プレミアムな旅行エクスペリエンスを実現

壮大にデジタル化を進めて、空港でのチェックインを迅速かつ簡単にします
Leah Valentine 氏
読了時間 : 6分

航空旅客運送事業は、利益率が低く、顧客が価格に敏感に反応する、競争の激しい業界です。 格安航空会社は、コストおよびサービスのレベルを徹底的に削減可能である一方で、高級感のある航空会社は、顧客が再び利用したいと思うような、思い出深い旅行エクスペリエンスを作り出す必要があります。 Etihad航空における課題は、同じ路線を運航する他社の高級路線の航空会社に対して、差別化を図ることです。

Etihad航空は、「Guest 360」プログラムと 「Choose Well」プログラムを採用して、食事、機内サービス、輸送手段などの顧客それぞれの嗜好をパーソナライズすることを目指し、それに関連する選択ベースの付随的なサービスを提供することでお客様の期待に応え、そこからさらに進化させようとしています。 そのために技術面で航空会社は、すべての顧客サービス(および乗客の嗜好に関する豊富なデータ)を、お客様に関する統合ビューにまとめる必要があります。

Etihad航空のテクノロジーおよびイノベーションのバイス・プレジデントであるMike Papamichael氏は、以下のように述べています。「当社のデジタル戦略で重要なポイントの 1つは、お客様の嗜好と望まれるエクスペリエンスについて深い理解を持つことです。」 「それによって、お客様に、よりカスタマイズされたスムーズな旅行エクスペリエンスを実現し、さらに想定以上のサービスを適切なタイミングで提供することで、カスタマー・ジャーニーの質を向上させることができます。」

Etihad社のデジタル・チャネルの変革

プロジェクト完了までの期間

15

週間

WhatsAppの搭乗チケット

1,700

一日当たりの発行数

Eメールの搭乗チケット

4,000

一日当たりの発行数

Papamichael氏は、以下のように述べています。「お客様がワールドクラスの航空機を利用する際、搭乗に先立って統合された質の高いデジタル・エクスペリエンスを提供して、品位について誤った印象を与えないよう、注意が必要です。」 「当社はお客様第一に行動し、その行動すべてがカスタマー・エクスペリエンスに関わります。私は当社の、実に素晴らしい機内エクスペリエンスに対して、ふさわいいデジタル・ジャーニーを必要としていました。 私はチームが、クラウド・テクノロジーとマイクロサービスを活用することによって現行のシステムを変革し、同時にこの複雑なソリューションを3カ月以内で構築することを必要としていました。」

Etihad航空は、耐用年数に達した既製のチェックイン・アプリケーションを使用していたため、顧客に対するサービスがスムーズではなく、また信頼性も十分ではありませんでした。同社は、最新のAPI駆動のバックエンド技術を使用して並列モバイル・アプリを既に始めており、乗客がこのチャネルの方を好んでいることは明らかでした。 Etihad航空は、付随的な個別サービスについて、Web上で実施する方が満足度が高いとの経験値から、これまでと同等またはそれ以上のチェックイン・エクスペリエンスを提供するために、Webチェックイン・システムのモダナイズが必要でした。

IBM Consulting、IBM Garage、およびIBM Cloudにより、IBMの航空機業界での経験に裏付けられた、まさに世界クラスの専門知識とベスト・プラクティスを使用して、それらすべてをデジタル・トランスフォーメーションに統合することが可能になりました。
Takhliq Hanif氏
Etihad航空、グループ・エンタープライズ・アーキテクチャー、テクノロジー、およびイノベーションの責任者
Etihad社の航空機

テクノロジーおよびイノベーション・デジタル・ポートフォリオ・マネージャーのKavita Iyer氏は次のように述べています。「チェックインの業務プロセスは非常に複雑になっていたため、当社のアプリケーションでは、望むようなパーソナライゼーションに対応することがもはや不可能となっていました。」 「Abu Dhabiに次世代空港の開設時に、当社はデジタル体験を改善し、付随的なサービスをより多く提供していきたいと考えました。」

IBM Cloudの選択

Etihad航空は、提供する選択肢を増やしながらカスタマー・エクスペリエンスを簡素化するために、すべてのデジタル・サービスのための新しいプラットフォームの作成を計画しました。 オープンで拡張性の高いハイブリッドクラウド・プラットフォームにマイクロサービス・アーキテクチャーを採用することにより、Etihad 航空は、再利用可能なコンポーネントを組み立て、新しいアプリケーションの配信を加速できます。その最初となるものが、新たなWebチェックイン・ソリューションです。

アーキテクチャー、テクノロジーおよびイノベーションの責任者であるTakhliq Hanif氏は以下のように述べています。「もともと、私たちはすべてを自分たちで再開発し、独自のマイクロサービスとAPIで市場に参入しようとしていました。」 「その代わりに当社が使用することを決めたのが、IBM Cloud上で動作する IBM NextGen Common Travel Servicesでした。当社のサービス・オーケストレーションおよびAPIエコノミー層の一部として使用したのです。 IBM Cloudでは、コスト効率の高いクラウドネイティブ・アプリケーションの開発が可能です。つまり、IBM Cloudは DevOps ツールチェーン提供の観点で成熟した開発環境なのです。」

