z/OS V1R13の発表
[1]発表の概要
[1-1]製品の概要
本日IBMは、z/OSバージョン1.13(以下 z/OS V1.13)の機能をご紹介します。
System zによってサーバー層を統合・管理し、安全性を確保することによって従来のメインフレーム・ワークロードから発展させるために、IBM zEnterprise Systemクラスのサーバーが着目されています。zEnterprise SystemはIBMテクノロジーを統合して今日のマルチアーキテクチャー・データ・センターの生産性を改善することによってコンピューティングに新たな局面をもたらし、お客様は基盤となる複雑なインフラストラクチャーの負担を軽減し、お客様独自のビジネスやワークロードに集中的に取り組むことができます。
zEnterpriseで稼動するワークロードについて、z/OSは中心的な役割を担っています。 zEnterpriseサーバーがテクノロジーや管理についての従来的な概念に挑むのと同様に、z/OSはオペレーティング・システムが果たすべき役割についての考え方に変化をもたらしています。
z/OSはすでに高可用なシステムですが、システム上に潜在する問題を予測して事前に対応する機能を提供することにより、システム可用性に新たな局面をもたらします。z/OS V1.13はエラーの先見的回避やシステム停止リスクの低減を可能にする自律性とスマートな操作性が製品デザインに組み込まれています。たとえば、z/OS予測障害分析機能 (PFA)のリアルタイム予測機能は監視対象のシステム・メトリックの追加のみならず、場合によっては自動的にz/OS稼働時診断機能を起動してリスクのある特定のワークロードを識別して、迅速かつ正確に対応し、隠れたエラーからワークロードを分離するためにオペレーターが必要とする情報を提供します。
z/OS Management Facility (z/OSMF, 5655-S28)はz/OSの新機能で、z/OS環境の管理を根本的に変えるプラットフォームを形成します。z/OSMF V1.13では、新しい管理タスクが追加されるほか、z/OSイメージのクローニングを用いたソフトウェア・デプロイメントの簡素化、ディスク・ストレージ・ボリューム管理の簡素化、TCP/IPネットワークおよびセキュリティー構成の簡素化、z/OSとLinuxワークロードのサーバー資源監視の統合、アプリケーション間のリンク機能および起動機能、z/OSMFから利用するWeb版のISPFインターフェイスによる統合的なz/OSシステム・プログラマー・エクスペリエンスなどといった、以前のリリースで追加された管理タスクが機能拡張されています。さらに、z/OSMFは新しいRESTインターフェイスを提供し、z/OS、あるいはz/OS以外のシステムからz/OSジョブのサブミットや、ジョブ・ステータスの取得、ジョブ出力のリトリーブができるようになります。
お客様はz/OSを利用してお客様の既存アプリケーションの価値を拡充することができます。z/OS V1.13ではバッチ処理を刷新する「モダナイゼーション」基盤を提供し、バッチ・ワークロードとオンライン・ワークロード間に従来からあった壁を取り除き、これまではできなかったビジネス・データへのアクセスや変換が可能になります。新たな拡張機能は、バッチ処理にかかる時間を短縮し、バッチ・プログラミングを簡素化し、バッチ・アプリケーション・デプロイメントの柔軟性を高めます。また、z/OS V1.13では、並列シスプレックスにおけるz/OS UNIX System Servicesワークロードの総合的な入出力応答時間が改善され、Webベース・アプリケーションのパフォーマンスが向上します。ひとつのPDS(partitioned data set)を他のPDSにコピーするためにIEBCOPYユーティリティーを使用する際のワークロードのパフォーマンス改善が期待されます。
伝統的なデータベースやデータウェアハウスの展開に必要とされる高い拡張性やパフォーマンスを提供し、複雑さを解消するため、IBMはデータ処理に関する新たな機能拡張をSystem zプラットフォームに提供します。High Performance FICONを利用した多くのQSAM, BPAM, BSAMベースのワークロードではI/Oパフォーマンスの改善が期待できます。 ストレージの拡張性向上とストレージ管理の簡素化が1TB 拡張アドレスボリューム(EAV)のサポートによって提供されます。
また業界をリードするz/OS Workload Managerとディスク・ストレージ・システムの機能拡張からメリットを得ることができます。この機能拡張の詳細は、開発意向表明のセクションをご覧ください。
今日の世界は、かつてなく複雑で要求レベルの高いものになっています。企業業績は、顧客やパートナー、従業員の要求に応える能力で決まります。zEnterpriseおよびz/OSのより洗練されたシステム・イノベーションは、お客様のワークロードの最適化と、ビジネス・ニーズに即応できる態勢づくり、そしてコスト削減を図りながら業績達成に寄与します。
■主要前提条件
z/OS V1.13は、次のIBM System zサーバーで稼動します。
- z196
- z114
- z10 EC
- z10 BC
- z9 EC
- z9 BC
- z990
- z900
- z890
- z800
IBMソフトウェア製品の前提条件については、z/OS V1.13の出荷開始時にz/OS Planning for Installation (GA22-7504)をご確認ください。
■製品番号と出荷予定日
プログラム | プログラム番号 | VRM | 出荷開始予定時期 |
z/OS V1.13 | 5694-A01 | 011300 | 2011年9月30日 |
[1-2]ハイライト
z/OSバージョン1.13 (以下z/OS V1.13) およびz/OS Management Facilityバージョン1.13 (以下z/OSMF V1.13) には、システム管理と運用、バッチ・プログラミング、パフォーマンス、さらにはユーザビリティーと最適化機能に対応する数多くの新機能が含まれるます。お客様のデータ、アプリケーション、およびシステムは非常に重要なものであり、z/OSおよびz/OSMFはお客様のシステムの管理とシステム要員を最大限に活用することに寄与します。
z/OS V1.13では、次のような機能拡張が行われています。
- z/OS予測障害検知機能(z/OS Predictive Failure Analysis)とz/OS稼働時診断機能(z/OS Runtime Diagnostics)が改訂され、ユーザーはシステム上の特定の問題が表面化する前に警告を得て、迅速に確固としたアクションをとりやすくなります。
