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将来に対応できる統合データ・ガバナンス

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Seth Dobrin

著者:Seth Dobrin
Vice President, Chief Data Officer, IBM Analytics

急速に増大するデータを全社的に管理することは、コグニティブ・ビジネスを構築するにあたって最初に実施すべき、また最も重要なステップです。このためには、データを理解し制御するための先進アナリティクスを導入する必要があります。このことは、新規のビジネス・モデル推進に役立つ洞察を獲得するためにも役立ちます。

しかし、それら全てを効果的に実現するには、データの種類 (構造化データ、非構造化データ、半構造化データ) に関わらず、あるいは、データの存在する場所に関わらず、先進アナリティクスによる分析を実行できる必要があります。たとえば、データが過去 20 年間にわたり稼働している基幹システムに存在している場合でも、ファイアウォール内のプライベート・クラウドにある場合でも、パブリック・クラウド・プラットフォームに存在している場合であってもです。

さらに、メタデータの付与、データの分類、データ品質とマスター・データの管理などの多くのプロセスを自動化するために、機械学習を活用することがますます重要になっています。

これこそ、統合ガバナンス(unified governance)のコンセプトです。IBM の提唱するデータ・ガバナンスの中核機能には精密で包括的なデータ・マネジメント・プラクティスが含まれ、これによりデータの一貫性、品質、セキュリティー、使いやすさ、可用性を実現します。今年の夏、IBM は 文字通りUnified Governance Platform の発表を通じ、ガバナンスをもっと実現しやすくするためのいくつかの施策を発表しました。

しかし、IBM のガバナンス・アプローチはアクセシビリティーのみにとどまりません。IBM は、適切なデータ・ガバナンスはスピーディーなデータ・サイエンスの実現につながると考えます。つまり、データを「事前に整備(pre-governed)」すれば、データにアクセスしやすくなり、データでできることとできないことが把握しやすくなります。これが実現すると、分析や相関、パターン検出のためにデータが最適化されるので、データに基づく意思決定を行う新しい環境が構築できます。

Information Server

今週、IBM は Unified Governance Platform の機能をさらに拡張する一連の新機能を発表します。多くのユーザーから好評を得ている InfoSphere Information Server に、構造化データと非構造化データ (非構造化データの文書ファイルや PDF ファイルなど) の両方に対応した単一の Unified Governance Catalogのビューを追加しました。 このビューにより、ほぼどんなユーザーでも簡単に社内のあらゆるデータを発見し、理解できるようになります。さらに、データの使用パターンを実際に認識して提案するコグニティブ・デザイン機能を追加し、主要コンポーネントである DataStage Designer についても、Web GUIで開発いただけるように強化しました。このような機能により、ユーザーはデータ統合フローの実装をスピードアップできるようになります。

MDM

さらに、IBM は Master Data Management (MDM) ソリューションの操作面やアナリティクス面の機能をアップデートします。顧客、サプライヤー、パートナー、製品、資材、アカウントなどに関するデータは、複数のばらばらのアプリケーション内に保存されることが多く、その際に重複データとなってしまう場合があります。MDM とは、そのようなデータに関する洞察を獲得するためのソリューションです。

最新のアナリティクス機能を備えた MDM により、ユーザーはデータを可視化したり、探索したり、他のデータ・ソースと動的に関連付けをしたりといったことをセルフサービスでできるようになります。さらに、IBM は MDM に「同意管理」と呼ばれる機能を追加します。これは、EU の最新の一般データ保護規則 (GDPR) に対応しようとするユーザーに役立つ機能です。同意管理を導入すると、ユーザーは顧客から受領した同意や、その同意の目的だけでなく、GDPR に関連するデータ・アクセスやアクティビティーなどの要素も参照し、管理することができます。

メタデータ・ガバナンス と ODPi

IBM は Hortonworks および ING グループと協力し、Linux Foundation の ODPi グループにデータ・ガバナンスに関するプログラム管理委員会 (PMC) を設置するよう提案しました。このグループの目的は、データがどこにある場合でもデータ・ソースに関する情報 (データの存在する場所、発生場所とリネージュ(来歴)、オーナー、構造、意味、分類、品質など) を交換できるよう、さまざまなメタデータ・ツールとカタログに関するインターフェースを定義することにより、オープンなデータ・ガバナンスのエコシステムを構築することにあります。

最終的に採択されれば、これらのインターフェースを組み込んだ新規ツールはどのベンダーのものであれ、インターフェースをサポートするカタログと情報をやりとりできるようになります。これは、独自フォーマットとAPI を採用している現在のほとんどのメタデータの管理方法とは大きく異なります。

既存ツールは独自的であるため限られたデータ・ソースしかサポートできず、その結果、サポートするガバナンス・アクションも限られます。さらに、メタデータを組み合わせてエンタープライズ・データ・カタログを構築するには、非常に多くのコストがかかります。理想的には、メタデータはデータと共に自動的に移されるべきであり、メタデータを拡張、加工する際には、許可された用途についてはオープンな API を通じてできるべきです。これこそ、オープンなデータ・ガバナンスのエコシステムによって実現する将来構想です。今後数週間で、この取り組みに関する進展についてご案内できる予定です。

業種モデル

特定の業種の企業がアナリティクスとガバナンスの活用をはじめたい場合、IBM Industry Data Models が役立ちます。金融、エネルギーとユーティリティー、医療、銀行、保険、通信サービス、小売といった特定の業種向けに、一連のビジネス・データと技術データのモデルが事前に設計されています。このようなモデルは、それぞれの業種で特定されたデータに関するビジネス・インテリジェンス・アプリケーションの開発を加速する、すぐに使える標準のフレームワークと基盤を提供します。

今週、IBM は GDPR対応のため、GDPR 関連用語のサポートなど、モデルに関する多くのアップデートを発表します。IBM は業界独自の用語集を蓄積しており、お客様はこの用語集を使用することで、規制当局が使用する用語を、企業が使用する一連の用語へと橋渡しできるようになりました。このサポートにより、企業はより効果的に GDPR への対応を行うことができます。また、IBM は業種モデルに「同意管理」の機能を追加しました。データの目的を明確化し、誰に対して個人データを使用できるかを規定することで、データの対象者と管理者の間の同意契約 (保護者の同意を含む) を規定することができるようになりました。

Watson Data Platformの強化

上記に加え、機械学習により強化されたData Catalogと Data Refinery(データの加工・精緻化)のオファリングなど、IBM Cloud 上の IBM Watson Data Platform(US) の重大なアップデートについても発表します。今回発表するアップデートにより、企業はパブリック・クラウド・プラットフォーム、オンプレミス・システム、サード・パーティーのデータ・ストリームに存在するすべての自社データへの接続とセキュア化を行えます。これによりデータ・ガバナンスのアプローチをさらに進め、AI アプリケーションの開発と実装に役立つ強力なデータ基盤を構築できます。

おわりに

データ・ボリュームの増大に伴い、Unified Data Governance のプラットフォームへのニーズも増大します。IBM は当初からデータの課題に取り組んでおり、今後も引き続きガバナンス機能の先進化に取り組みます。皆さまにもきっとご納得いただけるものと考えています。

この記事は、2017年11月2日(現地時間)にTHINK Blogに掲載された記事の抄訳です。

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