IBM SmarterCloud 上で DB2 と WAS をセットアップする

前編

最新の DB2、WAS をクラウド上で動かそう

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1. はじめに

IBM SCE 上に環境を構築するもっとも基本的な方法は、パブリック・カタログを利用することです。パブリック・カタログには、ベース OS に加えて、IBM の各種ミドルウェアや ISV アプリケーションを含む様々なイメージが用意されており、任意のイメージを選択するとその環境が自動的にクラウド上に作成されます。そのため、個別にソフトウェアをインストールするのに比べ、ずっと簡単かつ短時間で環境をセットアップすることが可能です。しかし、残念ながら、本稿執筆時点(2013年 8月)では、DB2 や WAS の最新バージョンのイメージは提供されておりません。そこで、本稿では SCE が用意しているミドルウェアのイメージを使用せず、Red Hat OS のみのイメージを使ってインスタンスを作成し、その上で個別にミドルウェアのダウンロードとインストールを行うものとします。

なお、DB2 も WAS も通常製品の他、開発者版や無償版など様々なモジュールが存在しますが、本稿では評価版を導入するものとします。機能的な制限はありませんが、WAS は 60 日間、DB2 は 90 日間という使用期限が設けられております。

2. SCE に Linux インスタンスを構築する

2-1. Web ポータルへのログイン

SCE の操作はクラウド Web ポータル、もしくは API を通じて行います。本ガイドでは、Web ポータルを使ってインスタンスを構築する手順をご説明します。 Web ブラウザーで SCE の Web ポータルにアクセスし、ID とパスワードでログインします。なお、サポートされるブラウザーは、Internet Explorer 7 以降、FireFox 3.6 以降です。

 

2-2. セキュリティー鍵ペアの作成

Linux インスタンスにアクセスする際には、SSH の公開鍵暗号方式による相互認証を行います。そのために必要な秘密鍵と公開鍵のペアを生成します。 Web ポータルの「アカウント」タブの「セキュリティー鍵ペア」欄内の、「新規鍵ペアの生成」をクリックします。

 

「新規鍵ペアの生成」ウィンドウが表示されますので、任意の名前を指定します。この例では、”DB2_WAS_KEY”という名前の鍵を作成しています。 生成した秘密鍵をローカル PC にダウンロードします。この秘密鍵を紛失すると作成したインスタンスにアクセスすることが出来なくなります。再度ダウンロードすることは出来ないので、確実に保管しておいてください。

 

2-3. 固定 IP アドレスの作成

インスタンスに割り当てる固定のグローバル IP アドレスを取得します。Web ポータルの「アカウント」タブで、「IP の追加」ボタンをクリックします。

 

「IP アドレスの追加」ウィンドウが表示されますので、インスタンスを作成するクラウド・データ・センターのロケーションとネットワークの種類を選択し、「送信」をクリックします。

 

処理が完了すると「お客様の IP」欄に生成された IP アドレスが表示され、状況に「空き」と表示されます。

 

2-4. 永続ストレージの作成

インスタンスに割り当てる追加のディスクを作成します。Web ポータルの「コントロール・パネル」タブから、「ストレージ」タブをクリックします。 新規にディスクを作成するには、「ストレージの追加」をクリックします。

 

「ストレージの追加」ウィンドウが表示されますので、ディスクを作成したいクラウド・データ・センターの場所、ディスクの名前、サイズなどを指定し、「次へ」をクリックします。 なお、「使用可能領域」という選択肢では、仮想ディスクを作成するデータ・センター内のストレージ・エリアを指定することが出来ます。複数個のディスクを追加する場合、別々のエリアに作成することで可用性が向上します。例えば、DB2 のアーカイブ・ログをエリアを分けて二重化保存することで障害に備えるといった構成が可能です。 今回追加するディスクは一つだけですので、”システムが割り当てたデフォルト”のままで結構です。

 

