示します。

ese
   DB2 Enterprise Server Edition

exp
   DB2 Express Edition

wse
   DB2 Workgroup Server Edition

wsue
   DB2 Workgroup Server Unlimited Edition

pe
   DB2 Personal Edition

いくつかのDB2応答ファイル・キーワードの簡単な説明については、「応答ファイルを手動で作成する」を参照してください。

DB2セットアップ・ウィザードを使用する

DB2セットアップ・ウィザードは、Microsoft WindowsとLinuxプラットフォーム上、ならびにその他のサポート対象UNIXシステム上で使用可能なGUIインストール・ユーティリティーです。これは、通常、上記のシステムにDB2をインストールする際に対話式に実行されるプログラムです。製品をインストールする代わりに、あるいは製品のインストールに加えて、すべての選択を応答ファイルに保存して後で使用することもできます。

選択を応答ファイルに保存するには、図1に示すカスタム・インストール・タイプを選択する必要があります。

図1.カスタム・インストール・タイプを選択する
図1.カスタム・インストール・タイプを選択する
図1.カスタム・インストール・タイプを選択する

カスタム・インストールを選択した後、応答ファイルにすべてを保存するか、インストールを実行するか、またはその両方を実行するオプションがあります。このオプションを選択するページを図2に示します。

図2.DB2セットアップ・ウィザードを使って応答ファイルを作成する
図2.DB2セットアップ・ウィザードを使って応答ファイルを作成する
図2.DB2セットアップ・ウィザードを使って応答ファイルを作成する

DB2セットアップ・ウィザードを使用したことがない場合、次の場所にあるプログラムを使います。

  • Microsoft Windowsの場合は、プログラムはインストールCDのルート・ディレクトリーにあるsetup.exeです。
  • LinuxおよびUNIXプラットフォームの場合は、インストールCDまたはイメージのルート・ディレクトリーにあるdb2setupです。

DB2セットアップ・ウィザードのプロセスが完了したら、生成されたDB2応答ファイルを保存します。

  • Microsoft Windowsの場合は、生成した応答ファイルのパスとファイル名を選択するようプロンプト表示されます。
  • LinuxおよびUNIXプラットフォームの場合は、応答ファイルは現在のディレクトリーに保存されます。応答ファイルのファイル名は、db2<edition_abbreviation>.rspです。

DB2応答ファイル生成プログラムを使用する

DB2応答ファイル生成ユーティリティーは、Windowsプラットフォーム上でのみ利用可能です。最初にマスター・インストールを構成し、その後に応答ファイル生成プログラムを使って、マスター・インストールと同じDB2コンポーネントをインストールできる応答ファイルを作成するというのが、このユーティリティーのアイデアです。このユーティリティーは、インスタンスを作成し構成するためのインスタンス・プロファイルも生成することができます。

図3に、応答ファイル生成ユーティリティーdb2rspgnの構文を示します。

図3.db2rspgnユーティリティーの構文
図3.db2rspgnユーティリティーの構文
図3.db2rspgnユーティリティーの構文

デフォルトでは、db2rspgnは、応答ファイルとともに、マスター・インストール上のすべてのインスタンスのプロファイルを作成します。Data Links File Manager(DLFM)とコントロール・サーバーのインスタンスについては、インスタンス・プロファイルを作成しないように指定することもできます。その場合は、それぞれ、-nodflm、-nocltsvオプションを使用します。また、プロファイルを作成したいインスタンスを個別に指定することもできます。プロファイル・ファイルは、応答ファイルと同じディレクトリーに作成されます。

作成した応答ファイルを使用可能にするためには、若干の編集が必要です。

  • ライセンス契約を受け入れるようにファイルを手動で修正する
  • 新しいシステムのユーザーIDとパスワードを入力する

応答ファイルを手動で作成する

応答ファイルはASCIIテキスト・ファイルなので、手動で作成することができます。DB2イメージに添付されているサンプルの応答ファイルを修正することもできますし、ゼロから入力して作ることもできます。手動で作成する場合は、応答ファイルの構造とキーワードについて十分な理解が必要ですが、幸い、サンプルの応答ファイルにていねいなコメントが付いているので、それを見ればすぐわかるはずです。