- 新しいz/OS基本コンポーネントであるz/OS Batch Runtime環境により、アプリケーション・プログラミングが簡素化されます。z/OS Batch Runtime環境では、トランザクション保全性を保ったうえでDB2に対するCOBOLとJavaの相互運用が可能になり、お客様は既存のCOBOL DB2バッチ・アプリケーション・プログラムをJavaベースのDB2アクセスを使用して拡張できます。
- JES2環境におけるJCLの改善、あるいはテープ・ボリュームの開放を早めるオプションによって、バッチ処理にかかる時間が短縮されます。
- 新しいJES2スプール・マイグレーション機能とJES3動的スプール追加機能によるスプール・ボリューム管理の改善。
- 並列シスプレックスにおいて、共用zFSを使用した場合のz/OS UNIXワークロードの50%(1.5倍)から150%(2.5倍)ものI/Oパフォーマンスの向上(注記参照)。
- IEBCOPYの改善による伝統的なワークロードのパフォーマンス向上。
- 新たに拡充されるオプションの使用により、IBM Tivoli Directory Server for z/OS (LDAP)、RACF、z/OS System SSL、ICSF、およびz/OS PKI Servicesに組み込まれた、より新しく高速でスケーラブルな暗号化およびセキュリティー機能を用いてデータの安全性を確保できます。
z/OS Management Facility V1.13は次のような機能強化が行われています。
- 新しいsoftware deploymentタスクでは、z/OSイメージのクローニングとソフトウェアのデプロイメントがより簡単になり、一貫性も高まります。
- 新しいDASD managementタスクで、SMSに対する新規ストレージ・ボリュームを迅速で容易に定義できるようになります。
- 更新されたz/OSMFベースのConfiguration Assistant for z/OS Communications Serverを用いて、安全性に優れたネットワーク接続の維持が容易になります。
- z/OSMFに含まれる新しいウェブ版ISPFインターフェイスが提供する統合的なz/OSシステム・プログラマー・エクスペリエンス。
- 新しいcapacity provisioning タスクによりz/OS Capacity Provisioning Managerのステータスを容易に監視できます。
- 更新されたResource Monitoringタスクに含まれる統合Linuxシステム・データ収集ツールは、z/OSとLinuxワークロードが稼動するサーバー資源の一元的な監視機能を提供します。
- Incident Log タスクは、インシデント監視と管理、および解析データ送付機能が改善されました。
- z/OSMFアプリケーション間、およびz/OSMFアプリケーションと他のブラウザー・ベース・アプリケーションとの間で互いにリンクして起動する機能でz/OSタスク間の操作性を統合します。
- z/OS、あるいはz/OS以外のシステムからのz/OSジョブのサブミットや、ジョブ・ステータスの取得、ジョブ出力をリトリーブするための新しいRESTインターフェイスを提供します。
z/OS Management Facilityについては、2011年7月13日付けソフトウェア発表レター (LSW11010)『IBM z/OS Management Facility, V1.13の発表』を参照してください。
注記: IBM開発部門による結果 (環境や条件に応じて結果は異なります)
- バッチのelapse時間の改善は、マルチボリューム・テープ・データセットのワークロード処理にFREEVOL=EOV パラメータを使用したときに得られます。
- 非常に小さいものから900%の大きさの完全共用zFSにおいて、テストされたほとんどのワークロードの条件において50%から150%のI/Oパフォーマンスの改善結果が得られました。実際の改善は環境(モノプレックス、あるいはパラレルシスプレックス)とファイル処理のタイプに応じて変わります。
- IEBCOPYを使用して PDS to PDS (パティション・データセット)のコピーを行うワークロードでパフォーマンス改善が期待できます。
■参照情報
- 2010年7月23日付けソフトウェア発表レター (LSW10008)
『z/OS V1.12の発表』
- 2009年8月19日付けソフトウェア発表レター (LSW09011)
『z/OS V1.11の発表』
- 2008年8月6日付けソフトウェア発表レター (LSW08005)
『z/OS V1.10の発表』
- 2007年8月8日付けソフトウェア発表レター (LSW07010)
『z/OS V1.9の発表』
- 2006年8月9日付けソフトウェア発表レター (LSW06006)
『z/OS V1.8の発表』
- 2006年8月9日付けソフトウェア発表レター (LSW06007)
『z/OS.e V1.8の発表』
■商標
- CICS, DB2, FICON, GDPS, IBM, ibm.com, IBM Business Partner, Language Environment, OS/390, Parallel Sysplex, ProductPac, RACF, S/390, SystemPac, WebSphere, DataPower, z/OS, zSeriesは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における登録商標。
DFSMSrmm, eServer, HyperSwap, IBMLink, IBM System z, MVS, and RMF
- DFSMSrmm, eServer, HyperSwap, IBMLink, IBM System z, IBM System z9, IBM System z10, zEnterprise, BladeCenter, MVS, RMFは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
- Microsoft, Windows は Microsoft Corporation の米国またはその他の国、あるいは両方における商標。
- Java およびすべての Java ベースの商標とロゴは、Sun Microsystems, Inc.の米国またはその他の国、あるいは両方における商標。
- UNIX は X/Open Company Limited の米国またはその他の国、あるいは両方における登録商標。
- LinuxはLinus Torvaldsの米国またはその他の国、あるいは両方における商標。
- Unicode は Unicode, Inc. の商標。
- その他の企業、製品、およびサービスの名前は、該当する各企業の商標。
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