処理が完了すると「マイ・ストレージ」欄に生成されたストレージが表示され、状況に「非接続」と表示されます。

2-5. インスタンスの作成

さて、準備が整いましたので、SCE 上に Linux のインスタンスを作成してみましょう。Web ポータルの「コントロール・パネル」タブから、「インスタンス」タブをクリックします。 新規にインスタンスを作成するには、「インスタンスの追加」をクリックします。

 

「インスタンスの追加 ステップ 1/4」の画面が表示されます。ここでは作成するインスタンスで稼動するソフトウェアを指定します。本稿では 64bit の Red Hat OS のインスタンスを作成します。 基本イメージ欄でインスタンスを作成するデータ・センターの場所を指定すると、下部に利用可能なイメージがリスト表示されます。このリストから使用するイメージを選択するのですが、数多く登録された中から目的のイメージを探すのが難しいため、条件を指定した絞込みが可能です。「アーキテクチャー」として ”64 ビット”、「イメージ名」として ”Red*” を指定して矢印ボタンをクリックします。これで表示が 64bit の Red Hat OS のみに切り替わりますので、その中から今回使用する ”Red Hat Enterprise Linux 6.4 (64bit)(JP1)” を選択し、「次へ」をクリックします。

 

「インスタンスの追加 ステップ 2/4」の画面が表示されます。ここでは、先程指定したソフトウェアが動く仮想サーバーの構成を行います。 「要求名」は、作成するインスタンスに付ける任意の名前を指定します。 「サーバー構成」は、ドロップダウン・リストから作成する仮想サーバーのスペックを指定します。SCE は CPU、メモリ、ディスクの仕様に応じて標準化された仮想サーバーを提供しています。ドロップダウン・リストから、要件に合った仮想サーバーを選択します。 「鍵」は、2-2 で作成したセキュリティー鍵 ”DB2_WAS_KEY” をドロップダウン・リストから指定します。これにより、作成されたインスタンスに公開鍵がコピーされます。SSH でアクセスする際には、インスタンス側の公開鍵とローカル PC に保存した秘密鍵とで認証が行われます。 「IP の選択」は、2-3 で作成した固定 IP アドレスをドロップダウン・リストから選択します。

 

「永続ディスク」には、2-4 で作成したストレージを指定します。「ディスクの追加」をクリックすると「インスタンス・ディスクの割り当て」ウィンドウが表示されます。インスタンスに接続する「ストレージ名」を指定し、「マウント・ディスク」で ”はい” にチェックし、「マウント・ポイント」にはディスクをマウントするパスを指定します。この例では ”/mnt/disk01” と指定しています。 指定した内容を登録するため、忘れずに「ディスクの追加」ボタンをクリックします。

 

この後に設定内容の確認画面があり、最後に使用条件への同意確認があります。ラジオボタンで ”同意する” を選択して「送信」をクリックすると、リクエストが送信され、プロビジョニング(インスタンスの作成)が開始されます。

プロビジョニングの状況は、「コントロール・パネル」タブの「インスタンス」タブで確認することが出来ます。「マイ・インスタンス」欄にリクエストしたインスタンスが表示されていますので、状況が「要求中」から「プロビジョニング中」、そして「アクティブ」になれば作成は完了です。状況にもよりますが Linux インスタンスは 10 分程度で立ち上がります。

 

3. Linux OS の構成

3-1. SSH によるインスタンスへのアクセス

それでは作成されたインスタンスに接続してみましょう。SCE 上の Linux OS にアクセスする場合、クライアント PC 側に SSH クライアント・ソフトウェアが必要です。本稿では、Tera Term を使用した接続方法についてご説明します。必要に応じて、こちらのサイトから Tera Term をダウンロードして PC にインストールしてください。

Tera Term を起動すると、接続先設定のウィンドウが表示されます。「ホスト」に接続先の IP アドレスを指定して、「OK」ボタンをクリックします。 なお、接続先インスタンスの IP アドレスは、SCE の Web ポータルの「コントロール・パネル」タブの「インスタンス」タブで確認することが出来ます。「マイ・インスタンス」欄に表示されている接続したいインスタンスの IP アドレスを指定して、「OK」ボタンをクリックします。 「セキュリティ警告」のダイアログ・ボックスが表示された場合は、「続行」ボタンをクリックします。