応答ファイルで指定するいくつかのキーワードについて次に簡単に説明します。

  • PROD ― インストールしたい製品を指定します。たとえば、DB2 Workgroup Editionまたはその他のエディションをインストールすることもできますし、DB2クライアントのみをインストールすることもできます。
  • FILE ― DB2製品のインストール先ディレクトリーを指定します(Windowsのみ)。
  • INSTALL_TYPE ― インストールのタイプを指定します(COMPACT、TYPICALまたはCUSTOM)。
  • COMP ― インストールしたいコンポーネントを指定します。INSTALL_TYPEがCUSTOMのとき以外は、この指定は無視されます。
  • LANG ― 言語オプションを指定します。
  • REBOOT ― インストールが終了した後にWindowsシステムを再起動するかどうかを指定します。
  • KILL_PROCESSES ― インストール時に、プロンプトを出さずに、現在動作しているDB2プロセスを終了するかどうかを指定します(Windowsのみ)。

その他のオプションには、次のようなものがあります。

  • DB2管理サーバーの設定
  • インスタンスの設定
  • データベースの設定

キーワードの全リスト、詳細な説明、使用方法については、インストールCDに収録されている応答ファイルのサンプルとDB2マニュアルを参照してください。

無人インストール用の応答ファイルを使用する

このセクションでは、次の事柄について説明します。

インストール・プロセス

応答ファイルを作成した後のインストールは簡単です。GUIインストールに使用したのと同じ実行ファイルを使用します。ただし、プロンプトにコマンドのみを入力したり、setup.exeをダブルクリックしたりする代わりに、適切な応答ファイル名を指定する必要があります。ログ・ファイルのパスやファイル名など、他のオプションを指定することもできます。

図4は、Windows上のセットアップ・ユーティリティーの構文です。応答ファイルによるインストールに絶対に必要なのは、フルパスの応答ファイル名だけです。

図4.Windowsプラットフォーム上のセットアップ・ユーティリティーの構文

setup [/f] [/i <language>] [/l <log file>] [/u <response file>] [/t <trace file>]
/? - generates this usage message
/f - forces any db2 processes to stop before installing
/i - two letter code for the preferred language
/l - full path and name of the log file
/u - full path and name of the response file
/t - creates a file with install trace information

Linuxおよびサポート対象UNIXプラットフォームでは、図5に示すdb2setup構文を使用します。

図5.LinuxおよびUNIXプラットフォーム上のdb2setupの構文
図5.LinuxおよびUNIXプラットフォーム上のdb2setupの構文
図5.LinuxおよびUNIXプラットフォーム上のdb2setupの構文

無人インストール・プロセスは、バックグラウンドで実行されます。DB2インストールのGUIは表示されません。自分のインストール・プログラムに組み込むと、DB2インストールが、プログラムのインストール・プロセスの一部であるように見えます。DB2のインストール・プロセスが終了すると、プログラムに戻りコードが返されます。この戻りコードをインストール・プログラム側で監視するように指定できます。表1に示すのは、3種類の1次戻りコードです。プロセスが失敗すると、2次エラー・コードが返され、失敗した原因についての詳細が示されます。これらのコードについては、DB2マニュアルに説明されています。

表1. 応答ファイルの1次戻りコード
戻りコードの値詳細
0アクションが正常に終了しました
1アクションが警告を返しています
1603インストール中に致命的エラーが発生しました

インストールのロギング

ログ・ファイルのパスと名前は、DB2セットアップ・プログラムのオプショナル・パラメーターです。ログ・ファイルのパスと名前を指定しない場合は、デフォルトのディレクトリーにデフォルトのログ・ファイルが作成されます。

  • Windowsでは、デフォルトのファイルは、DB2インストールが実行されたユーザーIDの下のMy Documents\DB2LOGディレクトリー内のdb2.logです。
  • LinuxおよびUNIXプラットフォームでは、デフォルトのファイルは/tmp/db2setup.logです。