IBM Cloud® と NextGen Common Travel Services (CTS)ソリューションを使用することにより、Webチェックイン・アプリケーションの納期が当初の予定の9カ月からわずか15週間に短縮されました。Hanif氏は以下のように述べています。「途中経過で何ら価値が示せないような 3年もかかるプロジェクトを承認する経営幹部はいません。」 「IBM Cloud でアジャイル手法を採用したことで、当社はこれまでになく迅速にプロジェクトを進めることができました。」

雲空の下、滑走路を飛行するEtihad社の航空機

包括的なIBMサービス

Etihad社の笑顔の社員

デジタル・トランスフォーメーションのジャーニーをスムーズにするため、Etihad 航空はニューヨークでのIBM Garage™ワークショップを始めて、ビジネス上の課題に焦点を当て、IBM® Consultingと協力してこの課題解決に利用できるテクノロジー・ソリューションの開発に取り組みました。旅行業界全体のベスト・プラクティスに関するベンチマーキングの試みとして、IBMのデザイン・ストラテジストとインタラクティブの専門家は、Etihad航空の部門横断的なチームが自社のチェックイン・プロセスを再考できるように支援しました。これにより同社は、IBM Enterprise Design Thinking™プロセスを使用して、エクスペリエンス主導のカスタマー・ジャーニーを作成することができました。

IBMとEtihad航空は、IBMオフィスの共有スペースに共同開発チームを設立しました。 Etihad航空は、IBM開発者と緊密に連携するためにベスト・プラクティスのDevOpsチームを創設し、IBM Cloud上に軽量のDevOpsツールチェーンを設定して開発作業を進めました。IBM Garage のワークショップを複数回実施することで、カスタマー・エクスペリエンスの目標を詳細化し、必要とされるプラットフォーム・テクノロジーの組み合わせを決めることができました。

Etihad航空の新たなプラットフォームの最大のポイントは CTSアセットで、これによって航空業界向けに一連の共通サービス、構成可能なビジネス・ルール、および事前構築済みのアダプターが提供可能になります。Etihad航空は、現地のデータ保護規制への準拠により必要となる、さまざまなクラウド環境に展開できるようにするため、このアセットをIBM Kubernetes上の可搬性に優れたコンテナ・プラットフォームにモダナイズするという課題の解決を IBM に委託しました。Etihad航空がこのマルチクラウド戦略を実現する支援のため、IBMはバックエンド・アプリケーションをKubernetesに移行して、次世代CTS (CTSng)ソリューションを作成し、IBM Cloud Kubernetes Serviceに導入することに成功しました。

Hanif氏は以下のように述べています。「Kubernetesによるコンテナ化は、プラットフォーム上でワークロードを移動可能にするいう当社の戦略と一致しました。」 「また、既存のバックエンド・サービスの再利用を計画しているモバイル・チャネルおよびキオスクの開発にも役立ちます。」

完全な統合

新規のWebチェックイン・ソリューションとSabre予約サービスとの通信可否について迅速に概念検証した後、チームはわずか15週間でIBM Cloud上に新規ソリューションを構築しました。ソリューションの主要構成要素には、Javaアプリケーション用のランタイムである Liberty for Java、ログの集計と分析によってDevOpsチームを支援するログ分析、アプリケーション用のオープンソース・データ・ストレージを提供するIBM Cloud上のCloud Databases、継続的な統合および継続的デリバリーのためのJenkins、コード・リポジトリー用の Gitlab、リポジトリー・マネージャーである JFrog Artifactory、アプリのバージョン用のサブバージョンが含まれます。さらに IBM Cloud上のIBM API Connect®を使用して、新しいWebチェックイン機能を既存のバックエンド・システムに統合します。

IBM CTSngプラットフォームでは、チェックイン・アプリケーションを開発するために、フロントエンド・チャネルが容易に使用できる事前構築および事前統合済みのAPIを実現しました。 Iyer氏は以下のように述べています。「事前構築済みのAPIを導入した理由の1つは、チェックインのために12の主要なシステムに接続し、270を超える独自のプロセスに対応する必要があったためです。」 「また、バックエンド上の18の既存の統合システムに接続する必要もありました。 例として挙げると、当社は米国移民局の事前通関手続きを行っている、数少ない航空会社の1つです。IBMの事前構築済みAPIの採用は、当社の目標を達成する近道となりました。」

 
Etihad社の航空機内部のエコノミー席

ワールド・クラスの専門知識

専用コンパートメントでサービスを受けるEtihad航空の乗客

フロントエンドのアプリケーション開発パターンにバックエンドを使用することにより、ユーザー・エクスペリエンスを向上させる新たなWebチェックイン・システムの開発が加速しただけでなく、チェックイン処理での工程品質も確保されました。 このパターンにより開発チームは機能の開発工程を高速で反復できるようになり、並行して動作するWebアプリケーションのエクスペリエンスに影響を与えずに、モバイル・アプリのバックエンド管理を維持することができます。