 

「SSH 認証」のウィンドウが表示されます。「ユーザ名」には ”idcuser” を指定します。これは、SCE で Linux 系のインスタンスに SSH でアクセスするためのユーザーID です。 認証方式として「RSA/DSA 鍵方式を使う」を選択し、2-2 で作成し、ローカル PC にダウンロードした秘密鍵ファイルをフルパスで指定します。

 

秘密鍵のパスを手入力する代わりに、「秘密鍵」ボタンをクリックすると「RSA/DSA/ECDSA 秘密鍵ファイルの選択」のウィンドウが表示され、エクスプローラ・ビューから秘密鍵ファイルを選択することが出来ます。ただし、表示対象がデフォルトの ”秘密鍵ファイル” のままでは、SCE の秘密鍵が表示されませんので、”すべてのファイル(*.*)” に切り替える必要があります。

なお、SCE からダウンロードした秘密鍵は OpenSSH フォーマットです。SSH クライアントとして Tera Term を使う場合には秘密鍵をそのまま読み込むことが出来ますが、putty を使う場合には事前に puttygen というツールで鍵のフォーマット変換をする必要があります。

 

「SSH 認証」のウィンドウで、「ユーザ名」と「秘密鍵」を指定し、「OK」ボタンをクリックすると SCE 上の Red Hat OS に接続出来ます。

3-2. Linux 環境の確認と設定変更

環境設定を行うため接続用ユーザーの idcuser から root に切り替えるには、”sudo -s” コマンドを実行します。 まず、作成された環境の確認をしてみましょう。 2-4 で追加のディスクを作成し、2-5 でインスタンスに接続する設定を行いました。 この設定が正しく反映されているかどうか確認してみましょう。”df -h” コマンドでファイルシステムの情報を表示してみます。 指定したパス ”/mnt/disk01” に指定したサイズのディスクがマウントされていることを確認してください。

 
[idcuser@vhost2407 ~]$ sudo –s
[root@vhost2407 idcuser]# whoami
root
[root@vhost2407 idcuser]# df -h
Filesystem            Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/vda2              59G  4.0G   52G   8% /
tmpfs                 1.9G     0  1.9G   0% /dev/shm
/dev/vda1             985M   94M  841M  11% /boot
/dev/vdc1              55G  180M   54G   1% /mnt/disk01
[root@vhost2407 idcuser]#

それでは OS の環境設定を行います。SCE でプロビジョニングされた直後の Red Hat Enterprise Linux 6.4 は、ローカルタイム(現地時間)が UTC(協定世界時)に設定されているので、これを JST(日本標準時)に変更します。 ローカルタイムは/etc/localtime で決まるので、これを日本時間の定義ファイル ”/usr/share/zoneinfo/Japan” で置き換えます。”\cp” コマンドでファイルを上書きコピーし、設定変更が反映されたことを date コマンドで確認しましょう。

 
[root@vhost2308 idcuser]# date
Thu Aug 22 13:59:48 UTC 2013
[root@vhost2308 idcuser]# \cp -pf /usr/share/zoneinfo/Japan /etc/localtime
[root@vhost2308 idcuser]# date
Thu Aug 22 23:00:04 JST 2013
[root@vhost2308 idcuser]#

続いて言語環境の設定変更です。言語設定は ”locale” コマンドで確認出来ます。プロビジョニング直後は英語環境に設定されているので、これを日本語に切り替えます。言語環境は/etc/sysconfig/i18n というファイル内の、LANG というパラメーターで定義されています。 vi や vim などのエディタでこのファイルを開き、LANG の値を ”en_US.UTF-8” から ”ja_JP.UTF-8” に変更して上書き保存します。 言語設定の変更は次回のログイン時に反映されます。exit コマンドを 2 回実行して一旦ログアウトし、再度ログインし直してから、“locale” コマンドで日本語環境に切り替えられたことを確認しましょう。