これらのログ・ファイル以外に、他の補助ログ・ファイルおよびダンプまたはトレース・ファイルが、デフォルトのディレクトリーに作成されます。

  • Windowsでは、指定したパスまたは上記のデフォルトのパスに、db2wi.logという名前の別のログ・ファイルがWindowsインストーラーから作成されます。インストールの間に、現在のインストールのログ・エントリーがdb2wi.logファイルに記録されます。db2.logファイルには、Windowsの現在および過去のインストールに関する情報が保管されます。この情報は、DB2インストールの終了時に更新されます。
  • LinuxおよびUNIXシステムでは、ほかにもDB2生成ファイルが/tmpディレクトリーに作成される場合があります。db2setup.hisログ・ファイルには、現在および過去のインストールの履歴情報が維持されます。db2setup.errログ・ファイルには、すべてのエラー・エントリーが保管されます。

インストールのトレース

トレース・ファイルのパスとファイル名も、DB2セットアップ・プログラムのオプショナル・パラメーターです。トレース・ファイルに格納されるのは、ユーザー用の情報ではなく、IBMサポート用のサービス情報です。インストールが正常に終了したら、削除しても問題はありません。トレース・ファイルの作成を選択した場合、DB2インストール・ログ・ファイルは、冗長モードで作成されます。このモードでは、はるかに詳細な情報がログ・ファイルに記録されます。

留意事項
多数のマシンへの展開、あるいはアプリケーションへの組み込み用にDB2応答ファイルによるインストールを使用する場合は、必要条件を確認し、DB2プロセスが動作していないことを確かめ、インストールが失敗した時の対処プランを用意しておいてください。

必要条件を確認する
DB2 GUIのセットアップのときと同様に、DB2応答ファイル・インストール・プロセスを開始する前に、自分のインストール・スクリプトですべての必要条件が充足されていることを確認してください。必要条件には、ユーザー特権とシステム構成が含まれます。DB2インストールの必要条件は、DB2マニュアルとDB2インストールCDに収録されているreadmeファイルの両方に詳しく説明されています。

DB2プロセスを強制終了する
アクティブなDB2プロセスが稼動していると、DB2インストールは実行されません。Windowsに限っては、応答ファイルにKILL_PROCESSESキーワードを使うか、/Fオプションを使って、アクティブなDB2プロセスを強制終了することができます。ただし、DB2プロセスを強制終了すると、データが失われる可能性があります。代わりに各インスタンスでdb2stopを実行するという方法もあります。db2stopコマンドを使う前に、構文の詳細についてDB2マニュアルを参照してください。

ユーザー・プログラムからの介入
DB2応答ファイルによるインストールの間は、ユーザー・プログラムからの介入はできません。インストール・プロセスの開始後に独立して稼動します。インストール・プログラム側でやるべきことは、最後の戻りコードを監視することだけです。

インストールの失敗
インストールに失敗すると、通常、DB2インストール・プロセスは、新しくインストールされたコンポーネントを除去します。ユーザーのインストール・プログラム側でログ・ファイルを解析してチェックするか、または戻りコードをチェックして、問題を特定することができます。問題が是正されれば、DB2のインストールを再試行することができます。

結論

DB2応答ファイルによるインストールを使用することで、ユーザーは、自分のインストール・プログラム内でDB2を透過的にインストールすることができます。インストール中のユーザー入力が不要になり、また、ログ・ファイルを通じて、インストールの進行状況について詳細でタイムリーな情報が提供されます。応答ファイルによるインストールは、DB2の大規模展開を実行するのにも、ユーザーが自分のアプリケーションのインストールにDB2を組み込むのにもたいへん適しています。

謝辞

IBMトロント研究所のAndrew Hilden氏とSherri Pritchett氏の協力に深く感謝します。


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ArticleTitle=IBM DB2 Universal Databaseをアプリケーションに透過的にインストールする
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