Hanif氏は、以下のように述べています。「マイクロ・サービス・パターンの使用は、操作性という点で役立ちました。」 「このような専門知識がなければ、パブリッククラウド・サービスの採用は高いリスクを伴うものになっていたでしょう。」

「IBM Consulting、IBM Garageチーム、IBM Cloudプラットフォームにより、IBMの航空機業界での経験に裏付けられた、まさにワールド・クラスの専門知識とベスト・プラクティスの恩恵を受けました。当社はそれらすべてをデジタル・トランスフォーメーションとして統合することが可能になりました。」

クラウドの価値を証明する

Etihad航空は、IBM Cloudおよびマイクロサービス・プラットフォームの活用により、納入およびサポートに関する新しい手法をすべて採用する一方で、「15週間でサービスイン」という非常に大きな課題をクリアしました。現在Etihad航空は、3つのIBM Cloud環境を2つの地域全体にわたってホット・スタンバイ・モードでアクティブに運用し、レジリエンスをサポートしています。このハイブリッドクラウド・アプローチの実効性は、ユーザー受け入れテスト中に実証されました。航空機は、バックエンド・システムを利用して遅延を短縮するため、IBM Cloudセンター間でワークロードを移動したことにより、応答時間の最適化を実現したのです。

Hanif氏は以下のように述べています。「従来は、このような移動に数週間もかかりました。」 「IBM Cloudによってそれが数時間で実現したので、まさに偉業です。」

滑走路上のEtihad社の航空機

迅速かつ簡単なチェックイン

チェックインしているEtihad社の乗客

この最新のWebチェックイン・ソリューションにより、Etihad航空のお客様は、チェックイン手続き、座席の選択、搭乗カードの印刷、その他多くの付随サービスをオンラインで管理できます。現在このソリューションでは、一日につきWhatsAppの搭乗チケット1,700枚、電子メールの搭乗チケット4,000枚が発行され、すでに数カ国語で展開しています。

Hanif氏は、以下のように述べています。「当社はチェックインを可能な限り簡素化したいと考えていました。空港で長蛇の列になることは避けたいのです。」 「次の段階では、選択がすべてに関わってきます。 当社が実行したいことの1つは、目的地周辺でのパーソナライゼーションです。 IBM Cloud上のAIとコグニティブ・サービスは、その中で重要な役割を果たします。」

Iyer氏は、以下のように述べています。「適切なユーザー・エクスペリエンスを設計することが当社の大きな課題でしたが、IBM iXは当社が業界で達成したい内容をすばやく理解しました。」 「バックエンド、フロントエンド、レポート作成に対する15週間の締め切りは、iXを含む各IBMチームがビジネスの問題を完全に理解していたからこそ達成できました。」

拡張パーソナライゼーション

Etihad航空のロビーでサービスを利用している乗客

Etihad航空が既存のチェックイン・ソフトウェアを使用停止することで、ITメンテナンス・コストやチェックイン時のサービス・コストが削減され、大きな経済的メリットが生まれます。しかし、最大のメリットは、乗客のエクスペリエンスが向上し、顧客ニーズをより適切に把握できるようになることにあります。その理由は、特にチェックインが、多くのお客様との最初の接点になるためです。

Papamichael氏は、以下のように述べています。「地域差もあることから、カスタマー・ジャーニーの最後の段階になるまで、お客様のご要望を十分にご理解できないこともあります。」「そしてチェックイン・プロセスは、乗客を知ることができる非常に重要なステップです。」

この新しい Web ソリューションによって、チェックインが従来よりも大幅に迅速化、かつパーソナライズされるという顧客エクスペリエンスを提供できるため、Etihad航空は、Business Rulesおよびプロセス管理に対する制御の質も向上させています。 このソリューションと新規のDevOpsプラクティスを組み合わせることで、新機能やサービスをより早く市場に投入できるようになります。

Hanif氏は以下のようにまとめています。「IBMには、非常に短期間のうちにデジタル・トランスフォーメーションを加速させるという、大変な難題を引き受けていただきました。」 「組織一丸となっての対応により、当社は目標を達成することができました。IBMは、クラウド・プラットフォーム、業界の専門知識、各種のサービスを統合して、すべてを実現させます。」

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Etihad航空について

Etihad航空(外部リンク) は、アラブ首長国連邦の国営航空会社です。 2003年に設立され、アブダビ政府が完全所有であるその輸送業者は、120機以上の新しく環境にやさしい航空機を使用して、6大陸にわたる110以上の旅客および貨物の目的地に就航しています。 Etihad航空は、乗客にきめ細かい心配りをするEmirati社の価値観に触発され、単に他社の航空会社に対してではなく、世界最高のホスピタリティの権威に対して、自社を比較評価しています。

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