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次世代データプラットフォーム

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ロブ・トーマス、IBMアナリティクス ゼネラル・マネージャー

著者:ロブ・トーマス
以下は、ロブ・トーマス IBMアナリティクス ゼネラル・マネージャーが米国時間2018年5月30日に掲載したブログ(US)の抄訳です。

“プラットフォームを長期的に使用するに能うものとするのは、その上で実行されるアプリケーションです。” — ベン・トンプソン Ben Thompson, Stratechery

プラットフォームは商取引の原動力です。プラットフォームの開発・承認・導入は、テクノロジー業界だけではなく、その他の業界においてもイノベーション、効率化、生産性向上を促します。

例えば、米国のインターステート・ハイウェイ・システムについて考えてみましょう。その構想が打ち出されたのは、いくつかの企業と業界団体が初めて交通政策に影響を与え始めた1950年代でした。その後、50年以上にわたって4,250億ドルが投資された結果、全米各州は4万8,000マイルに及ぶインターステート・ハイウェイ・システムにより、かつてないほどに結ばれました。

ハイウェイ・システムが、さまざまな都市や地域を1本の神経系で簡単に統合する方法を提供したことはもちろんですが、その影響はさらに広範囲に及んでいます。ハイウェイは、立体交差や地下道によって交差点を無くすことにより渋滞を解消し、移動や共有を促進し、ガソリン・スタンド、モーテル、サービス・エリア、トラック輸送、ファスト・フードといった副次的なビジネスの広がりをもたらしました。

つまり、ハイウェイ・システムは、国の中心を起点として外に向かって延びていくことで商品の自由な流通を可能にし、商取引のあり方をすっかり変えたということです。

テクノロジーの場合も輸送と同様に、基礎をなすプラットフォームがイノベーションを推進し、前進させてきました。メインフレームからクライアント/サーバー、オペレーティング・システム、クラウド、さらには最新のマルチクラウドまで、プラットフォームは生産性の向上とイノベーションの促進を可能にしてきました。クラウド・コンピューティングでは、成功したプラットフォームがオンプレミス環境やプライベート・クラウド環境からパブリック・クラウドまでを一貫した形で結ばれ、それによって成長を促し、システムやユーザー間のコラボレーションを広げる助けとなります。しかし、プラットフォームはデータが存在する場所を起点とする必要があるため、ほとんどの企業ではエンタープライズを起点とするアプローチを取ることになります。

これが本日より提供が開始された新しいIBM Cloud Private (ICP) for Dataの背後にある哲学です。ICP for Dataはエンタープライズ起点の思想から設計されたデータプラットフォームで、データ・サイエンス、データ・エンジニアリング、およびアプリケーションをシームレスな環境に統合します。これを使用すれば、データから従来は得られなかった知見を素早く発見することができます。

先ほどのハイウェイ・システムと同様に、ICP for Dataはすべてのデータをシームレスに接続し、あらゆるビジネスの中核であるエンタープライズ・データを起点とします。さらに、商取引の新たな波を実現し、あらゆる企業のデータを解放し、すべてのアナリティクス・ツール/アプリケーションのためのプラットフォームを提供します。データ環境のモダナイズを目指している企業のために、このプラットフォームはIBM Cloud PrivateのKubernetes基盤に沿って、すべての機能をデータ・マイクロ・サービスとして提供します。言わば、データ革命のためのハイウェイ・システムです。

一般データ保護規則(GDPR)

しかし、長期運用可能なプラットフォームを設計するに当たって考慮すべきことはさらにあります。このプラットフォームは2カ月前に発表されたばかりですが、私たちはデータ・セキュリティーやコンプライアンスに役立つ機能やサポートの追加を迅速に行い続けています。マスター・データ管理のためのマイクロ・サービスを統合したほか、インダストリー・モデル(データのマップ)を更新しました。また、問題を発生前に修正できるように、データ・カタログと機密データやリスクのあるデータを発見・分析・管理する機能の間で緊密な統合を構築しました。さらにIBM Data Risk Managerをプラットフォームに統合すれば、すべてのデータを全体的な視点で捉えることが可能になり、EUの一般データ保護規則(GDPR)の要件に見られるような、より厳格な規制要件への対応に役立ちます。

MongoDBとPostgresをサポート

また、3月の発表以来、データ管理のサポート対象を広げ、エンタープライズ向けにMongoDBおよびPostgresを含めました。これらのオープン・ソースのドキュメント型データベースやオブジェクト・データベースと新たなパートナーシップを結んだことにより、さらに幅広いオプションからのデータの利用・統合が可能になりました。ハイウェイ・システムは遠く離れた都市を結びましたが、ICP for Dataはあらゆるタイプのデータをその保管場所に関係なく結び付けます。これらの主要オープン・ソース・データベース・テクノロジーは、ICP for Dataを通じて利用できるようになり、プロビジョニング、実行、サポートが容易になります。

AI化に向けて

本日のニュースと戦略が示しているように、マルチクラウドとオープン・データ管理の心躍る新しい世界が近づいています。この新たな環境では、クラウド・プラットフォームを超えてすぐにデータにアクセスして利用できるようになります。しかも、規制の厳格化に対応し、ガバナンス、アナリティクス、機械学習によって強化されるプライバシー機能を備えています。そして、エンタープライズ起点のデータプラットフォームが実現します。さらに先日の発表のとおり、オープン・プラットフォームの精神の下、Red Hat OpenShiftコンテナー・アプリケーション・プラットフォームとの統合も果たしました。この合意により、ICP for Dataだけではなく、WebSphereなどのIBMミドルウェアも、OpenShiftが稼働するほぼすべてのクラウドで利用できるようになります。言わば、これはデータ・ハイウェイでの橋や立体交差のようなものです。

あらゆるデータ・ソースを統合する最新のデータ・アーキテクチャーは、事業部門幹部からCIOまで、誰でもデータから素早く得られた知見に基づいて、新しいビジネス・モデルを創造できるようにするための道を開き、ひいてはエンタープライズAI(人工知能)への道を開きます。AIが人に取って代わるのではありません。AIを活用しない人々がAIを活用する人に取って代わられるのです。IBM Cloud Private for Dataはそうした方向への大きな一歩となります。

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