この後、DB2 や WAS をダウンロードするために Web ブラウザーを使用します。今回作成した Red Hat Enterprise Linux 6.4 には Firefox が導入されていませんので、ここでセットアップします。 Red Hat には yum というパッケージ管理の仕組みがあり、リポジトリサーバーにアクセスして OS のアップデートやアプリケーションのインストールを行うことが出来ます。SCE ではデータ・センター内に yum リポジトリの複製を用意しています。また、プロビジョニングされた Red Hat には、あらかじめこのリポジトリサーバーの情報が登録されているので、特別な設定なしですぐに yum を使用することが出来ます。 Firefox をセットアップするために、Red Hat のコマンドラインで ”yum –y install firefox” を実行します。ダウンロードとインストールが行われ、“Complete!” のメッセージが表示されればセットアップ完了です。

3-3. VNC によるインスタンスへのアクセス

ここまでは SSH クライアントを使って、キャラクターベース (CUI) で Linux にアクセスしてきました。さらに GUI でも操作出来るよう、VNC をセットアップしてみましょう。 今回 SCE 上に作成した Red Hat Enterprise Linux 6.4 には、VNC サーバーが導入されています。Tera term でインスタンスにログインした状態で、”vncserver” コマンドを実行します。GUI アクセスのためのパスワードが要求されますので、任意の文字列を入力します。これで VNC サーバーが起動します。

 
[root@vhost2407 ~]# vncserver
You will require a password to access your desktops.
Password:
Verify:
xauth:  creating new authority file /root/.Xauthority
New 'vhost2407:1 (root)' desktop is vhost2407:1
Creating default startup script /root/.vnc/xstartup
Starting applications specified in /root/.vnc/xstartup
Log file is /root/.vnc/vhost2407:1.log

[root@vhost2407 ~]#

通常はこの後に Red Hat のファイアーウォールの設定を変更して VNC 用の通信ポートを開放するのですが、ひとつ注意すべき点があります。 SSH では通信内容が暗号化されるのに対して、VNC ではデータは暗号化されずにインターネット回線を流れます。それを避けるため、今回は SSH ポートフォワードにより、SSH で暗号化された経路を使って VNC の通信を行うことにします。そのためには、ローカル PC の特定の TCP ポートを SCE 上の Linux の VNC サーバーのポートにマッピングする設定を行います。

Tera Term のメニューの「設定」から「SSH 転送」を選択します。「SSH ポート転送」のウィンドウが表示されますので、「追加」ボタンをクリックします。 「ローカルのポート」には、任意の自由に使用可能なポート番号を指定します。ここでは ”55901” としています。「リモート側ホスト」には作成した SCE 上の Linux インスタンスの IP アドレスを、ポートには VNC の通信ポートを指定します。デフォルトでは VNC は 5900 番+ディスプレイ番号のポートで通信を行うため、ここでは ”5901” としています。 この設定により、ローカル PC の TCP ポート番号 55901 に対するアクセスが、リモート側ホストのポート番号 5901 に転送されるようになります。

 

設定内容を保存しておけば、毎回同じマッピング作業をする必要がなくなります。Tera Term のメニューの「設定」→「設定の保存」で保存しておきましょう。次回以降は、SSH で接続した後に「設定」→「設定の読み込み」で呼び出せます。

SSH の通信路が確保された状態、すなわち SSH クライアントで Linux にログインした状態で、VNCViewer を起動します。「VNC Server」に ”localhost:55901” と入力して「Connect」をクリックします。

 

「Unencrypted Connection」のダイアログ・ボックスが表示された場合は、「Continue」ボタンをクリックします。 「Authentication」ウィンドウが表示されますので、先程サーバー側で設定した VNC のパスワードを入力し、「OK」をクリックします。

 

Red Hat のデスクトップが表示されましたか? 3-2 で設定した言語とタイムゾーンが正しく反映されているかどうか確認してください。 これで SSH ポートフォワードを使用した、VNC による Linux の GUI アクセスは完了です。

 

後編では、作成したSCE上のインスタンスにDB2およびWASをセットアップする手順を解説します。


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ArticleTitle=IBM SmarterCloud 上で DB2 と WAS をセットアップする: 前編
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